おくのほそ道

漫画「ジパング」にハマったが故に興味は海上自衛隊へ!護衛艦を見るための旅行、漫画やサッカーなど、趣味をメインに語ります

ジパング 最終話(その3)

2009-11-09 | ジパング
この「ジパング最終話」を一通り読み終えて、最初に確認してみたいと思ったのは、冒頭に出てくる“200×年”が実際は何年なのか?ということでした。

幸いにも最終話には、そのヒントが載っている。
「昭和62年3月生まれの26歳」という桜井の生年月と年齢です。

最初は、これを基にして単純に計算していたのですが、その結果がどう考えても変だということに気が付いて…。
(きっと読者の皆さんの中でも「おや?」と思われた方が多かったのでは?)

桜井の誕生日から推測される現在=平成25年(2013年)なのですが、この年だと角松や梅津艦長の年齢に矛盾が生じてしまうんですよね。

①梅津艦長の誕生日は「1948年(昭和23年)5月20日」※航跡419で確定
 →2013年では65歳になってしまう(1佐=大佐の定年は56歳)
②角松がタイムスリップした時(1942年6月)の年齢は35歳だった
 →2013年では106歳になってしまう(さすがに…ねぇ^^;)

角松の年齢に関しては、外伝から既に考察されています。
湾岸戦争の始まった年(1991年1月)に防大4年(22歳)だったことで、1968年生まれであることが確定。
ここから計算すると、35歳の角松がみらいで出港した年は、2003年が正解なのです。

同じく梅津艦長に関しても、以前どこかで、定年間近の1佐が艦長に就任することがあるのか?という議論(※)があったことからも、タイムスリップ時は2003年の55歳だったと考えるのが普通。

この2点から、桜井の生年は昭和62年ではなく、「昭和52年(1977年)」が正しいと考えられ、数字の「6」と「5」の誤植ではないかと思われるのです。

(※その時は、「通常ならありえないが、過去の功績により特例で最後のご奉公に預かったという理由でいいんじゃないの?」という漫画的後付解釈で終わったと記憶している)

…ということで、この2003年がハワイへの「出港年」
角松はこの時、96歳(!)

となると、最終話冒頭のみらい進水式の200×年は…?と、また気になってしまったので確認してみました。

通常、進水から竣工(就役)までが1年半強。
就役後、訓練航海などを最低1年行うと仮定(あたごの場合、07年3月就役後、ハワイでの訓練を経て横須賀へ寄港しようとしたのが08年2月だったことから)して、その後本格的に実務に入るとしたら…

逆算して、

2003年(H15)6月 合同演習派遣
2001年(H13)8月 竣工
2000年(H12)2月 進水 

…というところでしょうか。
通常、進水式は8月に行われるのですが、みらいに関してはなぜか2月ですね。
予算の関係で、起工した後、一定期間を経ての進水が8月になるものと思っていたのですが、ジパングの世界でそのあたりがどうなっているのかは、ちょっとわからないです。

もしかしたら、ゆきなみ型4番艦との兼ね合いで、そうなっているのかもしれない。
みらいの後に作られる、この4番艦も一緒に演習に参加することになっているようだし。

**************

こうやって、いろいろ考察したり自分なりに妄想したりするのが本当に面白かったなぁ。
ジパングは半永久的に終わらない物語だと思っていたのに…。

最終話は、それこそ何回も何回も読み返しました。
最初は自分の期待どおりの最終回じゃなかったことで、読み終えた時はただびっくりしただけだったけど、今はもう角松と共に、長い旅を終えたような心境になっている。
そしてつい目頭が熱くなってしまう。

若々しく晴れやかで、何の苦悩も抱くことのないみらい乗員の表情を、最後に見ることができて本当によかった。
角松の存在しないみらいの副長は、誰がやっているんでしょうね。

最終回を迎えてなお、妄想はつきません。

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ジパング 最終話(その2)

2009-11-08 | ジパング
ジパング最終回の感想が長くなりそう、というよりも、正確には書くのに時間がかかりそうだったので、記事を分割しました。
今回は、みらい進水&出港に際しての感想、その他に関しての考察です。
(たいした内容ではないのですが…^^;)

最初に進水式で「みらい」と命名された艦艇を見て、
「お~!あたご型だ!!」と、ついまじまじと見入ってしまいました。
角松によると、サイズは一回り大きい、とのことでしたが、各種イージス艦を比べてみると…

・こんごう型 全長161m・全幅21m・基準排水量7250t
・あたご型  全長165m・全幅21m・基準排水量7700t
・旧みらい  全長171m・全幅21m・基準排水量7735t
・新みらい  全長183m・全幅24m・基準排水量12000t ←コレ
・ひゅうが   全長197m・全幅33m・基準排水量13500t (比較参考)

確かにでかい。
やはりこの世界では、“自衛隊”ではなく“軍隊(国防軍)”のままである点が考慮されての大型艦なのかもしれない。

しかしながら、ジパング航跡1での出港理由(エクアドル争乱での護衛艦派遣だったことを覚えてますか?)と今回のハワイへの出港理由(環太平洋条約機構軍の合同演習)の違いでもわかるように、この世界は以前の世界よりも平和を保持していることがうかがえるにもかかわらず、ここまで大きな軍艦を作る意味があるのかどうかが疑問です。
(ハワイ沖での合同演習、の文字を見ても最初はスルーしていたんですよ。アニメから入った人間なので、原作設定をすっかり忘れていたけど、1巻冒頭を見て戦地派遣だったことを思い出したという orz...)

それと、大きさからして1番違和感を覚えたのが、ヘリ格納庫。
幅が3mも大きくなっているのに、なんで1機搭載用のあたご型と同じなんだろ?ってね。
1機搭載型じゃ、もはや完璧にDDHとは言えないんじゃ…(←禁句?)

出港前のみらいを、斜め前から見た絵にも違和感がありました。
CIWSの上に位置していた衛星通信アンテナがないんですよね~。
参考資料:あたご
横にある兄弟艦にも付いていないから意図的なんだろうけど…。
(ちょっとだけ、出っ張りがあるのがそれ??小さすぎるけど)

横須賀基地は、現状と大きく変わっているようですね。
最初、あの全景を見た時は、
「ここって、今使っている基地の埠頭?それとも…」
と、別の可能性すら考えてしまいました。

その“可能性”の方…ジパングの世界での在日米軍基地って、どうなってるんだろう?
朝鮮戦争があったかどうかもわからないし、日本に駐留する理由がないような気がするんですよね。
普通に第七艦隊はグアムを本拠地にしているとか…。
となると、当然米軍横須賀基地があるエリアは海軍のものなわけで…。

でもよく見ると、地形からしていつもの埠頭っぽい。
米軍基地の方に遠慮なく、3本並びで桟橋を作っているところや、水路で切られた島(米軍と共同使用の弾薬庫があるエリア)にも軍関係の建物が多く見られるところからも、米軍の影がないことが伺えます。

それから、演習に参加する艦艇について。
今回は、最新鋭のゆきなみ型イージス艦4隻が参加、と説明されていますが、航跡1でエクアドルに向かうために出港した艦艇は、旗艦1、イージス2、補給艦1の合計4隻でした。
実際のリムパック(環太平洋合同演習)参加の際も、DDH1、イージス1、DD2、SS1、P-3C5(2008年実績)というラインナップだったので、今回の目的からすれば、派遣艦艇はそこそこ妥当みたい。

そして、その演習への出発日なのですが…。
“(6月)14日から実施される合同演習”という言葉からしか、具体的な日にちを計ることができません。
話の流れ的には、角松が経験した出港と全く同じ日時に、と考えるのが自然なんでしょうけど、時間はまだしも、日にちに関しては「6月2日出港」で間違えないのかな?
(みらい内部に掛けてあるカレンダーから、この日の出港が推察されている。そして4日にタイムスリップ)

もし同じ日時に出港し、同じ航路を通るとしたら、当然同じ気象条件に巡りあってしまうわけで…。
なのに今回は、何事も起こらず、無事に目的地のハワイ真珠湾へ到着することができたのはなぜだろう?と、ぼんやり考えてしまいました。

アメリカの軍部にも顔がきくであろう角松が、友好関係にある日本の軍隊にも関与していて、みらいの出港時間をずらすなど、何らかの工作をした結果、問題海域を無事にやりすごすことができた……そんな内情が見え隠れする最終回であったなら、尚更最終話として重みが増したんじゃないでしょうか。

所詮これは勝手な妄想にすぎないわけだけど、ただ見送るだけの角松は角松じゃないような気がする。
かつての仲間たちを、今回こそ無事に目的地へ送るために、角松ならちょっとした何かをしていそうなんだけどね。
みらいの未来を知る人間だからこそ、やらなければいけないことを。
その結果を踏まえて、満足げに出港を見送る角松であったなら、私も心置きなくこの最終回を受け入れられたと思う。


…まだ書き足らないことがあるので、もう少しだけ引っ張ります。
次回は、200×年を解明するにあたっての、「誤植疑惑」に突っ込む!

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ジパング 最終話(その1)

2009-11-07 | ジパング
航跡422…ではなく、今回は“最終話”です。

最後のページまで読んで…
また「え~っ!?(これで終わり??)」と、無意識に声を出してしまった。

*************************

200×年、国防海軍の最新鋭イージス艦「みらい」は、ゆきなみ型3番艦として長崎・佐世保造船所にて進水した。
そして同時期に、角松が部下に調査させていた、自分の知る“みらい乗員240名”の出生と現状も全て終了したとの報告を受ける。
この件を、5年前に前任者から引き継いだというその部下は、角松に対し、生まれも育ちも違い、共通点のない240名が全て国防軍の軍人になり、しかも「みらい」の初代乗組員に選出された偶然を問うが、角松はただ、
「長い間…自分だけがなぜ生き残ったのか考えていた。その答えを今日、手にしたということだ」
と答えるだけだった。
それから数年後の国防軍横須賀基地では、ハワイ沖で実施される環太平洋条約機構軍の合同演習へ参加する艦艇の出港式が行なわれていた。
見送りの人々に紛れ佇む角松の前を通り過ぎる、梅津艦長、菊池、尾栗ら、みらい乗員240名…。
その日出港した艦艇は、一隻の脱落もなく、定刻にハワイ真珠湾へ入港した。

*************************

カラーページが、いきなり「みらい」の進水式だったのは驚きでした。
“うわ…また年月が飛んでる”と。

読み始める前、なぜか自分の中で、大和が沈没する際に語られた草加の言葉と、彼が欲した戦後世界とが、角松の口から最後必ず語られるだろう、と思い込んでいました。
戦後から現在までの、世の中の大きな流れに関しては、過去3回で語られてはいるけれど、角松が草加について触れない限りは「ジパング」という物語に決着が付けられないような気がしていたのです。

今回描かれた内容、
“みらい進水から始まって、角松を除く乗員240名全てがみらい初代乗組員に選ばれ、角松にとって60数年前のあの日のようにハワイへ出港していく様子を、今度は見送る立場で迎えられたこと、そして悲劇(タイムスリップ)は繰り返されなかったこと”
…に関しては、物語のテーマのひとつ「タイムスリップによって引き起こされた矛盾点の解決」を明確に読者に示した、という点で最終回にふさわしい内容だったのは確か。

でも!!
最後まで謎として残されていた肝心な部分がグレー(いや、ブラックか)のまま物語が終了したことに関しては、正直言って驚いたというよりも、拍子抜けしちゃったという感じなんですよ。
だから、最初に今号を読み進めて、最終ページまで来た時に
「えっ!…終わっちゃったよ…」と、一瞬呆然としてしまったのです。

角松にとっての戦後が、米国の、日本を始めとする諸外国への方向性構築に奔走することで精一杯だったのはわかる。
だけど、戦後編に入ってからの数話の中でも、草加に一切触れることがなかったのは、事の原因(草加)よりも、それによってもたらされた結果(みらい乗員の運命)に、角松が罪の意識(自分だけが生き残ったこと)を強く抱きながら生きてきたからなのかもしれない。
…そうでも考えないと、自分の中の疑問に終止符が打てない!(^^;)

正直コミックスに収容するにあたり、収容話数にもう少し余裕があれば、戦後編が数話長くなる可能性もあったと思うわけです。
こればかりは残念としか言いようがない。
私的には、一部分でもいいからもう少し戦後を詳細に描いて、最終回後に外伝を前後編で描いていただいたりなんかして、それを+1巻として出して欲しかったなぁ。
外伝…なんとかならないだろうか?マジで。


引き続き、「みらい」進水&出港までに関する感想と考察を次回にて。

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ジパング 航跡421

2009-10-31 | ジパング
いや、もう言葉もありませんわ…。

1ページ目で「へっ?」
3ページ目で「あ、あれ?」
8ページ目で「…ああ~」

そして20ページ目で「はぁぁぁぁ~~っ???」(正確には20P欄外で)

**************************

角松が日本へ旅立ってから、早12年。
アメリカへ渡ってからの角松がそうだったように、日本へ行った後の彼の消息・情報は、グールドの下へ全く伝わってこないままだったが、大戦の講和と戦後に果たした角松の功績の記憶を辿りながら、グールドは角松の伝記を書き綴っていた。
…26年前、ワシントンにもたらされた日本の原爆開発成功の情報。
講和派と継戦派とに割れる米首脳陣を尻目に、今後起こりうる歴史の一端を示すことで、知日派・実利主義者へと働きかけ、対日講和を実現させた角松は、必然的に情報の中心となって富を得、同時にその存在を大きなものとした…。
日本。1969年。
東京湾台場沖に停泊する一隻のクルーザーの中に角松はいた。
ニュース番組を見ながら角松が電話をする相手は、自由党総裁選に立つ滝栄一郎だった。

**************************

ほんとにね、

「何?!この急展開…いや、詰め込み感は?!」

っていうのが正直な印象でしたよ。

時間は飛んでるわ(あれから12年って…orz)、伝記という名の回想もやたらコンパクトにまとめられてるわで、さすがに今号の最終ページを見るまでは

「もっと重要で、時間をかけるべきエピソードがこの先あるから、こんな風に話を端折ってるんだな」

と信じて疑わなかった。
アメリカに渡ってからの14年間は、グールドの書く角松回顧録として語られるにしても、志半ばで消息を絶った菊池のあとを継ぐが如く日本へ向かった角松が、いったい何をしようとしているのか?っていうところから、再び本格的なジパング戦後編が始まるんじゃないか、と勝手に考えていた。

まぁ、“あれから12年”という歳月に関しても、いきなり14年後が描かれた免疫ができつつあったので、正直「またか」という気にはなったけど、今度は角松が面識ある人物と係わり合いながら、菊池のように日本政府と係わっていくストーリーを想像していたわけよ。

実際、政治家に転向した滝と、電話で話すシーンには

「おお~、滝が!有り得る~w」

と納得したし、アメリカの方でも国防総省や外交問題評議会のお偉方となったクラーク・カーネルの角松・草加語りで、角松のその後に話がつながる展開へ持っていくのかと思っていたのね。

が!!です。

最後のページの欄外にある、

「角松には最後の仕事が残っている。次号、最終話」

という一文に、気持ちが全部持っていかれてしまった(^^;)

次号予告によれば、表紙&巻頭カラー26ページと大幅にページ数を増やしての最終回になるらしいけど、はっきり言って、そんなページ数で本当にきれいに終了できるのかどうか?って話ですよ。

私の中で、解明されていない疑問点は結構残っているんですから。
菊池のことにしろ、草加の残した言葉にしろ…ね。

でも、まぁ百歩譲って、この世界で進行した歴史の中での出来事なら、まだ理解っていうか我慢できる。
けど、この「ジパング」は、タイムスリップしたことから始まったストーリーなのです。

元の世界とこの世界は繋がっていない、と結論付けられているとはいえ、最後の最後には何らかの接点が見えてくるんじゃないか、と思っていただけに、残りページ数26ページにはガッカリせざるを得ません。
タイムスリップのオチを綺麗につけてこそ、作品の評価につながるものなんじゃないの~?

は~~っ。。。

12年後の、1969年っていうのは、菊池や尾栗がこの世界に生を受けた場合、2~3歳になっていて、それを確認できる年代ということで設定されたのかな。
…いや、そんなことで事を丸く納められてもイヤなんだけど。

最後をどうやって上手にまとめるか、っていうのは作家さん全ての永遠のテーマなんでしょうけどね。
長く連載すればするほど、話が広がりすぎて、その分読者の想像も千差万別なものになってくるし。

解ってはいるんだけど。
思い入れがあるだけに、つい。

それから以前、かいじ先生が「戦後編を早く描きたい」とか何とか言ってたような気がするので、戦後に突入してこんなにいきなり終わるとは思っていなかったことも、私にとってダメージ大きい。

全ては来週だね。
最終回として、納得できるか否かについては。

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ジパング 航跡420

2009-10-28 | ジパング
正直、ますますジパングの着地点がわからなくなってきた…(^^;)
いや、この迷走っぷり(失礼!)も、私は充分楽しめてますが。

と言いつつ、1週間遅れの更新でホントに申し訳ありません。。。という感じです。反省。

**********************

角松にとって唯一の気がかりは、菊池のその後のこと。
如月は、戦後日本の復興に、菊池が深く関与していた事実を角松に語り始める。
講和を実現させた一連の施策は、菊池が考えた青写真を基にしたものである、ということを。
現実世界では起こりえなかった“第四次近衛内閣”で、海相として入閣した米内のブレーンとなって講和に係わり、民主化への改革案を巡って米内と議論を闘わせ、戦後日本のイメージを日本の中枢に植えつけたことを角松は知る。
その過程での軍部の抵抗については…海軍は滝が、陸軍は瓜生が抑え、そして大陸に関しては石原莞爾の存在がほのめかされた。
そして本題となる菊池の消息がついに如月の口から語られた。
4年前の5月、如月と吉村に見送られて飛び立ったまま、行方不明となった政府チャーター機に、菊池と桃井が搭乗していたことが。
出発前に菊池が語っていたという、みらい乗員の戦いへの総意を聞き、角松は日本へ行くことを決意する。

**********************

菊池、終了のお知らせ…。
ま、マジで…?

最初見た時は、菊池の存在がたった1週の回顧で消されるとは思ってもみなかったので、話の展開的には結構呆気に取られたというか、笑えるくらい面白かったのです。

が、菊池が飛び立つ前に、珍しく顔を揃えた如月と吉村に対して語った言葉の意味を考えてみよう、と何回か熟読しているうちに、不覚にも涙が止まらなくなってしまいました。

各地での大空襲や原爆投下、沖縄地上戦の悲劇を乗り越えた日本国民が、国の復興にかけた思いと努力の日々を菊池は知っている。
そして、それらが起こらなかったジパング世界では、人々が不満を募らせ、政府を批判しているという現状。
本来なら、数百万人という人々が命を失ったはずなのに。

…それでもいい。
彼らが今生きていることこそが、みらい乗員らの戦いの目的だったのだから。
生きてさえいてくれればそれで充分だと。

事実を知る人間はほとんどいないけれど、確かにあの太平洋で命をかけて戦った人間がいたことを菊池は知っている。
だから、未だに消息の知れないみらいとその乗員に代わって、そのことを今ここにいる菊池自身が、如月と吉村に話しておきたい…。

まるで自分の死期を悟ったかのような文言に、ここまでの菊池の苦労とみらいへの思いが偲ばれて、読んでいるうちにいたたまれなくなりまして。

多分角松も、同じ気持ちで聞いていたのではないかと思うのです。
これも正直、最初は
「なんで今さら日本へ行くとか言い出すんだ?行っても何もできないし」
って思いましたよ。(すでに頼みの米内は亡くなっている:1948年死去)

でも、角松自身が行ったアメリカでの終戦工作と平行して、菊池が日本を正しい方向に導こうとしていたなら、自分がそれを引き継がなければならない、と角松が思い込むのはわかる気がする。
知る者は、知らざる者を正しい方向に導く義務があるから。
全てのはじまりは角松からだった、ということでもあるし。

さて、4年前そんな風にして消息を絶った菊池と桃井なのですが、現時点では死亡扱いにされてはいても、正直なんとなく怪しい行方不明なんですよね。
“機体、乗員共に、今日まで発見されていない”そうなので。
墜落したなら、浮遊物や少なくとも油は浮いているはずだから…。

期待を込めて、ではあるけれど、最終回近くになったらひょっこり角松の前に姿を現す可能性も捨てきれない私なのでした。
少なくとも、その含みを持たせた書き方をしてると思う!
楽しみにしてますよ。

今号、菊池以外のとこでは、前から気になっていた軍部のことが若干はっきりしました。
限られた回想シーンの中で詳細に書くのは無理としても、すごく簡潔にまとめられてしまったな~という感想しか持てませんでしたが。
あれでは東条英機と陸軍が、全く関係ないもののようにも感じられてしまうし。

それから、ジパング世界と現世との違い、再び。
・「第四次近衛内閣」発足
 →現実には東条ー小磯国昭ー鈴木貫太郎の順で、近衛は1945年自殺
  NHKドラマ「白洲次郎」で、貴族出身で弱いとかなんとか言われてたけど…
・軍部(自衛軍として既出)だけでなく、大臣まで存続している
 →「海相として入閣した米内大将…」のセリフ有。

未だ触れられていない戦後で気になるのは、ソ連の存在なんだけど、終戦間際の混乱に乗じて占領された北方領土は、ジパングの世界ではどうなっているんだろう?
それから勝手なものいいだけど、来るべき未来に備えて半島の北の方を、今からなんとかしておきたい!

…っとまあ、今回はこんな感じです(^^;)

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ジパング 航跡419

2009-10-19 | ジパング
角松に会いに来たのが菊池ではなかったことで、正直ジパングという物語の、今後の方向性がわからなくなってきた…。

思ってたのと違う~!

**************************

日本からの訪問団が空港に到着した、という知らせを執事から受けた角松は、その随行員としてやってきた来客を迎えるまでの間、この14年間にあった出来事を思い返していた。
1944年10月2日、連合国軍との間に平和条約締結
1945年5月、ナチス・ドイツの降伏により第二次世界大戦終結
日本は旧軍の軍備縮小近代化を実施、国防軍へと改編し、新たに結成された環太平洋条約機構に参加することにより、自由主義陣営の一翼を担う存在となった…。
ここまでの、迅速かつ的を得た終戦工作の影にちらつく人物・菊池と、桃井の消息を聞くために、角松は如月を自宅へ招いたのだった。
角松はみらい乗員のことを調べていた。
そして如月には、角松の知る1つの事実を告げる。
“梅津三郎という人物が、あの梅津艦長と同じ生年月日で、同じ両親から生を受けている”ことを。

**************************

前回から、いきなり歴史がジェットコースター並に走り始めたので、まだその流れに乗ることができず、角松から語られる新たに出現した歴史について、ひとつひとつ自分の中に取り込んでいる状態の私がいます。

ジパング世界での歴史は、前回も書いたとおり、現実世界のものとは大分違ったものになっていました。
上記のあらすじ部分に書いた史実以外にも、

1944年4月(平和条約締結前) 宮中は東条内閣に不信表明
 →第四次近衛内閣組閣
 →三国同盟を破棄し、ドイツに宣戦布告、連合国に加わる
 (日本は日米開戦の発端となったハル・ノートをほぼ受け入れ、海外領土と占領地の放棄・返還を約束)

という道を辿っているようです。

終戦工作を行う上で、最大の難関と思われた陸軍の抵抗も「予想ほどではなかった」という言葉だけで、あっさり片付けられていたことに関しては、若干の違和感を覚えたなぁ。
あんなに強固だったものの終焉が、いかにもさらっと訪れたかのように表現されていたことにね。

個人的には、東条と角松、菊池あたりの攻防が見てみたかったし、期待していたんだけど…。

日本の国内情勢的に、結構重要だと思われるこのエピソードがあっさりスルーされていることからも、なんとなく角松が過去を振り返る=空白の14年をさかのぼって細かく埋めていく展開は、今後望めないような気がしてきました。

私がそう考えるもうひとつの理由は、角松が“みらい”乗員のことを調べており、中でも最年長だった梅津艦長の消息を掴んでいたことから。
歴史が進行していく方向に物語の意識が向いていて、過去云々の流れが現時点では全くないんですね。
このへんはちょっと…正直展開が見えづらい。

艦長のことに関して言えば、普通に考えて、枝分かれした世界で生を受ける人間がいることは、間違ってはいないことだし、当たり前とも思えるんだけど、あの角松と如月の表情を見る限り、ただごとでは済まされない様子なんだよね。

そんなところからも、今後はしばらく、進行していく歴史の中で時々、もといた世界の断片を拾っていくだけの展開が続くのかな、と思えてきたわけです。

とりあえずは、如月が知っているであろう菊池・桃井の消息が次回明らかになりそうなので、そこ次第ということになるのかなぁ。
…アメリカにいたりして。(ないか)

菊池と角松が対面しない限り、草加の遺言が明らかになることや、角松の終戦工作の全貌には踏み込めないような気がするので、ジパング的にまずはそこから紐解いていかなければなりません。
大和やみらいが沈んだこと、原爆使用を回避できたことは菊池も当然把握していると思われるけど、あの2人の間には過去にいろいろありすぎたからね。
こっちも期待と不安でいっぱいですわ。

最後に1つ、突っ込みどころを。
梅津艦長のメガネ、どこから湧いてきたんだろう?(^^;)
これを見た瞬間、
「えええ~~?うっそでしょっ!」
と、目を見張ってしまいました。

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ジパング 航跡418

2009-10-11 | ジパング
ちょっともう…展開がいきなりすぎて、ジパングに対する気持ちがいろいろと揺らいでます(^^;)

***************************

砲弾の直撃を受けて真っ二つに折れる“みらい”の、CIC内部に押し寄せる海水に飲み込まれる桐野・麻生たちの姿…
そんな悪夢に悩まされていたひとりの男がベッドで目覚める。
豪邸に住むその男は、外出のため執事に花を用意させる。
同じ頃、グールドは立ち寄った店のTVに映し出される、環太平洋条約機構締結10周年で招かれた、日本政府代表団のニュースを見る。
彼は、戦争終結前から巨万の富を動かし、その影響力を財界・ワシントン、そして軍にまで及ぼすことのできる謎の日系人デニー・マツオカという人物の伝記を執筆していたが、今日まさにその人物と会うため、墓地で待ち合わせをしていた。
墓標の刻まれていない墓石の前に、車椅子で現れたマツオカこそが、14年前にグールドと共に米本土へと渡った角松その人だった。
角松は帰りがけに言う「日本からの来客があるんだ」と。

***************************

B29でクエゼリンを後にしてから、いきなり14年後に話が飛びました。
沈み行くみらいが描かれていたので、もしや脱出できた乗員がいたのでは…!?と、淡い期待を抱いたのも束の間、はっと目覚めた男の顔を見て
「…誰??」

本来なら、ここで
「あ~、角松がB29で太平洋を越えながら、ゆっくり眠っている間に見た夢だったのか!」と言いたいところだったのだけど、お馴染みの、ギザギザの前髪がなければ、誰も一目で角松だとは気付かないと思うの。

しかも、目が覚めたページの左側の、5ページ目が全コマになっていて、そこにタイトルが入っているものだから、
「あれっ?今週のジパング、どこから始まってるの??」
って、変な風に混乱してしまった orz...

で、そこからまた数ページ、私たち読者が状況を理解するための手がかりが全くない状態で読み進めなければならなかったのが不安だったんですけど…
9ページ目に入って、TVが“対日講和から13年”と報道しているのを見て、ようやく年月が飛んでいることに気付くという、まさかの展開に本当にびっくりしてしまいました。

しかし、なぜここで一気に時間を超越させてしまったんだろう?

大和とみらい、草加と角松の諍いに時間と精力をかけすぎたため、それがひと段落したことで、話の視点を大きく変えたくなったのかな。

確かに、角松が米本土へ行ってからの細かい設定や行動を考えてたら、それだけでまた、掲載に何年もかかってしまうだろうし、一度話を大きく進めておいてから、過去を振り返りつつ埋める形の方がいいのかも…
今週号の急展開の理由に関しては、そう考えることにしました。

で、戦争に関してですが…

“14年前の今日、マリアナの海にみらいは消えた”と書かれていることから、ジパング世界での現在は、1957年12月13日ということになるのですが、戦争が「対日講和」という形で終結したのが13年前の1944年らしいので、ここでは現実世界よりも1年早く、しかも角松が米本土へ渡ってから1年以内に終戦へと持ち込めたことになります。

…すごい展開だ(^^;)

また、終戦が早まっただけでなく、歴史が以下の事項に関して変わっていることにも注目です。
・原爆は日本には落とされていない
 →最初に米の原爆実験が行われたのは1945年7月なので
・日本は「無条件降伏」していない
 →アメリカ側の放送での「対日講和」という言い方で
・1947年に「環太平洋条約機構」発足
 →現在まで、このような組織は実在していない
  ちなみに、日本が関係していない北大西洋条約機構(NATO)発足は1949年

日本政府代表団の訪米のニュースにあわせたかのように、これから日本からの来客を迎えると角松が言っていることから、その訪問客は、日本政府代表団に紛れている菊池という可能性が高いのかな。

今後はその来客と共に、1957年以前へと過去を遡るストーリーに突入するのだろうけど、この14年間が、草加が角松に託したとおりの“ジパング”になっているのかどうかの「答え合わせ」も兼ねているのかと思うと、興味深いっていうか、感慨深いものがありますね。

それから、この1957年という年代をあえてここで出してきた、その意味を知りたいと思っています。
ジパングという話の最終地点が1957年なのか。
それとも、1957年以降も続いていく話ではあるけれど、先に進むために一旦ここで過去を振り返る形を取るだけなのか。

…山ほど知りたいことがあるわ(^^;)
まずは次回を楽しみにしておきます。

それはそうとして、
角松が嫌いな人にとっての今週号は、結構ムカついた内容だったかもね。
角松寄りの私ですら、「こんないい生活ができてるのは、死んでいった二百数十人の犠牲あってこそなのに…orz...」って複雑な気持ちになったから。
そりゃ、角松のせいじゃないけどさ。
人間として、ちょっと複雑な気持ちにもなってしまうわけですよ、やっぱり。

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ジパング 航跡416・417

2009-10-05 | ジパング
すっかりご無沙汰してしまいました。。。

…ということで、今回は2週分の感想を。

*416*********************

サイパンでの日米の攻防が激しさを増す中、設営隊に転属していた岡村少佐の下に、帰還した偵察機からの報告が入る。
大和沈没予想海域近くに漂流する数多くの救命筏、そして沈没海域での巨大な海面隆起…。
米軍の、サイパン上陸の動きなしの報告と共に、偵察機からの報告事項に関して隊司令の意見を仰ぐ岡村だったが、司令からの
“大和轟沈に際しては、大野艦長以下全員救助済み”
“救命筏で漂流中などという報告は受けていない”
という言葉を聞き、それが意味する内容を理解する。
一方、米第五艦隊・旗艦インディアナポリスでは、サイパン・テニアン両島を目の前にしながら、作戦機の半数を消耗した旨の報告が、司令官スプルーアンスにもたらされていた。
そしてクエゼリン基地では…
「みらい」に係わったため軟禁されたグールドは、再びクラークに呼び出され、この場所に運ばれたのち内地に連行する“捕虜1名”に同行し、情報を引き出す手伝いをするよう申し渡される。

*417*********************

サイパンをめぐり、甚大な被害を受けた米第五艦隊の現状を受け、艦隊司令・スプルーアンスは撤退の決断を下す。
その報告はサイパン守備隊を通じ、横須賀鎮守府にももたらされた。
米軍による太平洋侵攻の停滞、マリアナを巡る日米の膠着状態が生まれたことにより、米内・菊池らはひとまず安堵、東京に戻ることとするが、桃井はただ一人、みらいからの定時連絡が途絶えたことに不安を覚える。
所変わってクエゼリンでは、グールドが捕虜・角松と面会。
翌日、角松はグールドと共に最新鋭重爆撃機B29で米合衆国本土まで向かう。

****************************

航跡416ではしょっぱなからサイパンをめぐる日米の戦い。
そんな中で、日本の偵察機が大和沈没海域に程近い上空で、一連の様子を見守っていたらしい…。
状況を書き起こしてみても、あれだけ米艦艇がごちゃごちゃうごめいている上空で、平穏に偵察行動が取れていたなんて、にわかには信じられないようなことなんだけどね。

とにかく偵察機は、大和から退避した救命筏60隻の他に、原爆の起爆(巨大な海面隆起が、と言っている)をも目撃しているわけで、偵察としては有り得ない程の成果を上げたことになる。
搭乗員は岡村少佐にそれを伝えた後、正式に隊司令へと報告したわけだけど…

報告を受けたはずの司令と岡村の会話に、若干のズレと温度差があることに対して、最初はその意味が良くわからなかったんですよ。
何回か読んで、ようやく把握することができた私は鈍いのかもしれないけど(^^;)

つまり、“歴史に残すべき大和の最期”は
「艦隊の先鋒として敵艦と交戦、被弾したのち轟沈」
「乗員は大野艦長以下全員が退去し、救助された」
という部分のみであり、帝国海軍と大和を汚した裏切り者(救命筏の300人)の存在と、それらの人間が行った行為(大和乗っ取り)は、歴史からも海軍からも排除されるに値するため、現在漂流中の救命筏に関する報告はなかったことにし、その存在自体を抹殺する、ということ。

はっきり言って、大野艦長たちが草加に脅されて大和を下艦したのって、何年前の話なんだよ?って感じだから、この大和下艦第一陣組の存在を忘れていたところから、私の中で混乱が生じたわけです。
(確かに、その第一陣が救助されている場面は、数ヶ月前と最近(?)の話ではあるんだけど)

岡村少佐が司令官から「他言無用だ」と口止めされているあたり、大和を乗っ取った大和脱出組(下艦第二陣)は、このまま放置される可能性が果てしなく高くなって参りました。

…そういうのって、感情として、わからなくはないけどね。
でも、歴史を振り返ってみても日本がバカだと思うのは、人間の命を無駄に軽視しすぎることだから。
300人いたら何かできるでしょ。
天皇陛下より預かった日本の象徴である戦艦を乗っ取るとは言語道断、死を以って償え!って、戦死者続出の現状が全然見えていないんだね。

それはそれとして、大和脱出組が日本の艦隊に救助されるついでに、柳たちも救出される可能性を少しだけ考えていたのに、ここでそれを絶たれてしまったのが私的には痛かった。
ジパングって、角松以外には厳しい漫画ですね。

ところで43年12月の、サイパンをめぐる戦いに関してはざっと確認してみても詳しく載っていない感じですね。
(多分詳しく調べれば出てくるのだろうけど)
実際にサイパンが陥落するのは44年7月なので、6月頃からのマリアナ沖海戦までの半年間はなんとか平和な日々が送れるのかな。

と言っても、ジパング世界では現世と微妙に史実が違っていたりするので侮れないのですが。
前から気になっていたクエゼリンも、本来アメリカに占領されたのは44年1月末~の戦いによってみたいだし。
ちなみにスプルーアンスが指揮する米第五艦隊っていう名称は、44年4月末からのもので、それまでは中部太平洋軍と呼ばれていたらしいです。
(このあたりになると、史実のズレはさすがに関係なさそうだけど;)

 ※ジパングでの現在は、明けて1943年12月14日です。

クエゼリンに運ばれた角松と、従軍カメラマン・グールドとの2度目の対面は、特にグールドにとって良い結果をもたらしたみたい。
角松によって自分が2度も救われた、と思い込んでくれたことが、今後の角松にとってプラスに作用すればいいけど。

しかし、日本人がこの時点では知りえない、最新鋭爆撃機B29の性能をペラペラと口にするあたり、さりげなく自分が、軽く扱うべきでない重要人物であることを演出しているようで苦笑してしまったよ。

これから合衆国本土へ向かうということで、話もひと段落しそうだけど、今回気になったのは横須賀での桃井だね。
コミックスを読み返す気力も今はないのでアレだけど、米艦隊のサイパン撤退の報を受け、あっさり「東京へ戻ろう」という流れになっていたけど、そもそも米内御一行は何を目的として横須賀まで来たんだっけ?

みらいからの定時連絡が途絶えたことは、菊池も気がかりなはず、と考える桃井に対し、現実にはそんな素振りを一切見せずに東京へ帰ろうとする菊池。
(定時連絡って内地組に入っていたっけ…??と、確認もせずにあえて疑問に思ってみる)

このあたりが、広く終戦工作という観点で行動する男性と、まず自分が存在した狭いコミュニティーの無事を心配してしまう女性の違いなんだろうな。
桃井はなんとなく、このまま横須賀に留まるんでしょうね。
いつ来るかわからない角松からの連絡を待つために。

思ったよりも内地組の成果が見えないので、この先、日本の歴史は角松によって左右されることが確実となりました。

う~ん…それってなんか当たり前すぎる。

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ジパング 航跡415

2009-09-22 | ジパング
角松…諦めるのが早すぎるんじゃない??
今まで散々粘って、諦めず自分の意志を貫きとおした人間の決断したこととは到底思えないんだけど。

***********************

黙秘を続ける角松にカーネルは、これから身柄をハワイに移送することを伝えると同時に、再度大和に積まれた原爆に関して問いただす。
救命筏で今尚漂流を続ける部下たちを救えない現実を詫びながら、“みらい副長”としての自分を捨てる覚悟をきめた角松は、カーネルに対し「取引をしたい」と告げる。
要求を呑んだカーネルは、角松から原爆が解体されていない事実を知らされ、起爆までの5分で、米艦隊を大和沈没地点から離れさせるようミッチャーに進言。
そして原爆は、角松の予言どおり海底で爆発した。

***********************

草加が角松に言った、自分亡き後の提言(?)もそうだったけど、今回も肝心な部分を伏せてきましたね~。

カーネルの、
「ワシントンにいくつかのチャンネルを持っている。やってみよう」
というセリフと、今号の最後に自ら「ワシントンへ行く」と言っていることから、角松の要求が、アメリカ政府に終戦の働きかけを直接行うための準備を打診したのだと思ったのですが…

それはいいとしても…

原爆の情報(今なお時限装置が生きており、起爆の可能性があること)を、部下の救出でなく、自らの要求を米国側に通すための取引に使うなんて!と正直最初は思ってしまいました。
黙秘と言っても、時間にしてたったの15分足らず。
(先週の時点で残り20分弱。あと5分で起爆という情報がアメリカ側に行ったことから)

その時間を使い、部下救出の方向へと足掻くことはできなかったのか?って、ちょっと角松にムカついたりしたのです。
それとも、15分じゃ5人を救出できないと判断したのか?

確かに爆破前の救出は、残り時間的にも難しいかもしれなかったけど、角松自ら
“マリアナ海域の深度では、起爆しても洋上で被害はない”
と言っているわけですから、起爆後の救出保障を取り付けても良かったはず。

ストーリー展開上仕方がないことなんだと思ってみても、本当に部下を見捨てた感じになってしまっているのがなぁ…。
柳の知識って、大和が沈んだらもう不必要ってことになるけど、それでいいのか?
このままあの5人は行方知れずになって…orz...

でも…原爆の衝撃波による水位の隆起が、救命筏の5人にどの程度影響を及ぼすのかは、今号では全く明らかになっていないんだよね。
あの画を見た限り、救命筏は津波に煽られて転覆したと考えるのが自然なんだろうけど、距離的に結構遠くまで離れており、衝撃波の影響は受けなかった可能性も、無きにしも非ず。

角松の言葉から、放射能が洋上に撒き散らかる可能性はほぼないようだし(※)、救命筏の行方を曖昧にしておくことで、現時点ではその存在自体を保留、今後の展開によって自由にできるアイテムとして取っておいているような気がしないでもない感じ。

柳・杉本たちも、角松の生存を知らずに、大和と共に沈んでいると思っていても不思議ではない状況だし、このあたりに関しては後腐れなくうまい具合にストーリーが進行していくことを祈るのみです。

次回は、一旦場面を変えてみたりするのかな?
ジパング的に、ぼちぼち気分転換を計りたい展開なんですが…。


※実際の水中核実験では、マリアナ海域より遥かに浅い深度600mで核出力30ktの実験が行われたが、海上に発生した放射能はごく軽微だったとのこと。(wiki、ウィグワム作戦の項目参照)

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ジパング 航跡414

2009-09-13 | ジパング
今回のポイントは、ズバリ「原爆の時限装置が生きている」こと。
これが次号(以降)への布石になると見た。

*************************

駆逐艦に救助された角松は、カーネルと対面する。
そのカーネルに官姓名を尋ねられた角松は、“海上自衛隊2佐、みらい副長、角松洋介”と名乗るが、草加だと思い込んでいたカーネルは、その場にいた衛生兵らを全員退出させる。
「何から聞かせてもらおうか」と言うカーネルに、角松は救命筏で漂流中の部下5名の救助を条件とするが、不条理な存在であるみらいの乗員で合衆国に許容される人数は1名のみ、と切り捨てられる。
同じ頃、グールドを目の前にしたクラーク少佐は、みらいを撮影した写真及びそのネガの提出を要求していた。
それが存在していた証拠を、半永久的に封じるために。

*************************

今回の内容に関しては、前回、大和とみらいの沈没に関する報告を受けたルーズベルト大統領から下された指示(命令)に基づいて具体化された、カーネルとクラークの行動を示したものでした。

<ホワイトハウス>大統領 「沈没した新型戦艦と巡洋艦の乗組員を救助、そして…」 
         ↓
       <クエゼリン>
         ↓ 
       クラーク少佐→グールド 「謎の巡洋艦の写真ネガを封印」
         ↓
       カーネル少佐→角松 「必要最小限の1名のみの救助」

みらいに関しては、結構具体的な指示になっているあたりがちょっとした疑問点でした。
大和じゃなくてみらい限定?みたいに感じられる点もそうだけど、どちらかといえば、現物を間近で見ることなく沈んだ“ヤバそうな巡洋艦”にすぎないフネに対する、警戒心の半端なさに関する違和感、て言うのかな。

カーネルが救命筏に乗る5人の救出を拒否した理由として、「存在の不条理」を持ち出していたけど、臭いものにはとりあえず蓋…レベルの理由にしか見えない。
大統領直々の大まかな命令を噛み砕いて解釈した結果があれとしても、あの知りたがりのカーネルなら、個人的にでも徹底的に自分の欲を満たしたいだろうに。

濁しておけばいいものを、角松がわざわざ部下って言っちゃったのは大問題だけど、大和で別行動していたかもしれないその部下は、角松とは違う秘密を握っているかもしれないわけだし、とりあえず助けておけばいいんじゃないの?って単純に考えてしまうけど、どうなんでしょ。

予告ページにも書いてあったように、次回角松はこの件に関して決断を下すようだけど、とうていあの5人を見捨てるとは思えないな。
あの時、草加の手を離してしまった角松が、同じ徹を踏むはずがない。
カーネルはジュネーブ条約(大まかに言えば、捕虜を人道的に扱う、ということ)を持ちだしてきているけど、だったらそれを逆手にとって、条件を飲むまでは沈黙を貫くはず。

…っていうか、そう信じたい。

ここでカーネルに脅しをかけてもいいかも。
巻頭カラーページにもあった、原爆の時限装置が作動していることをネタにして、こちら側の要求を飲ますのはどうだろう?
角松が口を閉ざすことで、何も得られないまま艦隊に合流するほど愚かなカーネルではないと思うから。

それにしても、原爆の起爆までは残り20分足らずですよ。
この40分に実質何ヶ月費やしたのか…って考えると、感慨深いですね(^^;)

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ジパング 航跡413

2009-08-29 | ジパング
先月、友人Aさんに
「ジパングって、今現在が何年何月なのかもわからなくなってる」
と愚痴ったら、
「確か1943年の12月だと思うよ」
と教えてくれた。

今号、本誌欄外で久し振りに年月日に触れられていて、結構そのあたりのことが、送られてくる感想の中に書かれていたりするのかな~と思って、苦笑しました。
(ちなみに1943年12月13日とのこと)

***********************

敵艦の砲弾の直撃を受け、轟沈したみらい。
その海域から立ち上がる残煙を見て、悲嘆に暮れる角松と大和移乗部隊の5人だったが、角松は水平線に現れたカーネル乗艦の駆逐艦を発見し、片桐に預かったカメラのフラッシュを使い、救難信号を送る。
「ヤマトの生存者…」
その人物がクサカであると思い込んだカーネルは、駆逐艦を角松の救命筏に接近させる。
同じ頃、ホワイトハウスには、作戦目標であった原爆を積んだままの超大型戦艦と巡洋艦の沈没の報告が成されていた。

***********************

角松にとって、水平線の彼方から立ち上る煙は、そのままみらいの沈没を意味するものだったため、あのような嘆きの叫びが発せられたわけなのですが…

そこで1つの疑問。
「煙=轟沈の判断は当然のこと?」

読者は戦艦の主砲弾(40.6cm)が直撃したと知っているけれど、たとえばそれが駆逐艦の主砲弾(127mm)だった場合、なんとか火災止まりで収まる、ということは考えられなかったのかな、とか思ってしまったので。
(究極の状況に置かれた場合、人は単なる火災の煙を「沈んだ」と勘違いすることもあるんじゃないか、と)

もちろん127mmでも、当たりどころが悪ければ、ぺらぺらな外装の護衛艦なんて、あっという間…なんでしょうけど、過去のJ Shipsを読んだところ、戦艦と護衛艦が20Km範囲内で戦った場合は、主砲弾と対艦ミサイルの“当たりどころ”の勝負になる、と書いてあったので。
言い方を変えれば、“当たりどころさえ良ければ、護衛艦も沈没は免れることができる”らしいのです!
あんな距離の離れた場所から見て、直撃弾→煙→沈没、と決め付けるのは早急すぎない?

ちなみに、護衛艦に対しては徹甲弾よりも榴弾(瞬発信管)の方が効果があるかもしれない、と書かれていました。

以上、「煙が立ち上ったから沈没、と決め付けるのはどうなのよ?」のコーナーでした(^^;)?
※実際のストーリー上では沈没しているので、もちろんそこにイチャモンをつける気はありません!

さて、本題です。

航行するカーネルの駆逐艦を発見した角松がとった行動は、片桐から預かったコンパクトカメラのフラッシュを使って、救難信号を送るというものでした。
(あ、そういう使い方をするためのものだったんだ~!と、ちょっと感心!)
そして、駆逐艦が近付いてくるのを確認した後、カメラを海に投げ捨てたのを見て、私を含む多くの読者は「もしかして…?」って思ったのでは?

角松の救命筏に近づく駆逐艦のカーネルが、大和の生存者を草加だと思い込んでいるシーンの直後だったから尚更、21世紀の文明の機器をあっさり捨てたことによって、
“まさか角松、草加に成りすます気じゃないでしょうね??”
と疑ってしまったのですよ。

…ん~、まぁ実際のところ、そうするには無理がありすぎるのだけど。
作業服の右腕上腕部には「mirai」と艦名パッチが付いているし、他人に成りすましたところであのカーネルが騙されるとは到底思えない。
角松自身も、そんな器用なことができればもっと楽な人生が送れたと思うからね。

次に救助されるであろう杉本・柳らのこともあるし、角松の性格上、真正面からカーネルに対峙するのは間違いないと思うけど。
(柳が角松の補佐役=史実担当として動く都合があるので、こっちの筏がスルーされることはないと信じたい)

生存者救助に関しては、正直、拿捕を目標としていた二艦の、沈没の報を受けたルーズベルトの口からあのセリフが出るとは思わなかった。
(「…生存者の、有無は?」だってさ)

前回、大統領の命令を成し遂げられなかったミッチャーは、どの面下げて言い訳するつもりなんだろう?なんて書いたけど、結構あっさり報告入れたな~と思っていたら、それ以上に大統領の反応があっさり、というより冷静だったという…;
いやいや驚きました。

モノが無くなっても、それに係わる人間さえ残っていればOKなんだね。
アメリカ大統領たる人物が、その敵国の人間から何を得るつもりなのかが更に気になるところだけど。

とにかく角松は早急に救助してもらい、骨折した足をなんとかしてもらえるようにすることですな。
ホント、あのケガであんな風に正気でいられるのはおかしいって!

次週は作者取材のため休載だそうです。
あらま。

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ジパング 航跡412

2009-08-24 | ジパング

浮世離れした、地平線の彼方までのひまわり畑。
…思わず「さよなら」っていう気持ちになりました。
8月とはいえ、すでに秋の気配がただよっている今だから尚更。

**************************

米艦隊への、武装解除の意志を示す電信が功を奏し、みらいへの砲撃が止んだと思われたその時、大口径の砲弾がみらいを直撃、後部甲板を貫いた。
桐野から総員退去の命が下される中、砲弾が艦底を抜けたことに、一瞬不発か?と思われたその時、艦艇下でそれが炸裂し、みらいは瞬く間に轟沈した。
たかが砲弾一発で沈んだ謎の巡洋艦の脆さに、驚きを隠せないミッチャーとカーネル。
そして、みらい沈没の一部始終を目撃してしまった角松と、救命筏で救助を待っていた大和移乗部隊の5人の行く末は…?

**************************

今号は、26ページがあっという間でした…。
みらいの沈没に要した時間と同じ位、あっという間でしたわ。
(その割りにブログ書くのは発売日の5日後、という…^^;)

カラーページで、みらいに向かって落ちてくる砲弾を視界に入れたみらいクルーと、海上でそれを目撃する救命筏の隊員たちの表情が次々に映し出されている様は、この一瞬が何十秒にも感じられるような効果がありすぎて、本当に息を呑んでしまった。
こんなにピンポイントに、航行している艦艇に当たるなんてね。
「砲撃が止んだ…」と、油断していたのだろうか?

で、

前回を読んだ限り、ミッチャーはみらいを沈める気満々だったように感じたのだけど、砲弾が当たったら当たったで、なんであんなに焦っている、っていうか驚いているんだろう?って、正直不思議に思ってしまいました。
(あの「ガッ… デム!!」ってどういう意味?「デム」がわかんないよ)

…まさか、たった1発であんなにあっさり真っ二つになるとは思わなかったのかもしれないけど、正直、そこ驚くとこですか?って感じたので。
単に「脆い船だったぜ!」で終わるとこじゃないのかな。

反対に、みらいに接近したがっていたカーネルの驚きと悔しさが入り混じったような表情には共感できましたが。

ちょっと確認したいことがあって、久し振りにコミックスを何巻か分、見返したんだけど、大統領からは大和とみらいの両方共拿捕しろ!って命令が出ていたわけですよね?
ほんと、みらいを沈められてムカついているから言うわけじゃないけど、貴様ら何やっとるんだ?って感じ。
ホワイトハウスに どう言い訳するつもりなんだろう?

…って思ったところで、原爆そのものは無理だけど、原爆並みにインパクトがある人間が、まだ海の上にプカプカ浮いとるやん、て思い直しました。

ところで、話はみらいに戻りますが…

あれだけ短時間に真っ二つになると、中にいる人間はやはり、もれなく船と命運を共にする以外なくなってしまうのだろうか?
当然ストーリー的にはそうなのだ、っていうことはわかるんだけど。

たとえば、艦橋にいた人間は、艦首部分が海面上直角になったとしても、艦橋内がかなり狭いことが幸いして、ウイングから海上に飛び込むことができたんじゃないか?なんて思ってしまったものだから。
カポックを付けているし、2~3人位は…ってね。
もちろん、沈没までの時間が短ければ、現場から遠ざかることもできずに、沈没時の渦に巻き込まれて終わり、なんだろうけど。

あんなにあっさり桐野や麻生が死ぬなんて、っていう思いから、ちょっとだけそんなことを考えてみました。
まぁ、草加も最後はびっくりするほど呆気なかったので、これで妥当なのだとは思いますが。

それから最後に。

カラーページの、タイトルがあるページにあった、 “電子機器を覆う皮膜に、1.2トンの実体が迫る”という解説文 の、「1.2トン」が気になったので、ちょっと確認してみました。

飛んできた砲弾の重さ、ということはわかっているんですけど、米艦隊の、どの艦艇から飛んできたものなんだろうか?と思いまして。
(前回からの話の流れで、ミッチャーの命令で撃ち込まれた砲弾だと思っていたのに、欄外のあらすじに思いっきり“残弾”って書かれていたのが、正直「?」だった。確かに本物の残弾であるならば、ミッチャーのあの表情も理解できるところではあるけど…正直いろいろと腑に落ちない)

先日聞いてきた、護衛艦の127mm砲弾は38kgという話だったので、1,200kgっつーのは、ピンと来なかったんですよ。
太平洋戦争時の、アメリカの駆逐艦と巡洋艦が搭載しているのは、どちらも同じ127mmと、重巡の203mmで、重さは不明…。

ちなみに戦艦だと、16インチ(40.6cm)になるのですが、これでちょっと調べてみたところ、以下のような内容が出てきました。


戦艦の大砲の砲弾は、
1)鉄甲弾
2)榴弾
というように分かれます。

発射する砲弾は、敵の甲鉄を射抜く『徹甲弾』と呼ばれる特殊な砲弾で、弾体の大半が硬い特殊鋼でできており、火薬の分量は少ない。
つまり敵の厚い甲鉄を貫く強度を持った鉄の塊の中に少しの火薬が入っている状態。
徹甲弾の信管は一般の触発式(命中と同時に爆発する)ではなく、命中後しばらくたって砲弾が艦体の奥へ飛び込んでから爆発する遅発信管を装備する
砲弾重量は30.5cm砲で400kg程度、40.6cm砲で1t前後、大和級の46cm砲で1.5t程度ある。
この砲弾を1門辺り毎分2発、速度800m/秒程度で発射し、2万~4万m先の敵艦を攻撃した。
(Yahoo!知恵袋より)

この説明文を見つけて、もう1つの謎だった“砲弾が艦底を抜けて、しばらくしてから爆発した”ことに関しても、一気に解決してしまいました。
…なんとな~く、日本海軍の戦艦が装備する砲弾に関しての説明臭が、この文章から漂ってくることは大目に見て欲しいのですが;

「みらい」のないジパングなんて…!と、ずっと思っていたのに、とうとうこの日が来てしまいました。
今後は、人対人での終戦工作が始まる、ジパングの後半戦に突入という感じで話が進んで行くんでしょうね。


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ジパング 航跡411

2009-08-08 | ジパング
乗員への興味と、その乗員が乗る艦艇への恐れ?

ほんとクラークが余計なことを言ったばかりに…。

***************************

みらいに対する米艦隊からの砲撃精度が上がってくる。
届いたはずの通信への、米軍からの反応に、気が気ではないみらい乗員。
その頃ミッチャーには、カーネルからの連絡後、クエゼリンのクラーク少佐から通信が入る。
「巨大戦艦を一撃で沈めたあの艦を拿捕した場合、見ない方が良かったものが出てくる可能性がある。我々を“楽園”から追放しかねない“禁断の果実”が」
と。
その言葉の意味を理解したかのようなミッチャー。
米艦隊からの砲煙がなくなり、砲撃が止んだと思われたその瞬間、みらいウイングの監視員は一発の砲弾が飛来してくるのを確認する…。

***************************

そうそう…
忘れてはいませんでしたよ。
以前クラークやグールドが、みらいの存在は米国に大きなダメージをもたらす、みたいな事を言っていたこと。

でも、冒頭でも書いたような、先週の“みらい乗員への興味”発言で、とりあえず休戦・拿捕の流れになるのだと、信じて疑わなかったわけです。
まさかクエゼリンから洋上のミッチャーに、わざわざ意見してくるとは思わなかった。

しかもミッチャーが、あの程度の会話でクラークの真意を汲み、即同意するかのような態度を取っているところが納得いかん。
“見当もつかないものが出てきた”場合、それはその時考えればいいことでしょ。
見なかったことにすればよい。
何に対してそんなに怯えているのかが、ちょっと私には良くわからないし、そもそも説得力がなさすぎだと思ってしまった。

みらいが特別な艦艇で、日本軍のものではない、という予測がついているなら、尚更のこと。
あまりに高度なシステムを持っているがゆえに、その事実が米軍の、とにかく日本を叩き潰してこの戦争に勝利するという目的に、揺らぎが生じてしまうことを恐れているの??
まさかそんなちっちゃい国じゃないでしょ、アメリカは。

その場の怒りにまかせて、
「よくも原爆積んだ戦艦を沈ませやがったな、コノヤロー!仕返しにテメーを沈めてやるっ!」
みたいな感情で攻撃してくれた方が、私にはよっぽど理解しやすい。

「米国が開発中の原爆は欲しいけど、未知の兵器は怖いから見たくない!」
って、本当に戦争に携わるプロのセリフなのかな?って思うんですよね。
それに、大統領からも、みらいを拿捕しろ、というお達しが出てなかったっけ?

…クラークとミッチャーの会話の流れには、どうしても納得できないけど、ストーリー的には、みらいが沈まないと歴史が先に進めないんだ、って考えるしかありません。
妥協して、ですが。

本当はみらいを米軍関係者に見てもらう絵ズラにわくわくしたかったんですけどね。
元々米国のシステムだし、原爆よりこっちの方が全然問題ないものだから。

最終ページを見た限りでは、次回は、大半の読者の想像どおりの展開になっていくのだろうけど、みらい乗組員はどのくらい助かるんだろう。
みらいを沈めて、その恐怖から開放されたなら、ちゃんとその乗員を拾って、そっちに対する興味だけは継続してくれるよう、クラークにはミッチャーへの進言を最後まで徹底してもらいたいものです。

今週は合併号につき、次回は8月20日発売。
表紙&巻頭カラーで26Pです。
草加死亡で来なかったカラーページを、このためにとっておいたとは…orz...

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ジパング 航跡410

2009-08-01 | ジパング
各方面へ波紋を広げる、みらいの米艦隊への通信内容。
(写真は、草加がカーネルに大和接舷を指示した際の、艦艇の位置を表した図です。参考資料として…)

*********************

自分たちを乗せた救命筏の後方より飛来する砲弾が、前方の海域へ着弾する様子を見た杉本らは、みらいが自分たちを救出するために、米艦隊の射程圏内へ入ってきたと考え、焦る。
そのみらいは、激しい攻撃に耐えてはいたものの、中にいる乗員へのダメージが大きく、桐野は麻生の言う“あらゆる選択肢”の中から、米艦隊への通信を試みる。
曰く、米艦隊が拿捕を試みた大和は沈没したこと、みらいは米艦隊との交戦の必要がなくなったため、全乗員の安全と生命の保証が為されれば、戦闘放棄と武装解除に応じ、拘束をも容認する、と。
その通信を傍受した、帝国海軍・救助派遣艦隊に救出された大野艦長、クエゼリン基地のクラーク・グールド、そしてミッチャー。
みらいの要求を呑むよう進言するカーメルに対し、ミッチャーが下す決断とは…?

*********************

正直なところ、みらいの投降に関しては、全く以って想定の範囲にきっちり入っている出来事だったので何とも思わなかったのですが、

①大和から退避した救命筏グループの位置関係
②麻生に指摘される以前に、桐野がやろうとしていたこと

…に関しては、相変わらず謎だらけな今週号でした。

これまでも、“原爆奪取を目論む米駆逐艦の、大和移乗阻止!”を目的として、攻撃を行っていたはずだったのに、大和が沈んだあとも、駆逐艦の後方から砲撃を仕掛けてくる米艦隊に、回避運動を行いながらも向かっていくみらいの現時点での目的とは何なのだろう?と、いう疑問はあった。

が、今週号で、柳たちの救命筏が向かう先(みらい方面)に落ちた砲弾に対し、「我々のことは気にせず、射程圏外へ離脱を!」と杉本が叫んでいることによって、ストーリー的にみらいは、

 大和沈没→(任務完了・次の任務へ)→杉本・柳ら救出

という方向へ向かっている設定であることがわかりました。
(漫画の中で登場人物は、狙ったものでない限り、単なる思い込みや勘違いなだけの、無意味な発言はしないので、作者の意図によってセリフを吐いている)

が…ですよ。

これまで、そんなみらいの行動を示唆するような描写が全くなかった上、救命筏の位置を把握しているはずのみらいが、その筏を挟んで対象に位置にいると思われる米艦隊に向かっていってるのは、あまりに不自然だと思うのです。
(救命筏の直上を、キレイに砲弾が飛んで行ったからなぁ…;)

本当に救助するつもりなら、こんな危険な位置関係でいるはずがない!
みらいが進めば進むほど、筏が危険にさらされるし、だいたい救助なんかできる確立は皆無でしょうよ。

しかも救命筏に関しては、みらい側の1隻だけでなく、今回は大和側の大量な救命筏が、帝国海軍の救助派遣艦隊に救助されている様子まで描写されているんですけど、これも結構な突っ込みどころが満載ですよ。

同じ時間帯に出発した杉本たちとは、かけ離れたところまで逃げているのは、さすが軍人さん!と思うけど、米艦隊とみらいの交戦の気配すらない海域で、救助されていることに、まず違和感。
(しかも唐突すぎる)

それに、いくらなんでも手漕ぎのボートで…大和沈没地点から60キロまで到達するのはかなり大変だと思いますよ。
仮に大和が速度15ktで1時間進行後、沈没したにしても、同じ位の速度で大和から逆方向に逃げなければならないと思うんだけど、それって可能なのかなぁ。
(筏が丸い形であることと、オールが2本しかない状態で)

だいたい大和下艦から1時間経っていたら、すでに原爆が海底で起爆してる頃だわ。
↑…って、実はこれに関しても、前々から気になっていたことの1つでね。
マリアナの深い海底に沈んだら、水圧で起爆装置が壊れるから、結局原爆はそのまま幻で終わるの?
それとも最終的には起爆するの??

是非、この原爆の謎に関しても、いつの日かストーリー内で言及して欲しいものです。

で、桐野からの投降準備の通信を傍受した、関係各位の反応ですが…

・帝国海軍、大野艦長→大和沈没に、只々ショック
・クラーク、グールド→日本軍とは規範を異にしているみらい乗員に興味深々
・ミッチャー→みらいの、戦闘艦にあるまじき覚悟に驚きを隠せない
・カーネル→ミッチャーに即、みらいの要求を呑むよう連絡を入れる

米軍関係の興味はすでに、原爆からみらいへ移っているようです(^^;)
一気に話が進む兆し…。

イージスシステムは元々アメリカのものだし、それらを含めた未来の情報は、早期講和への何らかのアイテムになるかもしれない。
けど、ここに来るまでに失った命が戻ることはないし、結局何のための戦いだったのだろう?という無力感で、みらい乗員も読者も心のリハビリが必要になってくると思う。

…大和の原爆をめぐる戦いでは、本当に人が死にすぎたよ。

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ジパング 航跡409

2009-07-25 | ジパング
久々の菊池登場…!

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大磯の吉田邸を退出した滝と瓜生は海軍省へ。
一方菊池らは、米内が部屋から現れるのを待っていた。
サイパンでは…米軍による空襲を目の前にしても、倉田は、未だ制空権を握れない米軍は上陸戦を行うことができず、戦況は草加の思い描いたとおりに進んでいる、と見ていた。
そしてみらいは、米軍による砲撃の雨を、着弾点を追いながら航行することで避けつつ、前進を続けていた。

***********************

先週末、友人のWさんと長崎で、“菊池と滝の今”の話をしたばかりだったので、今週号を見てすぐに、
「菊池キターーー!」
と思いました。

が、菊池たちも滝と同じく吉田邸へ向かったと思っていたのに、そうではなかったのですねぇ。
っていうか、あそこの場所って、どこ??
横須賀?
米内さんがなかなか登場しない状況に焦る菊池は、病気持ちである米内さんの体調を心配しているのだろうか?

滝も、吉田茂と何を話したんだろう?

前回の内地の描写から、どの位月日が経ったのかも覚えてないので(←我々の世界で、です^^;)今回少しだけジパングの世界で時間が経過しているのがわかったのはいいけれど、自分的にますます話が混沌としてきた感じ。
今回飛ばされた部分、ていうか内容は、後々はっきりしたエピソードとして出てくるとは思うのだけど。

石原莞爾まで登場させて、滝同様、ふっと窓の外や海の方向を気にする様子を出すのは、虫の知らせを受けたことを表現すると共に、その事実(草加死亡)によって、今後進行していくはずだった歴史に、若干の変化が起きる兆しを表現したんだろうな。

草加退場によって、今後は徐々に内地が描かれることも多くなりそうだ、と思わせる内容でした。

で、最後にマリアナのみらい。
次週はまた、米軍vsみらいの描写に戻るため、あえてこの位置(最後の3P)に置いた感じですね。
砲弾が同じ位置に着弾する可能性はほとんどないので、着弾点を追いながら操艦するのが被弾しないための正しい航行なのだとか。

カーネルからの、攻撃中止命令が届かない現状で、米艦隊がどの位攻撃を続けるのか知らないけど、みらいは大和が沈んだ今、何に向かって前進しているんだろう?って疑問に思っていました。

そしたら…次週予告のページに、
「米軍の攻撃…杉本たちの救出は成功するのか?」
って書いてあるじゃないですか!

ええっ?!
…そしたら、米艦隊とみらいの間に救命筏が浮いているように思えてしまうんだけど。
実際の位置関係って、いったいどうなってるの?
海戦ゲームみたいに、位置を確認する小窓が欲しい状況ですよ、読者は。

あんな小さな救命筏のひとつひとつを、レーダーに捉えることができるはずのみらいが、角松を救出するつもりがない(?)のが予告ページによって明らかになったので、ますます角松はカーネルの駆逐艦で救出される公算が高くなりました。

そこで、いよいよ草加の遺言を実行に移す角松が見られるのかな…。
まずは来週ですね。
どの位話が進むかわからないけど。

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