ものぐさ日記

ひとり遊びが好きな中年童女の日常

佐藤家の人びと-「血脈」と私-

2008年05月13日 | 
 「佐藤家の人びと」…「血脈」を書いた佐藤愛子が語る、一族の肖像。


 「血脈」は、佐藤愛子の父・佐藤紅緑と、兄・サトウハチローをはじめ、一筋縄ではいかない、変人揃いの佐藤家を描いた大作。図書館の読書室で読み始めたら、止まらなくて、2時間以上読んだ上に、上巻を読み終わるまで、通いました。すぐに借りなかったのは、上・中・下巻が、それぞれ厚くて重かったから。結局、しばらくして、借りて、一気に読みましたが、買ったのは文庫版が出てから。文庫でも厚い。

 すごい家族ばかりだなぁ…と、読んでいるうちに恐ろしくなったほど。私のようなフツーの人間が、ああいう家族と、うっかり関わったら、ひどい目にあっていたことでしょう。


 でも、昔は、強烈な人がたくさんいたのか、うちの父方の家族の話を聞いても、かなりヘンな家です。

 父の父(祖父)は、東京で出て、人もうらやむ近衛兵(天皇直属の軍人)になったのに、長兄が亡くなったせいで、家を継ぐために田舎に帰り、未亡人となった兄嫁と結婚させられました。近衛兵は、ルックスも採用条件だったので、プライドを持って働いていた祖父は、かなり自暴自棄になったそうです。しかも、長兄と兄嫁の間には、すでに一男がいたので、私の父は、祖父にとっては長男ですが、家としては次男、という複雑な立場だったようです。

 祖父の兄嫁であり、妻となった祖母の家は、田舎では格式の高い家で、資産家だったそうですが、跡継ぎの祖母の兄は、中学時代から、芸者遊びなどをおぼえ、とうとう家を潰しちゃったとか。

 父も私から見ると、かなり変わった人でしたが、母曰く、「父方も母方から、家を潰す遺伝子を受け継いでいる」家に生まれたにしては、比較的普通だったのかも…なんていうと、父を知っている人から笑われそうですが、父の兄弟姉妹にも、女子プロレスラーとか、田舎では珍しい人が多いみたいなので。

 そんな父と結婚した母は、まさに「うっかり関わっちゃった人」。

 母の言い方によると、父の家系、特に祖母の家は、ずば抜けて頭脳明晰な人や、少し知能が後れた人が混ざっているような家だったそうですが、母の家は、父方も母方も、役人や教師などが多い、比較的カタイ家です。

 そんなカタギの家に育った母は、祖父に反対されたのに、半ば駆け落ちのような状態で、父と結婚しました。両家は全く違う家風で、娘の私から見ても、両親が理解し合っているようには見えず、なぜ結婚したのか、とても不思議でした。

 そんな我が家のことを思いながら、寒いので、布団にもぐりながら「佐藤家の人びと」を読んでいたら、そのままウトウトしてしまいました。夢に出てきたのは、ちょっと変わっている、私の二人の兄。


 サトウハチローの孫が、40歳を過ぎて無職で、野菜の引き売りでも始めようかなぁ…なんて、佐藤愛子に相談しに来る、というシーンで、「血脈」は終わります。佐藤愛子は、「荒ぶる佐藤家の血が、正しくなるのではなく、衰微して鎮まった」と、言っていますが、佐藤家や我が家に限らず、時代とともに、良くも悪くも、「濃い」人間が減っているような気がします。

 ちょっとヘンな私の兄たちも、母に言わせると、父方の血筋を一番色濃く受け継いでいる私も、父や祖父に比べると、フツーの人。

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