ものぐさ日記

ひとり遊びが好きな中年童女の日常

インド旅行記「親戚巡礼」 5

2006年05月20日 | インド旅行記

『ラージダーニー特急』


出発前にニューデリー駅スタンドで飲んだチャイ
昔ながらの素焼きのカップだが、お茶はティーバッグ(ミルク入り)

 

 デリーからアーメーダバードへは、高級列車「ラージダニー特急」を利用。10年以上前に、ガヤー=デリー間をラージダーニーで行ったことがあったが、そのときよりサービスが向上していた。デリーからアーメーダバードまで15時間の間に、食事2回、スナック2~3回(お茶つき)、ミネラルウォーター1リットル、新聞1部、毛布、枕、シーツ2枚がついてきて、トイレも車両内も清潔。普通の特急のような2等車と2等寝台車がない。一番安いクラスでもAC付き2等3台寝台車だ。乗っている客も何となくハイソ。私の車両は、AC2等2台寝台車で、乗客は6人。私の寝台の上と隣が、イタリア人のカップル。向かいの上段の寝台には、転職の面接に行く若者、通路側には話し好きの初老の紳士と、愛想のいい中年の紳士。インドの電車旅行は、長時間であることが多いので、みんな暇つぶしに会話を楽しむ。寝ている時間を除いて、ずーっと話をしていた。

 最初は、カタコトのヒンディー語が話せる私に、みんな興味津々で、日本社会の欠陥や少子化問題、電化製品の性能と価格から韓国製品との競合などの質問が相次いで、かなりくたびれたが、そのうちインド人乗客の興味はイタリア人カップルに移ったので、助かった。

 イタリア人の男女はジャイナ教系の宗派の信徒で、アルコールも煙草も取らない完全な菜食主義者。ニンニクや玉葱も食べないだけでなく、「同じ宗派の人が愛情を込めて調理した食物」と、ドライフルーツ以外は食べられないそうだ。ラージダーニー特急のただで出てくる食事やお菓子は、すごーくおいしかったのに、彼らは当然食べない。食事代わりにドライフルーツをもりもり食べていた。女性は25年前に、インドで初めてジャイナ教のその宗派を知り、入信。以来、年に1回、1~2週間の休暇をとって、アシュラムに来ているらしい。イタリアにもイギリスにも、そして日本にも、同じ宗派のコミュニティはあるそうだ。男性もイタリアで彼女が勧誘して、今は同じフラットで共同生活をしているという。

 「君たちは恋人同士かね?」と、日本人ならちょっと聞けないような話題も、話好きのインド人はためらいもなく聞く。

 「いいえ、ブラフマチャルヤー(禁欲)を守っています」と、女性は慣れた口調で返したが、男性の方は(ばかばかしい…)という顔で、話題に入らないようにしている。女性は入信25年、男性は16年とのことだったが、この我慢強さの差は修行の年数によるものだろうか…などと、英語やヒンディー語で疲れた脳みそでぼんやりと考える。イタリア人は終点のアーメーダバードの手前の、アーブーマウンテン駅で降りていったが、早朝4時には起きて、ヨガをしていた。


電車の座席表。出発駅のホームや電車車両に貼ってある



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