ものぐさ日記

ひとり遊びが好きな中年童女の日常

盆栽美術館

2010年12月12日 | 美術展・展覧会

先週、大宮の盆栽美術館に行ってきました。

MXテレビでやっていた番組、「BONSAI」を2年くらい夫が見ていて、番組の講師、小林圀雄さんの「春花園BONSAI美術館」にいつか行って見たいねぇ…なんて、数年前から言っていたのですが、ご近所の大宮にも盆栽美術館ができちゃった。

「BONSAI」は、夫が番組を見ているのを横からチラチラ覗いていた程度なので、私の知識は皆無。「ケンガイ(懸崖)」という言葉は覚えましたけど、主に寝癖がついた髪型を言及するのに使っていた程度(^^)。その分、先入観なしで盆栽を鑑賞できたかも?

盆栽美術館は3月にオープンしたばかりのきれいな建物なんですけど、館内の細長いギャラリーと、和室、屋外の盆栽庭園に作品が展示されています。盆栽の知識がない私でも、一目(高そう~)というものばかり。高さ数十センチほどの木がほとんどですが、曲がりくねって昆布ができていたり、木が一部死んで白くなったり空洞化していたり、幹に苔がびっしりついていたりするので、たぶん数十年から数百年生き続けている木らしい。恐ろしい。しかもその木の高さに合わせて、葉っぱを小さくしたり、数を少なくしたりという加工もしているんだとか。そこまで人工的に作り上げているのに、花梨や柑橘類の実ものは、実際に実がついているものは少なくて、枝に実を刺してくっつけているのもあるのが何とも不可解。

細長い室内ギャラリーを見終えると、草・行・真という和室の一部が作られていて、その床の間に盆栽が展示してありました。真行草というのは、お茶のお点前で聞いたことがあったけど、一番カジュアルなのが「草」、一番格式が高いのが「真」。真は床の間も板張りじゃなくて畳み。お殿様の客室はこんなんだったんでしょうか。茶室というのははたぶん「草」なんじゃないかな~。真の部屋には炉を切ったりしないで、お茶は別の部屋から持ってくるような気がしました。

うちには和室が二部屋あるけど、マンションの「なんちゃって和室」なので床の間なんてないし、実家の床の間は、一応絵とか書とか水牛の角とか飾ってあるけど、テレビも置いてあるので、床の間なんて座敷のある飲食店や宿でしか見たことないけど、盆栽はめったに置いていないような気がします。床の間に盆栽を飾る場合には、床の間の上にを置いて、その上に盆栽を置くらしい。もちろん盆栽の入っている盆器も高そ~な器。さらに木のある自然の風景を演出するためなのか、水石も添えてあります。床の間には絵や書も飾ってある場合もありますが、あくまでも主役は盆栽で、絵や書の掛け軸は床の間の真ん中ではなくて端にかけてあります。今まで見たことのある床の間では、お軸が主で、花が脇だったけど、このあたりの格式はきっと厳密に決まっているのでしょう。

続いて外に出て盆栽庭園を拝見。

なんていうか、素っ気ない庭でちょっと驚きました(^_^;)。盆栽を引き立たせるにしても、竜安寺の石庭みたいなものを想像していたんですけど、玉砂利でも砂でもなくて、小石をコンクリートで固めた庭部分と、アスファルトの通路。苔とか小笹とか十草も植えてありましたが、まだ生えそろっていない感じ。盆栽は盆ではなく、切り出した石の上に配置されていました。

あまりに無機質な庭が不満だったけど、まぶしく晴れた冬の空を背景に盆栽を見るには、かえっていいかも。ひとつひとつの盆を見ていると、確かに壮大な景色が想像できるのですが、ふと庭園全体を見回すと、ひょ~んと作り込んだ木が並んでいて、ちょっとシュール。ジャック・タチの映画、『僕の叔父さん』みたい。見た季節が冬で、松や真柏の他は落葉した裸の木ばかりだったから、一層そんな気がしたのかも。ちなみに、盆栽美術館のサイトでは、葉っぱがついた状態や、花が咲いている季節の作品も紹介しています。「月影」という名前の梅の木があったけど、やっぱり白い花が咲くようですね~。季節を変えて何度か見に行くのも楽しいかも。

 

美術館に行った日は、2階で作家展をやっていました。実がついたオリーブの盆栽なんかもあってちょっとびっくり。イタリアではオリーブの盆栽ってよくあるらしいですけど、オリーブといえば、やっぱりタヴィアーニ兄弟の『父 パードレ・パドローネ』とか、キアロスタミの『オリーブの林をぬけて』のイメージだもん。根本に苔があるオリーブの盆栽は斬新でしたわ。実ものですが、オリーブは枝に刺したものじゃなくて、成っていました。養生している季節にはオリーブの花も見られるんでしょうが、残念ながら美術館の所蔵品リストにはオリーブの盆栽はないようです。

 

盆栽美術館は大宮の盆栽町の一角にあるので、そのまま清香園へ。ここにも逸品がいろいろあったけど、展示スペースが狭いので、盆栽の年輪に匹敵する壮大なイメージを想像することはできませんでした。料理とかお茶とかお花とか盆栽とか、和風のチマチマしたものからイメージをふくらませるためには、空白が大切ですね。

 

 

 

 


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