ものぐさ日記

ひとり遊びが好きな中年童女の日常

『福田平八郎と日本画モダン』展

2012年07月01日 | 美術展・展覧会

 今年は、大好きな画家、福田平八郎の生誕120年だそうで、いま、山種美術館で『福田平八郎と日本画モダン』という展覧会をやっています。会期は7月22日までですが、出展作品は前期と後期で入れ替わり、まだ見たことがない「漣」は前期だけ、ということなので、6月23日(土)に見に行ってきました。

 

 福田平八郎の絵を初めて見たのは、「お運びさん」(ウエイトレス?)として働いていた懐石料理店の店内ででした。極端に省略された線と、心がほっこりくるような、鮮やかな色彩に見とれたものでしたが、福田平八郎がそういう絵を描くようになったのは、ずいぶん経ってからで、最初は、細かいところまで描き込む技巧派だったとか。その当時の「牡丹」なども、幻想的でとて美しいのですが、やっぱり昭和に入ってから描かれた、あっさりした線と形の絵の方が好きです。

 あっさり、といっても、その線と形に決めるまでには、どのくらいの推敲があったことやら。

 今回の前期展示の目玉「漣」は、銀地に藍で線を描いただけの絵ですが、波のスケッチだけで3年かかったとか。銀地は実は銀箔じゃなくてプラチナ箔だというのも今回初めて知ったのですが、そのプラチナ箔は、最初、職人が間違えて金箔で仕立て、その上からプラチナ箔を貼ったために、プラチナ箔だけのものより若干暖色の銀色に仕上がったとか。

 後期展示の「雨」は、1998年に小田急デパートで開催された『福田平八郎展』で見たことがありますが、これまた、瓦28枚の屋根だけという、すごい構図です。その中に、今、落ちた雨の水滴、少し前に落ちた水滴が描き分けられています。波も雨も連続的に変化しているものだけど、こういうのをスケッチって、どうするの~??変化しつつげるものといえば、泳いでいる鮎もそう。福田平八郎は鮎の絵も何枚も描いていますが、年々、鮎の造形が単純化されていくにもかかわらず、ますます鮎が素早く動いているような感じがします。

 

 福田平八郎目当てで行った展覧会でしたが、他の作家もすばらしい。中でも、富取風堂の「丘の畑」、山口蓬春の「夏の印象」などは、絵の前にいるだけで、どこからか清涼な風が吹いて来るような感じさえ受けました。

 

 山種美術館は、移転前も2度の移転後も、訪れたのは初めてでしたが、ちょうどいい大きさですてきな美術館でした。ミュージアム・ショップやカフェも充実。カフェでは展示にちなんだ和菓子セットを販売していましたが、お腹いっぱいだったので断念しました。これから行かれる方はぜひ!


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2 コメント

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このお菓子は? (笹団子)
2012-07-08 23:51:02
南青山の骨董通りにある菓匠菊屋のお菓子だそうですね。 お店は何度か前を通ったことがあるのですが、入ったことがないんですよ・・・。
http://home.h00.itscom.net/kikuya/
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根津美術館にも近い (とーこ)
2012-07-09 22:32:47
笹団子さん

おお、そうでしたか!
「瑞雲」というお菓子、おいしそうです~

根津美術館にも近いですね。根津美術館も、行って見たいけど、まだ行ったことがない美術館です。美術館の帰りに菊屋さんに寄ると思うと、ますます行くのが楽しみになりました。
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