ものぐさ日記

ひとり遊びが好きな中年童女の日常

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『漂流するトルコ』

2012年06月09日 | 

 部屋を片付けようと、少しずつ本を捨てているところですが、捨てる紙ありゃ拾う紙あり…どうしても買いたくなる本もあります。これもそんな1冊。

 『漂流するトルコ』 小島剛一著 有限会社旅行人出版

 

 バックパッカーのための旅行雑誌「旅行人」が2012年度上期号を以て休刊しました。月間→季刊→年2回と、年間発行数は減ってきていましたが、内容はますます濃くなり、旅行の予定があるわけでもないのに、時々買っては旅行気分に浸っていました。バックナンバーの「2010年下期号」(ベンガル特集)を取り寄せて読んでいたら、小島剛一さんの連載が載っていて、しかもまとめたものが近々出版されると書いてあったのでびっくり。2010年に近々ってことは、もうすでに発行されているっていうことだ!しかも「続トルコのもう一つの顔」という副題がついている!

 小島剛一さんの本は、20年前に買った、『トルコのもう一つの顔』しか読んだことがありませんでしたが、衝撃の内容で、この先も、もう1冊買い直すことはあっても、自分から処分することはない本。他にも著作はないものかとしばらく探していましたが、『トルコのもう一つの顔』を発行した中央公論社ではなく、旅行人から出るとは思いませんでした。

 トルコは、日露戦争でロシアに勝った日本を、「敵の敵は味方」とばかりに、親日的な国として知られているし、イスラム諸国の中では政教分離を実行している現代的、『イーリアス』の舞台となったトロイヤ…と、実際に行ったことはないけれど、漠然と好印象を抱いていました。しかし国家というシステムは、そんな観光気分だけではいかない、というのを思い知らされたのが、この『トルコのもう一つの顔』。トルコは、多民族国家であり、話されている言語もトルコ語だけではない、ということは、日本人である私にとっても、当然のことのように思えますが、少なくても20年前のトルコでは、公衆の面前で口にするだけでも差し障りのあることだったのです。フランスのアルザス地方に住んでいた小島氏は、旅行で何度かトルコ各地を旅行するうちに、トルコに住む、トルコ語以外の言葉を話す、トルコ人以外の人達と交流を深めるようになります。その中には、トルコ政府が存在を認めたくないクルド人もいれば、イスラム教徒とはいえない、アレーウィー教徒もいました。言語学者としての好奇心で調査を続けていた小島氏は、とうとう収監され、トルコから国外追放されることになりました。 『漂流するトルコ』は、その『トルコのもう一つの顔』では明らかにできなかった当時の詳細と、国外追放された後の後日談が書かれています。

 20年後の『漂流するトルコ』によると、トルコ政府も、ようやく「クルド人問題に向き合い始め」、野党第一党のCHP代表に、アレーウィー教徒のケマル・クルチュダルオール氏が就任したそうですが、今もなお、トルコ語ではない母国語を話す権利を主張した「罪」で投獄されたままになっている人がいるそうです。

 

 小島氏の濃い~ラズ語文法のサイトはこちら

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6 コメント

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伝言です (砂漠の蜃気楼)
2012-06-15 22:20:57
初めてコメントいたします。この本の著者の小島剛一さんからの伝言をお伝えするためです。

>「国境なきタヌタヌ団公式ブログ: 2012年6月アーカイブ」
>「『漂流するトルコ』 - ものぐさ日記」

>という二つのブログ、どちらも良心的な書評なのですが、『ラズ語文法』の二つある
>サイトのうち、中途で更新が出来なくなっているほうだけを紹介してくださっていま
>す。一応完成に漕ぎ着けた「http://ayla7.free.fr/laz/grammaire.html
>のアドレスに差し替えてもらおうと思ったのですが、例によってコメントが拒否され
>てしまいます。そちらから頼んでいただけませんか。

小島先生のほうからはコメントがうまく投稿できないということなので、あえて代理でコメントいたしました。お手数ですが、早めにリンク先のアドレスを修正していただけるとさいわいです。よろしくお願いいたします。

砂漠の蜃気楼
http://sousleciel.blog113.fc2.com/
ご連絡ありがとうございます (とーこ)
2012-06-16 17:20:00
砂漠の蜃気楼さん

正しいリンク先を教えてくださいましてありがとうございました。さっそく訂正いたしました。

拙ブログが小島氏のお目にとまったとは、びっくり・ハズカシですが、嬉しいです。
ラズ語、ザザ人、アレーウィー教など、全て小島氏の著書で初めて知りました。もっともっと著書を読んでみたいです。

「旅の空の下で…」も拝見させていただきました。ヨーロッパもトルコも一度行ってみたいです…
訂正のお礼 (砂漠の蜃気楼)
2012-06-17 10:44:51
とーこさま

さっそく訂正していただき、ありがとうございます。小島先生のほうにはリンクが訂正済みであることをメールでお知らせしておきました。
余計な情報かもしれませんが、もうすぐ小島先生の新しい本がひつじ書房というところから出版される予定です。
それからこちらのブログも見ていただきありがとうございます。

砂漠の蜃気楼
情報ありがとうございます (とーこ)
2012-06-17 16:46:12
砂漠の蜃気楼さま

新刊の情報、ありがとうございます。ひつじ書房は言語専門の出版社で、お値段も少々お高いようですが、楽しみに待っています。

普段、フレンチなんか食べませんが、北千住のレストラン、おいしそうですね。
「フロマージュ・ドゥ・テット」は食べたことありませんが、韓国の豚の頭のハムのようなものかな…?と想像しながらブログを拝見しました。
旅行人 (笹団子)
2012-06-20 20:47:12
旅行という娯楽というか楽しみというか、外に出てなにかするということ自体低調の現代なので旅行人が休刊したのは一つの時代が終わったということなのかもしれないですね。

トルコは昔に少し旅行をしただけなのですが、イランから陸路で入ったのであちこち軍の検問があって普通じゃない感じはしました。(その地域から離れると検問はありませんでした)
その地域の人はペルシャ語のような言葉を話していて多分、クルド人だったのでしょう。

トルコはインドほどではないのですが、地方差があるようなので小島先生の著作は興味がありますね。
旅する余裕 (とーこ)
2012-06-20 21:46:29
笹団子さん

今の世の中では、長期旅行はリスクが高すぎるんでしょうね。旅行をするために一度仕事をやめてしまうと、次の仕事が見つからない可能性の方が高くて。

「旅行人」の詳細な現地地図は、普遍的なものでなくても、心躍るものがありました。

陸路で国境を越えるという経験をしたことがないので、一度してみたいです。

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