ものぐさ日記

ひとり遊びが好きな中年童女の日常

勝手に憶測言語学13 売買

2008年04月09日 | 日本語・ことば
 「売る」と「買う」、どちらも音は「バイ」なので、「うりかい(売買)」の音読みは「バイバイ」。「bye-bye」みたいで、なんとなく、昔からかわいい音だと思っていました。でも、最近では、それぞれの意味を明確にするために、「ウリ」とか「カイ(シュン)」と言ったりします。

 「売買」は、対価を決めて物品を交換すること。現代では、金銭で対価を決めることが多いと思いますが、もともとは、「得る」、「替う(ふ)/交う」だったのではないでしょうか?お互いに合意の上で、対価を決めているはずなのに、売る方が「得る」、買う方は「替う」だと、売る方だけが得をしていることになるのでは?

 よくわからないのが、「けんか」を売ったり買ったりすること。「喧嘩を売る」というのは、いいがかりをつけたりして、喧嘩をしかけること。売られた「喧嘩を買う」のは、しかけられた喧嘩に抗戦すること、でしょうか。裁判にかけて、賠償金などが決まれば、けんかの対価ということになるのでしょうか。「けんか」も売買するものなら、やはり買う側には、「喧嘩を交う」だけで、得はないような気がしますが、けんかに勝てば、賠償金などが入ることがあるのかな。


 けんかには「売買」があるにしても、「買う」一方のものもあるような気がします。「損な役割を買って出る」とか、「他人の恨みを買う」とか。 

 「役割を買って出る」は、「役割を引き受ける」に言い換えられると思います。借金の形に、欲しくもない骨董などを引き受けることも、「買う」といえるのかも。

 「恨みを買う」人はいても、「恨みを売る」人はいません。恨まれる人と、恨む人がいるだけ。想われる人と、想う人はいても、「想いを買う」人はいない。「恨み」も、欲しくもない骨董品と同じで、引き受けるというか、押しつけられるもののようです。


 「売買」が「交換」と違うのは、交換するものの価値に差があるということ、のような気がします。

 「交換」は、基本的に、同じ価値のものをやりとりするけど、「売買」は、そうではない。買う方が損をすることが多いのでは?そうでない場合は、交換する物品の正統な価値を知りながら、売る側がダンピングしているのではないでしょうか。

 売る方に有利な交換というのが、売買の基本であるのは、おそらく、売る側には、リスクがあるから。調達したり、リサーチしたり、宣伝したり、商品を維持したりと対価を得るまでに努力や先行投資をするし、在庫を抱えたり、紛失したり、破損することもあります。その分、実際に交換する物品の対価より、多少高くてもかまわないというのが、売買の基本なんじゃないでしょうか。

 それにしても、買ったものが使えればいいけど、恨みはねぇ…。恨みを買っちゃたら、そうすりゃいいんだか。

最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Re: 勝手に憶測言語学13 売買 (やぬす)
2008-04-09 22:00:03
「売(賣)」「買」の音はともに、古代中国の貨幣だった「貝」から来ているのでしょうね。
「替ふ」→「買ふ」はありそうです。
「得(う)」→「売る」は終止形が異なるのが気になります。

「売る」も「買う」も、物々交換の時代には不要だった言葉ですね。
返信する
貝を介して (とーこ)
2008-04-09 22:12:33
やぬすさん

> 「得(う)」→「売る」は終止形が異なるのが気になります。

なるほど。もともと別のことばでしょうか。
「恩を売る」という言い方もありますね。やっぱり、押しつけている感じ。
返信する

コメントを投稿