「なれる」(慣れる/馴れる/狎れる/熟れる)って、どういうこと?と、突然疑問が湧いてきました。
慣れる/馴れる…何度も経験することによって、違和感がなくなる
狎れる…なれなれしくなること。親しむあまり礼儀を失う
熟れる…発酵によって熟成する
つまり、境界線が曖昧になること?
「なじむ」(馴染む)と「なれる」はどう違うのでしょう?
「なじむ」は、「な+染む(染みる)」かな。「しみる」(染みる/浸みる/沁みる/滲みる」は、液体がジワジワと移動していく感じですね。「凍み豆腐」の「凍み」だって、中に入った液体が凍ってできるものだし、衣類の「シミ」(名詞)も、繊維に浸透する液体によってできるものですよね。
「なれる」は、どちらかというと、回数(経験)によって、「なじむ」は、時間の経過によって、境界線(区別)が消えていくような感じがします。「熟れる」は、時間の経過によるものだと思うので、「なじむ」ということばがなかった頃から、「なれる」はあったのかも。(あくまでも憶測です。以下同様)
「なれる」「なじむ」だけでなく、「なごむ」「なつく」ということばも「な」で始まります。「なじむ」が「な+染む」だとすると、「なつく」も「な+付く」かも。そうすると、「な」の音には、「境界線を曖昧にする/区別がなくなる/親しむ」というような意味があるのかな?「なごむ(和む)」の「な」が、もとなのかな?「なあなあ」なんて、いかにも、「自他の境界線がなくなる」感じがします。
「な」に限らず、ナ行の音には、そういった語感がある言葉が多いような気がします。「にる/にた」(似る/似た)もそうだし、「ねる」(練る/錬る/煉る)も、「力を加えることで、均一化/平均化する」→「差をなくす」ことに思えます。もしかして、もしかして、「にる」(煮る)も、「加熱して柔らかくする」→「同化させる」 だったりして?
「西」は、「太陽が沈んで、地平線と同化する方位」?
「膠」は、「複数のものをくっつけるもの」?
「葱」は、「土とくっついているところを食べる植物」?
「糊」も、「くっつける(境界線をなくす)もの」?
なんて、こじつけで探すと、そんな気のするものがたくさん。ことばは、はじめに語感ありき、という気がします。
「な-じむ」「な-つく」は同語源らしいですね。
「なごむ」は…。
「なびく」はどうでしょう?
たしかに「な」行の音は柔らかいですね。
「ぬる」(塗る)、「ぬるい」(温い)…。
「にこやか」(和やか・柔やか)→「にこげ」(和毛)と連想した先に…「ねこ」(猫)!
手触りが柔らかだし、すり寄ってくるし。
(辞書には「ねこ」の「ね」は鳴き声が語源と書いてありました。「寝子」説もあったかな)
「なる」ですか。「自ずからそういう状態が生じる」という感じ?
> たしかに「な」行の音は柔らかいですね。
日光が足りなかったりして、いまひとつ、はっきりしない時の自分の体調を、「のねぬむ~」と表現していましたが、柔らかく伸びきった状態だったのかもしれません。