「克雪」という単語は豪雪地帯・十日町で育った私にとっては聞き慣れたことばですが、辞書には載っていないのですね。十日町市には「克雪維持課」もあります。
冬が苦手な私にとっては、雪は「克つ」というより「耐える」存在です。十日町で今年も大雪で、84歳の母も除雪作業をせざるをえません。除雪作業の請負会社に頼んでも、この大雪で人手がないそうです。
実家は克雪住宅のひとつ、落雪住宅で、屋根の勾配を急にしているので、雪は自動的に落下します。玄関は雪が降っても出入りできるように2階にあります。屋根に雪があると、雪の重みで襖などが開かなくなります。落雪住宅でない家は、屋根の上に人が上って、雪を落としますが、水を多く含んでいるので、見た目より重く、重労働です。雪が滑りやすい素材で作った落雪住宅の屋根も、一度溶けた雪が氷になり、その上から雪が積もったりすると、落ちにくくなることもあります。落ちた雪が壁や窓を圧迫するし、道側に落ちると通行の邪魔なので、その除雪作業もしなくてはなりません。実家の裏庭は30坪くらいはあると思いますが、それでも雪を捨てる場所がなくなります。裏庭の隅には、ゴールデンウィークの頃まで雪が残っています。雪下ろしをしていて屋根から転落したり、落とした雪の重みでけがをする事故も少なくありません。最近では無落雪住宅も出てきました。
十日町市は除雪ドーザーを出動させて、道路の雪かきをしていますが、雪道に車が通れる幅の除雪をすると、道の両脇には押しつけられた雪の壁ができてしまい、その壁を壊して入り口を作る作業は各家でしなくてはなりません。スコップやスノーダンプで車道まで除雪できないと、車は文字通り冬眠します。降り始めの頃は、かんじきを履いて踏み固め、雪の量を減らしたりしました。公共交通網が整備されていない地方で車が使えなくなることは死活問題です。除雪が間に合わないスピードで雪が鉄道レールの上に降ると、電車は止まります。
雪を溶かすために水が出る消雪パイプが埋められている道もありますが、どんどん降り積もる雪には大きな効果はありません。商店街では雪を捨てる場所がないので、歩道と車道の間にある流雪溝に雪を入れて溶かそうとしますが、限度があります。雪が降っても傘をささずに歩けるように、商店街にはアーケードがあります。私が子供の頃は、まだ雁木がありました。
雪が降っていいこともあります。
スキーは義務教育でやるので雪国育ちは全員経験があります。小正月には雪でほんやらどう(かまくら)を作って遊びました。雪合戦や雪だるま作りも。明石ちぢみも雪国ならではの産物でしょうし、織物の宣伝のために始まった雪まつりも雪がなければできません。直射日光の強いインドになんか行かないでずっと十日町にいたら、色白だったと思います。
でもあれだけ労力を使う除雪作業が一銭にもならないなんて。毎日何時間も雪下ろしや雪堀り(「雪かき」ではない)をして、また次の日には元通りになっているだなんて。
安部公房の「砂の女」を読んだとき、(まるで雪だ。砂じゃなくて雪だ)と思いました。
今年の十日町の降雪・積雪状況。松之山地区で106cmも降った1月15日には雪害対策本部もできました。平成18年は積雪累計が23,606cmだったし、降ったり溶けたりする雪が、昭和19年には最高積雪で425cmの記録をマークしました。
早く春が来ますように。
冬が苦手な私にとっては、雪は「克つ」というより「耐える」存在です。十日町で今年も大雪で、84歳の母も除雪作業をせざるをえません。除雪作業の請負会社に頼んでも、この大雪で人手がないそうです。
実家は克雪住宅のひとつ、落雪住宅で、屋根の勾配を急にしているので、雪は自動的に落下します。玄関は雪が降っても出入りできるように2階にあります。屋根に雪があると、雪の重みで襖などが開かなくなります。落雪住宅でない家は、屋根の上に人が上って、雪を落としますが、水を多く含んでいるので、見た目より重く、重労働です。雪が滑りやすい素材で作った落雪住宅の屋根も、一度溶けた雪が氷になり、その上から雪が積もったりすると、落ちにくくなることもあります。落ちた雪が壁や窓を圧迫するし、道側に落ちると通行の邪魔なので、その除雪作業もしなくてはなりません。実家の裏庭は30坪くらいはあると思いますが、それでも雪を捨てる場所がなくなります。裏庭の隅には、ゴールデンウィークの頃まで雪が残っています。雪下ろしをしていて屋根から転落したり、落とした雪の重みでけがをする事故も少なくありません。最近では無落雪住宅も出てきました。
十日町市は除雪ドーザーを出動させて、道路の雪かきをしていますが、雪道に車が通れる幅の除雪をすると、道の両脇には押しつけられた雪の壁ができてしまい、その壁を壊して入り口を作る作業は各家でしなくてはなりません。スコップやスノーダンプで車道まで除雪できないと、車は文字通り冬眠します。降り始めの頃は、かんじきを履いて踏み固め、雪の量を減らしたりしました。公共交通網が整備されていない地方で車が使えなくなることは死活問題です。除雪が間に合わないスピードで雪が鉄道レールの上に降ると、電車は止まります。
雪を溶かすために水が出る消雪パイプが埋められている道もありますが、どんどん降り積もる雪には大きな効果はありません。商店街では雪を捨てる場所がないので、歩道と車道の間にある流雪溝に雪を入れて溶かそうとしますが、限度があります。雪が降っても傘をささずに歩けるように、商店街にはアーケードがあります。私が子供の頃は、まだ雁木がありました。
雪が降っていいこともあります。
スキーは義務教育でやるので雪国育ちは全員経験があります。小正月には雪でほんやらどう(かまくら)を作って遊びました。雪合戦や雪だるま作りも。明石ちぢみも雪国ならではの産物でしょうし、織物の宣伝のために始まった雪まつりも雪がなければできません。直射日光の強いインドになんか行かないでずっと十日町にいたら、色白だったと思います。
でもあれだけ労力を使う除雪作業が一銭にもならないなんて。毎日何時間も雪下ろしや雪堀り(「雪かき」ではない)をして、また次の日には元通りになっているだなんて。
安部公房の「砂の女」を読んだとき、(まるで雪だ。砂じゃなくて雪だ)と思いました。
今年の十日町の降雪・積雪状況。松之山地区で106cmも降った1月15日には雪害対策本部もできました。平成18年は積雪累計が23,606cmだったし、降ったり溶けたりする雪が、昭和19年には最高積雪で425cmの記録をマークしました。
早く春が来ますように。
こちら北海道には、某ライオンヘアーの元首相お墨付きの「木の城たいせつ」という住宅メーカーがありました。今は潰れましたが。
「たいせつ」=「耐雪」だと思われます。
道民にとっても雪は、耐える存在です。
雪国は余計な出費が多いですね。
車を買うにしても、四駆がデフォだし、北海道だと「特別仕様」で割高です。
雪を克服する、ということなのですね。
豪雪地帯と聞いても具体的なイメージがわかないのですが、今日のお話、東京にいると妙にロマンティックなイメージでとらえられがちな雪国の実情を知ることが出来ました。寒さだけならベルリンがマイナス15度とかいう日もあったりするので、わかっているつもりでしたが・・・。
雪国の生活は大変です。
でも雪が降るから自然も豊かだし、バラエティーに富んだ子供時代をおくることができたとは思います。
日本海側の大雪は地球温暖化で水温が上がったせいだとか。環境問題って、気がつくと身近な問題になっていますね。
雪の恐ろしさを知っていても、きれいだと思います。
新雪の上についた犬の足跡なんかもかわいいものです。雪に色紙をこすりつけると、色が移ってきれいだし、雪の中でやる花火は幻想的…
でも、青空の方が好き!
温暖化で雪が少なくなるどころか多くなるとは意外ですね。 これだけ雪が積もってもスキー場はかつてのブームは終わっていつの間にかおじさんのスポーツになってしまってこれまた大変と思います。
>HIKISHIOさん
横から失礼します。
木の城たいせつは旭川空港からのバスで宣伝ビデオを見ました。 北海道では有名なCMを流していた企業なんですが、今は無いとは拓銀が破綻した影響なんでしょうか? 今では旅をする学生が少なくて観光に依存している北海道は何かと大変かと思います。
海の近くは積もらないのですね。いいなぁ~。
スキー場は地元の学校を卒業してからは一度も行っていませんが、冬季産業として期待されているようです。大雪の年も大変なのですが、雪祭りもあるので、雪が少ない年もヤキモキするそうです。
>笹団子さん
木の城たいせつは、景気の冷え込みによる住宅需要の低下、法改正による建設確認の長期化→着工数減少等が原因と言われています。
が、高価格かつ独特なデザインが若い人たちに受け入れられず、時代の変化に対応できなかったことも原因の一つと言われています。
社長がカリスマ過ぎると組織が硬直化してしまうんでしょうか。
ありがとうございました。
一見、時代を先取りした新しい会社だったようですが色々無理があったようですね。
元社員の方々の健闘をお祈りします。
>笹団子さん
追記ですが、元従業員の方々で木の城復活します。
http://www.kinoshiro.com/
懸案だったデザインも、最近のものを取り入れ、低価格帯の住宅も販売するようです。
場所は以前と同じ栗山町の施設を使うようです。
上手くいくと良いですね。
こういう情報交換できることがブログの醍醐味ですね~。