面白草紙朝倉薫VS安達龍真

夢と現実のはざまで

遠い空の下

2008年03月10日 | Weblog
 君の住む東京は遠い空の下…と、歌ったのは天草を旅した19歳の夏だった。
早春の晴れた空を見上げて、遠い空の下に住む人のことを思った。巴里の空の下ではベトナムの友人劉さんが中華飯店を開いている。人気の店だと聞いた。友人に紹介されたバンド「ベルサイユ」がこの3月、巴里と伯林でコンサートを演るというので、劉さんの店の電話番号を伝えた。僕は巴里どころか予定の九州へも帰れずにいる。

 劇団のN嬢が台湾旅行から帰国し、刺繍入りの卓上名刺入れをお土産を頂いた。僕の古い机にしっくりと馴染んでいる。旅は自分を見つめるのに最適だ。知らない町の知らないホテルに荷物を解いて、知らない通りに出て知らない人に会い、知らない食堂で知らない料理を注文する。知らない言葉を何とか理解しようとする。分かり合えた時の何とも言えない安堵感。旅の醍醐味は名所旧跡めぐりとは限らない。

 ああ、書きながら無性に旅に出たくなった。仕事や約束を投げ出す訳にはいかない。せめて、稲葉なおと氏の「HOTELS」を読みながら、何時行けるとも知れない旅のプランでも立てるとしよう。