10年前に来た手紙に名前はなかった。久留米で出会った女子高生の名前を懸命に思い出そうとしたが、その顔は浮かぶのに名前はどうしても思い出せなかった。
40年の歳月が過ぎても、18歳で作った歌は忘れない。
村外れの水車小屋で50年ぶりに旅から戻った僕が酔いつぶれている。
初恋の人は春に亡くなり、生家は朽ち果て、友もなく、さてさて、
酔っ払って眠ろうか。という歌だった。
青い春は短くて、苛立ち川のせせらぎは、
海へ海へと急ぎます。
海へ行けば何がある。何があるかはわからぬが、
青い春の熱情が、私を海へと急がせる。
今、四時半。
絹糸のような雨が、庭をしっとりと濡らしている。
白み始めた空を見上げたら、旅に出たいと思った。
夏服に着替えて電車に乗ろう。何処かの岬に着いたら
ハーモニカを吹こう。知っている限りの曲を吹いたら
又、電車に乗って帰ろう。
待つ人のいない家の明かりは点けたまま出かけよう。
40年の歳月が過ぎても、18歳で作った歌は忘れない。
村外れの水車小屋で50年ぶりに旅から戻った僕が酔いつぶれている。
初恋の人は春に亡くなり、生家は朽ち果て、友もなく、さてさて、
酔っ払って眠ろうか。という歌だった。
青い春は短くて、苛立ち川のせせらぎは、
海へ海へと急ぎます。
海へ行けば何がある。何があるかはわからぬが、
青い春の熱情が、私を海へと急がせる。
今、四時半。
絹糸のような雨が、庭をしっとりと濡らしている。
白み始めた空を見上げたら、旅に出たいと思った。
夏服に着替えて電車に乗ろう。何処かの岬に着いたら
ハーモニカを吹こう。知っている限りの曲を吹いたら
又、電車に乗って帰ろう。
待つ人のいない家の明かりは点けたまま出かけよう。