※フィクションを書いてみました。
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今思うと、一目惚れだったかもしれない。
出会いは、派遣の採用面接。
彼は斜め向かいに座って、静かに私を見ていた。
正面の管理職のオジサンが業務内容についてしゃべるのを片耳で聞きながら、私も静かに彼を見返した。
1か月後、私は彼のアシスタントとしてその会社に入社した。
彼の仕事ぶりはすごかった。
デキる男、というのは彼のことを言うのだと思った。
すぐに、私は彼との仕事に夢中になった。
彼は、自分に価値のない人間には見向きもしない。
私は彼の指示の出し方、資料の読み取り方、布石の打ち方、すべてに神経を集中させた。
彼とは、仕事のこと以外、ほとんどしゃべらなかった。
やがて私は、いつも、彼のことを考えて働き、眠るようになった。
2週間後、突然、私は派遣元から事実上の契約停止を伝えられた。
思い当りがあった。
2日前、私は契約外の仕事について、オジサンにやんわり指摘をしたのだ。
退職日は契約満了日までの間で私が選んでよいことになった。
私は退職日を3週間後に定めた。
退職日を彼にメールで告げると、「了解しました」という返信が一行だけあった。
私の退職が決まっても、彼の態度は全く変わらなかった。
内輪の話がなされる場でも、彼が私に途中で退席させるようなことはなかった。
私は来る仕事は全部笑顔でこなし、吸収できるものはすべて吸収した。
うすうすわかっていたことだが、彼が結婚しているということをその頃知った。
この期に及んで、そんなことはどうでもよかった。
3週間はあっという間に過ぎた。
最終日の夕方、彼から小さな白い紙袋をそっと手渡された。
中身はGODIVAのParfait。
あれから5日。
私の本棚には、白い楕円形の箱が、ある。
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今思うと、一目惚れだったかもしれない。
出会いは、派遣の採用面接。
彼は斜め向かいに座って、静かに私を見ていた。
正面の管理職のオジサンが業務内容についてしゃべるのを片耳で聞きながら、私も静かに彼を見返した。
1か月後、私は彼のアシスタントとしてその会社に入社した。
彼の仕事ぶりはすごかった。
デキる男、というのは彼のことを言うのだと思った。
すぐに、私は彼との仕事に夢中になった。
彼は、自分に価値のない人間には見向きもしない。
私は彼の指示の出し方、資料の読み取り方、布石の打ち方、すべてに神経を集中させた。
彼とは、仕事のこと以外、ほとんどしゃべらなかった。
やがて私は、いつも、彼のことを考えて働き、眠るようになった。
2週間後、突然、私は派遣元から事実上の契約停止を伝えられた。
思い当りがあった。
2日前、私は契約外の仕事について、オジサンにやんわり指摘をしたのだ。
退職日は契約満了日までの間で私が選んでよいことになった。
私は退職日を3週間後に定めた。
退職日を彼にメールで告げると、「了解しました」という返信が一行だけあった。
私の退職が決まっても、彼の態度は全く変わらなかった。
内輪の話がなされる場でも、彼が私に途中で退席させるようなことはなかった。
私は来る仕事は全部笑顔でこなし、吸収できるものはすべて吸収した。
うすうすわかっていたことだが、彼が結婚しているということをその頃知った。
この期に及んで、そんなことはどうでもよかった。
3週間はあっという間に過ぎた。
最終日の夕方、彼から小さな白い紙袋をそっと手渡された。
中身はGODIVAのParfait。
あれから5日。
私の本棚には、白い楕円形の箱が、ある。
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