Andyの日記

不定期更新が自慢の日記でございます。

オーダーメイド - ギター史を交えて6

2008-05-28 15:52:37 | 音楽・楽器
でも、ちゃんと届いたのだ。オーダーを開始してから約8か月後、ついに完成!
ハードケースを包んでいたダンボールを開き、ハードケースを取り出してふたを
開けると、中には我がいとしのテレキャスターが鎮座ましましていた。色は
ナチュラルフィニッシュでお願いしていたのだが、バタースコッチブロンドに
しようか、ナチュラルフィニッシュにしようか、けっこう悩んだのだ。
テレというとバタースコッチブロンド、というイメージがあったので、それに
しようかと思ったのだが、でもアッシュのきれいな木目を楽しみたいな、
というのが勝ってしまってナチュラルフィニッシュでお願いしたが、実際に
完成したギターは、ややバタースコッチブロンドに近い黄色で、両方のいいとこ
取りのような色だった。

見た目を一通り楽しむと、いよいよ音出し。とはいえ、もう遅い時間だった
ので、生音でのインプレだったが、もう感動に次ぐ感動だった。あぁ・・・、
本当にいいギターの音だ。以前に弾いた Gibson Historic Collection の
レスポールより、こちらのほうがいい。身びいきなしで。「よく鳴るギター」
なるものがどういうものなのか、少しはわかった気がした。Led Zeppelin の
Bring it on home のリフを弾いたとき、それがわかった。あのリフは単音と
コードと両方の音があるのだが、単音を弾いたときに、スコン、と音が抜けて
くることにすぐ気がついた。手持ちのストラトやセミアコの場合、単音を弾くと
「もわっ」とした音がして、きれいに抜けてこない。また、ブリッジ側であろうと
ネック側であろうと、どこで弾いてもいい音がするのに感動した。今までの
ギターでは、うんとブリッジ側かうんとネック側でないと特徴のある音が出ない
ため、大抵は極端に前か後ろでピッキングしていたが、このギターではどこで
弾いてもいい音が出るので、オートマチック的(?)な楽チンさすら覚える。
しかも、弦を弾いたときにその振動がボディーを通してびんびんと伝わって
くるのだ。これは言葉ではうまく伝えられないのだが、電流が流れるような
ビリビリとした心地よい振動が体に伝わってくる。

次に、コードのリフを弾いたときには、さらにこのギターの実力を感じて嬉しく
なった。ジャキッ!と弾くと・・・、すごく違うのだ、今までのギターと。
今までのギターの音に、スーパーウーハーをかましたような音、というべきか。
澄み切った輪郭のあるナチュラルな低音が、きれいに響く。しかも高音も少しも
濁らずにシャキっと立ち上がる。ここが「ホワイトアッシュのみではここまで
鳴らないし、スワンプアッシュだけでもここまで輪郭は出ない」という、
ハイブリッドのいい点なのだろうな、と思った。

また、ギターの番付の違い(?)ということも感じた。手持ちのストラトで
カッティングをしているとき、気分が乗ってきてガンガン弾いていると、ギターが
だんだんと音を上げてくる、という感じがする。「そろそろ勘弁して」とお願い
されているような。しかし、このギターは横綱級だ。けっこう頑張ってがんがん
弾いても、音をあげるどころかしっかりとがっぷり四つに組んでくる。
「おら、もっとこい!」と言っているようだ。実際、今までの弾き方ではこの
ギターの実力を出し切れないのではないか、とすら思うほどのポテンシャルの
高さを感じる。頑張って弾けば弾くほどいい音が出てくるので、我を忘れて
弾きまくってしまった(苦笑)。ほんとに、信じられなかった、こんないい音が
するギターが存在するなんて。Fender Custom Shop のギターを弾いたときですら、
何の感動も覚えなかったというのに、この違いは何なのか。

それ以外の気に入った点について。ネックのフィニッシュが、素晴らしい。
さらさら~、として気持ちいいのだ。メイプル指板の場合、市販のギターだと
つんつるてんなので、汗をかいたり皮脂がつくとチョーキング時にすべって、
「ベイン!」と恥ずかしい音を出してしまいがちだが、これはそんなこともなく、
気に入っている。というか、最初にギターを触ったときは、「あれ?これ
塗装してあるのかな?」とびっくりしたほどだ。極薄ウレタンフィニッシュという
ことでお願いしてはいたが、こんなに薄いのか、と驚いた。荒加工のネックを
触ったときの感覚とまるで同じだったからだ。ちなみに、一般的に人気の高い
ラッカー塗装は、手入れやメンテナンスがやっかいなうえに高価なので、遠慮
することにした。確かに古びてきたときの風合いは味わいがあるのだが、
実用性に欠けるのでは意味がないのでやめておくことにしたのだ。