Andyの日記

不定期更新が自慢の日記でございます。

マホガニーテレキャスター

2010-11-09 18:01:04 | 音楽・楽器
ちょっと前になるけど、実はもう1本テレキャスターを入手した。これも、
以前にあのハイブリッドアッシュのテレキャスターを造っていただいた
Shinya さんが造ったテレキャスターで、Shinya さんのサイトには
以前から掲載されていたので「こんなテレキャスターもあるんだぁ・・・」
と思いつつ眺めているだけの日々だったのだけど、良縁があったのか
我が家にきてくれた。このギターのスペックは、以下の通り。

Body :Spalted Maple Top/1P African Mahogany Back
Neck :African Mahogany Neck/Black Ebony Fingerboard 22F
Fret: J.Dunlop#6105
Machine Head :Gotoh SES510
Bridge :Gotoh/Wilkinson WT3
Nut :Non bleach Bone
Pick Up :Vintage Vibe VT set

テレキャスターといえば、普通はアッシュかアルダーがボディーに、
メイプルがネックに使われているものなのだけど、これは上記のように
ボディーもネックもアフリカンマホガニーでできている。ボディーの
トップにはメイプルが貼り付けられ、指板にはエボニーが使われている
という、まるでレスポールカスタムのようなスペックになっている。

音はというと、これがもう思い出すだけでニタニタしてしまう。よく、
マホガニーといえばホンジュラスマホガニーだけが本当にいいマホガニーで、
それ以外のマホガニーは認めません、みたいな人がいるけど、いやいや、
アフリカンマホガニーでもこんないい音が出るんですよ、って教えてあげたく
なるほどのいい音がする。

一般的なホンマホに比べるとかなり密度の濃い音で、ホンマホのような
バリン!とかグギャン!という感じの音とは異なる。どちらかというと、
ズギャン!とかガギン!いうような硬質感のある音、といえばいいだろうか。
指板がエボニーであることも影響しているのかもしれないが、レスポールの
ような暴れる音ではなく、まとまりがあって輪郭も密度もしっかりとしている
ハイファイでモダンな音という感じだろうか。

これは歪ませても気持ちよく鳴ってくれるけど、クリーントーンで軽快に
カッティングをしても非常に気持ちのいい音がする。特にフロントPUと
リアPUをミックスさせた音でカッティングを弾いていると、テレキャス
とは思えないほどのおしゃれで洗練された、シックでアダルトな音色を
奏でてくれる。上述のように音が暴れないので、カッティングで重要な
ミュートがシャキッ!と決まるうえに、音色自体が素晴らしいので、聞いて
いてほれぼれしてしまうほどだ。

あと驚くこととして、高音域の出方がアッシュのテレキャスに勝るとも
劣らないほど鋭い。メイプルがトップに貼り付けてあるとはいえ、やはり
マホガニーだとシャープな高音は期待できない、という印象を持っている
人がいるかもしれないけど、これはまるで別物で、むしろこっちのほうが
高音はシャープに出ているように聞こえる。

おそらくきちんと計測すれば、実際にはアッシュのほうが高音は出ているの
かもしれないんだけど、アッシュのほうは中音域のエアー感が強くて出音全体を
豊かで広がりのある音に演出しているようなところがあるので、耳で聞く分には
マホガニーのほうが高音がすっきりしゃっきり出ているように聞こえる。
マホガニーのほうは音像がよりタイトなので、人間の耳で感知できる範囲の音が
ピシッとまとまって出てくるから、それだけ高音域を強く感じるのだと思う。

いやしかし、このギターに出会って、いろんな偏見とか予備知識とかが崩壊
しましたな。このギターを Shinya さんのサイトで最初に見たときは、今までに
弾いたことのあるアフリカンマホガニーの音を想像して、きっと今時のレスポール
のような音なんだろうからハードロック向けなんだろう、クリーンはあまり
期待しないほうがいいのかな、なんて思っていたんだけど、大間違いだった。
クリーンで弾いても歪ませて弾いても、時間を忘れて弾き続けてしまう。

腕のいい職人さんが吟味して選定した木材を、高度な技術で丁寧にギターに
くみ上げると、こういう音がするものなのかと思い知らされた。オーダーした
あのアッシュのテレキャスを最初に弾いたときにも、あまりの音の良さにかなり
ショックを受けたものだけど、これも実にショックだった。「これが、あの
アフリカンマホガニーの音・・・?」という感じで、まさに愕然とした。
というより、今まで自分が弾いて知っていたマホガニーの音って、いったい何?
と楽器メーカーに聞きたくなるほどの衝撃を与えてくれたギターだ。

このギターのもう1つの特徴として、その重さがある。最近は軽いギターが
ありがたがられているというのは前にも書いたけど、このギターはそんな世間の
流れなど完全に無視して、いい音を出すために必要という判断で重いギターに
なっている。テレキャスターで重いギターというと、ジョージハリスンで
おなじみのオールローズテレキャスターがあるけど、これもそれに勝るとも
劣らないほどの重さがある。

一般にはテレキャスターというと、特にライトアッシュの個体は軽い印象が
あるけど、ハイブリッドアッシュのテレキャスくんでも実は3.8kgある。
重いギターだと素材の目が詰まっていて鳴りが悪いような印象があるけれど、
このあたりは素材の接合の仕方が功を奏しているようで、セミアコも顔負けの
生鳴りを生んでいる。

んで、このマホガニーのテレキャスくんだけど、測ったら4.3kgあった。
さすがマホガニー、という感じの堂々とした重さだ。オールローズテレキャスター
でも、実際には4kg前後の個体が多いということを考えると、これはもう
押しも押されぬ重量級ギターと言えると思う。まぁ、重たいレスポールとかに
比べればたいしたことないんだけど(5kg超えるのもあるっていうし)、
テレキャスターだと思って持つと、驚くかもしれない。