Andyの日記

不定期更新が自慢の日記でございます。

愛国心って?

2015-02-19 10:57:54 | よしなしごと

先日、朝日新聞の世論調査で安倍政権の支持率が50%という
記事を読んだ。正直言ってなぜ彼がそこまで指示されるのかまるで
理解できないが、その高い支持率の理由の1つが、彼の右寄りな
姿勢だろう。数年前から高まっている嫌韓・嫌中の雰囲気が、
彼のようなあからさまな右寄り政治家を支持する風潮を生んで
いるのだと思う。いや、嫌韓・嫌中どころか、北朝鮮や中国が
日本に侵略してくるなどと本気で考えている人たちもいるようで、
そういう人たちから彼は特に指示されているように感じられる
(実際には北朝鮮だけでなく韓国も、中国とは距離を置き
たがっているという事実があるのに)。

こういう昨今のしゃれにならない右傾化に伴って、「愛国心」
という言葉がやたらとメディアに登場するようになってきた。
私らの世代からすると、愛国心なんて時代遅れで場違いで
ちゃんちゃらおかしいものでしかないのだが、今の若い世代には
なぜか訴求力があるらしい。学校では教師が率先して生徒を
いじめ、警察官が犯罪行為を行い、大学を出ても就職できず、
経済格差が広がってデフレはまったく改善せず、いつまた大地震が
来るかもしれないのに原発を動かしまくり、放射能で汚染された
水は相変わらず海に垂れ流しまくり、何もいいところのないような
こんな国に、どうして愛国心など持てるのだろう。

また、私らの上の世代の人たちが、愛国心とやらの犠牲になって
どれだけ尊い命を無駄にさせられたかを考えれば、バカらしくて
愛国心なんて持ちたくもない気持ちになって当然だと思うのだけど、
やはり戦争の記憶の風化は止められないものなのだろう。世界中の
あまたの政治家が愛国心を利用してどれだけ国民を傀儡扱いしてきたか、
世界史の教科書でも読み直してみてほしいものだけど。

ところでこの愛国心だけど、それは本当に日本全体を愛している
心なのだろうか。「俺には愛国心がある」という人は、国を愛して
いるというよりは住み慣れた地元や、お気に入りの観光地だけを
愛しているのではないのだろうか。それ以外の地域のことは、嫌って
いたり、馬鹿にしたり、軽蔑したりしていないだろうか。

「あそこの人はかっこつけてばかりだ」
「あそこの人は金のことしか考えていない」
「あそこの人は何をやらせてもトロい」

などと悪口雑言だらけではないか?また、これは個人的な印象だけど、
そういう人ほど愛国心を声高に叫ぶ傾向にあるような気がする。
考えてみれば興味深いことだ。愛国心を叫ぶ人たちはたいてい
嫌韓・嫌中で、これは日本の他の地域を悪く言う考え方と同じだ。
つまり彼らの愛国心とは、自己中心的な単なる排外主義にすぎない
ことになる。

ある男性がある女性に、「俺はお前を愛している、だから結婚してくれ。
お前の体は最高だよ、すばらしい。でも、お前のバカな頭は嫌いだし、
不細工な顔も気に食わない。だから、俺とつきあったら毎日8時間は
勉強しろよ、それから外出するときはしっかり化粧しろ、いいな」
などと言ったら、その女性は「あんたは私を愛してるんじゃなくて、
私の体が目当てなだけでしょ」と言い返すだろう。自称愛国者の国に
対する意識とは、案外そんなものではないのだろうか。

上の男性と女性の関係で言うなら、女性のいい点も悪い点もよくよく理解して
受け入れることができてこそ、本当にその女性を愛する心を持っている、あるいは
愛する心構えができつつある、と言えるように思える。長所と短所はいつでも
表裏一体なのだから、長所の裏には短所が、短所の裏には長所があり、それらを
ありのままに正しく認識して、どちらも欠くべからざる尊重すべき属性なのだと
理解できなければ、愛しているなどとはとても言えないはずだ。

彼らの言う愛国心とは、いわば地元可愛さのために国を犠牲にしているだけに
すぎず、つまりは国を愚弄している。これは愛国心とは到底呼べない。
自分の地元さえよければそれでいいというのは、性欲さえ満たせればそれでいい、
というスケベ男と何も違わないのだ。国を愛するというのであれば、まず日本に
ついて学ぶ必要がある。日本の地理、歴史、文化、習慣、政治、経済、社会、
その他もろもろについて可能な限り深く広く学ぶ必要がある。そして日本という
国全体についての理解が深まったところで、果たして自分は日本を愛しているの
だろうか、または愛していくことができるだろうか、と自問自答してみるといい。

その結果、ほとんどすべての人が、愛憎相半ば、という結論に達すると思う。
物事というのは何でもそうだけど、知れば知るほど気に入らない点、腹立たしい点、
頭を抱えてしまう点などがどんどん出てくる。と同時に、感動する点、賞賛する
べき点、ありがたみを感じる点なども次々に出てくるので、自分にとって都合の
いい知識ばかり寄せ集めでもしない限りは、普通はそういう結論になるものだ。
でも中には、時間をかけ、腰をすえて日本について勉強し、日本についてよく
考えてみた結果として、「日本にはたくさんの問題があるけど、それでもやはり
自分はこの国を愛している!」と言い切れるようになる人もいるかもしれない。
それはそれですばらしい、そのときその人は真の愛国者になっていることだと思う。
私なんか、まだまだ全然勉強が足りていないので、そこまでの域にはまるで達して
いない。というか、そうなるかどうかもわからない。