アンダンテのだんだんと日記

ごたごたした生活の中から、ひとつずつ「いいこと」を探して、だんだんと優雅な生活を目指す日記

既聴感と未聴感

2017年04月27日 | ピアノ
ハイ、「ミュジコフィリア」全5巻、読み終わりました。なかなかおもしろかったです。出てくる実在曲ほとんど知らんけど。

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この漫画の中で、湯浅譲二先生という登場人物(*)が
「何が本当に創造的なのかということを深く考えずに
何となく聞いたような音楽を書いていてそれが創造だと錯覚しているのはおかしい
でもただ新奇でへんてこりんだから新しいというのではなく
やっぱり人を感動させる、人に魅力を感じさせるような世界をつくれなければ
今までにない新しい音楽をつくるということにはなりません
未聴感のある音楽をつくるというのはそういうことなんだと思うんですね」
と、講演で述べています。

聞いたことのない、予想もつかない、斬新な感じということだからといって、
単にでたらめ、無秩序というのでは、魅力とか感動とかを感じさせることはできない。

それで現代音楽では、いままでの音楽で使われてきた「システム」ではなく
システム自体を自分で作るというのが「一番好ましいと思いますよ」
っていうんだけど、

…わかるようなわからないような…

私にとって、たとえばベルクのピアノソナタっていうのを初めて聞いたとき、それはもう未聴感のカタマリというか、未聴感だけは売るほどあるんだけど、その状態って聞いててそんなに楽しくない。

別に、ベルクさんは「でたらめ」に音を並べてるわけじゃないんで、何らかの「システム」を持って作曲してるんだろうけど、それを理解できてない私にとっては、「でたらめ」に聞こえてしまい、それじゃおもしろさがわからないわけですね。

それが、何度も聞くことによってなんとなく(理屈抜き)ではあってもシステムが体感できてくると、ある程度予想も立ち(記憶もして)、そしてそれでも「意外」な部分が残る。そのバランスが良い加減のあたりにあると、きれい、おもしろい、楽しい、わくわくということがあるんじゃないのかな。

ベルクのソナタを何度も聞いてるうちになんだか気に入っちゃったので(^^;; ここんとこ頭の中で勝手に流れる音楽がかなりの割合でベルクのソナタ(の一部)だったり…そして、残りのうちかなりの部分が「ジョン・ダウランド」だったんです。

ダウランドというのは現代音楽どころか、関ケ原の戦いのころ作曲してた人で、「題名のない音楽会」で「Fine Knacks For Ladies」という曲を聞いたらなぜか「つかまれて」しまってそれから気になって。YouTubeで別バージョンの演奏を探していくつか聞いてるうちにすっかりハマって、これまた脳内エンドレス曲に昇格。

私の中で、ダウランドの歌は、ベルクと違って、初めて聞いたときから馴染み深い雰囲気がするものの、陳腐ではないし全部が既聴感というのではなくて、予想の立つところと意外なところがバランスよくあるという意味ではあまり変わらないような気がするんです。時代はぜんぜん違うんだけれども。

考えてみれば、モーツァルトなんてベルクに比べりゃ大昔の人だし、もう子どものころから聞きまくってるし、じゃあ何の驚きもないアタリマエな曲かっていえば全然そんなことはなくて、むしろ「そう来るか!?」という意外感が豊富にある曲じゃないですか? 「遊び」というか。

というふうに思うと、システムなんて新奇なものじゃなくても、ちゃんとその中で「はずす」ところがあっておもしろければいいんじゃないか? システムをいちいち作るのがイイコトなのか?? という疑問が沸くんですけど。


そこを疑問に思うということは私が現代音楽向きでないということなのか…
あるいはベルクのソナタみたいに個別撃破していくことで世界が開けてくるのか…

学生時代、現代音楽したい人につきあって、電子メトロノーム見ながらベル鳴らしたり(つまり演奏の進行と無関係なテンポ感でだんだんずれていくところを表現したいらしい)して「ありゃいったい何だったんだ!?」というわけのわからなさがトラウマっていうか(笑)


(*)湯浅さんというのは実在の現代音楽作曲家だそうです。

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