本日、快晴。

映画中心雑記。後ろ向きなポジティブが売りです。

夜行観覧車【本】

2013年02月16日 | 【本】
金曜10時にTBSでドラマ放送中ですね。

前クールのフジテレビドラマの「高校入試」が面白過ぎて、
湊かなえさんの評価が自分の中でぐいぐい上がっております。

湊さんが脚本を書き下ろした「高校入試」と違い、
「夜行観覧車」は、原作ものなだけなので、
脚色の是非が気になり、見ないでおこうかと思ってましたが、
周囲の評価もわり聞いて、興味が湧いたので結局見ています。

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いまドラマを楽しみに見ている人は、
まずは文庫版小説を手に取らないことをお勧めします。
背表紙に重大なネタバレが書いてあります。
(Amazonの小説版のあらすじにも同じ記載がありますので要注意!)

ドラマがどのように終着するか、現時点では全く想像がつかないのですが、
(だって、設定も時間軸も色々と違うんだもの。)
現段階で楽しく見ている人は、原作読むならドラマが終わってからがいいと思います、とだけ言っておきますね。

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(ここから原作ネタバレ気にせず書きますので、イヤな人は読まないでね。)





さて。

背表紙には、ドラマから入っていない人には、ネタバレでもなんでもない、あらすじが書いてありました。
…やっぱりドラマ観る前に原作読むべきだったな、と激しく後悔。

何を隠そうこの事件の犯人がさらりと明かされています。
あたしが見た時点のドラマでは、まだ誰が犯人か分からなかったので、まあビックリしたよね(笑)。


ただし、原作小説は、事件の真相を究明する話ではありません。
色々なところで記載されていますが「家族小説」です。

とある殺人事件に直面したいくつかの家族が、
その事件と向き合い、これから生きていこうとする姿が描かれています。
そういう意味では、湊さんの作品には珍しく、
あまり後味が悪くない(笑)話でした。

途中に伏線が張られたり、それを回収したり、
そういったつくりにもなっていないと思います。
淡々と、でも、水面下で渦巻く人間模様や、登場人物達の感情を、
そこそこ上手に描いている作品だと思います。

多分、そういう気持ちで読んだ方が、面白いんだよ。

ただ、あたしが悪いんだけど、先入観が犯人不明の殺人事件ありきだったから、
何かそういう風に斜に構えてしまって。
加えてドラマが「積み木くずし」の様相を呈していたりして、
何が何だか、むむむとちょっと混乱してしまったり。

設定や時間軸の相違がすごく気になって、最初は頁が全く進みませんでしたが、
気持ちを切り替えたら、あとは一気に読めました。
…てか、どう終わるのか、早く知りたかったんだよね。



個人的感想ですが。(いつもですが。)

登場人物の中で共感できる人が1人も居ませんでした。
“普通”の人がいないからかな、物語自体もちょっと荒れています。
まとまりがないというか・・・うーん、まあ、そんな感じ。
且つ、この話で主観が語られる登場人物の中に、
殺人事件の直接の当事者が、居ない。

事件の概要は理解できるし、そこそこ話の筋も面白いのだけれど、
上記理由からも、最後まで、いまいち感情移入ができませんでした。

恐らく、舞台が「ひばりが丘」という名の、特殊な高級住宅街ゆえ、
ある意味ファンタジーに近い感覚なのかなと。
更に、そこに存在する人物達に共感も出来ないから、
最後まで、異世界で起こっていることかのように読んでしまったんだと思います。

あたしは、ファンタジーが得意ではなく、
だからかな、あまりピンと来ず。
正直、嫌いな話ではなかったけれど、今まで読んだ湊作品の中では下かな、と思います。




湊かなえさんは、あたしが積極的に読む、数少ない女流作家さんですが、
他にもっと面白い作品はあると思うので、あえて本作をお薦めはしません。
湊作品のドロドロ感があまり得意ではない人には、ある意味読みやすいかも。


ドラマを見てなくて、興味がある方はどうぞ。

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