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観自在

身辺雑感を気ままに書き込んでいます。日記ではなく、随筆風にと心がけています。気になったら是非メールください!

尾瀬の魅力

2009-08-11 16:50:45 | 旅行
 今日は久しぶりのオフでした。今年度に入ってから、土曜日曜の出勤も増えたので、のんびり出来ずにいましたが、今日はほとんど一日家にいて、蝉の声を聞きながら、書き物などして過ごしました。
 尾瀬から帰って以来、何か都会の生活になじめず、困っています。朝、目を覚まして聞く鳥の声は、澄んだ空気を切り裂くような強烈な刺激でした。驚くほど大きくて、よく響く声は、街で聞く鳥の声ではありません。頬を撫でていく風、草の匂いのすがすがしさは、忘れていた少年時代を思い出させてくれました。広がる湿原にあって、木道を行く人々を送り出してくれた至仏山、迎えてくれる燧ヶ岳。今年はあの頂に立ったのだと思うと、帰りに振り仰いだ燧ヶ岳は、もう人を拒むような顔ではない。大地に包まれて、理由もなく涙が落ちそうになりました。
 昨年より少なくて心配な花々でしたが、厳しい冬に耐えて咲く花々は、可憐でありながらも逞しく、短い生命を謳歌しているように見えました。それにつられて、木道を歩く人々も明るく声を掛け合い、何とも言えない親近感を感じることができます。平素の生活の中で、他人がこれほど身近に感じられることはありません。自然の中で、人の心も自然に帰れるのかもしれません。
 尾瀬にいると、朝はうれしく、昼は明るく、夜は淋しい。自然の中で、自然とともに、人の感情も穏やかに動いていく。毎日がそんな生活であったならどんなにすばらしいだろう、そう考えずにはいられなくなります。所詮、考えてもしかたのないことだとはわかっています。でも、考えずにいられない。それが自然の魅力、尾瀬の魅力なのでしょう。帰ってきてからわかるというのは、どうも間抜けな話ですが、どんどん強まるこの思いというのは何なのでしょうか。

ありがとう!尾瀬と仲間達

2009-08-04 09:03:17 | 旅行
 昨夜は、2泊3日のキャンプから戻り、ビールと睡眠を堪能しました。やはりテントではよく眠れず、睡眠の質が悪いのは言うまでもありません。昼間は悪天候の中を何時間も歩き、まともな食事も出来ず、いったい何が楽しくて山歩きなどするのか、興味のない人には理解できないでしょう。
 もちろん、自然の素晴らしさはあります。まして尾瀬ですから、風景や動植物との出会いは誰もが納得するところでしょう。今年は、最終日、今までの中で一番天気がよくなり、夏の尾瀬を初めて感じることができました。鳥の声で目覚めてから、草原を渡る風の薫りを感じ、緑鮮やかな稜線を仰ぎ見る。その感動は都会暮らしでは絶対に味わえないものです。湿原の水面に輝く夏の空と雲。今回はその写真をたくさん撮りました。アップしたのは、尾瀬ヶ原から見た燧ヶ岳です。今回は、山頂から、このアングルとは逆に尾瀬ヶ原を見下ろしたことになります。
 今年、キャンプ場では、一人旅のハイカーを見ました。小さなテントに男性が一人。自然に誘われて、一人ぶらりと山に出かけるというのも、羨ましい気はしますが、私には淋しいかなあという印象でした。
 皆で荷物を分担して担ぎ、励まし合ったり、気遣ったりしながら歩くから、自然もより一層素晴らしく感じられます。たとえとしては変ですが、恋人同士で映画を見る人がいますね。なんだか時間がもったいないような気がすると思っていました。映画など二人でなくても一人で見られるではないか、と思っていたのです。しかし、二人で素敵な時間を共有し共感するところに意味があるのです。よい映画は二人で見るからもっとよくなる。それと同じことが言えると思います。
 キャンプを終えて、自宅に戻り、リラックスできたのは事実です。でも、少し淋しい気がしているというのも正直な気持ちですね。来年は至仏山登頂が目標になりました。来年また行けるように、健康でありたいと思います。

燧ヶ岳初登頂

2009-08-04 00:45:18 | 旅行
 今年も尾瀬に行くことができました。8月1日の早朝出発。鳩待峠から山の鼻、牛首、竜宮、見晴と進むいつものコース。小雨には降られましたが、大変だという感じはありませんでした。
 今回のメインは二日目でした。見晴から燧ヶ岳を経て、尾瀬沼の沼尻に出て、見晴に戻るコース。燧ヶ岳は東北一の標高を誇ると言います。わずか3.5キロの登山道ですが、高低差もあり、ハードでした。雨や強風にも悩まされました。頂上に近い地点では風が強く、先日、北海道で起きた遭難事故を思い浮かべるような状況でした。
 例年のように植物や景色を眺めながらの散策ももちろんよいけれど、山頂を目指す登山も素晴らしいものでした。特に、燧ヶ岳の山頂に立てば、右に尾瀬ヶ原、左に尾瀬沼というパノラマが得られ、時間が経つのも忘れてしまうほどでした。湿原を縦断する木道は、その前日に通った道です。そこを鳥瞰する感動は何とも言えません。多く点在する湖沼が銀色に光り、繊細な湿原は奇蹟の産物としか見えませんでした。その景色を写真にアップしておきます。
 でも、今年、私は去年ほどの感動を味わえなかったのも事実です。時期がずれて花が少なかったこともあるかもしれない。ニッコウキスゲやコオニユリなどは、昨年とは比較にならない少なさでした。これが、季節の誤差であればよいのですが、温暖化などの影響ではないことを祈ります。
 それと、今までは、尾瀬を妙に神聖視するようなところがあり、そこで酒を飲むこともなかったのですが、今年は気の付くメンバーがウイスキーを用意してくれ、一晩目にそれを全部飲んでしまいました。そういった二日酔いも感性には影響するでしょう。
 そうした時間を経て到達した燧ヶ岳山頂でした。山登りなどいつ以来でしょう。本当に疲れました。でも、行ってよかった。それは言うまでもありません。つづく。

都電今昔

2009-07-23 23:42:34 | 旅行
 先日、巣鴨に行ってきました。暑かったこともあり、おばあちゃんの原宿という感じはなく、どちらかと言えば、観光の家族連れのような方々が多く見受けられました。
 とげ抜き地蔵に参拝後、せんべい、塩大福、大学芋とスイートポテト、アイスクリーム、鯛焼きなどなど、下町定番の食べ物を手に入れ、昼は、土用の丑の日だったので鰻とはり込みました。
 巣鴨は、大学時代に、テストを受けるために、週末ごとに通った場所です。当時は、早朝、地蔵通りを通り、昼過ぎに疲れて切って駅へ戻るという感じでしたので、今回のように、買い食いをするようなことは皆無でした。
 久しぶりに都電を見る気になって、踏切まで行ってみました。数台の電車を見送った後、写真のようなハイカラな電車が走って来たので、慌ててシャッターを切りました。都電にもこんなスマートな車両が導入されたんですね。知りませんでした。
 数年前、仕事で、初めて都電に載りましたが、感想としてはイマイチでした。それは揺れて乗り心地が悪いことと、狭いのに混み合っているので、降車しにくいという2点でした。新しい車両では、そのあたりはどうなっているのでしょうか。知っている方がいらっしゃるでしょうか。
 そういえば、昔は、都電もなかなんかをいただいて食べたこともありました。都電と言えば懐かしいものと考えていましたが、なかなかどうして新しさも加わっているようです。

鎌倉山の紫陽花

2009-06-24 23:18:08 | 旅行
今日、関東では朝から降っていた雨も昼過ぎにはあがり、日差しがのぞくほどに天気が回復しました。梅雨はまだ続きそうですが、梅雨は梅雨として楽しめると思います。
 週末に、久しぶりに鎌倉へ行きました。家を出たのが10時過ぎでしたし、車でしたので時間がかかり、鎌倉山へ着いたのは2時過ぎでした。鎌倉山へ行ったのは、広い庭園を持った和食の店が目当てでした。店の建物に行くまでの間に、紫陽花の花がたくさんあり、綺麗でした。ちょうど満開といった風情で、一週間ずれていたら、だいぶ違っただろうと思われました。
 天気もよく、紫陽花の花が日を受けた風情もよいものでした。
 帰りは湘南海岸に回り、稲村ヶ崎で浜辺に降りてみました。潮の香りと潮騒で、故郷を思い出しました。今年は、仕事が忙しく、夏休みも長期にはとれません。このご時世にあって、忙しいのは喜ぶべきでしょう。でも、たまにはゆっくりとくつろぐ時間がほしいと思います。夏のプランはどうなっていますか?

ブックリスト~『明るい旅情』

2009-06-09 23:04:09 | 旅行
ブックリスト~『明るい旅情』 池澤夏樹

 池澤夏樹氏のエッセイはとびきり面白いですね。私など、広い知識に感心したり、こだわりの意見に膝を打ったり、ユーモアに笑ったりと、氏のエッセイに楽しませてもらっています。ギリシャや沖縄にお住まいになって、自然から政治まで、多岐にわたるテーマに取り組んでいらっしゃる。正直言うと、私はエッセイが好きです。小説はちょっと難しいかな。これは、私の方の力不足で、氏の小説の良さがわからないのだと思います。
 氏のエッセイはかなり読みましたが、今回は『明るい旅情』という2001年に出た新潮文庫を読みました。旅に関するエッセイを集めた本で、最初の「汽車と、世界の本当の広さについて」で、もうつかまれてしまいました。氏は重厚長大な機関車を熱烈に賛美していますが、私も体験的にわかってしまうのですね、氏の言いたいことが。氏に言わせれば、薄っぺらな自動車は大人の玩具。これは、後のエッセイ「北欧の酩酊」になると、大人社会の欧州に比べ、日本は若い人中心の社会になっているという鋭い指摘につながる。この決めつけが、何とも小気味よく感じるのは私だけでしょうか。
 異文化に触れることは、自分のルーツに気づき、日本社会を顧みることができる点でも重要ですね。もう少し若ければ、私も沢木耕太郎氏の『深夜特急』のような旅に出てみたかったと思います。でも、小心な私にはきっと無理だったでしょう。情けないです。

GWいつもの過ごし方

2009-05-04 08:41:07 | 旅行
 高速道路の割引を受けて、今回のゴールデンウィークは車で帰省しました。2日の3時頃に出たのですが、私の故郷の方は報道されているような渋滞もなく、快適に走ることができました。料金所を通過するときに、ナビには5千円以上の金額が表示されているのに、実際に割り引きで千円になったときには感動しました。これなら、時間さえあれば、いつでも帰省できると思いました。
 車内では、徳永英明氏のヴォーカリスト1と2を聴いていました。ひとりをよいことに、かなりボリュームをあげていました。やはり、しみじみと伝わってくるものがあり、聴いているうちに紅白視聴状態(=号泣)となってしまいました。運転席を覗いた人がいたとしたら、奇妙な情景に驚いたことでしょう。車を運転しながら泣いている人がいたら、誰だってそう感じると思います。
 故郷のシンボルである山や田園風景が見え、夕日がかなり赤く見えたのも、影響したかもしれません。故郷というのは、「いつでも」とは言いませんが、帰省した者の心を癒してくれる、そういうところだと改めて思いました。
 母は口数が極端に少なくなり、表情も乏しくなってきました。高齢だからしかたがありません。話す内容も相当におかしい。でも、父は元気で、母の世話をしています。おまえと飲む酒が一番旨いなどと言われると、こちらもうれしくなります。
 私などは、職場や家庭でも歯車の一つにすぎません。それを不満に思うこともなくなりました。でも、実家で待ってくれている親がいれば、それだけで救いだなあと感じます。

桜だより

2009-03-25 00:26:15 | 旅行
 11月に続いて関越国境の温泉を訪れました。彼の地では梅が盛りで、桜はまだ開いていないようでした。広い部屋と、地元の食材を使った丁寧な料理、リーズナブルな値段、過剰でないサービスなどが気に入っての再訪でした。期待を裏切らない、心地よい宿で一泊、ゆっくりとくつろげました。
 翌日は朝から小雪が舞う天候でした。早朝の露天風呂に浸かりながら、風花を眺めていました。旅行が好きですので、今まで何度か、そんな情景を見ています。しかし、「老い」を自覚する年齢になると、感じるものが違ってきます。以前は、「限りなく透明に近いブルー」と言いますか、孤独は純粋で、緊張感のあるものでした。それが起爆剤になって、何かが生まれ出るような予感を含んでいたように思います。しかし、現在は、救いようのない奈落から、吹き上げてくる風のような不安が胸を占めています。末期の目とは言わないまでも、何かしらの覚悟を持って見る春の雪は、心に沁みました。
 文学部での私の卒論は『方丈記』でした。「ゆく川の流れは絶えずして」と始まる、あれです。これは、『徒然草』と並んで、仏教的な無常観を表現した作品とされています。『徒然草』との違いは、単なる随筆でなく、住居論である点でしょう。自らの草庵での閑居の機微を無上のものとして、仏道と訣別したというのが私の解釈です。末尾近くに、鴨長明自身、「一期のたのしみは、うたゝねの枕の上にきはまり、生涯の望は、をりをりの美景にのこれり」と述べているのでも明らかです。確かに反省の言葉もありますが、それはポーズに過ぎないと思います。
 最近、よく思い出すのが「そもそも一期の月影かたぶきて餘算山のはに近し。忽に三途のやみにむかはむ時、何のわざをかかこたむとする」の一文です。死が迫ってくる老いを迎えて、いったい何ができるのかという沈痛な思いが感じられます。若い頃には、この一文の真の意味はわからなかった。老いてわかることもあると思えば、生きていく意味もあろうかと思われます。その先にあるのは「死」だといえば虚無的だと言われそうですが、それが人生の真の姿と言えましょう。
 宿を出てから山里の酒蔵を訪ね、昼食をとって山を下りるまで、春の雪はずっと降り続いていました。

終の棲家

2009-03-20 23:28:48 | 旅行
 漠然と最後に暮らす街について考えることがあります。とはいえ、引っ越して暮らすとなればお金もかかりますし、歳をとってから、新しい街で暮らすだけのバイタリティーが残っているかどうかも疑問です。思い描くだけで終わるかもしれませんが、考えてみることは、少しときめくものがあるような気がします。
 私の場合、最後に住む街は故郷ではありません。父母がいるので帰省を繰り返していますが、父母が亡くなれば、足が向くこともないように思います。
 今まで各地を旅して、ピンとくるものがあった街がひとつあります。それは松江でした。何しろ初めて訪ねた後、一ヶ月後にまた行ったくらいです。街を歩いたときに感じた川の匂い。ぬめりとした生臭い香りは、潮の匂いを少し含んで、昔の故郷を感じさせました。宍道湖の夕日は見事に赤く、これも昔見た故郷の夕日と同じでした(写真)。私の故郷は昔日の面影がないほど変貌してしまいましたが、松江には、懐かしい故郷が残っていました。
 街の中心をなす城、掘り割りに面した武家屋敷のたたずまい。出雲大社のように古いものがあれば、ティファニーの美術館のようにモダンな施設もある。川沿いに居酒屋に入れば、不昧公の大吟醸があるからと、普通の酒と同じ値段で飲ませてくれたりもする。カワハギの刺身に肝を和えて食べるのをデンボというのも初めて知りました。「不昧公」は風流茶人として名高い、七代目藩主・松平不昧公にちなむ酒です。城下町には歴史があります。港町に生まれた人間には憧れです。それと、温泉だってすぐ近くです。
 ラフカディオ・ハーンのようにエトランゼとなって、ひとりふらりと松江に流れ着き、そこで晩年を過ごせたら、どんなに幸せでしょう。ひっそりと、心静かに暮らせたら・・・・・・。松江は、それにぴったりの街のような気がしています。
 

紀伊の旅

2009-02-15 00:01:28 | 旅行
 07年のちょうど今頃(2月16~18日)、長年行きたいと思っていた熊野を訪ねました。
仕事が終わってから東京駅に駆けつけ、17:36発のひかり383号で名古屋まで行き、19:45発ワイドビュー南紀7号で新宮に着いたのは22:53。その夜はビジネスホテルに泊まり、翌朝、徒歩で神倉神社へ行きました。仕事が終わってからでも紀伊半島の先まで行けるのは驚きでした。
 熊野へ行くにあたっては、知人から情報を仕入れ、三山よりも神倉神社がよかったという情報を得ていました。住宅街を過ぎると、小高い山の頂に大きな岩倉が見え、その偉容に期待が高まりました。山道を登り、岩倉の直下に立つ社を拝み、眼下に広がる町並みを見下ろすのは何とも愉快なものでした(写真)。ホテルに戻って、小さなロビーで朝食を取りました。テレビは、その日行われる藤原紀香さんの結婚式の話題で持ちきりでした。
 この日は、熊野速玉神社、本宮大社を参拝しました。エメラルド色の川に沿ってバスで行った本宮は、実際以上に秘境のような気がしました。新宮で食べたさんま寿司は美味でした。夕方、JRで紀伊勝浦まで行き、港にある足湯で暖まった後、竹原という有名店でまぐろ料理を肴に地酒を堪能し、忘帰洞で有名なホテル浦島に宿泊しました。港の桟橋から船で行くホテルです。ここは私の行った温泉の中でも、風呂の素晴らしさ、多彩さではダントツでした。私はあそこほど素晴らしい風呂に入ったことがありません。また是非行きたいと思います。朝食付き6450円で、ツインルームを占領できたのも満足でした。一人ではもったいない部屋でした。ホテルでは中国か韓国からの旅行者が多いのが印象に残りました。
 翌日はJR紀伊勝浦から那智に出た後、那智大社を目指してひたすら歩きました。具体的には、浜の宮王子、補陀洛山寺、まんだらの道、市野々王子、多富気王子、大門坂、熊野那智大社、那智山青岸渡寺、大滝などが見所でした。那智大社では牛王護符を手に入れ、三山の護符を揃えることができました。古道のごく一部しか歩いていませんが、雰囲気は堪能できたと思います。今度は白浜あたりに泊まって、古道をしっかりと歩きたいと思いますが、実現できるでしょうか。
 熊野古道は、私の行ってみたい場所の最後の地でした。あれ以来、あそこに行ってみたいという場所がありません。私の旅は行き場を失っています。気になっているのは屋久島くらいでしょうか。

地方美術館の楽しみ

2009-02-02 02:18:03 | 旅行
 日曜日の昨日もステップワゴンで高速道を主体に約100キロ走りました。ピークの燃費は、先週とほぼ同じ14.5㎞/㍑でした。もっとも昨日は、週末の夜で、高速道路が渋滞し、一部の区間では止まる寸前までいったり40キロ程度のノロノロ運転が続いたりで、かなりイレギュラーな状態ではあったと思います。人間も含め、荷物はそこそこ積んでいました。
 今回は、関東の某地方都市に用があって出向いたのですが、気になっていた美術展に足を運びました。市が収蔵品を某会館のロビーに展示して、無料で公開するという企画展で、市の出身画家の作品が、各3~4点ほどずつ展示されていました。
 私のお目当ては、高橋常雄氏の作品を見ることにありました。以前、その市にある美術館で回顧展が行われたときに初めて拝見し、思わず図録を買うほど気に入ってしまいました。氏は院展や日展を舞台に活躍された日本画家で、郷土の風景など、多くの大作が並んで壮観でした。60歳という若さで平成の時代を見ずに亡くなっています。今回は4点展示されていましたが、中東あたりの女性を描いた作品は静謐であり妖艶さも漂い、印象に残りました。
 パンフレットによると、高橋氏は福王子法林氏に師事していたようです。私は、福王子氏の作品も好きで、展覧会の図録を持っていました。その師弟関係を初めて知り、改めて画集を広げてみると、お二人の作風には確かに共通点がうかがえます。そんな言葉を使うのもおこがましい、私の審美眼(?)は、無意識のうちにも、その共通点を感じ取り、好きな画家の範疇に振り分けていたのでしょう。好みというのは、意外に確かなものかもしれないと思いました。

江戸東京たてもの園

2008-12-01 00:00:29 | 旅行
 以前から気になっていた、東京は小金井公園内にある江戸東京たてもの園に行って参りました。天候にも恵まれ、紅葉がきれいでした。
 農家のような建築物しかないような先入観がありましたが、明治・大正・昭和期の建物も住宅を中心に移築・復元されており、約30棟の建物はなかなか見応えがありました。中でも、ジブリ映画のモデルだという銭湯、子宝湯と、2.26事件の舞台となった高橋是清邸が印象的でした。
 商店が移築された下町中通りでは、昔懐かしい駄菓子屋、たこやき、おでんなどを売る店が出ていて、ちょっとした縁日のような活況を呈していました。都電の車両なども展示されており、その一角だけタイムスリップしたような雰囲気でした。広場では、ベーゴマや竹馬に興じる人もいました。
 何となくほっとできる空間に迷い込んだ気分でした。昭和30年代を描いた映画がヒットしたようですが、そんな映画を支持する人々の気持ちがよくわかりました。おでんやさんでは、なぜか、諏訪の清酒、舞姫の1合瓶をお燗して売っていましたが、おでんでもつまみながら、ひねもすぼんやりしていたら、さぞ楽しかっただろうと思います。
 写真は神保町にあった荒物屋、丸二商店です。裏手に長屋も移築され、路地の様子が再現されていました。大人400円で2時間は楽しめます。

まだいけます!紅葉

2008-11-18 00:32:58 | 旅行
 この日曜と月曜で、猿ヶ京に旅行してきました。群馬県でも新潟県に近い温泉場です。日曜はあいにくの雨でしたが、夕方から天候が回復し、翌、月曜日は晴れでした。
 今回は温泉でゆっくりしようと考え、旅館の部屋と温泉だけで宿を選びました。10畳間に6畳間が2つつき、掘りごたつもあるという部屋は広々していました。清潔な浴室と、貸し切り風呂は2つあって、空いていれば自由に利用できるといった大らかなものでした。地場の食材を精選した食事もおおむね好評で、手配した人間としては責任を果たしたといった感じです。そして、期待していなかった紅葉には、ぎりぎり間に合ったと言えそうでした。特に、月曜日は天候に恵まれたので、紅葉がきれいでした。
 写真は利根郡川場村にある吉祥寺という寺の入口付近の写真です。この寺の伽藍や紅葉はなかなか見事でした。境内のあちこちにモミジがあり、建物や石仏に彩りを添えていました。本堂裏の庭園も紅葉が見事でした。その庭園を見ながら抹茶がいただける趣向もよく、人品卑しからぬご婦人に抹茶を点てていただき堪能できました。
 近くには、道の駅があり、地ビールや物産館など、広大な敷地にいろいろな施設がありました。家族連れでゆっくり一日過ごせる場所だと思います。お勧めのスポットとして紹介させてください。リンゴ園なども多く、美味しいリンゴが各種試食でき、安く購入できます。
 今回、蕎麦屋で天ぷらを頼んだ折、柿とリンゴの天ぷらがでてきました。珍しく思っていただくと、これが何とも美味で、それだけを単品で追加注文するほどでした。柿などは庭に1本木があると、たくさん実って大変だと思いますが、天ぷらにして食べるというのは、ぜひお勧めしたい食べ方でした。皮のついたまま、四分の一に切って揚げただけのようでした。
 またゆっくり訪ねてみたい場所です。
 

この程度? 鉄道博物館

2008-11-12 22:33:23 | 旅行
 開設1周年を過ぎて、ますます話題の鉄道博物館へ初めて行ってきました。私自身はことさら鉄道マニアだとは思いません。あえて言えば、嫌いではないし、思い出はたくさんあります。今回も、そういうことで行ってみたのですが、「この程度?」というのが偽らざる感想です。
 話題の運転シミュレータですが、私はテレビゲームやパソコンゲームをしませんし、予約してまでする気もないのでパスしました。模型鉄道ジオラマも気になりましたが、時間制で見ませんでした。すると、この博物館は、ただ30両近くの車両を並べただけの、倉庫のようなものでした。昼頃行ったので、昼食をとったのですが、懐かしい日本食堂は何の趣向もないレストランでしたし、駅弁を買って乗り込めるランチトレインというのも、ただの止まっている車両で混んでいるだけでした。大人が感傷に浸れるわけでもなく、子供達が楽しめるというふうでもなく、失礼ですが、よくこれで話題になるなあと不思議な気がしました。もっともマニアの方には貴重な展示物もあるのでしょうから、素人判断で申し上げています。
 今回唯一、C57が回転台の上で回転し、汽笛を鳴らすショーを見ましたが、ほんの2ヶ月ほど前に京都の梅小路公園の蒸気機関車資料館を見た目には、何とも物足りないものでした。私の場合、大宮の鉄道博物館に感動できなかった最大の原因は、そこでしょう。梅小路の歴史や動態保存の熱意などに比べると、大宮は想像以下でした。同じ鉄道博物館という範疇では考えない方がよいと思います。

東京文化財ウィーク

2008-11-02 23:00:16 | 旅行
 毎年11月初めに東京文化財ウィークと銘打って、都内の文化財一斉公開事業が行われています。冊子が出ていることは知っていましたが、今年初めて、それを見て、近くで行われていた現地鑑賞会に参加してみました。
 私は現在の住所に越してきて4年ほどになりますが、土地の歴史や遺跡はまったく知らずに過ごしてきました。今回、冊子を見て、毎日の通勤経路にも近い場所に、素晴らしい歴史遺構があることを知り、驚きました。今日は、教育委員会の方が小一時間にわたって解説をしてくださいましたので、普段、ただ行って見るだけというのとは違って、いろいろな発見がありました。
 自分が暮らしている土地の歴史を初めて知ることによって、土地に対する愛着が深まったのは事実です。小学生の頃、誰もが郷土の歴史を学ぶのは、地域社会への帰属意識を強めると同時に、自分のルーツを知り、自己を見つめる第一歩になるからでしょう。遅ればせながら、私は、今日、その一端に触れて、興味深く地域を見つめ直すことができました。
 参加者はほとんどが高齢の方々でした。もったいないと思います。若い方々が、もっと地域への関心を持てば、精神的にも物理的にも、地域が若い方々をサポートできるのではないかと思います。郷土の歴史を知り、理解と誇りを持つことは、アイデンティティーが稀薄になっている現代だからこそ、重要なのだと思います。
 とにかく今日は、通勤経路を少し逸れるだけで、まったく違う世界に触れ合えることを実感する一日でした。距離ではなく、時間軸の中で長い旅をした気がします。