私は建築には少なからぬ興味を抱く者であり、歴史的な建造物と聞けば見なくてはすまないようなところがあります。そうした私にとって、明治村は、貴重な建物をまとめて見ることの出来る文化財の宝庫であり、大変印象深い場所でした。
近代以降の我が国には、古いモノを捨て去り、新しいモノを取り入れていくことだけが美徳のように考える風潮があり、貴重な文化財が簡単に取り壊されていきました(それは現代も同じで、特に官僚などの皆様は、必要がなくても、ご自分の業績を作るためだけに、既存の制度等をいたずらに改変するなどして、平然としていらっしゃいます)。そうした建物を保存しようと考えた創始者の志が素晴らしいですね。なくなれば二度と再現できない「本物」を、資金と労力をつぎ込んでまで移築し、保存したことは、大変な文化的功労者でいらっしゃると思います。
広大な敷地の中で、70近い建造物を見るのは1日がかりですが、飽きることがありません。私が特に印象に残る建物は、明治村の一番奥まった場所に建つ帝国ホテル中央玄関の威容です。20世紀の巨匠、フランク・ロイド・ライトによって設計されたこの建物に入ったとき、私は建物に「意志」があることを感じて動けなくなってしまいました。その意志とは、ロイド自身のものかもしれませんし、国際的なホテルを作って列強の仲間入りを果たそうとした当時の人々の意志かもしれません。あるいは、竣工直後の関東大震災でもガラス1枚割れなかったという、強靱な建物自身の意志なのかも知れません。
メインロビーの吹き抜けを中心に、その周りに連なる、床や天井の高さを違えた多様な空間は、大階段や廻り階段から眺めると実に複雑な表情を見せてくれます。食堂前の巨大なブラケットが目を惹くかと思えば、細部には彫刻を施した大谷石や透かしテラコッタなどによって微妙な陰影が付加されており、その心憎いばかりの立体構成力には圧倒されるしかありません。建築に多少なりとも関心のある方は、必ず見なければならない作品であると断言させていただきます。
明治村を訪れる際には、国宝犬山城や茶室如庵も合わせてご覧になるべきでしょう。充実した旅行になることを保証いたします。建物をメインにする旅で、これ以上の旅はありますまい。何度でも行ってみたいです。
近代以降の我が国には、古いモノを捨て去り、新しいモノを取り入れていくことだけが美徳のように考える風潮があり、貴重な文化財が簡単に取り壊されていきました(それは現代も同じで、特に官僚などの皆様は、必要がなくても、ご自分の業績を作るためだけに、既存の制度等をいたずらに改変するなどして、平然としていらっしゃいます)。そうした建物を保存しようと考えた創始者の志が素晴らしいですね。なくなれば二度と再現できない「本物」を、資金と労力をつぎ込んでまで移築し、保存したことは、大変な文化的功労者でいらっしゃると思います。
広大な敷地の中で、70近い建造物を見るのは1日がかりですが、飽きることがありません。私が特に印象に残る建物は、明治村の一番奥まった場所に建つ帝国ホテル中央玄関の威容です。20世紀の巨匠、フランク・ロイド・ライトによって設計されたこの建物に入ったとき、私は建物に「意志」があることを感じて動けなくなってしまいました。その意志とは、ロイド自身のものかもしれませんし、国際的なホテルを作って列強の仲間入りを果たそうとした当時の人々の意志かもしれません。あるいは、竣工直後の関東大震災でもガラス1枚割れなかったという、強靱な建物自身の意志なのかも知れません。
メインロビーの吹き抜けを中心に、その周りに連なる、床や天井の高さを違えた多様な空間は、大階段や廻り階段から眺めると実に複雑な表情を見せてくれます。食堂前の巨大なブラケットが目を惹くかと思えば、細部には彫刻を施した大谷石や透かしテラコッタなどによって微妙な陰影が付加されており、その心憎いばかりの立体構成力には圧倒されるしかありません。建築に多少なりとも関心のある方は、必ず見なければならない作品であると断言させていただきます。
明治村を訪れる際には、国宝犬山城や茶室如庵も合わせてご覧になるべきでしょう。充実した旅行になることを保証いたします。建物をメインにする旅で、これ以上の旅はありますまい。何度でも行ってみたいです。