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観自在

身辺雑感を気ままに書き込んでいます。日記ではなく、随筆風にと心がけています。気になったら是非メールください!

女性ヴァイロリニスト考

2009-08-11 00:23:13 | オーディオ・音楽
 急に故郷の花火大会が見たくなって、日曜日の早朝から車を走らせて帰郷。夜には再び上京というハードスケジュールをこなして今日はいつも通りに仕事へ。多少眠気はありましたが、そこそこ仕事もこなして、夜は仕事帰りにコンサートに寄りました。
 今日はヴァイオリンとピアノだけの演奏。よく考えてみると、ヴァイオリンのソロなんて聴いたことがなく、どんなものか、興味を持って出かけました。
 最初の曲は「ラプソディー・イン・ブルー」。ガーシュインの名曲ですが、ヴァイオリンの音をしみじみと聴くと、これが大変素晴らしい。高音は硬質ながら澄んで凛とした趣があり、まるで妖精が舞い降りてきたような気がしました。演奏者はまだ若い女性で、手足が細く華奢ですが、低音の重厚さは信じられないほど逞しい。か弱い女性がよくもあれだけの音が出せるものだというアンバランスもまた魅力でした。体の動きを見ているうちに、女性の美しさを一番発揮できる楽器はヴァイオリンなのではないかとさえ思いました。ピアノやチェロ管楽器などを思い浮かべても、ヴァイオリンが一番ではないかと思えたのです。今までは、顎の下に楽器を挟んで、何だか美しくない気がしていましたが、それは偏見でした。
 以後の選曲も世界各地の曲を採り上げてバラエティーに富み、とても楽しいものでした。2時間ほどの時間はあっという間に過ぎ去りました。演奏の間中、眠くなる暇などなかったことは言うまでもありません。明らかに寝不足のはずなのに、です。平日の夜、勤め帰りにコンサートが聴けるというありがたさは何とも言えないものでした。ヴァイオリンのソロ演奏、またぜひ聴きたいものです。

スーパースター

2009-07-21 23:01:30 | オーディオ・音楽
 小学生の頃、ラジオが流行りました。私は、姉の卓上のステレオや買ってもらった3バンドの高性能ラジオなどで、夜の番組を中心に聞いていました。当時、大橋巨泉さんがDJをやっている番組があり、そこで初めて聴いたのがカーペンターズの「スーパースター」でした。音楽を聴いて、あれだけの衝撃を受けた経験は、後にも先にもあのときだけでしょう。カレンの透明感にあふれた声が魅力的だと言われますが、私は、ハスキー系の方が好きなので、ボーカルの声自体に感動したわけではありません。出だしの数小節を聴いただけで、文字通り鳥肌が立ちました。あの重層的な電子楽器の音に魅了されてしまったのです。
 なぜ急にカーペンターズの「スーパースター」かというと、先日、整理をしていた際に、ドーナツ盤が偶然出て来たのです。「ドーナツ盤」などという言葉も堂々とした死語になってしまいました。前にも書きましたが、アナログプレーヤーさえ手元にはないのに、ドーナツ盤だけがあるというのも奇妙な話です。実は、このカーペンターズの「スーパースター」のドーナツ盤こそ、私が生まれて初めて自分で買ったレコードなのです。この際ですから、私の青春の思い出として写真もアップしておきましょう。もちろん発売当時のオリジナルです。ちなみに、次に買ったのは、グルノーブルオリンピックだったかのサウンドトラックからシングルカットされた「白い恋人達」というインストルメンタルでした。
 この後、カーペンターズはブレイクし、今でも彼らが残した多くの名曲を耳にします。拒食症でカレン亡き後も、歌は歌い継がれていくのですね。何だか切なくて聞く気にはなれません。今、1曲だけ聴くとしたら「青い影」でしょうか。バートバカラックの名曲です。

この人を応援したい

2009-06-08 13:51:10 | オーディオ・音楽
私はいろいろな音楽を何の節操もなく聞いていますが、やはりジャズが一番いいかなあと思っています。ジャズも、特に入れ込んでいるアーティストやジャンルがあるわけでもなく、強いて言えばヴォーカルがかなり好きかもしれません。
 さて、最近、よく聴いているアルバムが、グレース・マーヤ嬢の「the look of love」です。2006年10月発売のアルバムですが、これがファーストアルバムだとは信じられない代物です。もっとも、このグレース・マーヤ嬢は、ホームページによると3歳からクラシック・ピアノ、ヴァイオリン、バレエを習いはじめ、4歳でピアノ・コンクール入賞、9歳でパリ留学した経歴の持ち主。何と日本語、英語、ドイツ語、フランス語に堪能で、1997年にはドイツに留学し、フライブルグ国立音楽大学ピアノ部門卒業後、2001年、大学院に進学して音楽研究の研鑽を積んだとあります。現在は各地でコンサート活動を続けているようですが、もっと評価されてよいミュージシャンであると以前から思っています。天は二物を与えずと言います。でも、彼女は例外ですね。セクシー・ヴォイスもルックスも素晴らしい才女です。
 このファーストアルバムでは、スタンダードからポップスまで幅広いジャンルで実力を発揮しています。どの歌唱をとっても素晴らしい。一番好きな歌を選ぶのは大変ですが、強いて挙げれば「my way」です。まあ、私の年代では定番的な曲で、オヤジの歌的な気はします。彼女の歌唱は、肩の力を抜いて、それでいて気持ちのこもった、実に見事な「my way」です。きっと、これまでの彼女の人生が密度の濃い、素晴らしいものだったからこそ、ああいう歌い方が出来るのでしょう。若い「my way」ながら、信念と情熱を感じることのできる出来映えです。
  

週明けからひとりでミニコンサートに行きました。

2009-06-01 22:30:20 | オーディオ・音楽
 仕事帰りにコンサートに寄れるなんて最高です。しかも月曜からですから、我ながら優雅なものです。というわけで、今日も、勤務先の近くのホールへ行きました。200人入らない小さなホールで、今日はソプラノとテノールの歌曲を聴きました。少し寝不足のせいもあり、最初は本当にいい気持ちで聴いていました。こんな聴き方があってもよいなあと感じるほど。至福の時といのは、半分寝ながら感じるものかも知れません。
 リヒャルト・シュトラウス作曲の作品を特集した企画で、私は初めて聴いて、その甘美で官能的な楽曲に酔いしれたという感じでした。歌曲というと、敷居が高く、あまり面白くなさそうな気がしますが、今回はピアノの伴奏だけでじっくり聴くのも悪くないと思いました。スタインウエイのピアノは残響がとても美しく思えました。リヒャルト・シュトラウスの楽曲は、歌手の方に言わせると、とっつきにくく、和音の進行も独特で、歌うのは難しいそうです。しかし、歌手の方はさすがで、歌詞だってドイツ語で暗記しているし、もちろん暗譜しているのでしょう。余裕が感じられ、素晴らしい歌唱でした。
 これに気をよくして、月に1回程度行けるように、予約を取りました。

女性だけのコンサート

2009-05-09 00:50:54 | オーディオ・音楽
 昨日は、仕事帰りにコンサートに行きました。女性ばかりの出演者です。皆さん、音楽大学を出たあとは、音楽活動を続けている方ばかり。コンサートをしたり音楽教室で教えたりしていらっしゃいます。まあ、そういったお友達同士で、コンサートを開くというのは、何とも幸せだと思います。
 近くのホールが会場でしたが、思いの外、盛況でした。やはり、お友達や音楽教室の教え子の方々が見えていたようです。かくいう私も、音楽教室に通う知人の紹介で出かけた次第です。
 今回はクラシックで全10曲。声楽の方、フルート、ピアノ、テナーサックス、アルトサックスなど、いろいろな楽器を使って多彩な曲を演奏してくださいました。
 女性のアーティストはよいですね。きらびやかなドレスを着替えて登場してくださるので、耳だけでなく、目も楽しませてもらった感じでした。
 妙なる音楽を聴きながら、今週の疲れが癒される気がしました。帰省や上京、その後の出張など、忙しい一週間でした。一緒にコンサートに行ったくだんの知人も、最近は膝が痛くて医者に行った由。そんなことが話題になると歳をとったものだと思います。

私のオーディオ遍歴(2)

2009-04-21 14:27:28 | オーディオ・音楽
 さて、その後、アンプとスピーカーの相性が悪いことが気になっていました。あるとき、何気なく秋葉原に行ってみると、サンスイのα607MOS・PREMIUMというアンプが鳴っていて、そのウォームトーンが気に入り、衝動買いしてしまいました。さらに、レコードからCDの時代を迎えており、私もCDプレーヤーを買い足しました。デンオン(現在はデノン)のDCD-1650GLという機種でした。
 私は引越を繰り返しましたが、アーデンMKⅡは、いつも梱包して持ち運んでいました。しかし、さすがに大きくて設置が難しいこともあり、ある時期は梱包したまま納戸に入れ、新たにB&W社のMATRIX805という小型スピーカーを購入して聴いていたこともありました。
 ここまでが新品のオーディオの時代です。その後は、アンプの非力が気になりだして、いろいろ探した揚げ句、ヤフオクで銘機サンスイのα907iMOS・LIMITEDを落札しました。本当はダブルイレブンが欲しかったのですが、なかなか状態のよいものがなく、古い機械に10万円以上出すのもどうかと考え、とりあえず押さえておこうという感じで入手したものです。オークションは初めてで不安もありましたが、大変程度のよいものが安価に入手できたのはよかったと思います。音も想像以上のものでした。
 このシステムで長く聴いていましたが、遂にアーデンMKⅡのエッジが壊れ、修理か買い換えかで悩みました。部品の劣化を考えればメンテナンスには多額の費用がいると考え、手放すことにしましたが、大型スピーカーは買い取りが難しいらしく、査定を受けても悲しいような額しか出て来ませんでした。しかし、辛抱強くメールを出し続けた結果、遂にほぼ希望額で引き取るという業者が現れ、そこに買い取りをお願いしました。宅急便代が高額になったため、費用の半額を負担してもらったり、大変親切な業者でした。
 入れ替えに購入したのが、B&W社のMATRIX802S3という銘機でした。これも秋葉原のダイナ・トレードセンターに行ったときに鳴っていたのを聴いて決断しました。入ってきたばかりというタイミングで、即決でした。
 直後に、CDプレーヤーが壊れ、新宿のダイナから購入したのが、先日修理から戻ったESOTERIC X-30VUでした。販売店さんでもヴァージョンアップ品とは知らなかったとのことで、得をしました。
 そして最後の購入がマッキントシュのMA6900です。新宿のオーディオユニオンで、かなり安価でよい状態のものが手に入りました。これについては過去に書きました。
 今後は、スピーカーをJBLにすることが悲願です。しかし、最近はステレオを聴く機会もすっかり減り、家人とも音楽の趣味がまったく合わず、悲願達成は不可能だと思います。セッティングを工夫したりして、今後はお金をかけない工夫をしていくつもりです。

私のオーディオ遍歴(1)

2009-04-20 20:37:10 | オーディオ・音楽
 大学生の頃から、それなりのステレオ装置を買いたいと思っていました。実家では、私が中学生の頃に、大型の4チャンネルステレオを購入しました。プレーヤーとレシーバーが一体となったメカを家具のような箱の中に納めたものです。フロア型の大型スピーカーが付属していました。たしか東芝のボストンという製品だったと思います。松下がテクニクスというブランド名を使っていたように、東芝はオットーというオーディオのブランド名を使っていたと記憶しています。
 大学に入り、アパートで一人暮らしを始めるにあたり、初めてコンポーネントを買ってもらいました。トリオのプリメインアンプとテクニクスのプレーヤー、それにヘッドホンだけのシステムでした。2年後にはヤマハのNS-10Mという小型スピーカーを購入して、聞けるようになりました。
 その後、就職し、初めてのボーナスで憧れのコンポを買うことにしました。京都では寺町の電気店街を歩いて考え、大阪の日本橋で初めてローンを組みました。プリメインアンプにサンスイのF-907F、プレーヤーはパイオニアのPL-50L、そして、スピーカーがタンノイでアーデンMKⅡでした。本当は、ヤマハNS-1000Mというロングセラーがあり、それを買うつもりでしたが、京都の嵐山、二尊院の近くにある喫茶店に入ったときのこと、コーヒーの旨さにも驚きましたが、そこに置かれたアーデンのたたずまいや音に魅了され、ヤマハの地位が揺らぎ始めていました。購入当日まで迷い、両方のスピーカーが置かれた店を探して比較したところ、アーデンの大型ユニットの持つ余裕に対し、ヤマハは繊細過ぎる気がして、アーデンを選びました。すでにアーデンMKⅡは生産終了になっており、かなり値引きしていました。このシステム、今にして思えば、アーデンと907Fも、あまりよい相性ではなかったと思います。でも、当時は、憧れのコンポを手に入れて、点にも昇る気持ちでした。(つづく)

お勧めのCDは

2009-04-07 00:09:26 | オーディオ・音楽
 最近は情報に疎くなり、CDを買おうにも、何を買ってよいのかわからないといった体たらく。先月、何か癒されるような曲はないかと、ネットを見ているうちに行き当たったのがこのアルバム「Live At Blues Alley」でした。アーティストはEva Cassidy。聞いたことのないシンガーでした。それもそのはず、彼女は1996年にガンのために他界しており、発売されているCDも4枚しかないということです。33歳の若さでした。地元のワシントンDC以外ではほとんど無名だったそうです。
 私が重宝しているのが、アーティストやアルバムに関する解説や口コミですが、amazonの解説にはEva Cassidyについて次のように書かれていました。
 「エヴァ・キャシディのボーカルには、アレサ・フランクリンのソウルとビリー・ホリディのくすんだメランコリーとジャニス・ジョプリンの生々しい情熱がひとつに溶けあっている」
 アレサ・フランクリン、ビリー・ホリディ、ジャニス・ジョップリンと言われたら、もう買うしかないでしょう。比較的安価なこともあり(私には大変に重要な要素)、即決で購入しました。
 選曲はジャズを中心としており、そこにブルース、ソウル、ロック、フォークといった多彩なフィーリングが折り込まれている。一聴して「解説に偽りなし」と納得できました。若いアーティストでありながら、まさに、あの3人のテイストを見事に備え、表現している。高いレベルの内容にもかかわらず、ライブ盤であることも驚きです。随分自由にアレンジしている感じですが、不思議と違和感がなく、彼女の解釈と表現力に脱帽するしかありません。
 本と同様、作品の新旧や流行にはとらわれずに音楽も聴いています。最近の女性ジャズシンガーではSophie Milman 、グレース・マーヤに感動していましたが、新たにEva Cassidy を加えなければなりません。他のアルバムも是非聴いてみたいと思います。

電子ピアノ

2009-03-09 00:10:09 | オーディオ・音楽
 少し前から電子ピアノの情報を集めていました。購入候補をヤマハCLP-330、ローランドHP203、カワイL-51に絞って、あとは実際に音を聞き、鍵盤のタッチを確かめてからと思っていました。
 今日、時間が出来たので、楽器店を訪ねました。結果、電子ピアノという範疇の楽器は、それほどの違いはないだろうと軽く考えていたのが、そうではないと思いしらされました。
 店員さんが、まずヤマハのグランドピアノを弾いてくれ、その音色を確認。ふくよかな音の広がりと力強さはさすがです。次に電子ピアノの鍵盤の説明を、ローランド、ヤマハ、カワイについて説明してくれました。グランドピアノの、途中で抵抗が増し、その後すっと軽くなるというクリック感が再現されていたのはローランドだけでした。その店がローランドの音楽教室をしていて、どうしてもローランドに力が入るようだと警戒しながら話を聞きましたが、そのタッチは歴然としていて、PHAⅡ鍵盤の優秀さは認めざるをえませんでした。ヤマハは固すぎ、カワイの木製鍵盤にもそれほどのメリットは感じられませんでした。
 次に、音色では、カワイが特殊な感じでした。私には、大変電子的な音に聞こえ、スピーカーの音が際だつというか、シャリシャリしているというか、響きは華麗でしたが、アコースティクな音ではありませんでした。明らかに、電子ピアノという楽器の音を作ろうと意図した音で、飽きがきそうな気がしました。ヤマハもややオーディオ的な感じがしました。しかし、程よく華麗で、私には一番好ましく感じられました。ローランドの音は意外に真面目で、ちょっと聞くと3社の中では、一番おとなしい印象でした。けれど、グランドピアノに近い音色のように思いました。考えてみれば、アコースティックを作っていないのはローランドだけで、ヤマハやカワイは、電子ピアノが気に入らなければ、普通のピアノを買ってくださいと言えるわけですが、ローランドは電子ピアノしか作っていないので、これで勝負するしかないわけです。そんな差が音作りにも表れたのかしれません。
 機能の多彩さも含めると、この価格帯ではローランドかなあと思いました。ただし、ヤマハCLP-330がなく、比較したのは型落ちのグラビノーバなので、今日のところは決定的なことは言えません。

CDプレーヤー修理

2009-03-04 09:25:13 | オーディオ・音楽
 CDプレーヤーの愛機、エソテリックX-30のトレイが開閉しなくなり、先日、ティアックの修理センターに自分の車で持ち込みました。宅急便で精密機械を運ぶのは躊躇されたので、仕事を休んで出かけました。見積もりが来て見ると、トレイについては駆動するプーリーやベルト、スイッチ類が劣化しているとのこと。部品代は800円ですが、工賃が1万円程度とかなり高額です。また、今回の故障箇所とは別にピックアップの劣化も指摘されました。こちらは部品代が2万円、工賃が6千円程度のようです。しかたがないので、今回4万円ほどかけて、修理することに決めました。
 X-30は05年に生産が終わっているCD専用機です。重量が25キロあり、頑強な作りのシャーシにVRDSメカニズムを搭載しています。デノンに比べれば、切れ込みが深い、現代的な音作りになっています。中古で購入しましたが、累計使用期間7~8年程度で、これだけ劣化するものかと驚かされます。明るくメリハリのきいた音を出すCDPは、同価格帯にはそうないと思いますし、今回の投資であと5~6年使えるなら大切にしてやりたいと考え、修理を決めました。劣化部品の交換や調整で、音の向上も期待されます。ただし、私の耳で、どの程度わかるかは疑問ですね。
 アンプやスピーカーと違って、回転系のCDプレーヤーは中古でないほうがよいかもしれません。これだけ劣化が激しいことを思うと、教訓になりそうです。

平日のコンサート

2009-02-25 22:25:11 | オーディオ・音楽
 勤め人が7時に始まるコンサートに駆けつけるのはしんどいですね。会議が延びて、それでも何とか間に合ったのはラッキーでした。
 レセプションルームで開かれたコンサートはワンドリンク付き。選択の余地無く、缶ビールをもらって席に着くとすぐに開演でした。松島啓之氏はジャズトランペッターとして活躍中のアーティスト。今回は、ピアノの吉岡秀晃氏、ベースの井上陽介氏とのトリオでした。トランペットというのは吹きっぱなしというわけにはいきませんから、やはりピアノとベースの演奏時間が長くなります。松島氏は一番年下ということもあったのか、二人の演奏になかなか入り込めなかったような感じでした。遠慮があったのでしょう。
 ピアノの吉岡氏は根っからのジャズマンでした。流麗なメロディーラインはクラシックのようでもあり、コミカルなベースとの掛け合いはコメディアンであり、情熱的で音の粒が一つずつ立つような演奏はジャズの楽しさを存分に堪能させてくれました。求道者のような松島氏とは対照的な気がしましたが、絶妙の取り合わせだったかもしれません。ベースの井上氏も温かさを感じさせる演奏で、ずばらしい雰囲気を醸し出していました。
 松島氏のトランペットは、非常に真面目で好感が持てました。とても端正で丁寧な演奏だったと思います。ジャズのトランペットをメインに聞いたのは初めてでしたが、何か懐かしい音色でした。豆腐屋さんのラッパを思い出したからではないでしょうが、南洋の夕暮れの空を思い出しながら聴いていました。
 休憩時間に2本目のビールを調達に行くと、何と無料でした。すごく徳をした気になりました。気に入らなかったのは、前の熟年カップルですかね。夫婦ではないようでしたが、とても楽しそうに演奏を聴いていました。あんなのが私の理想なのですが。

港町十三番地

2008-12-22 22:01:21 | オーディオ・音楽
 「長い旅路の航海終えて 船が港に戻るころ」美空ひばりさんの名曲「港町十三番地」の冒頭は、確かこんな歌詞だったと思います。ご存じの方は、相当年配でいらっしゃいますね。
 年末が近づくと、なぜかこの歌を思い出します。幼心に見た、紅白歌合戦のひばりさんの熱唱を思い出すのでしょうか。それとともに思い出すのが、もうずっと以前に亡くなった伯父のことです。
 伯父は私の故郷の出身でしたが、若くして夢を描いて上京しました。サラリーマンになった後も、稀に帰省していましたが、私の父と酒を飲むのを楽しみにしていました。父は、「大酒飲みで気持ちのいい男だった」と伯父を評していました。父に酒をつぎながら、自分は強い焼酎を飲んで合わせていたといいます。それほどの酒豪でした。
 伯父には、私の故郷の「港町」という所に実家がありました。小学生の頃、どうしてか忘れましたが、伯父を送って行ったことがあります。タクシーの中で、伯父はずっと法螺話をしていました。アポロ宇宙船を造ったのは自分だとか、荒唐無稽な話でした。私は腹を抱えて笑った記憶があります。街路灯の明かりでときどき浮かび上がる伯父の顔も愉快そうでした。本当に楽しい酔っぱらいでした。あんな楽しい酒飲みには、その後も出会ったことはありません。
 あれが年末のことだったのかどうか、私の記憶も定かではありません。でも、年末になると決まって甦る思い出です。あの美空ひばりさんの名曲とともに。

世界で一番美しい曲は?

2008-12-18 21:33:01 | オーディオ・音楽
 「慕情」は1955年に公開されたアメリカ映画です。原作は、ベルギー人と中国人の血を引くハン・スーインの自伝です。第二次世界大戦後の香港、ヒロインは勤務医で、未亡人です。彼女は英国人の特派員マーク・エリオットと知り合い、恋に落ちますが、エリオットには別居中の妻がいました。やがて朝鮮戦争が起こり、派遣されたエリオットが戦死するという悲恋物語です。
 この映画の主題歌は、サミー・フェインによるもので、映画音楽史上の名作と言われるものです。お聞きになれば「ああ、あれね」と、すぐにお気づきになるくらい、ポピュラーな作品です。
 私もいろいろな機会に耳にしていましたが、衝撃的な出会いは、寺内タケシ氏の演奏でした。彼のクリスマスコンサートに通っていた時期があるのですが、「慕情」の演奏では、決まって冒頭に大きな銅鑼が鳴らされます。そして、その余韻が消えるか消えないかという絶妙なタイミングで、ベースがかぶさってきます。その最初のメロディーは、銅鑼の余韻が残る分だけ、より強く感じられる静寂を切り裂き、大音響で鳴り響きます。爆発寸前の緊張が、突然提示されること自体も衝撃的な快感をもたらしますが、ピークメーターが振り切れた状態が続いた後、再度主題が現れるときは、今度は、あたかも階段を駆け上がるような、或いはスピードスケートのスタート直後の足運びのような、何と言ったらよいのか、溜めて溜めて溜めていたものが、クライマックスに向かって解放されていくような「快感」を感じさせもします。
 最初にその演奏を聴いたとき、いきなり涙があふれ流れ出したのに、自分でも狼狽してしまいました。私は嗚咽を抑えるのに必死で、涙は首筋から胸元まで達していました。私は映画の「慕情」を見ていませんので、映画のストーリーが浮かんできたというようなことはありません。どうして、何に反応して涙が出るのか、私自身にもわかりませんでした。それを確かめようと、寺内氏のステージを1日に2回聴いたこともあります。二度目に聴いたときには、銅鑼の音だけで涙があふれてきました。
 さすがに、涙が流れるのは生のステージを聴いたときだけで、CDでは、そんなことはありません。寺内氏以外の演奏では、泣くほどではありません。ツボにはまるという言葉がありますが、寺内氏の「慕情」は、私の心のツボにはまってくるのでしょう。そんなふうにしか説明のしようがありません。絵を見ても泣くし、最近は「紅白歌合戦」を見ても号泣している私です。涙腺が弱いと言ってしまえばそれまでですが。
 「慕情」は、私にとって世界で最も美しい曲です。あなたには、そんな曲がおありですか?

ナベサダ健在!

2008-12-08 22:59:08 | オーディオ・音楽
 渡辺貞夫氏の「クリスマスコンサート2008」の初日を見て参りました。オレンジエクスプレスのライブを拝見したのが最後なので、本当に久しぶりのステージでした。
 氏の音楽活動は、最近、ブラジルとアフリカに入れ込んでいらっしゃるようなので、ちょっとどうかなという感じで参りましたが、歯切れのよいサックスは健在で、耳に馴染むメロディーラインは、初めて聴く曲ばかりでも、気持ちよく入っていくことができました。
 今回のメンバーは、ファビオ・トーレス(p)、マルセル・パウエル(g)、ロドリゴ・ヴィーラ(b)、サンドロ・アラウージョ(ds)、ドグラス・アロンソ(per)、ファビアーナ・コッツァ(vo)という、本当に若い人達でした。渡辺氏は、ときどき演奏しながら指示を出して、観客から笑いも起こっていました。2日間しかリハーサルしていないそうですが、なかなかよい演奏だったと思います。これからツアーを重ねたら、もっと楽しい演奏になるでしょう。
 今回は、亡くなったバーデン・パウエル氏の曲が多く演奏されました。彼はブラジルでは人気の音楽家だったようです。その子息が、今回ギターを担当していたマルセル氏で、アコースティックギターの腕には非凡なものが感じられました。
 私が今回一番感動したのは、ヴォーカルのファビーナさんでした。堂々とした体躯の持ち主で、声量があるのに、少しハスキーで、好みの歌い方でした。表情も音感も感じられる歌声に魅了されました。控えめな態度にも好感が持てました。
 ピアノのファビオさんもグランド、電子ピアノ、キーボードと一人で大活躍でした。パーカッションのドグラスさんも大きな体で、太鼓だけでなくいろいろな楽器をならして活躍していました。
 観客に若い方が少ないのが残念でした。私も、知人のサックスを生で聴くようになってから、その奥深さを再認識していますが、渡辺氏の演奏は素晴らしいものでした。本当は往年のナンバーも聴きたかったのですが、氏はコンサートでは昔の曲をやりませんね。後ろは振り向かないという気概を感じます。2時間以上のコンサートにはほとんどトークもなく、演奏勝負という感じでした。皆さんも、ぜひ刺激を受けていただきたいと思います。
 
 
 

レコードを見直そう?

2008-11-24 08:54:34 | オーディオ・音楽
 ハイパーソニックエフェクトという言葉をご存じでしたか? うかつにも、私は知りませんでした。
 人間の脳は、人の声に敏感に反応するようにできているので、音楽でも歌声が人の心を動かすというのは道理に合っています。その声は、普通20~20キロヘルツの帯域に収まるようですが、中には50キロヘルツ、100キロヘルツといった高周波が含まれることもあり、その複雑に揺らぐ音が、脳を活性化し、α波を出したり、ストレスを軽減するなど、生理的、精神的効果のあることが明らかにされています。
 高周波成分を含む歌声は、50キロヘルツくらいなら、ブルガリアの民族音楽のように合唱の方がよく出るのだそうで、声と声がぶつかることで、高周波が生まれるということです。これが、ドーパミンを分泌し、脳に快感や幸福感を与えるのです。この高周波ですが、レコードには含まれても、CDには入っていないそうです。
 私は長らくCD専用機を使っており、アナログプレーヤーはしまったままでした。CDの音は薄いと言われてきましたが、あまり気にしたことはありません。音質が機械的で無機質な気はしましたが、それがCDの特徴なのだと理解していました。音楽を聴いた感動が、以前ほど感じられなくなったのは、年齢のせいだと思っていました。もし高周波の有無に原因があるとしたら大問題です。ここは、実家に置いたままのアナログプレーヤーを取り寄せ、試してみなければなりません。
 お手元にアナログプレーヤーをお持ちの方は、すぐに比較実験をされてはいかがでしょうか。