小惑星探査機『はやぶさ2』の大挑戦 山根一眞 講談社ブルーバックス
また宇宙モノです。すでに打ち上げられた「はやぶさ2」が発射される以前に、発射までの歩みを広く紹介したいという思いによって書かれた本です。前半部は、先代のはやぶさが地球帰還を果たした後に行われた、イトカワの塵の分析等について報告されています。それにしても、スタッフの皆さんは、先代のハヤブサが運用されている時期から、はやぶさ2の開発に着手し、仕事を進めていたことを知って、大変驚きました。先々のことを考えながら計画的にプロジェクトを進めていくことは、私のような無精者にはまねができません。
今回のはやぶさ2のミッション中、最大のものが、先代のはやぶさで思うように行かなかったサンプル収集方法です。はやぶさでは弾丸を発射できなかったために、大きなサンプルを持って帰ることができませんでしたが、やはぶさ2では、小惑星の上空から特殊な火薬の入った爆弾を発射し、表面にクレーターを作り、風化していないサンプルを得る予定です。もっともこのミッションは、サンプルを採取するのと同等程度に、宇宙での衝突実験をすることで、惑星の起源をさぐるという目的もあります。面白いのは、まともにやればはやぶさ2自体も破損する恐れがあるため、爆弾を撃った直後にはやぶさ2は避難し、分離されたカメラがその模様を撮影するという方法がとられることです。その様子を想像するだにユーモラスで楽しい気がしますが、メカニズムやプログラミングを考えれば大変なことだと思います。
また、はやぶさでは故障してしまったイオンエンジンの雪辱も課せられています。はやぶさのイオンエンジンの推力は1円玉1つを動かす程度のものらしい。周知のとおり、4つのエンジンは次々に故障して、最後は1つのエンジンだけで地球帰還を果たしたのでしたが、そのDエンジンは噴射と停止を繰り返しながら18000時間稼働しました。故障原因の一つは燃料漏れとその凍結などで、ヒーターを節約したために起こりました。ちょっとしたことが大事故につながるという見本です。
はやぶさ2のエンジン出力はもう少し大きいようですが、先代と違って長期にわたる耐久テストは不要だそうです。コンピュータによるシュミレーション技術が進んだためということで、だんだん検査方法なども変わるものだと感心しました。
この本を読んで、日本の宇宙開発は前途多難だと思いました。最初はペンシルロケットから始まった歴史もありますが、倹約的というか、国の予算は少なく、はやぶさプロジェクトを成功させるほどの技術力を持ちながら、より大きなプロジェクトにチャレンジできません。万事、経済優先の体質は変わっていないようです。はやぶさがどれだけ、社会に明るい光を与え、子供たちに夢を提供したか、考えてほしいと思います。
また宇宙モノです。すでに打ち上げられた「はやぶさ2」が発射される以前に、発射までの歩みを広く紹介したいという思いによって書かれた本です。前半部は、先代のはやぶさが地球帰還を果たした後に行われた、イトカワの塵の分析等について報告されています。それにしても、スタッフの皆さんは、先代のハヤブサが運用されている時期から、はやぶさ2の開発に着手し、仕事を進めていたことを知って、大変驚きました。先々のことを考えながら計画的にプロジェクトを進めていくことは、私のような無精者にはまねができません。
今回のはやぶさ2のミッション中、最大のものが、先代のはやぶさで思うように行かなかったサンプル収集方法です。はやぶさでは弾丸を発射できなかったために、大きなサンプルを持って帰ることができませんでしたが、やはぶさ2では、小惑星の上空から特殊な火薬の入った爆弾を発射し、表面にクレーターを作り、風化していないサンプルを得る予定です。もっともこのミッションは、サンプルを採取するのと同等程度に、宇宙での衝突実験をすることで、惑星の起源をさぐるという目的もあります。面白いのは、まともにやればはやぶさ2自体も破損する恐れがあるため、爆弾を撃った直後にはやぶさ2は避難し、分離されたカメラがその模様を撮影するという方法がとられることです。その様子を想像するだにユーモラスで楽しい気がしますが、メカニズムやプログラミングを考えれば大変なことだと思います。
また、はやぶさでは故障してしまったイオンエンジンの雪辱も課せられています。はやぶさのイオンエンジンの推力は1円玉1つを動かす程度のものらしい。周知のとおり、4つのエンジンは次々に故障して、最後は1つのエンジンだけで地球帰還を果たしたのでしたが、そのDエンジンは噴射と停止を繰り返しながら18000時間稼働しました。故障原因の一つは燃料漏れとその凍結などで、ヒーターを節約したために起こりました。ちょっとしたことが大事故につながるという見本です。
はやぶさ2のエンジン出力はもう少し大きいようですが、先代と違って長期にわたる耐久テストは不要だそうです。コンピュータによるシュミレーション技術が進んだためということで、だんだん検査方法なども変わるものだと感心しました。
この本を読んで、日本の宇宙開発は前途多難だと思いました。最初はペンシルロケットから始まった歴史もありますが、倹約的というか、国の予算は少なく、はやぶさプロジェクトを成功させるほどの技術力を持ちながら、より大きなプロジェクトにチャレンジできません。万事、経済優先の体質は変わっていないようです。はやぶさがどれだけ、社会に明るい光を与え、子供たちに夢を提供したか、考えてほしいと思います。