山頭火つれづれ-四方館日記

放浪の俳人山頭火をひとり語りで演じる林田鉄の日々徒然記

冬はいつ来るのやら…

2018-12-04 00:00:24 | 文化・芸術
師走だというのにこのところ20℃近い暖かさが続いている。
週間天気予報によれば、なお3日ほどは高温が続くという。
地球温暖化の原因については<温室効果ガス>の主因説がほぼ確定的とみられるというのに、
G20では、米国のトランプ大統領が昨年6月に<パリ協定>からの離脱宣言をしたままで、以後1:19の構図は変わらず膠着状態のままだ。


 ――図はJCCCA-全国地球温暖化防止活動推進センター-による
      「1950~2100年までの気温変化-観測と予測」


定説を覆す<lesser blain-小脳> -2008.03.18記

別冊日経サイエンス「感覚と錯覚のミステリー -五感はなぜだまされる」のなかの
「小脳の知られざる役割」-J.M.バウアー/L.M.パーソンズ-の小論はかなり関心を惹くものだった。
「little」の二重比較級「lesser」-より劣った、より小さい-些か情けなくなるような語を冠せられた「lesser blain-小脳-」は、ヒトの後頭部、脳幹の上に、大脳半球を覆う皮膚の下に位置する脳組織で、大きさは野球のボールほど、劣ったちっぽけな脳と名づけられているにも拘わらず、これを平たく延ばしてみると、その表面積は、大脳の左右半球の片側に匹敵するほどの広さに匹敵する、というのにまず一驚。

小脳が運動を司るという仮説は、19世紀半ばに複数の生理学者によって提唱された。小脳を取り除くと身体の動きの統御がうまくとれなくなることが判ったからだ。
しかし最近の研究から、それは過去の常識となりつつある。ここ15年間ほどの最近の研究では、小脳に損傷を負うと、言語や視覚・聴覚など五感にさまざまな障害が起きることが判ってきた。
最近では、小脳がワーキングメモリーや注意力、計画や予定の立案といった知的活動、情動の制御などと関係していることを示す研究が増えている、と著者らは曰う。



触覚刺激に対して小脳はとりわけ活動が活発化するらしい。
その活性化マップは、刺激を受けた体表の位置とその信号を受けとる脳の領域との空間的な位置関係が対応している大脳の場合とは異なって、バラバラに断片化された配置図となっている、という。
この事実に表れていることは、五感の知覚情報などに対し、小脳と大脳が互いに機能分化しているのではなく、階層的な構造を有している、ということになるのだろう。
どうやら小脳は、従来の定説から大きく逸脱して、触覚を中心に五感の知覚情報をコーディネートすることを担っているとみえる。

小論の末尾あたり、とりわけ私の関心を惹いた著者らの作業仮説を惹いておく。
運動機能の統合に関する研究によると、小脳に損傷を受けた人は動きが鈍く単純になる。
これは質の高い知覚情報が得られなくなったことに対処するための合理的な戦略だ。
この考えをさらに敷衍すると、興味深いことに、小脳を完全に取り去るよりも、欠陥のある小脳が機能し続けるほうが、より深刻な問題を引き起こすと考えられる。
感覚情報の制御機構を完全に失ったときは脳の他の組織が補えるが、不完全な制御機構が動いていると、別の領域が質の悪い情報を使おうとする結果、機能障害が続くだろう。
この種の影響によって、知覚情報にうまく応答できない自閉症のような疾病と小脳の関係を説明できるかもしれない。

些か怖くなるよう仮説だが、もしこれらのことがよくよく解明されれば、知的障害者への外科的治療などという行為も近未来起こり得ることになるのかもしれない。


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