山頭火つれづれ-四方館日記

放浪の俳人山頭火をひとり語りで演じる林田鉄の日々徒然記

枯草ふんで女近づいてくる

2009-11-28 22:43:34 | 文化・芸術
Alti2006029

―山頭火の一句― 昭和5年の行乞記、12月22日の稿に
12月23日、曇、晴、熊本をそまよふてSの家で、仮寝の枕!

けふも歩きまはつた、寝床、寝床、よき睡眠の前によき寝床がなければならない、歩いても歩いても探しても探しても寝床が見つからない、夕方、茂森さんを訪ねたら出張で不在、詮方なしに、苦しまぎれに、すまないと思ひながらSの家で泊る。

※表題句は、12月21日付記載の句から

―四方のたより― Sou Mon-相聞Ⅲ-

今日のVideoは、2006年のAlti Buyoh Festival参加作品「Sou Mon-相聞Ⅲ-」のScene.1
小嶺由貴と末永純子によるImprovisation Duo、Piano演奏は杉谷昌彦。
法月紀江に依頼した衣裳がよく踊りとマッチした。


Sou Mon-相聞?-Scene.1-by四方館-Alti Buyoh Festival 2006


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つめたい眼ざめの虱を焼き殺す

2009-11-26 12:03:00 | 文化・芸術
Dc090926232

―山頭火の一句― 昭和5年の行乞記、12月22日の稿に
12月22日、曇、晴、曇、小雪、行程5里、本妙寺屋。

一歩々々がルンペンの悲哀だつた、一念々々が生存の憂鬱だつた、熊本から川尻へ、川尻からまた熊本へ、逓信局から街はづれへ、街はづれから街中へ、そして元寛居であたたかいものをよばれながらあたたかい話をする、私のパンフレツト三八九、私の庵の三八九舎もだんだん具体化してきた、元坊の深切、和尚さんの深切に感謝する、義庵老師が最初の申込者だつた!
寒くなつた、冬らしいお天気となつた、風、雪、そして貧!

※表題句は、12月4日付記載の句から

―日々余話― 待てど暮らせど‥

特段忙しかった訳ではない、のんびりと自堕落なままにうち過ごしているうちに、とうとう4日ぶりの投稿となってしまったのだ。まあ偶にはこんなこともあろう。図書館に返さねばならない本も期限を切らしたまま打っちゃっていたのだが、今朝やっと返してきた。

もう11月も末に近く、今年もあと師走をのこすのみだが、待ち人ならぬ、待たれる便りは未だ来ず、このまま12月に突入しようというのだろうか‥、事はすでに胸突き八丁を越えたればこそ、ただ待つばかりの日々が、なにやら心波立ち騒がしくもある。胸の奥底で、もう好い加減にしてくれ! と叫び出したくなるのを、やっと抑えているような始末だ。

―四方のたより― 風神雷神-ふうじんらいじん-その2

「出遊-あそびいづらむ-上弦月彷徨篇-じやうげんのつきさすらひへん-」
Scene.7-2「風神雷神-ふうじんらいじん-」
の後半部は、デカルコ・マリィと山田いづみに、JunkoとAyaも加わっての乱舞、演奏はViolaの大竹徹氏とPercussionの田中康之氏、Time-6’45”


出遊-上弦月彷徨篇/Scene.7-2-風塵雷神-ふうじんらいじん-


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道はでこぼこの明暗

2009-11-22 16:58:20 | 文化・芸術
Dc090926198

―山頭火の一句― 昭和5年の行乞記、12月21日の稿に
12月21日、晴后曇、行程5里、熊本市。

昨夜、馬酔木居で教へられた貸家を見分すべく、10時、約束通り加藤社で雑誌を読みながら待つてゐたら、例のスタイルで元寛さんがやつてきた-馬酔木さんは遅れて逢へなかつたので残念-、連れ立つて出町はづれの若い産婆さん立石嬢を訪ね、案内されて住む人もなく荒れるにまかした農家作りの貸家へ行く、とても住めさうにない、広すぎる、暗すぎる-その隣家の一室に間借して独占してゐる五校生に同宿を申し込んで家主に交渉して貰ふ、とても今日の事にはならない、数日後を約して、私は川尻へ急行する、途中一杯二杯三杯、宿で御飯を食べて寝床まで敷いたが、とても睡れさうにないし、引越の時の事もあるので、電車で又熊本へ舞ひ戻る、そして彼女を驚かした、彼女もさすがに-私は私の思惑によつて、今日まで逢はなかつたが-なつかしさうに、同時に用心ぶかく、いろいろの事を話した、私も労れと酔ひとのために、とうとうそこへ寝込んでしまつた、ただ寝込んでしまつただけだけれど、見つともないことだつた、少くとも私としては恥ざらしだつた。

※表題句の外、4句を記す

―四方のたより― 風神雷神-ふうじんらいじん-

「出遊-あそびいづらむ-上弦月彷徨篇-じやうげんのつきさすらひへん-」
Scene.7「風神雷神-ふうじんらいじん-」
の前半部は、デカルコ・マリィと山田いづみによるDuo、演奏はViolaの大竹徹氏とPercussionの田中康之氏、Time-4’36”


出遊-上弦月彷徨篇/Scene.7-1-風塵雷神-ふうじんらいじん-


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今夜の寝床を求むべくぬかるみ

2009-11-21 11:46:54 | 文化・芸術
Dc09092674

―山頭火の一句― 昭和5年の行乞記、12月20日の稿に
12月20日、雨、曇、晴、行程4里、本妙寺屋。

雨に間違いない空模様である、気の強い按摩さん兼遊芸人さんは何のこだはりもなく早く起きて出ていつた、腰を痛めてゐる日本的鮮人は相変はらず唸つてゐる、-間もなく降り出した、私は荷物をあづけて、雨支度をして出かけた、川尻-春竹-砂取-新屋敷-休みなしに歩いたが、私にふさはしい部屋も家もなかなか見つからない、夕方、逓信局に馬酔木さんを訪ね、同道してお宅で晩餐の御馳走になる、忙しい奥さんがこれだけの御馳走をして下さつたこと、馬酔木さんが酒好きの私の心持を察して飲まして下さつたこと、そして舅さんが何かと深切に話しかけて下さつたこと、ありがたい、ありがたい、そしてまた同道して元寛居へ推参する、雑談にも倦んでそれぞれの寝床へいそぐ、おちつけない一日々々である、よき食慾とよき睡眠、そしてよき食物とよき寝床。

嫌な夢から覚めたら嫌な声がするので、何ともいへない気分になつた、嫌な一夜、それはおちつかない一日の正しい所産だ。

※表題句の外、3句を記す

―四方のたより― 火車-かしゃ-

「出遊-あそびいづらむ-上弦月彷徨篇-じやうげんのつきさすらひへん-」
Scene.4「火車-かしゃ-」
は、JunkoとAyaによるDuo、演奏はViolaの大竹徹氏とPercussionの田中康之氏、Time-6’34”

出遊-上弦月彷徨篇/Scene.6-火車-かしゃ-



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夕べの食へない顔があつまつてくる

2009-11-19 22:11:35 | 文化・芸術
Dc09092662

―山頭火の一句― 昭和5年の行乞記、12月19日の稿に
12月19日、晴、行程2里、川尻町、砥用屋。

まつたく一文なしだ、それでもおちついたもので、ゆうゆうと西へ向ふ、3時間ばかり川尻町行乞、久しぶりの行乞だ、むしやくしやするけれど、宿銭と飯代とが出来るまで、やつと辛抱した。
宿について、湯に入つて、ほつとする、行乞は嫌だ、流浪も嫌だ、嫌なことをしなければならないから、なほなほ嫌だ。

安宿といふものは面白いところだ、按摩さん、ナフタリン売、土方のワタリ、へぼ画家、お遍路さん、坊主、鮮人、等々、そして彼等の話の、何とみじめで、そして興ふかいことよ。

※表題句は、12/15付記載から

―四方のたより― 水鏡-みずかがみ-

「出遊-あそびいづらむ-上弦月彷徨篇-じやうげんのつきさすらひへん-」
Scene.4「水鏡-みずかがみ-」
は、山田いづみのsolo、演奏はViolaの大竹徹氏とPercussionの田中康之氏、Time-9’03”


出遊-上弦月彷徨篇/Scene.5-水鏡-みずかがみ-


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