野分日記  ~Mint★Drop!のブログ~

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七月歌舞伎の諸々… 台詞を楽しむ与三郎!

2016年08月04日 | 野分日記

歌舞伎に関してちょくちょく問い合わせを頂きます。
興味はあるけど見たことない、という方がほとんどです。

歌舞伎の楽しみ方って別に決まったものはありません。
ただ「劇団四季とは違い」 (←ここ強調!)役者を観に行くと言う面はあると思います。
いわゆる「ご贔屓」というやつです。

先日楽しんだ「七月歌舞伎」の演目を例にとり、歌舞伎の演目と役者について纏めておきたいと思います。

「与話情浮名横櫛」
通称「切られ与三郎」とか「切られ与三」とか呼ばれる演目です。「よはなさけ うきなのよこぐし」と読みますよ。
主人公は与三郎とお富の二人です。

春日八郎の大ヒット懐メロ「お富さん」、あの歌の元になった芝居です。

♪ 粋な黒塀 見越しの松に あだな姿の 洗い髪 
 死んだはずだよお富さん 生きていたとはお釈迦様でも 知らぬ仏のお富さん えーさほー 源氏店(げんやだな)

この歌詞はこの狂言の三幕目「源氏店の場」の中で出てくる与三郎の名台詞を下敷きにしています。
その名台詞とは、

しがねぇ恋の情けが仇(あだ)
命の綱の切れたのをどう取り留めてか 
木更津からめぐる月日も三年(みとせ)越し
江戸の親にやぁ勘当うけ
拠所(よんどころ)なく
鎌倉の谷七郷(やつしちごう)は喰い詰めても
面(つら)に受けたる看板の
疵(きず)が物怪(もっけ)の幸いに
切られ与三と異名を取り
押借(おしが)り強請(ゆす)りも習おうより
慣れた時代の源氏店(げんじだな)
その白化(しらば)けか黒塀に
格子造りの囲いもの
死んだと思ったお富たぁ
お釈迦さまでも気がつくめぇ
よくまぁお主(のし)ゃぁ 達者でいたなぁ
安やいこれじゃぁ一分(いちぶ)じゃぁ帰(けぇ)られめぇじゃねぇか。

このお芝居の一番の聞かせどころです。

今回は人間国宝・片岡仁左衛門が抜群の口跡でこの名台詞を歌い上げてくれました。

と、言うかこのお芝居はこの「源氏店の場」だけを上演することも多く、ほとんどこの台詞を聞きにいくようなもんですよ。

歌舞伎の中には「この台詞」という演目があります。

例えば有名なのは「白波五人男」の弁天小僧…「知らざぁ言って聞かせやしょー」
「河内山」の河内山…「まぁ聞いてくれよ…」
「三人吉三」のお嬢吉三…「こいつぁ春から縁起がいいわえ」

まだまだたくさんあります。そして役者によってそれぞれに、それぞれの味わいがありそれもまた楽しいものです。
七月の大阪は当代きっての与三郎役者と呼ばれる十五代・片岡仁左衛門の名調子を堪能しました。(Mint)








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2 コメント

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なるほど (たか)
2016-08-05 12:29:50
こうして、解説して頂くと歌舞伎の台詞であることを知らないまま、使ってる言葉がありますね

面白いですね。

ちょっと違うかもしれませんが、相撲の決まり手が、単語(言葉)になってるものもありますね

勇み足とか、ドジを踏むとか…

歌舞伎役者って、凄いと思います。
舞台で、やり直しが利かない場所で、
長い台詞を言い、歌舞伎ファンを魅了する口跡を残す。

その上手い、下手が判る歌舞伎ファン(Mintさん)も凄いですね

尊敬します。
そうなんですね… (コタロウ)
2016-08-06 07:54:43
Mint★さん

私もまったく歌舞伎を観たこともなく、観たいとも思っていませんでした。
歌舞伎って、上流階級の方が観に行くものだと思い、敷居が高かったんです。

このblogで歌舞伎のことを知り、Mint★さんにいろいろ教えて頂き、歌舞伎を観に行くようになりました。

歌舞伎に興味がない方でも、歌舞伎の決め台詞は知っています。ということは、昔はもっと身近なものだったんでしょうか…

まだまだ初心者ですが、いろいろ教えていただけたらと思っています。

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