あいあいのひとりごと

ローマ在住あいあいの暇つぶし日記。

ローマのごね勝ち文化

2010-06-22 19:57:41 | ローマの平日
この間お知らせしたヨーロッパ音楽祭のコンサートの一つが、うちの近所の博物館Centrale Montemartini (Musei Capitoriniの分館)であると知って、ぶらぶらでかけてきました。この博物館、とても小さいんですが、なかなか素敵な博物館です。いつか改めて紹介したいと思います。

さて、私達は30分前には着いていたと思います。入口前には既に人だかりができていました。いつも100%そうなのですが、イタリアでは(と言ってはいけないかもしれませんが、ローマでは)列はありません。人々が団子状の塊になっています。というわけで、後から来た人が、いつしか前の方にいたりするわけです。ローマで生まれ育ち、生きてきたダ二ィも当然動きがそんな風になるわけですが、メードインジャパンの私にはどうもそれが恥ずかしい。特に日本や異文化圏を旅行するときは、ダ二ィの服をしっかりつかんで列に並ばせています。そんなわけで、最近は私の教育に従い、ローマでも礼儀正しくなったダ二ィですが、やはりずるい人は受けいれられないらしい。周囲の人に「後からやってきて前にいる人がいる」とわざと大きな声で言っている。周囲の礼儀正しい人々は、もう慣れているよというように肩をすくめています。確かにちゃんとしている人が馬鹿をみる世界では、正しい行いで損をしてしまうことがあるわけです。少しくらい損をしても、広い心を持っている人の方がカッコいいんだよとダ二ィには言っているのですが、やはり損はしたくないみたい。

ここ数日ローマは信じられないくらい涼しい日が続いています。イタリアの北の北の方は雪も降ったというから、イタリア中が変な気候なんでしょうね。そんなわけで夕方外で待つのは、結構寒かったりしました。なのに予定の時刻がきても入口は開かない。

まあ、それでも入り口の開く瞬間はやってきました。ところが塊の3分の1の人が入場したところで止められてしまったのです。誰かが「140席しかないらしい」というと、突然塊に緊張感が漂い始めました。人々が一斉に、まるでラッシュアワーの電車の入り口に押し入るように、入口に向かったのです。さすがは生粋のローマっ子、ダ二ィも入り口のかなり近くに陣取っていました。
それからも数人は中に入って行ったのですが、「残念ながら席はなくなりました。お帰りください」というような係り員の声。

ところがです。前の方の数人が「だめだってえ」と去っていくのを見たものの、大半の人は入口のところにへばりつき、係り員に向かってごね始めました。何人かが「私に任せて」というように交渉しています。そうしている間にも、どうやら知り合い関係の人々は中に入っているようでしたし、誰かが「上からこっそり入っていった人もいる」などとも言っていましたから、早くから来て順番を抜かされた人には確かに理不尽もいいところです。

そうしてまた30分ほど経過。私はダ二ィに「もう席がないっていっているのに、こうしていて意味があるの」と服の裾を引っ張っていると、「黙って待っていな」との返答。私は例のごとく「日本だったらね~~、なんで整理券配らないのかね~~、いっつもこうなのに、どうして学ばないかいね~~」と独り言をつぶやいていると、突然列が動き出し、私も中に押し入れられていました。

日本ならダメはダメなんでしょうが、ここではそこからが本番なんでしょうね。ごねて、その結果柔軟に対処される。そういうのが習慣みたいなものなんでしょうね。そして皆そのことを当たり前に知っている。だからその場をすぐに立ち去らない。

確かに数年前にアリタリアでスペインに行こうとしたときに、ごね勝ちをしたことがあります。コンピュータの故障か何かで出発前に飛行機を降ろされ、乗客は「明日の便まで待ってください」とのアナウンスを受けました。大半の人は諦めてそこから消えてしまいましたが、私達ともう一組のローマ人カップルはアリタリアのカウンターの前でねばったのです。最初係りの人は「無理なものは無理です」とつっぱねていて、挙句の果てにはこちらが話しかけても無視という作戦。ところがです、最終的には他のスペインの航空会社の飛行機に乗せてもらえ、無事に一日損をすることなく出発できたのです。私は「係りの人怒っているよ」と不安になったのですが、むすっとしたまま別のチケットを出してくれました。

話は戻って、コンサート会場はまさに博物館の中。古代彫刻に見降ろされながらの鑑賞という感じです。席に座れない人々は床に座ることになりましたが、席に座れた人々もこの騒ぎで随分待ちされて、やはり整理券を配るなりなんなりした方が、結局全員にとって納得もいくし、時間通りに運ぶしと思うのがメイドインジャパンの意見です。それに展示品はガラスケースに入っているわけでもなく、手でさわれてしまう状態の会場なので、定員以上の人を入場させるというのは、本来なら危険なんじゃないでしょうか。係りの人も「展示品にもたれかからないで」と注意して回っていました。


始まる前のステージ。


彫像に見降ろされながら鑑賞するごねずに済んだ人々。

コンサート自体は、民族音楽っていうんでしょうか、変わった楽器と歌で、なかなか楽しいものでした。ミュージシャンたちも観衆が多い方がやりがいもあって、嬉しいでしょうし、結果としてはめでたし、めでたしかな。


写真ボケボケ。

というわけで、ローマでは「だめです」と言われてから、すぐに諦めて立ち去ってはいけないということです。値引きの交渉をするのが当たり前などという場合と同じで、「ごねる」が普通に習慣なんでしょうね。なので「だめです」と言われても、少し待ってみてください。誰かがごねてくれるかもしれません。ごねて、言い合っても、後で笑って握手しての人たちですから、そこはなかなかステキですね。現実、私にはなかなか難しいですけれど。

フリウリの旅 (3)~パパの生まれた家 2日目午後~

2010-06-22 02:31:32 | 旅~イタリア国内~
この旅のメインはダ二ィパパの故郷を訪ねること。私の父とダ二ィパパの間での約束でした。というわけで2日目の午後はスピリンベルゴからダ二ィパパの生まれた家を見に行きました。

この地方は昔はとても貧しくて、生活が苦しく、外に働きに出ていき、真面目なこの地方の人々はその後成功して故郷に戻ってきました。そして故郷を豊かにしたのだそうです。ローマでは考えられませんが、この地方は全てがきちんと整っています。町もきれいに清掃されているし、ゴミのポイ捨てなどあり得ない。町も住民も一体となって、自分の町をよりよくするように努力している姿が見られます。
ダ二ィパパはいつも「どんなに貧しいところから始まったか、想像もできない貧しさだ」と話します。

今もダ二ィパパの生まれたお家のある辺りは、ほとんど一面が畑です。それでも今はぽつんぽつんと立派な家が建っています。昔は本当に何もなかったんだそうです。

さて、こちらがそのお家。今は誰も住んでいません。隣にパパの従兄の家があって、きっと彼らが管理しているのでしょう。
昔はニ階に上がる階段は家の中ではなく外にあるのが普通だったそうです。貧しい貧しいって言うから、どんなあばら家かと想像していたら、なかなか素敵じゃないですか?





納屋かしら?

パパのお母さんは毎日畑仕事に出なければならなかったので、赤ちゃんのパパを毛布にくるんで木の上に落ちないようにくくりつけ、その下で犬が番をしていたという話を車の中で気聞きました。その木もちゃんとありました。(ほんとかいな?)
写真に入ってきたこのわんちゃんは何の番?

この日は天気が悪く、雨が降り出してきてしまい、長居はできませんでした。天気がよければ、ぼーっと座っていたような物語の中の世界の光景でした。裏には川も流れていました。

パパによると、この辺は水がどこよりも豊富で透明度も高いとのこと。それを見せたかったらしく連れて行かれたのがここ。



確かに水量が多くて、おまけに雨が強く降ってきたので、流れも早く、ちょっと怖い感じでした。なんとも言えない水の色。

そこで迎えてくれたのがこの子。



フレンドリーなのか攻撃的なのかよくわからない。

次に連れて行ってくれたこの川も、水量が豊富。透明度も確かに高い。



こんなかわいい橋も。やっと晴れてきました。



北イタリアの自然に大変癒されました。