あいあいのひとりごと

ローマ在住あいあいの暇つぶし日記。

慣れの効力

2008-08-30 20:40:21 | 映画
最近特に思うことなんですが、人間の慣れって凄いですね。同じものを見ても、何度も見た後には見え方が違ってきたりする。「住めば都」っていうけれど、これも慣れの効力のお陰でしょうね。反対に最初は素晴らしかったものが、何度も見ると「こんなもの」になってしまったりもする。そんなわけで感動もだんだんとしにくくなっていくのが悲しいけれど現実です。

・・・とここで今回の話題は映画なのです。慣れの話をしたのは、今回も前回の「シャッター」に続きホラー映画だからなのです。小さいときに従兄弟たちに無理やり見させられた「エクソシスト」以来、怖い映画は一切見ないようにしてきたのですが、映画好きのダニィと生活している内に、怖い映画をちらほら横目で見る機会が多くて、ついに「慣れの効力」をこの分野でも体験しつつあるようです。
ただ怖いのは怖いので、写真は載せませんよ。

さて今回の映画は、イタリアでは"Descesa nelle tenebre",原題は"The Descent"、2005年のイギリス映画(監督ニ-ル・マーシャル)です。
主人公サラは冒険好きの女友達たちと急流下りに行った帰り道に、車の事故で夫と小さい娘を失う。(事故もちょっとホラーっぽい。)その1年後、そんな彼女を元気づけようと友人達が洞窟探検という冒険旅行を企画する。ガイドブックに載っている洞窟への探検のはずだったのだが、仲間の一人がわざとまだ未踏の洞窟に案内する。ガイドブックや地図は車の中に置いたまま。
そうして開始した洞窟探検。真っ暗な細い穴の中を進んでいく6人の女性。それだけでも息苦しいのですが、そんな最中に土砂が崩れ、戻る道がふさがれてしまう。地下3000メートルの暗闇に閉じ込められた6人。出口を探して前に進むしか道はなく。恐怖でパニックし始める彼女たちを待っていたのは、人間をも食べてしまう謎の生き物。

さて、暗闇の中でぬるぬるとした人間の姿に似た生き物たちとの格闘を「怖い」と感じたのは最初だけ、だんだんと「気持ち悪い」だけの感覚の方が強くなっていきました。生きたまま体を食べられてしまうというのは想像を絶する気持ち悪さです。そんなところに置き去りにされる恐怖というのも確かにかなり怖いですけれど。

それでも驚いたことにそんなに怖いと感じずに最後まで見終えたのです。この映画、結構賞なんかもとっていたり、高い評価を受けているように読んだので、見ごたえのあるホラーなのかと「私は見ない!」とつっぱっていたくらいでしたから、私って実は怖いの平気なのかしらと新たな自分発見に驚きです。

ただ日本製の怖い映画はまだ勇気がないですね。怖い感覚にも文化の違いがあるのでしょうね。2年前位だったか、ローマでアジアンフィルムフェスティバルかなにかのイベントで「悪夢探偵」という塚本晋也監督の映画をダニィに連れられて見に行きました。監督も上映前の挨拶に来るということで、結構イタリアにもファンがいるんですね、思ったより人が入っていました。これかなり怖かったです。最初の30分も見たか見ないかで私と一緒に行った日本人の友人はギブアップ。外のベンチでショック状態なままダニィと他の友人たちが見終わるのを待っていました。友人はこんな映画に誘われてかなり迷惑だったらしい。私もそうでしたが、その後その影響は数週間続くことに・・・ホントにごめんなさい。
ところで映画を見終わったイタリアンたちの感想は、確かに怖いけれど気持ち悪いという方が大きかったようで、私たちの感じる怖いとはなんだか受け止め方が違ったようですよ。

昨日ダニィがまた塚本晋也の作品をダウンロードしようとしているので、これは反対しておきました。