たんぽぽの心の旅のアルバム

旅日記・観劇日記・美術館めぐり・日々の想いなどを綴るブログでしたが、最近の投稿は長引くコロナ騒動からの気づきが中心です。

2009年ルーヴル美術館展より‐モッラ遊びをする人々

2024年06月28日 16時14分17秒 | 美術館めぐり

カーレル・デュジャルダン

(1626-1678)

《モッラ遊びをする人々》

1660-1670年

油彩、カンヴァス

73 × 75 ㎝

 

(公式カタログより)

「カーレル・デュジャルダンによる本作品の主題はたいへん珍しいものである。これは「モルラ」、イタリアでは「モッラ」と呼ばれる遊びを表わしているように思われる。ふたりが興じているこの遊びは、その起源を古代にまで遡ることができ、ふたりのプレイヤーそれぞれが1本かあるいは複数の指を伸ばして手を上げると同時に、お互いの指の数の合計を大声で告げるものである。偶然性よりも駆け引きが問題となる遊びである。この作品では、鑑賞者の方を振り返り自分の目を指し示す兵士が相手の作り話に対する抗議を暗示していることから、大声で叫んだゲームの結果が口論を引き起こしたようだ。かつて「兵士の物語」という、モッラ遊びに関するすべてのことが排除されたタイトルが付けられたことからもわかるように、この作品の主題はとても奇妙であると同時に議論を呼んだ。

 ヘラクレス(画面前景左)と、ウェヌスとアモル(石棺の下)を表しているであろう、古代のレリーフの存在は、主要画面と関連付けて解釈されるべきだろうか? 危険なのは、逸話性に陥り、この作品本来の質を正当に評価しないことである。古代の痕跡が至る所に存在しているローマのような都市において、17世紀の同時代人たちにはありふれた光景であろう。永遠の都で、盆を持っているこの女性は取るに足らないものであろうか?斑岩の石棺(古代ローマでは皇帝の石とされていた)は、一時期パンテオンにあったものかもしれず、もちろん帝国の衰退と時の経過に思いを馳せるきっかけにもなるが、同様に「黄金の世紀」における古代の遺産についての新たな問題を提起するであろう。

 そんなふうに、カーレル・デュジャルダンのこの作品はバンボッチアンティ(イタリアで活動したオランダの画家仲間で、特に、風俗場面を描いた)の逸話的な枠組みに縛り着けるよりもむしろ、過ぎ去った古代と新しい時代の邂逅の場面という観点に立って見た方がより価値がある。過去は圧倒的で脅迫的なものだろうか?石棺は、「死を想え」という警句から遠ざかり、過ぎ去ったローマの偉大さに基づくルネサンスの大いなる伝統に含まれている。この絵の中で、まずもって古代ローマの記念碑の美しさが問題になっていると思わない者などいるだろうか?」


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