「スペインのセビリア近郊、支倉常長をはじめとする慶長遣欧使節が滞在した町、コリア・デル・リオ。この町には、スペイン語で「日本」を意味するハポンという姓を持つスペイン人が、今も約600人暮らしています。使節一行が長い航海を経て、この町で初めてスペイン本土の土を踏んだのは1614年のこと。使節一行のうち数名は日本に帰ることなく留まったといわれ、ハポン性の彼らこそが、日本の侍の子孫であると考えられています。現在、コリア・デル・リオには支倉常長像が立ち、市役所には二の丸が掲げられています。」(『歌劇』2019年11月号より)
この物語に出会うことがなければ知ることはなかったであろう史実。ここに史実では伊達政宗の家臣で、伊達家から和賀家に派遣され、政宗の支援を得て和賀家が起こした所領回復の戦い「岩崎一揆」に参加し、敗走の後、和賀家と最期を共にしたとされる蒲田治道(真風涼帆さん)を使節団の一員として登場させたのが作・演出大野拓史先生のオリジナル。和賀一族の娘藤野(遥羽ららちゃん)と契りを交わしながら、伊達政宗の命により和賀家の所領へ戻ることを許されず藤野は落城と共に燃え尽きていき、弟の藤九郎(和希そらくん)が治道を恨み続けるという虚構。さらにはスペインの地では、流れ者の謎の剣士アレハンドロ(芹香斗亜さん)が敵かと思いきや実はいい奴でしかも国王に使える寵臣の三男だったかな?で家に戻る気はない自由人、宿屋のしっかりものの女将カタリナ(星風まどかちゃん)の亡き夫の友人で、治道をいい奴と見込んでスペインに残る条件としてカタリナの亡き夫を名乗りカタリナの伴侶となることを条件として治道とカタリナは結婚するというハッピーエンド。姉を裏切ったと思い込み治道を許せずにいた藤九郎もスペインに残ることを決意したのは不法滞在にはならないのかな?というところが唯一回収できていませんでしたが、その後治道らはどうやって暮らしたのかというのはAnotherStoryを創作した方もいらっしゃるぐらい想像の余地がたくさんある楽しさ。藤九郎の青くさい少年性と存在感、治道への怒りをあらわにしつつ治道の剣の腕を認めざるを得ないという身の引き具合とのさじ加減が絶妙でした。治道と出会ったことで刀の腕も、人としても成長していきましたね。カタリナの夫の結婚式の当日殺した農場主フェルニナンド(英真なおきさん)の息子で、オヤジのようにはなりたくないと反発し、剣術学校で俺様に勝てる奴はいなかったと息巻いているエリアス(桜木みなとさん)、ひねくれものの役が続いているかなという印象ですが完全敵役ではなく、西洋の剣で治道と闘い叶わないことを知ってたしか治道の力を認めるという展開だったと思います。違ったかもしれませんが彼もまた物語の中で人間として成長していったと感じました。最後の大団円ではアレハンドロさんと仲良くなっていたんだったかな。
和賀城に戻ろうとする治道をとめた西九郎の瑠風輝さん、治道の先達にあたる役所で緊張していたと思いますが大健闘でした。フェルニナンドの農場に売られた日本人奴隷の一人、はる(天彩峰里ちゃん)の「にっちゃ」だったかな、も印象的でした。日本人奴隷が売られていたというのは史実のようです。はる、きく、すて、とら、とめら日本人奴隷がカタリナのもとにかくまわれ働くという虚構も配して、大野先生のやりたいことが詰まりすぎ、登場人物が多すぎのきらいはありましたが、シリアスかと思いきや誰も死なない、終演後はみんなが笑顔のコメディ。王道の宝塚的な世界観もたっぷりで楽しい作品でした。
「夢想願流」-人を生かすための、そして、生き延び何かを守り続ける者のための剣術。治道たちを守ろうとして手にした剣をにぎりしめたままのカタリナに、治道がやさしく男っぽく「ゆっくり手をはなすんだ」って言った場面、真風さんの色っぽさと優しい声色にきゅんとなりました。
紅ゆずるさんのメモリアルブックをみると2008年星組の下級生たちの集合写真にまかききがいます。みんな若い、ききちゃんまだ高校生ぐらいのおぼこさ。12年の歳月を経てすっかり大人の男役へと成長しました。
この物語に出会うことがなければ知ることはなかったであろう史実。ここに史実では伊達政宗の家臣で、伊達家から和賀家に派遣され、政宗の支援を得て和賀家が起こした所領回復の戦い「岩崎一揆」に参加し、敗走の後、和賀家と最期を共にしたとされる蒲田治道(真風涼帆さん)を使節団の一員として登場させたのが作・演出大野拓史先生のオリジナル。和賀一族の娘藤野(遥羽ららちゃん)と契りを交わしながら、伊達政宗の命により和賀家の所領へ戻ることを許されず藤野は落城と共に燃え尽きていき、弟の藤九郎(和希そらくん)が治道を恨み続けるという虚構。さらにはスペインの地では、流れ者の謎の剣士アレハンドロ(芹香斗亜さん)が敵かと思いきや実はいい奴でしかも国王に使える寵臣の三男だったかな?で家に戻る気はない自由人、宿屋のしっかりものの女将カタリナ(星風まどかちゃん)の亡き夫の友人で、治道をいい奴と見込んでスペインに残る条件としてカタリナの亡き夫を名乗りカタリナの伴侶となることを条件として治道とカタリナは結婚するというハッピーエンド。姉を裏切ったと思い込み治道を許せずにいた藤九郎もスペインに残ることを決意したのは不法滞在にはならないのかな?というところが唯一回収できていませんでしたが、その後治道らはどうやって暮らしたのかというのはAnotherStoryを創作した方もいらっしゃるぐらい想像の余地がたくさんある楽しさ。藤九郎の青くさい少年性と存在感、治道への怒りをあらわにしつつ治道の剣の腕を認めざるを得ないという身の引き具合とのさじ加減が絶妙でした。治道と出会ったことで刀の腕も、人としても成長していきましたね。カタリナの夫の結婚式の当日殺した農場主フェルニナンド(英真なおきさん)の息子で、オヤジのようにはなりたくないと反発し、剣術学校で俺様に勝てる奴はいなかったと息巻いているエリアス(桜木みなとさん)、ひねくれものの役が続いているかなという印象ですが完全敵役ではなく、西洋の剣で治道と闘い叶わないことを知ってたしか治道の力を認めるという展開だったと思います。違ったかもしれませんが彼もまた物語の中で人間として成長していったと感じました。最後の大団円ではアレハンドロさんと仲良くなっていたんだったかな。
和賀城に戻ろうとする治道をとめた西九郎の瑠風輝さん、治道の先達にあたる役所で緊張していたと思いますが大健闘でした。フェルニナンドの農場に売られた日本人奴隷の一人、はる(天彩峰里ちゃん)の「にっちゃ」だったかな、も印象的でした。日本人奴隷が売られていたというのは史実のようです。はる、きく、すて、とら、とめら日本人奴隷がカタリナのもとにかくまわれ働くという虚構も配して、大野先生のやりたいことが詰まりすぎ、登場人物が多すぎのきらいはありましたが、シリアスかと思いきや誰も死なない、終演後はみんなが笑顔のコメディ。王道の宝塚的な世界観もたっぷりで楽しい作品でした。
「夢想願流」-人を生かすための、そして、生き延び何かを守り続ける者のための剣術。治道たちを守ろうとして手にした剣をにぎりしめたままのカタリナに、治道がやさしく男っぽく「ゆっくり手をはなすんだ」って言った場面、真風さんの色っぽさと優しい声色にきゅんとなりました。
紅ゆずるさんのメモリアルブックをみると2008年星組の下級生たちの集合写真にまかききがいます。みんな若い、ききちゃんまだ高校生ぐらいのおぼこさ。12年の歳月を経てすっかり大人の男役へと成長しました。