「いのち
作詞/謝珠栄、柴田侑宏 作曲/寺田瀧雄
果たしなく続く 戦いの道に
怯え 震え 泣く 愛しい命よ
傷つけられて 流す血の涙
微笑み 忘れた 切ない命よ
届かぬ叫び やり切れぬ思い
それでも 光 求め
密かな望み 自由を信じて 信じて 人は生きる
青ざめた心 襲いくる不安
言葉も隠した 虚ろな命よ
それでも今は 明日を信じて
信じて人は 生きる」
モノクロ映画のような舞台。部屋でつまらないことをやっていたために開演から数分おくれで映画館へ。轟悠さん演じるラヴィックと真彩希帆さん演じるジョアンがセーヌ川にかかるアルマ橋の上で出会った場面を見逃してしまったのは勿体ないことをしました。私が席についたときはラヴィックとジョアンがカルヴァドスで乾杯している場面でした。モノクロ調に、場面転換で盆を上手く使った舞台。ゲシュタポに自ら名前を名乗り収容所へと送られる道を選んだラヴィックが花道からはけていくと、望海風斗さん演じるボリスを中心とした雪組生たちが「いのち」を歌い上げて舞台は幕を下ろしました。「パララ パララ パララ~♪」と共にどこか懐かしさを感じる心地よいメロディーライン。作曲家の才能ですかね。初演の時の記憶はおぼろげなのに、体が記憶していたようです。
断片的な思い出し日記。
生きるよすがを見失ったままパリの、亡命者たちが隠れ住むホテルでもぐりの医者として生き延びるラヴィックが患者にみせる優しい表情と、かつて自分を拷問し恋人を手にかけたゲシュタポのシュナイダーを街角で見つけた時の恐ろしい表情。カフェ「フーケ」で自分がかつての手にかけたラヴィックだと気づかないシュナイダーに近づきブローニュの森へとドライブに誘い復讐を果たすラヴィック。どこか虚ろだったラヴィックが本懐を遂げた瞬間。シュナイダーを演じたのは副組長の奏乃はるとさん。いやらしいのにラヴィックを同じドイツ人だというだけで信じて心を許してしまう隙のある敵役をほどよい間で演じられていました。秀逸だったと思います。
ラヴィックがカフェ「フーケ」でシュナイダーを見つけた時、間が悪くジョアンがやってきてラヴィックがに話しかけるもシュナイダーの姿を見失うまいと必死なラヴィックはジョアンにつれない態度。何も知らないジョアンは高揚しながら恋人アンリと別れる決心を打ち明けます。ここからラヴィックがシュナイダーを手にかける場面まで、緊張しました。亡命者たちが隠れ住むホテルが主な舞台なのでずっと静かな緊張感を続きましたがとりわけ緊張感が高まりました。最初に街角でシュナイダーを見つけた時、シュナイダーに拷問を受ける場面が回想シーンとして登場。恋人シビールが手にかけられた瞬間の悲鳴も描かれていました。ドイツからの亡命者ゴールドベルクが、アメリカ行きのビザがおりなかったことに絶望してホテルで自殺してしまったり、なかなかにきつい場面の連続ではありました。朝月希和さん演じるゴールドベルク夫人の取り乱す姿も印象に残っています。ホテルのオーナー、フランソワーズを演じる美穂圭子さんんが静かな存在感をみせていました。LVでは笑いをとる場面がありほっと一息でした。
隠れ家オテル・アンテルナショナールで地を這うように生きる人々の姿を描いた物語。パリへの旅で、彼らを見守るのは凱旋門の灯り。凱旋門の前に立つと煌々と灯りが通ったシャンゼリゼ通りが見通せたことが思い出されます。パリは歩く街、歩いて足元からパリのエネルギーを感じてほしいとは現地を案内してくださった現地旅行会社の日本人ガイドさんの言葉でした。実際に行ったことがあると臨場感があるなあと思いながらの観劇。
生きるよすがを見失ったラヴィックに真っ直ぐぶつかっていくジョアン。計算高いのか純真なのかよくわからない女性で、同性には好かれそうにありませんが、真彩希帆さん演じるジョアンがラヴィックをみつめる大きな瞳は真っ直ぐでした。好きな人に自らどんとぶつかっていく女性でした。真彩さんが素でもっている強さが滲み出ていたのかもしれません。ラヴィックと出会ったことで生気を取り戻し、カルヴァドスで乾杯するときの溌溂とした表情から、ラヴィックが国外追放となった三カ月間一人でいることに耐えらず役者アンリを恋人としてしまうしたたかさ、そして嫉妬に狂ったアンリに撃たれてしまい、自ら死を悟り安楽死を望んで旅立っていく最期。LV当日のブログに書いているように、アップで映し出されたジョアンの表情はとても美しい思いました。
(舞台写真は宝塚ジャーナルよりお借りしています)。
彩風咲奈さん演じるアンリが最初に登場した場面は、モノクロ調の舞台の中で唯一明るく楽しいものでした。アンリ、若い!って思いました。ジョアンを撃ってしまったのは若さゆえの過ちか・・・。
二番手の立ち位置として、出番は多くないものの、ラヴィックが信頼を寄せる友人として全く違和感なく佇み、登場人物たちを凱旋門の灯りと共に見守るようなナイトクラブ「シェーラザード」のドアマン、ボリスを演じる望海風斗さんの存在感は秀逸でした。
さすがの芝居心。ラヴィックのために用意したニセの身分証明書を、ラヴィックが朝美絢さん演じるハイメに譲る姿を見届けると、ラヴィックとの再会を誓いながら収容所へと行こうとする彼の姿を見送ります。
真っ直ぐにぶつかってくるジョアンに戸惑いながらもいつしか惹かれていき、ジョアン亡き後収容所へと行く道を選ぶ轟悠さんのラヴィックの姿は、上手く言えませんが男役として昇天した姿のようにみえました。退団という卒業で男役として区切りをつけられるトップスターさんの、その後のさらに極めたような姿をみたような思いでした。
わたしが初演のときなぜか印象に残っている朝海ひかるさんが演じたのは、今回朝美絢さんが演じたハイメでしたね。ラヴィックから身分証明書を譲られ、恋人と手をとりあって喜ぶ姿は未来ある若者をみました。
なんだかとりとめないですが、もう少し書きたいことがあるのですが長くなってきたので、ひとまずおしまいとしたいと思います。お付き合いくださった方、ありがとうございます。今夜眠れるかな、久しぶりの寝ないといけないプレッシャー。明日の朝7時33分のバスに間に合うかな。間に合わなかったらアウト。緊張しています。
作詞/謝珠栄、柴田侑宏 作曲/寺田瀧雄
果たしなく続く 戦いの道に
怯え 震え 泣く 愛しい命よ
傷つけられて 流す血の涙
微笑み 忘れた 切ない命よ
届かぬ叫び やり切れぬ思い
それでも 光 求め
密かな望み 自由を信じて 信じて 人は生きる
青ざめた心 襲いくる不安
言葉も隠した 虚ろな命よ
それでも今は 明日を信じて
信じて人は 生きる」
モノクロ映画のような舞台。部屋でつまらないことをやっていたために開演から数分おくれで映画館へ。轟悠さん演じるラヴィックと真彩希帆さん演じるジョアンがセーヌ川にかかるアルマ橋の上で出会った場面を見逃してしまったのは勿体ないことをしました。私が席についたときはラヴィックとジョアンがカルヴァドスで乾杯している場面でした。モノクロ調に、場面転換で盆を上手く使った舞台。ゲシュタポに自ら名前を名乗り収容所へと送られる道を選んだラヴィックが花道からはけていくと、望海風斗さん演じるボリスを中心とした雪組生たちが「いのち」を歌い上げて舞台は幕を下ろしました。「パララ パララ パララ~♪」と共にどこか懐かしさを感じる心地よいメロディーライン。作曲家の才能ですかね。初演の時の記憶はおぼろげなのに、体が記憶していたようです。
断片的な思い出し日記。
生きるよすがを見失ったままパリの、亡命者たちが隠れ住むホテルでもぐりの医者として生き延びるラヴィックが患者にみせる優しい表情と、かつて自分を拷問し恋人を手にかけたゲシュタポのシュナイダーを街角で見つけた時の恐ろしい表情。カフェ「フーケ」で自分がかつての手にかけたラヴィックだと気づかないシュナイダーに近づきブローニュの森へとドライブに誘い復讐を果たすラヴィック。どこか虚ろだったラヴィックが本懐を遂げた瞬間。シュナイダーを演じたのは副組長の奏乃はるとさん。いやらしいのにラヴィックを同じドイツ人だというだけで信じて心を許してしまう隙のある敵役をほどよい間で演じられていました。秀逸だったと思います。
ラヴィックがカフェ「フーケ」でシュナイダーを見つけた時、間が悪くジョアンがやってきてラヴィックがに話しかけるもシュナイダーの姿を見失うまいと必死なラヴィックはジョアンにつれない態度。何も知らないジョアンは高揚しながら恋人アンリと別れる決心を打ち明けます。ここからラヴィックがシュナイダーを手にかける場面まで、緊張しました。亡命者たちが隠れ住むホテルが主な舞台なのでずっと静かな緊張感を続きましたがとりわけ緊張感が高まりました。最初に街角でシュナイダーを見つけた時、シュナイダーに拷問を受ける場面が回想シーンとして登場。恋人シビールが手にかけられた瞬間の悲鳴も描かれていました。ドイツからの亡命者ゴールドベルクが、アメリカ行きのビザがおりなかったことに絶望してホテルで自殺してしまったり、なかなかにきつい場面の連続ではありました。朝月希和さん演じるゴールドベルク夫人の取り乱す姿も印象に残っています。ホテルのオーナー、フランソワーズを演じる美穂圭子さんんが静かな存在感をみせていました。LVでは笑いをとる場面がありほっと一息でした。
隠れ家オテル・アンテルナショナールで地を這うように生きる人々の姿を描いた物語。パリへの旅で、彼らを見守るのは凱旋門の灯り。凱旋門の前に立つと煌々と灯りが通ったシャンゼリゼ通りが見通せたことが思い出されます。パリは歩く街、歩いて足元からパリのエネルギーを感じてほしいとは現地を案内してくださった現地旅行会社の日本人ガイドさんの言葉でした。実際に行ったことがあると臨場感があるなあと思いながらの観劇。
生きるよすがを見失ったラヴィックに真っ直ぐぶつかっていくジョアン。計算高いのか純真なのかよくわからない女性で、同性には好かれそうにありませんが、真彩希帆さん演じるジョアンがラヴィックをみつめる大きな瞳は真っ直ぐでした。好きな人に自らどんとぶつかっていく女性でした。真彩さんが素でもっている強さが滲み出ていたのかもしれません。ラヴィックと出会ったことで生気を取り戻し、カルヴァドスで乾杯するときの溌溂とした表情から、ラヴィックが国外追放となった三カ月間一人でいることに耐えらず役者アンリを恋人としてしまうしたたかさ、そして嫉妬に狂ったアンリに撃たれてしまい、自ら死を悟り安楽死を望んで旅立っていく最期。LV当日のブログに書いているように、アップで映し出されたジョアンの表情はとても美しい思いました。
(舞台写真は宝塚ジャーナルよりお借りしています)。
彩風咲奈さん演じるアンリが最初に登場した場面は、モノクロ調の舞台の中で唯一明るく楽しいものでした。アンリ、若い!って思いました。ジョアンを撃ってしまったのは若さゆえの過ちか・・・。
二番手の立ち位置として、出番は多くないものの、ラヴィックが信頼を寄せる友人として全く違和感なく佇み、登場人物たちを凱旋門の灯りと共に見守るようなナイトクラブ「シェーラザード」のドアマン、ボリスを演じる望海風斗さんの存在感は秀逸でした。
さすがの芝居心。ラヴィックのために用意したニセの身分証明書を、ラヴィックが朝美絢さん演じるハイメに譲る姿を見届けると、ラヴィックとの再会を誓いながら収容所へと行こうとする彼の姿を見送ります。
真っ直ぐにぶつかってくるジョアンに戸惑いながらもいつしか惹かれていき、ジョアン亡き後収容所へと行く道を選ぶ轟悠さんのラヴィックの姿は、上手く言えませんが男役として昇天した姿のようにみえました。退団という卒業で男役として区切りをつけられるトップスターさんの、その後のさらに極めたような姿をみたような思いでした。
わたしが初演のときなぜか印象に残っている朝海ひかるさんが演じたのは、今回朝美絢さんが演じたハイメでしたね。ラヴィックから身分証明書を譲られ、恋人と手をとりあって喜ぶ姿は未来ある若者をみました。
なんだかとりとめないですが、もう少し書きたいことがあるのですが長くなってきたので、ひとまずおしまいとしたいと思います。お付き合いくださった方、ありがとうございます。今夜眠れるかな、久しぶりの寝ないといけないプレッシャー。明日の朝7時33分のバスに間に合うかな。間に合わなかったらアウト。緊張しています。