(公演プログラムより)
「ひかりふる路~革命家、マクシミリアン・ロベスピエール~
革命の理想に燃え、そして自らもまたその炎に焼かれた男-革命家、マクシミリアン・ロベスピエール~
フランスの片田舎アルトワ州アラスに生まれたロベスピエールは、幼くして母親を亡くし、その後弁護士であった父親も失踪、パリのルイ・ルグラン学院へと預けられる。同じ道を歩めばいつか父と再会出来るかもしれない・・・そんな思いを胸に勉学に励み弁護士となった彼は、故郷の街で素朴な人々の平穏な暮らしの尊さ、そして弱さを感じ、彼らの暮らしを守るのが使命だと政治家に転身、パリの街で革命に身を投じることになる・・・。
ジャコパン派に属し、時を経て革命の指導者となったロベスピエール。フランスは共和国となり、1793年国王ルイ16世は処刑された。フランスを新しい時代へと導いたロベスピエールに人々は熱狂し、いつしか彼は”革命そのもの”だと称されるようになる。
だが一方で、貴族に生まれたという事だけで、愛する家族や恋人を奪われ、人生を狂わされた”革命の犠牲者”も少なくなかった。その一人、マリー=アンヌ、革命への復讐心ゆえに”革命そのもの”であるロベスピエールを暗殺する・・・彼女はその目的を果たす為にパリの街で気を窺っていた。
サンキュロット(下層階級)が支持するジャコパン党議員が集う「ジャコパン・クラブ」。ロベスピエールは、志を一つに革命を推し進めてきた仲間であるジョルジュ・ダック・ダントンやカミーユ・デムーランらと、これからも共に闘い抜こうと語り合う。革命の理想に突き進んでいくロベスピエール。しかし、主にブルジョワジーを支持母体とするジロンド派党反対勢力の台頭、国王処刑をきっかけとした諸外国の宣戦布告等により、革命政府は混乱し、危機に瀕していた。ロベスピエールが求める”革命の理想”は崩れゆかんとしていたのだ。
そんな中、ロベスピエールはジロンド派の議員を反革命の容疑で逮捕する。更にダントンが私欲の為にジロンド派と通じ、共和国を裏切ったと側近のサン=ジュストに聞かされたロベスピエールは、理想よりも現実を見るべきだと訴えるダントンを辞職に追い込むのだった。
革命が達成されれば理想にたどり着くはずだー”革命”に取りつかれたロベスピエールは、恐怖によって革命を導くのだと「恐怖政治」を宣言。自身の理想に反する者を次々と粛清していく・・・。」
なんとか7時間眠れた土曜日、今週は3回訪問に出たから足が痛くって昨夜スパでほぐしたからまだマシだけど痛くって体休めないといけないんですが、でもちっそくしそうな部屋にいるのは限界で夕方からまた逃げ出し中。薬のせいか、口のなかに白いものがたまってきてしまいつらいです。こうしてブログを書くことは心の止まり木。
2018年2月11日の記事
雪組『ひかりふる路~マクシミリアン・ロベスピエール』『SUPER VOYAGER!』
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/241a74fd487a20d1acba459c5fdd3d7f
ようやく思い出し日記を書こうと読み返してみたら、当日忘れないうちにわりと書けているなあっていう感じなので付け足しながら書いてみたいと思います。
どうしてもみたかった望海風斗さんの大劇場トップお披露目公演、東京宝塚劇場千穐楽ライブビューイング。杜けあきさん、一路真輝さんトップ時代の雪組に通ったわたしとしては、芝居の雪組、日本物の雪組の系譜の上に、トップコンビはもちろん、全体的にすごく歌がうまいなあっていうのが嬉しかったです。歌うまトップだった一路さんの系譜。指揮は西野淳先生。『マタ・ハリ』に続いて、ワイルドホーンさんが書き下ろした楽曲が舞台全体を美しく包み込んでいた物語でした。客席で千穐楽の舞台を見届けていらしたそうでカーテン・コールで望海さんが紹介されていました。(まさか20数年前雪組をみていたときには、杜けあきさんの退団公演で読売の役をやっていたたかこさんの旦那さんが作曲をした雪組の舞台を観劇する日がくるとはだれも思わなかったですよね、なんだかすごく不思議な感じ・・・。)
タイトルからして演出家の熱い想いを感じさせてくれる物語。東宝版の『1789バスティーユの恋人たち』のその後を見届けたような感覚でした。フランス革命に身を投じ理想に燃えていたはずのロベスピエール(望海風斗さん)がいつしか革命の象徴的存在と祭り上げらるようになっていくと、次第に革命にとりつかれていき、もはや何を目指していたのかわからないまま恐怖政治を行うようになり、暴走を止めようとするダントン(彩風咲奈さん)のいさめる言葉も耳に入らなくなってしまい、ダントンを処刑、自分を殺す目的で近づいてきたマリー=アンヌ(真彩希帆さん)をそうとは知らずに愛するようになり、いつしかマリー=アンヌもロベスピエールを憎みながらも愛するようになります。
ロベスピエールがダントン、マリー=アンヌとそれぞれ対峙、葛藤する場面が印象的でした。マリー=アンヌの真彩希帆さん、マリー=アンヌの芝居がよくないと舞台全体が崩れてしまう、愛憎に葛藤する難しい役どころをよくこなされていました。ロベスピエールにナイフを向けて、でも殺すことができないマリー=アンヌとロベスピエールの場面。ロベスピエールが憎い、でもいつしか愛するようになってしまった、愛するようになってしまったロベスピエールが恐怖政治へと暴走しはじめた、とめるには彼を殺すしかない、でも殺すことはできないという幾重もの葛藤の中で揺れるマリー=アンヌ。ロベスピエールとの出会いの場面で、家族の愛を知らないロベスピエールが家族の様子を眺めていると話すと、「それで何が見えたの?」のだったかな。問いかけるときの表情と声色に母性と愛と優しさを感じました。若いですが相手役をどんと包み込むような芯の強さを感じました。歌うま。いいトップ娘役さんだなあと思いました。
ダントンの彩風咲奈さんが二番手の男役さん。タカラヅカスペシャルで客席にインタビューしていた時の可愛らしい方と同じとは思えない骨太なダントンでした。『1789~』で上原理生さんが演じていたやたらと声がでかく人のいい、賑やかなことが好きなダントンとすごくかぶりました。恐怖政治へと走り始めたロベスピエールをいさめようと自分の屋敷に呼び夕食を共にしようとしますが、すでに革命に取りつかれているロベスピエールはダントンの言葉を聞く耳を全くもちません。ロベスピエールを心配しなんとか昔のようにワインを飲みながら陽気に語り明かそうとするダントンと冷ややかな表情のロベスピエール。すで二人が心を通わせることはできなくなっていました。ダントンの大らかさと狂気に満ちたロベスピエールの対立。大きな見せ場でした。細いはずの彩風さんの声といい仕草といい、すごく豪快なダントンを見事に体現していて骨太にみえたんです。やがてダントンが自分を裏切ったとサン・ジュストに吹き込まれたロベスピエールによって処刑されるときの、友情を心に残した潔さも印象的でした。出番は少なかったですが、ダントンの妻役は花組から異動した朝月希和さん、ダントンを残して儚く散ってしまいました。若くして妻に先立たれたダントンの薄幸に心が痛みました。朝月さん、こんなに可愛らしい娘役さんだったのかと認識。
デムーランはこの公演で退団された専科の沙央くらまさん。月組公演ではドスのきいた女役のドレス姿を拝見したのでこんな素敵な男役さんだったのかと。これまた『1789~』の渡辺大輔さんのデムーランを思い出しながらみていました。誠実な人柄で滲み出ているデムーラン。カーテンコールでは「だいもんのトップお披露目公演に出られてほんとに嬉しかった」と満開の笑顔でした。退団挨拶の同期からのお花わたしは龍真咲さんだったかな。すっごくかわいいドレス姿で登場されました。
そして革命にとりつかれていくロベスピエールの狂気、美しさと儚さ、歌に芝居をのせていく望海さんの歌声。歌が上手だけというのも違っていて、心がそのまま歌声になっているような、楽曲と美しさが望海さんの歌声をより引き立ている感じでした。革命の辿り着く先がみえなくなって、ダントンを処刑したあとの「次に何をすればいい?」という時の憔悴しきったような、空虚な表情も心に残りました。革命の象徴へと祭り上げられ、ローマ時代の宰相の衣装を身にまとったロベスピエールの姿は滑稽でした。自分にナイフを向けてきたマリー=アンヌの正体を知り、彼女が逮捕されると自分も死を望むようになったロベスピエール、今までとは違うロベスピエールを描きたかったという演出家の想いがあふれている物語に仕上がっていました。ロベスピエールの、もう一人粛清されなければならない人物がいるというのは、自分自身のことでしたね。牢獄で再会したロベスピエールとマリー=アンヌの場面、ロベスピエールがいつしか涙が出ていました。普通に出会っていたなら、いや普通だったら出会うことはなかった、お互いの存在すら知らないままだったみたいな台詞がすごく沁みました。マリー=アンヌが釈放されたのを見届けると微笑みながら断頭台へとのぼっていくロベスピエールの後ろ姿と牢獄を出て行くマリー=アンヌの横顔が映し出されたラストシーン。残酷なほどに美しい場面でした。二人それぞれの行く先にあわくひかりがふりそそぐような演出でした。タイトルに込められた想いはここに集約されたのかな。
サン・ジュストの朝美絢さんもすごく素敵でした。カメラが一回一回ロベスピエールの後ろでいらやしくほくそえむ表情をとらえてくれていて、ロベスピエールからはその表情がみえないので、ロベスピエールを操っている感じがうまくでていました。美しさと、次々と粛清を行っていく残酷さとが見事に融合。妖しい雰囲気がロベスピエールと運命を共にした史実のサン・ジュストに近いのではと思いました。ショーでは美しい女役姿を披露していて、細いし美脚でした。
10数年ぶりに宝塚愛が復活してから、まだ生で観劇できないのは雪組だけ。東京宝塚劇場、チケットがとれません。雪組、花組と大劇場まで遠征する体力と経済力がわたしにはありません。宝塚に費やしたお金をエンジェル係数と呼んでいる人がいるという投稿をツィッターでみかけました。素敵な言葉。明日は宙組東京宝塚劇場千穐楽ライブビューイング。這ってでもいきますよ。今夜帰ったら部屋が静かで安らげるといいな。
やっと書けました。
東京公演プログラムの表紙。
彫刻のように美しい望海さんの顔立ちと芝居力があったからこそのロベスピエール。
舞台写真は宝塚ジャーナルからお借りしています。
「ひかりふる路~革命家、マクシミリアン・ロベスピエール~
革命の理想に燃え、そして自らもまたその炎に焼かれた男-革命家、マクシミリアン・ロベスピエール~
フランスの片田舎アルトワ州アラスに生まれたロベスピエールは、幼くして母親を亡くし、その後弁護士であった父親も失踪、パリのルイ・ルグラン学院へと預けられる。同じ道を歩めばいつか父と再会出来るかもしれない・・・そんな思いを胸に勉学に励み弁護士となった彼は、故郷の街で素朴な人々の平穏な暮らしの尊さ、そして弱さを感じ、彼らの暮らしを守るのが使命だと政治家に転身、パリの街で革命に身を投じることになる・・・。
ジャコパン派に属し、時を経て革命の指導者となったロベスピエール。フランスは共和国となり、1793年国王ルイ16世は処刑された。フランスを新しい時代へと導いたロベスピエールに人々は熱狂し、いつしか彼は”革命そのもの”だと称されるようになる。
だが一方で、貴族に生まれたという事だけで、愛する家族や恋人を奪われ、人生を狂わされた”革命の犠牲者”も少なくなかった。その一人、マリー=アンヌ、革命への復讐心ゆえに”革命そのもの”であるロベスピエールを暗殺する・・・彼女はその目的を果たす為にパリの街で気を窺っていた。
サンキュロット(下層階級)が支持するジャコパン党議員が集う「ジャコパン・クラブ」。ロベスピエールは、志を一つに革命を推し進めてきた仲間であるジョルジュ・ダック・ダントンやカミーユ・デムーランらと、これからも共に闘い抜こうと語り合う。革命の理想に突き進んでいくロベスピエール。しかし、主にブルジョワジーを支持母体とするジロンド派党反対勢力の台頭、国王処刑をきっかけとした諸外国の宣戦布告等により、革命政府は混乱し、危機に瀕していた。ロベスピエールが求める”革命の理想”は崩れゆかんとしていたのだ。
そんな中、ロベスピエールはジロンド派の議員を反革命の容疑で逮捕する。更にダントンが私欲の為にジロンド派と通じ、共和国を裏切ったと側近のサン=ジュストに聞かされたロベスピエールは、理想よりも現実を見るべきだと訴えるダントンを辞職に追い込むのだった。
革命が達成されれば理想にたどり着くはずだー”革命”に取りつかれたロベスピエールは、恐怖によって革命を導くのだと「恐怖政治」を宣言。自身の理想に反する者を次々と粛清していく・・・。」
なんとか7時間眠れた土曜日、今週は3回訪問に出たから足が痛くって昨夜スパでほぐしたからまだマシだけど痛くって体休めないといけないんですが、でもちっそくしそうな部屋にいるのは限界で夕方からまた逃げ出し中。薬のせいか、口のなかに白いものがたまってきてしまいつらいです。こうしてブログを書くことは心の止まり木。
2018年2月11日の記事
雪組『ひかりふる路~マクシミリアン・ロベスピエール』『SUPER VOYAGER!』
https://blog.goo.ne.jp/ahanben1339/e/241a74fd487a20d1acba459c5fdd3d7f
ようやく思い出し日記を書こうと読み返してみたら、当日忘れないうちにわりと書けているなあっていう感じなので付け足しながら書いてみたいと思います。
どうしてもみたかった望海風斗さんの大劇場トップお披露目公演、東京宝塚劇場千穐楽ライブビューイング。杜けあきさん、一路真輝さんトップ時代の雪組に通ったわたしとしては、芝居の雪組、日本物の雪組の系譜の上に、トップコンビはもちろん、全体的にすごく歌がうまいなあっていうのが嬉しかったです。歌うまトップだった一路さんの系譜。指揮は西野淳先生。『マタ・ハリ』に続いて、ワイルドホーンさんが書き下ろした楽曲が舞台全体を美しく包み込んでいた物語でした。客席で千穐楽の舞台を見届けていらしたそうでカーテン・コールで望海さんが紹介されていました。(まさか20数年前雪組をみていたときには、杜けあきさんの退団公演で読売の役をやっていたたかこさんの旦那さんが作曲をした雪組の舞台を観劇する日がくるとはだれも思わなかったですよね、なんだかすごく不思議な感じ・・・。)
タイトルからして演出家の熱い想いを感じさせてくれる物語。東宝版の『1789バスティーユの恋人たち』のその後を見届けたような感覚でした。フランス革命に身を投じ理想に燃えていたはずのロベスピエール(望海風斗さん)がいつしか革命の象徴的存在と祭り上げらるようになっていくと、次第に革命にとりつかれていき、もはや何を目指していたのかわからないまま恐怖政治を行うようになり、暴走を止めようとするダントン(彩風咲奈さん)のいさめる言葉も耳に入らなくなってしまい、ダントンを処刑、自分を殺す目的で近づいてきたマリー=アンヌ(真彩希帆さん)をそうとは知らずに愛するようになり、いつしかマリー=アンヌもロベスピエールを憎みながらも愛するようになります。
ロベスピエールがダントン、マリー=アンヌとそれぞれ対峙、葛藤する場面が印象的でした。マリー=アンヌの真彩希帆さん、マリー=アンヌの芝居がよくないと舞台全体が崩れてしまう、愛憎に葛藤する難しい役どころをよくこなされていました。ロベスピエールにナイフを向けて、でも殺すことができないマリー=アンヌとロベスピエールの場面。ロベスピエールが憎い、でもいつしか愛するようになってしまった、愛するようになってしまったロベスピエールが恐怖政治へと暴走しはじめた、とめるには彼を殺すしかない、でも殺すことはできないという幾重もの葛藤の中で揺れるマリー=アンヌ。ロベスピエールとの出会いの場面で、家族の愛を知らないロベスピエールが家族の様子を眺めていると話すと、「それで何が見えたの?」のだったかな。問いかけるときの表情と声色に母性と愛と優しさを感じました。若いですが相手役をどんと包み込むような芯の強さを感じました。歌うま。いいトップ娘役さんだなあと思いました。
ダントンの彩風咲奈さんが二番手の男役さん。タカラヅカスペシャルで客席にインタビューしていた時の可愛らしい方と同じとは思えない骨太なダントンでした。『1789~』で上原理生さんが演じていたやたらと声がでかく人のいい、賑やかなことが好きなダントンとすごくかぶりました。恐怖政治へと走り始めたロベスピエールをいさめようと自分の屋敷に呼び夕食を共にしようとしますが、すでに革命に取りつかれているロベスピエールはダントンの言葉を聞く耳を全くもちません。ロベスピエールを心配しなんとか昔のようにワインを飲みながら陽気に語り明かそうとするダントンと冷ややかな表情のロベスピエール。すで二人が心を通わせることはできなくなっていました。ダントンの大らかさと狂気に満ちたロベスピエールの対立。大きな見せ場でした。細いはずの彩風さんの声といい仕草といい、すごく豪快なダントンを見事に体現していて骨太にみえたんです。やがてダントンが自分を裏切ったとサン・ジュストに吹き込まれたロベスピエールによって処刑されるときの、友情を心に残した潔さも印象的でした。出番は少なかったですが、ダントンの妻役は花組から異動した朝月希和さん、ダントンを残して儚く散ってしまいました。若くして妻に先立たれたダントンの薄幸に心が痛みました。朝月さん、こんなに可愛らしい娘役さんだったのかと認識。
デムーランはこの公演で退団された専科の沙央くらまさん。月組公演ではドスのきいた女役のドレス姿を拝見したのでこんな素敵な男役さんだったのかと。これまた『1789~』の渡辺大輔さんのデムーランを思い出しながらみていました。誠実な人柄で滲み出ているデムーラン。カーテンコールでは「だいもんのトップお披露目公演に出られてほんとに嬉しかった」と満開の笑顔でした。退団挨拶の同期からのお花わたしは龍真咲さんだったかな。すっごくかわいいドレス姿で登場されました。
そして革命にとりつかれていくロベスピエールの狂気、美しさと儚さ、歌に芝居をのせていく望海さんの歌声。歌が上手だけというのも違っていて、心がそのまま歌声になっているような、楽曲と美しさが望海さんの歌声をより引き立ている感じでした。革命の辿り着く先がみえなくなって、ダントンを処刑したあとの「次に何をすればいい?」という時の憔悴しきったような、空虚な表情も心に残りました。革命の象徴へと祭り上げられ、ローマ時代の宰相の衣装を身にまとったロベスピエールの姿は滑稽でした。自分にナイフを向けてきたマリー=アンヌの正体を知り、彼女が逮捕されると自分も死を望むようになったロベスピエール、今までとは違うロベスピエールを描きたかったという演出家の想いがあふれている物語に仕上がっていました。ロベスピエールの、もう一人粛清されなければならない人物がいるというのは、自分自身のことでしたね。牢獄で再会したロベスピエールとマリー=アンヌの場面、ロベスピエールがいつしか涙が出ていました。普通に出会っていたなら、いや普通だったら出会うことはなかった、お互いの存在すら知らないままだったみたいな台詞がすごく沁みました。マリー=アンヌが釈放されたのを見届けると微笑みながら断頭台へとのぼっていくロベスピエールの後ろ姿と牢獄を出て行くマリー=アンヌの横顔が映し出されたラストシーン。残酷なほどに美しい場面でした。二人それぞれの行く先にあわくひかりがふりそそぐような演出でした。タイトルに込められた想いはここに集約されたのかな。
サン・ジュストの朝美絢さんもすごく素敵でした。カメラが一回一回ロベスピエールの後ろでいらやしくほくそえむ表情をとらえてくれていて、ロベスピエールからはその表情がみえないので、ロベスピエールを操っている感じがうまくでていました。美しさと、次々と粛清を行っていく残酷さとが見事に融合。妖しい雰囲気がロベスピエールと運命を共にした史実のサン・ジュストに近いのではと思いました。ショーでは美しい女役姿を披露していて、細いし美脚でした。
10数年ぶりに宝塚愛が復活してから、まだ生で観劇できないのは雪組だけ。東京宝塚劇場、チケットがとれません。雪組、花組と大劇場まで遠征する体力と経済力がわたしにはありません。宝塚に費やしたお金をエンジェル係数と呼んでいる人がいるという投稿をツィッターでみかけました。素敵な言葉。明日は宙組東京宝塚劇場千穐楽ライブビューイング。這ってでもいきますよ。今夜帰ったら部屋が静かで安らげるといいな。
やっと書けました。
東京公演プログラムの表紙。
彫刻のように美しい望海さんの顔立ちと芝居力があったからこそのロベスピエール。
舞台写真は宝塚ジャーナルからお借りしています。