【関電が脅えた“森山地獄”】:直立不動、職員たちの異様な緊張ぶり…関電が“震えた影” 森山氏と面会したジャーナリスト・須田慎一郎氏が目撃したものとは
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【関電が脅えた“森山地獄”】:直立不動、職員たちの異様な緊張ぶり…関電が“震えた影” 森山氏と面会したジャーナリスト・須田慎一郎氏が目撃したものとは
関西電力の役員ら20人に、3億円を超す金品を渡していた福井県高浜町の森山栄治元助役(故人)が注目されている。「若狭のドン」と呼ばれ、政財官界に幅広い人脈を誇り、今年3月に90歳で死去するまで隠然たる力を持っていたという。関電側は「『森山案件』は特別で、おびえてしまった」と明かしている。森山氏と以前、面会したジャーナリストの須田慎一郎氏は、周囲の人物も震えるような「威光」を目撃していた。
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森山氏は、京都府庁や綾部市役所を経て、1969年に高浜町に入庁した。77年4月から10年間助役を務め、87年に退職した。その後も、福井県の客員人権研究員や、町の都市計画審議会委員などを歴任。2010年まで同町教育委員会委員などを務めた。
須田氏が森山氏に会ったのは、11年の東日本大震災の後、地元の公的団体の招きで講演するために、高浜町を訪れた際だった。
講演が始まる前、控室に通された須田氏は、職員に「これから町で一番の実力者が来るので、若干の時間、懇談してくれませんか」と頼まれた。
須田氏は当時を、以下のように振り返る。
「廊下から『お見えになりました』『お着きになりました』と声が聞こえた瞬間、職員はパッと立ち上がった。私もつられて立ってしまった」
入室した男性に名刺を差し出すと、相手は名刺を出さなかったが名前を名乗った。この人物が森山氏だった。
当時は、東京電力福島第1原発事故の影響で、高浜原発を含む国内の全原発が運転停止していた。
森山氏は「この町は原発でもっているようなものなので、早く再稼働してほしい」などと話したという。原発事業に絶大な影響力を持っていたことをうかがわせた。
須田氏は、森山氏の印象について、「高級なスーツや時計を身につけているわけでもなく、ギラギラした印象は受けなかった。役人のように細かそうでもなく、政治家のように『俺が俺が』タイプでもない。威圧的でもなく、なごやかに話した。建設会社の社長のようにもみえた。ある種のオーラはあった」と語った。
ただ、周囲の状況は普通ではなかった。
「われわれ2人が座っても職員たちは直立不動で、座ろうとしなかった。町の幹部級職員だったと思うが、顔をこわばらせて異様な緊張ぶりを見せていた」
この時点で、森山氏はすでに齢80を超えていたとみられる。
懇談が終わり、森山氏が腰を上げたときのことを、須田氏はよく覚えている。
「直立不動だった2~3人が小走りで『さあ、こちらです』とドアを開け、私を置き去りにして森山氏を見送りに出ていった」
森山氏が顧問を名乗った高浜町の建設会社「吉田開発」に対し、関電が発注した少なくとも18件の工事を、競争入札を行わない「特命発注」で契約していたことが報じられている。
特定企業への「優遇」ともいえる対応に、専門家は「検証のための情報開示が不可欠」と指摘しているが…。
ジャーナリストの須田慎一郎氏
◆須田慎一郎(すだ・しんいちろう)
経済ジャーナリスト。1961年、東京生まれ。日本大学経済学部卒。経済紙の記者を経て、フリー・ジャーナリストに。「夕刊フジ」や週刊誌での執筆活動とともに、テレビ、ラジオの報道番組などで活躍中。政界、官界、財界での豊富な人脈をもとに、数々のスクープを連発している。顔がコワモテであることなどから「オジキ」と呼ばれる。
元稿:夕刊フジ 主要ニュース 政治・社会 【特集・「関電が脅えた“森山地獄”」】 2019年10月07日 15:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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