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路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【社説①・01.25】:通常国会の開会 熟議へ石破首相の正念場だ

2025-01-25 16:00:30 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

【社説①・01.25】:通常国会の開会 熟議へ石破首相の正念場だ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・01.25】:通常国会の開会 熟議へ石破首相の正念場だ 

 通常国会が開会した。

 少数与党の石破茂政権は予算や重要法案の成立に向け、手腕が問われる。与野党は党利党略でなく、開かれた議論を通じ、一致点を見いだす新たな立法府の姿を示してもらいたい。

 石破首相がきのう、就任後初めての施政方針演説を行った。

 「戦後80年は民主主義を考える年」とし、「党派を超えた合意形成を図るため、与野党とも責任ある立場で熟議」する必要を訴えた。就任以来、言葉に行動が伴わないことが目立つだけに、今度こそ正念場となる。

 まず過去最大の総額115兆円に上る2025年度予算案の審議が焦点だ。規模ありきの防衛費や経済対策、増大する借金財政のリスクを中心に厳しいチェックが欠かせない。

 石破氏は昨年の臨時国会で補正予算案を28年ぶりに修正し、25年度予算案も修正に応じる構えを示す。予算委員長のポストを握る立憲民主党をはじめ、野党の責任は重大である。

 与党は「年収の壁」で国民民主党、「教育無償化」で日本維新の会の取り込みをうかがう。

 懸念されるのは、今夏の東京都議選、参院選を控え、「手柄」の分捕り合戦になることだ。密室協議で与党と取引し、予算賛成の「手打ち」を図るようでは、国民の不信を招こう。実現への財源も含め、国会を足場に論戦を交えてほしい。

 施政方針では「楽しい日本」の実現を掲げ、看板政策の「地方創生2・0」を「令和の日本列島改造」と位置づけた。大きく時間を割いたが、フレーズだけが躍っている感は否めない。

 地方の英知を集め、権限や財源の裁量を増やす抜本改革こそ求められよう。

 疑問なのは、与野党が3月末までに結論を出すことで合意した企業・団体献金の扱いなど、「政治とカネ」を巡る問題に言及が乏しかったことである。

 自民党派閥の裏金事件に続き、東京都議会自民会派でも同様の事件が発覚し、問題の根深さが浮き彫りになっている。

 しかし、衆参の政治倫理審査会でも裏金関係議員らは当事者意識のない答弁を繰り返し、真相は明らかにされていない。

 野党が求める安倍派会計責任者の参考人招致などにも、自民は後ろ向きだ。虚偽答弁が刑事罰に問われる証人喚問を含め、強制力のある調査に切り替えるべきではないか。野党の連携を求めたい。

 自民の一部を除き推進の声が高まる選択的夫婦別姓制度の導入、持続可能性が懸案の年金改革を巡る議論も注視したい。

 就任早々、内外に波紋を広げるトランプ米大統領を巡り、石破氏は「日米同盟をさらなる高みに引き上げる」と述べたが、持論の地位協定の改定に触れなかった。多国間協調の強化を含め、与野党で外交戦略を更新してほしい。

 元稿:京都新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年01月25日  16:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《憂楽帳・01.25》:春に向かって

2025-01-25 13:13:50 | 【神道・伊勢神宮を本宗・神社本庁、明治神宮他全国約8万社の神社、敬神生活の...

《憂楽帳・01.25》:春に向かって

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《憂楽帳・01.25》:春に向かって

 昨年12月、北九州市内を走るモノレールの駅「平和通」に小さな神社が設置された。「モノレール平和神社」と呼ばれ、「(試験を)平和に通る」という願いを込めて毎年冬に置かれ、受験生を応援する。学問の神様として知られる幸彦社(さちひこしゃ)の祭神を期間限定で分祀(ぶんし)したものだ。

 神社には、子供を連れた家族や制服姿の学生も訪れ、熱心に願を掛けていた。近くに並んだ絵馬に…

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《憂楽帳・01.24》:涙で流した憎悪

2025-01-25 13:13:40 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

《憂楽帳・01.24》:涙で流した憎悪

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《憂楽帳・01.24》:涙で流した憎悪

 「過去や、現在(の状況)を許し合わなければ。我々は未来を失うわけにいかない」

 ユダヤ人のマオズ・イノンさん(50)は2023年10月7日、イスラム組織ハマスによる越境攻撃で両親を殺害された。

和平への思いを語るマオズ・イノンさん(左)=イスラエル北部ナザレで2024年2月22日午前10時18分、三木幸治撮影

 数日間泣き続け、悲しみで全身が激しく痛んだ。だがある時、自分の涙が血で汚れた地面を洗い流した気がした。そして気付いた。「報復してはいけない。相手を(私…

 ■この記事は有料記事です。残り259文字(全文431文字)

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《社説①・01.25》:首相の施政方針演説 肝心なことを避けている

2025-01-25 02:07:50 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

《社説①・01.25》:首相の施政方針演説 肝心なことを避けている

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①・01.25》:首相の施政方針演説 肝心なことを避けている

 内外の懸案にどのように対処するのか。国民への説明を避けて通るようでは、理解と納得は得られない。

 通常国会が召集され、石破茂首相が施政方針演説を行った。今年1年間に取り組む政策の見取り図を示す場である。

 しかし、演説は具体性に乏しく、説得力を欠く内容だった。

<picture>衆院本会議で施政方針演説をする石破茂首相=国会内で2025年1月24日午後2時6分、平田明浩撮影</picture>

 衆院本会議で施政方針演説をする石破茂首相=国会内で2025年1月24日午後2時6分、平田明浩撮影

 国づくりのキャッチフレーズは示した。人口減少下で、国家や企業よりも国民一人一人が主役となる「楽しい日本」の実現を目指すという。 

 そのための政策の柱に据えたのが、地方創生による一極集中の是正だ。地方で若者や女性の居住を促す方策などを列挙したが、多くが従来の焼き直しである。

 経済政策も曖昧だ。「物価上昇に負けない賃上げ」を後押しするなどと述べるにとどまった。財政健全化に真摯(しんし)に取り組む姿勢もうかがえなかった。

 いずれも今国会で焦点となるテーマのはずである。

 「政治とカネ」の問題も踏み込み不足だ。幕引きを急ぐのではなく、政策をゆがめかねない企業・団体献金の禁止を決断すべきだ。

 「米国第一」を掲げるトランプ大統領とどう向き合うのか。最大の外交課題であるにもかかわらず、戦略は明示されていない。

 少数与党の政権にとって、今国会はまさに正念場だ。衆院で多数派を占める野党の協力を得なければ、国民生活を左右する来年度予算案などを可決できない。

 減税や歳出拡大を求める野党に対し、首相は「責任ある立場での熟議」を呼びかけた。財源の問題などを念頭に置いた発言だ。

 だが、そうであるなら、まずは政権が方針を明確化し、開かれた国会の場で議論するのが筋だ。一部野党との協議で「数合わせ」を優先するようでは、熟議の実現はおぼつかない。

 政権のビジョンを正面から語り、幅広い意見を踏まえて合意形成する。それこそが「熟議の国会」で求められる首相の姿勢である。 

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年01月25日  02:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説②・01.25》:日銀が追加利上げ 暮らしへの影響目配りを

2025-01-25 02:07:40 | 【金融・金融庁・日銀・株式・為替・投資・投機・FRB・「ドル円」・マーケット】

《社説②・01.25》:日銀が追加利上げ 暮らしへの影響目配りを

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②・01.25》:日銀が追加利上げ 暮らしへの影響目配りを

 金融政策の正常化が、また一歩進んだ。日本経済を活性化する上で避けて通れない道だ。ただ、暮らしに与える影響を注視しなければならない。

 日銀が24日の金融政策決定会合で、政策金利を現行の年0・25%程度から同0・5%程度に引き上げることを決めた。昨年7月に続く利上げ決定で、政策金利は2008年10月以来の水準となる。 

日銀が政策金利を年0・5%程度に引き上げることを決めた。昨年7月に続く追加利上げで、政策金利は2008年10月以来の高水準となる。金融政策決定会合後の記者会見に臨む植田和男総裁=東京都中央区で2025年1月24日午後4時36分、小林努撮影

 消費者物価上昇率は、24年まで3年連続で物価目標の2%を上回っている。堅調な企業業績を背景に今春闘でも高い賃上げ率が予想されており、日銀は「賃金と物価の好循環」が続くと見込んだ。トランプ米政権発足に伴う市場の混乱も起きなかったことから、経済の実勢に比べて低すぎる金利を調整する好機と判断した。

 日銀はこの日、25年度の物価上昇率見通しを昨年10月時点の1・9%から2・4%に上方修正した。植田和男総裁は記者会見で、物価目標の継続的な達成に自信を示した。「経済・物価見通しが実現していけば、それに応じて金利を引き上げていく」と述べ、さらなる金融正常化に意欲を見せた。

 ただ、足元の物価上昇は円安による輸入品高騰を反映した面が強い。賃上げが物価高に追いついておらず、個人消費は低迷したままだ。利上げに伴って、住宅ローンの返済負担が増す家計や、借り入れコストが高まる中小企業の動向を注意深く見ていく必要がある。

 日本はバブル崩壊後、デフレに陥り、1995年9月以降、政策金利が0・5%を超えたことがない。国民が「金利のある世界」に適応できないうちに利上げを急げば、景気を腰折れさせる。

 トランプ政権の高関税政策が世界経済や市場を動揺させるリスクも消えたわけではない。関税が引き上げられれば、日本企業にも打撃が及ぶ。

 政府の財政運営への影響も懸念材料だ。国債の金利上昇に備え、石破茂政権は借金頼みの状況から脱却を急ぐべきだ。

 次の利上げが行われると、政策金利は0・75%となる可能性が高く、この30年間経験したことがない領域に入る。日銀はこれまで以上に国内外の経済情勢を丹念に点検し、適切なタイミングを探る必要がある。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年01月25日  02:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《余録・01.25》:満ち足り愉快な気持ちを表す…

2025-01-25 02:07:30 | 【国会(衆議院・参議院・議運 ・両院予算委員会他・議員定数・「1票の格差」...

《余録・01.25》:満ち足り愉快な気持ちを表す…

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《余録・01.25》:満ち足り愉快な気持ちを表す…

 満ち足り愉快な気持ちを表す「楽しい」という言葉の語源は諸説ある。一説によると、手(た)を伸ばして喜ぶことに由来する(日本語源大辞典、小学館)

 ▲そんな伸びやかな心境を指す言葉が、政権のスローガンに登場した。石破茂首相が施政方針演説などで掲げた「楽しい日本」である。作家の故・堺屋太一氏の著作からの引用で、富国強兵による「強い日本」、経済が栄える「豊かな日本」に続く新しい国の姿としている。首相は演説で「今日より明日はよくなると実感でき、一人一人が自己実現を図れる」国づくりを強調した

衆院本会議で施政方針演説をする石破茂首相(手前)=国会内で2025年1月24日午後2時5分、平田明浩撮影
 
堺屋太一さん

 ▲故・安倍晋三元首相はかつて「美しい国、日本」を掲げた。「楽しい日本」は、社会の閉塞(へいそく)感を打ち破りたいというメッセージなのだろう。だが、困難に向き合いながら暮らす人々に、このかけ声は響くだろうか。目標とはいえ、現実との落差に違和感を覚える人も多いはずだ

 ▲国会では少数与党の厳しい現実が首相を待つ。「手を伸ばす」といえば、自民党は日本維新の会と教育無償化を巡り協議するなどテーマ別に各党と接点を探り、局面打開を図る。楽しいどころか、四苦八苦だ

 ▲偶然ながら、渦中にあるフジテレビの発展期のキャッチフレーズは「楽しくなければテレビじゃない」だった。組織のゆがみは当時から始まっていたのかもしれない

 ▲中身ある政策を示すことはもちろん、まずは政治とカネの問題に向き合い信頼を取り戻すことだ。さもないと「楽しい日本」の言葉ばかりが上滑りしてしまう。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【余録】 2025年01月25日  02:03:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説①・01.24》:トランプ2.0 高関税政策の発動 貿易戦争に勝者はいない

2025-01-25 02:06:50 | 【経済・産業・企業・起業・関税・IT・ベンチャー・クラウドファンティング

《社説①・01.24》:トランプ2.0 高関税政策の発動 貿易戦争に勝者はいない

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①・01.24》:トランプ2.0 高関税政策の発動 貿易戦争に勝者はいない 

 世界経済に打撃を与えるだけでなく、国際秩序も揺るがす。「米国第一」を振りかざす独善的な保護主義は混乱を広げるだけだ。

大阪市で開かれた主要20カ国・地域首脳会議(G20サミット)の関連イベントに出席したトランプ米大統領(前列左)と習近平中国国家主席(同右)=2019年6月28日(代表撮影)

 トランプ米大統領は、政権2期目の政策の柱に再び高関税の発動を据えた。メキシコとカナダに25%、中国には追加で10%を2月1日にも課す意向を表明した。

<picture><source srcset="https://cdn.mainichi.jp/vol1/2025/01/24/20250124k0000m010021000p/9.webp?1" type="image/webp" />環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の閣僚級会合に出席した参加国の代表ら=東京都港区で2019年1月19日、丸山博撮影</picture>
環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の閣僚級会合に出席した参加国の代表ら=東京都港区で2019年1月19日、丸山博撮影

 不法移民と麻薬の流入への対抗策として打ち出した。相手国から取り締まり強化などの譲歩を引き出したいのだろうが、筋違いの圧力を強めれば、反発を買うばかりだ。報復の応酬を招きかねない。

 影響が及ぶのは3カ国にとどまらない。人件費の安いメキシコでは日本や欧州の自動車会社の工場が多数操業し、対米輸出の拠点となっている。業績が落ち込めば、日欧の経済悪化も避けられない。

 ◆米経済にも打撃の恐れ

 トランプ氏は、より強硬な高関税政策の実行にも意欲を示している。同盟国である日欧も含めた全ての国に10~20%、中国には60%を課す案だ。

 1期目よりも税率が高く、対象国も拡大させている。世界で高関税をかけ合う深刻な事態が広がる恐れもある。

 国際通貨基金(IMF)は、今年の世界経済について、インフレが落ち着き、成長率は3%強に上向くとの予測を示してきた。だが「トランプ関税」で1%近く押し下げられる可能性があると試算する。リーマン・ショックやコロナ禍に次ぐ打撃となりかねない。

 トランプ氏が以前から問題視しているのは、米国が抱える多額の貿易赤字だ。「外国製品が製造業を痛めつけ、雇用も失わせた」と批判する。「外国に課税して、米国を富ませる」と関税を徴収する組織の設置も決めた。

 だが米国の国益も大きく損なわれるリスクがある。

 関税を実際に負担するのは米国の輸入業者である。コストの大半は販売価格に転嫁されるのが通例だ。世界各国に関税を課せば、値上がりする輸入品も多くなり、生活に苦しむ国民が増える。

 製造業の衰退に歯止めを掛けるのも難しい。1期目も日本などの鉄鋼製品に高関税を課したが、米国企業の高コスト体質が温存され、競争力を一段と低下させただけに終わった。

 多国間の枠組みを軽視する姿勢も見過ごせない。

 大国が経済力や軍事力に物を言わせて高関税で相手を威圧し、自国に都合の良い譲歩を勝ち取る。不動産売買で富を築いたトランプ氏が得意とする2国間の「ディール(取引)」だ。

 だが、一方的な高関税の発動は世界貿易機関(WTO)のルールで禁じられている。各国の利害が対立する場合、WTOなどを通じ、対等の立場で調整するのが国際法の原則である。

 ロシアのウクライナ侵略で「法の支配」が揺らいだ。多国間の枠組みを主導してきた米国が自らルールをないがしろにすれば、秩序は根底から覆りかねない。

 ◆自由貿易守る努力こそ

 第二次大戦後、各国は協力して互いに関税を引き下げる自由貿易を推進してきた。戦前の大恐慌後、高関税政策が対立を先鋭化させ、大戦の引き金となったことへの反省が背景にある。

 冷戦終結後は経済のグローバル化が加速した。先進国は新興・途上国に工場を建設し、自由貿易によって国境を超えた取引が活発化した。安い製品が出回り、多くの消費者が恩恵を受けた。

 ウクライナ危機などを受けて、安全保障に関わる重要物資の国内生産体制を強化する動きが目立っている。各国の経済的な結びつきを無理に断ち切れば、悪影響は世界に及ぶ。

 とりわけ協調を支えてきた日本や欧州の役割は大きい。

 日本など12カ国で自由貿易圏を構成する「環太平洋パートナーシップ協定(TPP)」を拡充する必要がある。

 トランプ政権が1期目に離脱した後も、東南アジア諸国やオーストラリアなど残る11カ国で維持してきた実績がある。昨年末には英国も加盟し、経済規模は世界の15%を占めるようになった。

 インドネシアなど参加を希望する国も多い。加盟国を増やせば、保護主義の広がりを食い止める「防波堤」にもなりうる。

 貿易戦争に勝者はいない。国際社会に求められるのは、自由貿易を柱とした多国間の枠組みを守っていく取り組みである。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年01月24日  02:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《余録・01.24》:今年の大河ドラマ「べらぼう」の舞台は吉原…

2025-01-25 02:06:40 | 【新聞社・報道・テレビ・ラジオ・NHKの功罪・マスコミ・雑誌・著作権】

《余録・01.24》:今年の大河ドラマ「べらぼう」の舞台は吉原…

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《余録・01.24》:今年の大河ドラマ「べらぼう」の舞台は吉原…

 今年の大河ドラマ「べらぼう」の舞台は吉原。華やかな幕府公認の遊郭と異なり、品川や新宿などには非公認の岡場所があった。岡には傍らや脇の意味がある。銭形平次ら岡っ引き、出前に使う岡持ちも同様らしい

旧吉原で25年ぶりに復活した「おいらん道中」=東京都台東区で1975年5月18日撮影

 ▲「岡積もり」は事情を知らない局外者の当て推量。「岡目八目」ははたで見ている方が冷静に判断できることを指す。タレントの中居正広さんと女性のトラブルをめぐるフジテレビの対応に関しては物言う株主の「岡目」が的確だった

フジテレビ本社=東京都港区で2025年1月23日午後4時51分、幾島健太郎撮影

 ▲フジの持ち株会社の大株主である外資系ファンドが書簡を出し、真相究明や責任の明確化を求めた。テレビ映像さえない社長会見に疑問を呈し、日弁連基準に沿わない第三者委員会設置には「真相隠蔽(いんぺい)の疑いが生じる」とダメ出しした

 ▲スポンサーが次々に離れ、流れるのは公共広告ばかりになってようやく日弁連基準の委員会設置が決まった。「コーポレートガバナンス(企業統治)の欠陥」というファンドの指摘ももっともだ

 ▲中居さんはファンに向けて引退を表明した。だが、フジが責任を果たすのはこれからだ。トラブルに社員が関与していたという週刊誌報道は「岡積もり」に過ぎないのか。第三者委員会の「岡目」できちんと検証してもらわなければならない

 ▲「べらぼう」の主人公で版元の蔦屋(つたや)重三郎はいわば江戸の主要メディアの経営者。つき合った浮世絵師や作家と生まれ育った吉原を遊び歩いたと伝えられるが、令和の時代にそんな接待が許されないことは言うまでもない。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【余録】 2025年01月24日  02:02:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説①・01.23》:トランプ2.0 米国のパリ協定離脱 気候対策後退を懸念する

2025-01-25 02:05:50 | 【地球温暖化・温室効果ガス・排出量取引・国連条約COP・IPCC・海水温上昇

《社説①・01.23》:トランプ2.0 米国のパリ協定離脱 気候対策後退を懸念する

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①・01.23》:トランプ2.0 米国のパリ協定離脱 気候対策後退を懸念する 

 地球温暖化に歯止めをかけようとする国際社会の努力に水を差すようなことがあってはならない。

 トランプ米大統領が、温暖化対策の国際ルール「パリ協定」から再び離脱する大統領令に署名した。

パリ協定を採択した国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)=フランス・パリで2015年12月(同条約事務局提供)

 「世界で最もエネルギーコストの安い国」を目指し、バイデン政権時代の政策を転換する。「(化石燃料を)掘って掘って掘りまくれ」と、規制緩和による石油や天然ガスの増産を促す一方で、大規模風力発電や電気自動車(EV)などへの支援策を撤回する。

<picture><source srcset="https://cdn.mainichi.jp/vol1/2025/01/23/20250123ddm005070119000p/9.webp?2" type="image/webp" />著名人も多く暮らす高級住宅地パシフィックパリセーズ近くで燃え広がる火災=米西部ロサンゼルスで2025年1月7日、ロイター</picture>
著名人も多く暮らす高級住宅地パシフィックパリセーズ近くで燃え広がる火災=米西部ロサンゼルスで2025年1月7日、ロイター

 各国は温室効果ガス排出量の実質ゼロに向け、来月までに新たな削減対策を国連に提出するよう求められている。米国は昨年、「2035年までに05年比61~66%減」という目標を発表した。その扱いも不透明となった。 

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2025年01月23日  02:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《余録・01.23》:「久方のアメリカ人のはじめにし…

2025-01-25 02:05:40 | 【社説・解説・論説・コラム・連載・世論調査】:

《余録・01.23》:「久方のアメリカ人のはじめにし…

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《余録・01.23》:「久方のアメリカ人のはじめにし…

 「久方のアメリカ人のはじめにしベースボールの面白きかな」。詠み手の正岡子規が「野球」の名付け親という俗説がある。「野(の)球(ぼーる)」を雅号に使って誤解が生じたが、ベースボールの訳ではなかった

 ▲子規には日本野球の始まりをめぐる逸話もある。新聞に「明治14、15年ごろ」と自説を書いたところ「明治5(1872)年」と反論され、あっさり撤回。この年にお雇い米国人教師が伝えたことが定説になった

 ▲物事の発祥に諸説あるのは万国共通。本場の米国では南北戦争の北軍の英雄、ダブルデイ将軍が少年期に発明したと信じられてきた。発祥100年の1939年に初試合の地とされたニューヨーク州クーパーズタウンに野球殿堂が誕生した

シーズン最多の262安打を記録後、九回途中で交代し観客の声援に応えながらベンチに引き揚げるイチロー=米シアトルのセーフコ・フィールドで2004年10月3日、竹内幹撮影

 ▲今では伝説にすぎず将軍は無関係とわかったが、殿堂の輝きに変化はない。そこにイチローさんがアジア人として初めて加わった。史上2万を超える選手から270人余しか選ばれていない狭き門。ベーブ・ルースら偉大な名選手たちと肩を並べたことになる

<picture>シーズン最多の262安打を記録後、野球殿堂博物館の一角に新設されたイチローの展示コーナー=米ニューヨーク州クーパーズタウンで2004年11月8日、野村隆宏撮影</picture>

シーズン最多の262安打を記録後、野球殿堂博物館の一角に新設されたイチローの展示コーナー=米ニューヨーク州クーパーズタウンで2004年11月8日、野村隆宏撮影

 ▲年間最多記録の262安打。「エリア51」からのレーザービーム。走攻守で才能を輝かせたイチローさんはホームランが乱れ飛ぶ「ステロイド時代」の米野球に刺激を与え、原点を思い出させた

 ▲子規も特別枠で加わっている日本の野球殿堂にも選ばれたばかり。「野球は、もうすこしおおらかであっていい。ベースボールは、もうすこし緻密であっていい」。渡来まもない球技を愛した明治の歌人にも聞かせたいイチロー語録である。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【余録】 2025年01月23日  02:02:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説①・01.22》:トランプ2.0 米国第一の復活 これが「偉大な国」なのか

2025-01-25 02:04:50 | 【米国・在日米軍・地位協定、犯罪・普天間移設・オスプレー・安保】

《社説①・01.22》:トランプ2.0 米国第一の復活 これが「偉大な国」なのか

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①・01.22》:トランプ2.0 米国第一の復活 これが「偉大な国」なのか

 国内の対立をあおり、世界の分断を広げる。それが目指すべき「偉大なアメリカ」の姿だとでも言うのだろうか。

 「米国第一」を掲げる共和党のドナルド・トランプ氏が大統領に再び就任した。昨年の大統領選で勝利し、復活を果たした。 

米連邦議会議事堂で行われた大統領就任式で、演説するドナルド・トランプ大統領(中央)=ワシントンで2025年1月20日、ロイター

 2回目の就任宣誓式は異例ずくめだった。寒さを理由に屋外から連邦議会議事堂内に会場を移し、規模は大幅に縮小された。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2025年01月22日  02:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《余録・01.22》:「親愛なるナオミ・ウエムラへ…

2025-01-25 02:04:40 | 【米国・在日米軍・地位協定、犯罪・普天間移設・オスプレー・安保】

《余録・01.22》:「親愛なるナオミ・ウエムラへ…

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《余録・01.22》:「親愛なるナオミ・ウエムラへ…

 「親愛なるナオミ・ウエムラへ デナリへ登るナオミを神が守りたもうことを」。1984年2月、北米最高峰への冬季単独登頂に成功後、消息を絶った冒険家の植村直己さんの遺品に刻まれていたという

 ▲デナリは「高きもの」「偉大なもの」を指す先住民の言葉。19世紀末に就任したマッキンリー米大統領の名で呼ばれた最高峰の本来の呼称だ。2015年に当時のオバマ政権が地元アラスカ州の求めに応じて正式名称にした

 ▲その名が再びマッキンリーに戻る。「保護主義のナポレオン」と呼ばれた先達を敬愛するトランプ大統領が就任演説で表明し、大統領令に署名した。「多様性、公平性、包括性」の頭文字を取ったDEI政策を嫌う政権の性格が表れたようでもある

署名した大統領令を示すトランプ米大統領=ワシントンでの就任式典行事で20日、AP

 ▲「シンプルに米国第一にする」「(化石燃料を)掘って掘って掘りまくれ」「数百万の犯罪外国人を送り返す」「男性と女性の二つの性別のみが存在する」。トランプ節全開の就任演説からは「寛容さ」が感じられなかった

 ▲先の大戦時の「日系人強制収容」の根拠とされた「敵性外国人法」を発動する。パナマ運河を「取り戻す」。果ては「領土を広げる」と明言した。マッキンリー時代のハワイ併合やフィリピン領有の歴史を思えば、心穏やかではいられない

 ▲宇宙飛行士を火星に送り込み、星条旗を立てるのはご自由だが、パリ協定や世界保健機関(WHO)を脱退しては大国の責任を果たせない。そんな「黄金時代」ではすぐにメッキが剥がれるのではないか。 

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【余録】 2025年01月22日  02:05:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説①・01.21》:ファクトチェックの廃止 偽情報の拡散を懸念する

2025-01-25 02:03:50 | 【報道=事実に裏打ちされた報道、ファクトチェック(事実検証)・フェイク(偽...

《社説①・01.21》:ファクトチェックの廃止 偽情報の拡散を懸念する

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①・01.21》:ファクトチェックの廃止 偽情報の拡散を懸念する

 偽情報の拡散を助長するだけではないか。情報インフラを担うプラットフォーム企業としての責任を自覚する必要がある。

 米メタがフェイスブックやインスタグラムなどSNS(ネット交流サービス)で、偽情報を特定するファクトチェック機能を廃止すると発表した。 

メタの本社=米西部カリフォルニア州メンローパークで2023年11月18日、大久保渉撮影

 トランプ氏が初当選した2016年の米大統領選で、偽情報の拡散が問題化したことを機に導入された措置だ。ファクトチェック団体や報道機関の検証に基づき、事実でない投稿には「誤り」「一部誤り」などと表示する。

 こうした取り組みを「不当な検閲」と批判してきたトランプ氏が大統領に再選されると、メタのザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は迎合的な行動を取るようになった。私邸を訪ねたり、陣営に100万ドル(約1億5000万円)を寄付したりしている。

 ザッカーバーグ氏は今回、ファクトチェック機能が「政治的に偏り過ぎた」として「表現の自由の原点に立ち返る」と述べた。

 表現の自由が重要なことは言うまでもない。だからといって偽情報を野放しにすれば、人々の判断を誤らせ、社会の分断を深めることになる。

 今のところ対象は米国のみだが、国際ファクトチェックネットワーク(IFCN)は声明で「世界で実施されれば多くの場所で実害が出る」と警告している。

 メタは代わりに、利用者が相互に投稿をチェックし合う機能を導入する方針だ。だが、専門家の関与は保証されず、客観的な視点で真偽を見極められるかは疑問だ。

 メタは今回、他人を傷つけるような不適切な投稿への規制も見直し、削除などの措置を取る際の基準を緩和する。性的少数者や移民などに対する攻撃的な言葉が拡散されやすくなる恐れがある。

 ネット空間の健全性を維持するため、自由と規制のバランスを取る試行錯誤が続けられてきた。メタの方針転換はその努力を無にしかねない。再考すべきだ。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2025年01月21日  02:01:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説②・01.21》:女子医大の元理事長逮捕 経営私物化の全容解明を

2025-01-25 02:03:40 | 【大学「国公立・私学・大学院・医学系・工学部系」、大学ファンド=優秀な研究成果】

《社説②・01.21》:女子医大の元理事長逮捕 経営私物化の全容解明を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②・01.21》:女子医大の元理事長逮捕 経営私物化の全容解明を 

 大学の経営がむしばまれ、医療機能が低下した。私物化の全容を解明しなければならない。

 東京女子医科大の岩本絹子・元理事長が背任容疑で逮捕された。

岩本絹子・元理事長の逮捕を受けた記者会見を終え、一礼する東京女子医科大の清水治理事長(右)と山中寿学長=東京都新宿区で2025年1月13日午後4時2分、北山夏帆撮影

 新校舎2棟の建設で、実態のないアドバイザー業務の対価として建築士に報酬を支払うなどし、大学に1億円余の損害を与えたとする容疑だ。うち約3700万円は元理事長に渡ったとみられる。

<picture><source srcset="https://cdn.mainichi.jp/vol1/2025/01/21/20250121ddm005070122000p/9.webp?1" type="image/webp" />東京女子医科大と元理事長の岩本絹子容疑者を巡る経過</picture>
東京女子医科大と元理事長の岩本絹子容疑者を巡る経過

 新病棟建設の際にも、建築士に支払った報酬から、約5000万円を自身に還流させた疑いが出ている。トップを務めた同窓会組織で、職員らに不明朗な支出をした疑惑もある。

 事実とすれば、立場を悪用して私腹を肥やすという言語道断の行為だ。捜査を尽くす必要がある。

<picture>東京女子医科大の岩本絹子・元理事長=大学ホームページより</picture>
東京女子医科大の岩本絹子・元理事長=大学ホームページより

 元理事長は大学創立者の親族で、2014年に大学の経営を統括する役職に就いた。付属病院で鎮静剤を大量投与された男児が死亡する事故が起き、経営が低迷していた時期だ。

 再建を託されたが、その手法は人件費の抑制や施設の集約など、徹底したコストカットだった。

 一時は黒字に戻したものの、待遇悪化で医師や職員の大量退職を招いた。事故を教訓に設置された「小児集中治療室」も短期間で閉鎖された。病床利用率は落ち込み、収支は再び赤字に転落した。

 一方で、自身の報酬は増額させていた。大学が設置した第三者委員会の報告書は「金銭に強い執着心を持っていた」と指摘する。

 異論を唱える人は排除され、経営陣は「岩本1強」体制になっていった。とはいえ、専横を止められなかった周囲の責任は重い。

 女子医大は、女性医師の養成に特化した国内唯一の大学だ。臓器移植や消化器などの専門医療でも評価されている。

 教育機関や高度医療の拠点として社会的責任がある。公費助成や税の優遇も受けている。

 混乱で最も影響を受けるのは学生と患者である。ガバナンスと経営の立て直しが急務だ。

 私立大の経営トップによる不祥事が相次ぐ。今年4月には、理事会に対するチェック体制を強化する改正私立学校法が施行される。

 公正で風通しの良い組織であるか、運営体制の不断の点検が求められている。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2025年01月21日  02:01:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《余録・01.21》:歴代米大統領で最も在任期間が短かったのは…

2025-01-25 02:03:30 | 【米国・在日米軍・地位協定、犯罪・普天間移設・オスプレー・安保】

《余録・01.21》:歴代米大統領で最も在任期間が短かったのは…

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《余録・01.21》:歴代米大統領で最も在任期間が短かったのは…

 歴代米大統領で最も在任期間が短かったのは第9代ハリソン大統領。1841年3月に連邦議会議事堂外で開かれた就任式で史上最長という2時間近い演説を行ったが、肺炎にかかり、1カ月後に68歳で亡くなった

就任式に先立つ行事に参加してポーズを取るトランプ次期米大統領(左)=ワシントンで19日、AP

 ▲就任式が大寒の頃になったのは1937年のフランクリン・ルーズベルト大統領の2期目から。それまで3月4日が任期の始まりだったが、憲法改正で早まった。大恐慌で迅速な政策決定を迫られ、11月の選挙から4カ月の政権移行期間は長すぎると判断された

 
第35代ケネディ米大統領誕生の瞬間。ワシントンの議会議事堂東側広場での米国大統領就任式。左はウォーレン米最高裁長官=1961年1月20日、UPI

 ▲問題は厳寒期で屋外での式典が防寒着必須になったことだ。40年前のレーガン大統領2期目の就任式は寒波で屋外行事を中止した。当時73歳。1期目から就任年齢でハリソン氏を抜いて最高齢記録を更新した。パレードなど祝賀行事の一般参加者に対する影響も考慮したという

 ▲極寒の天気でそれ以来の屋内開催となったトランプ大統領就任式。78歳での就任はバイデン大統領の最高齢記録に並ぶ。健康への配慮もあっただろう。2期目は前政権の政策を覆す大統領令をたっぷり準備したらしい

 ▲ハリソン氏は就任演説で大統領権限拡大は専制を招くと警告した。反エリート主義で民衆の絶大な支持を得た2代前のジャクソン大統領への批判が込められていたという。トランプ氏が1期目に執務室に飾った肖像画の主である

 ▲「トランプ2・0」は来年建国250年を迎える米政治史の枠内にとどまるのか。それとも踏み越えるのか。世界が注視する中で4年間が始まる。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【余録】 2025年01月21日  02:03:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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