路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

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【新聞エンマ帖】:《毎日は情けない》統一教会報道、新聞ウォッチャーが”悪い意味”で「驚かされた社説」とは?

2023-01-19 07:45:30 | 【社説・解説・論説・コラム・連載】

【新聞エンマ帖】:《毎日は情けない》統一教会報道、新聞ウォッチャーが”悪い意味”で「驚かされた社説」とは?

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【新聞エンマ帖】:《毎日は情けない》統一教会報道、新聞ウォッチャーが”悪い意味”で「驚かされた社説」とは? 

◆岸田政権「勝ちに不思議の勝ちあり」

 ■「文藝春秋」編集部/文藝春秋 2023年2月号

 元稿:文藝春秋社 主要出版物 週刊文春 【文春オンライン】 2023年01月18日 11:12:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【ニュース裏表】:〝財務省政権〟に日本が喰われる 甘利前幹事長、麻生副総裁「自民大物」たちの発言が国民感情を逆なで…政府は火消しに一生懸命

2023-01-19 07:45:20 | 【財務省・財政健全化・基礎的収支・日本銀行・国債・国と地方の借金、官邸の埋蔵金】

【ニュース裏表】:〝財務省政権〟に日本が喰われる 甘利前幹事長、麻生副総裁「自民大物」たちの発言が国民感情を逆なで…政府は火消しに一生懸命

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【ニュース裏表】:〝財務省政権〟に日本が喰われる 甘利前幹事長、麻生副総裁「自民大物」たちの発言が国民感情を逆なで…政府は火消しに一生懸命

 自民党の甘利明前幹事長が少子化対策の財源として「消費税増税も検討対象」と発言し、また麻生太郎副総裁は「防衛増税は国民の理解を得た」と講演で言い切った。コロナ禍で冷え込んだ経済がまだ十分に回復していない中での自民党の大物たちの発言は、国民感情を逆なでした。

<button class="sc-cpUXGm ckhYIf" data-cl-params="_cl_vmodule:detail;_cl_link:zoom;" data-cl_cl_index="38"></button><button class="sc-cpUXGm ckhYIf" data-cl-params="_cl_vmodule:detail;_cl_link:zoom;" data-cl_cl_index="38">消費税増税に言及した甘利氏</button>
   消費税増税に言及した甘利氏(株式会社 産経デジタル)

 ■【グラフでみる】平均年収と賃金が増加した人の比率

 そもそも岸田文雄首相が防衛増税をこのタイミングで打ち出したことが問題だ。物価上昇などで生活が苦しくなっているタイミングで、増税を政治のメインテーマにするのは、あまりにも下策である。

 春闘で賃上げの機運が高まっているところに、「将来、増税しますよ」という政府のメッセージはあきれるレベルだ。また岸田政権が掲げる「資産所得倍増プラン」からいっても、法人税を引き上げれば株価に悪影響が出る。その一方で「貯蓄するよりも株に投資を」と国民に呼びかけるのだから意味がわからない。

 もちろん消費増税など、日本経済をわざわざ低迷させるためにやるとしか思えないものだ。「消費増税はしない」と政府は火消しに一生懸命だ。だが、国民は財務省に洗脳されている岸田政権ならば、いずれやるだろうと予想している。

 どう考えても今は増税ではなく、減税のタイミングだ。コロナ禍で打撃を受けた観光や飲食業、そして地方経済や低所得者の生活を立て直すには、消費減税が最も有効だが岸田政権は一切の減税を拒否している。財務省がその方針だからだろう。ひょっとしたら岸田首相は、「岸田文雄財務事務次官」の方がお似合いかもしれない。

 中国など周辺国との軍事的緊張が高まる中で、防衛費の拡充は必要だ。「異次元の少子化対策」も優先課題で間違いない。だが、その財源は、まずは経済成長による税収増で行うべきだ。そのためには減税など機動的な財政政策、そしてインフレ目標達成に強くこだわる金融緩和政策を採用することだ。

 後者については、日本銀行の新総裁人事が非常に心配である。ダメな総裁を選んで、さらに政府と日銀の共同声明を安易に行えば、日本経済は致命傷を負うだろう。

 政府の無駄をなくす行政改革も財源捻出の手段としてありだ。菅義偉前首相が、最近この点を指摘し、岸田首相の方針を、かなりはっきり批判したのは注目すべき動きだ。日本の財政運営をおかしくしている「国債償還60年ルール」見直しの動きも与党内にある。与野党ともに積極的に、経済を立て直す政策を競うべきだ。そうしないと〝財務省政権〟に日本が喰(く)われてしまうだろう。 (上武大学教授・田中秀臣)

 元稿:夕刊フジ 主要ニュース 政治・社会 【政治ニュース・ニュース裏表】  2023年01月18日  17:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【政界地獄耳・01.12】:岸田予想外? 中国の入国ビザ停止

2023-01-19 07:40:10 | 【中国・共産党・香港・台湾・一帯一路、「国家の安全」、個人の権利を抑圧する統治】

【政界地獄耳・01.12】:岸田予想外? 中国の入国ビザ停止

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政界地獄耳・01.12】:岸田予想外? 中国の入国ビザ停止 

 ★内閣府の調査でも日本が海外から輸入している品目のうち、携帯電話やパソコンなど1000を超える品目で中国への依存度が高く、既に5割以上を占めている。コロナ禍の最中でも22年上半期の日本の対中輸入は、2・4%増の926億6737万ドルと、上半期ベースで過去最高を記録(日本貿易振興機構・ジェトロ中国北アジア課22年8月資料)と、中国なくして日本の経済、生活は成り立たない。内閣府も「輸入先の中国で何らかの供給ショックや輸送の停滞が生じた場合、日本は多くの品目で代替が難しく、大きなリスクがある」と指摘している。

 ★中国は春節を前にゼロコロナ政策を緩和、中国からの入国者に対する検疫強化は日 本、韓国をはじめ米、仏、豪、印など少なくとも16カ国以上が取った措置だが、中国はこれまでの「相互主義の原則」を無視し、日本と韓国だけに中国入国ビザ(査証)手続きを停止した。外務省は中国側に「極めて遺憾だ」と抗議し、措置の撤回を求めた。外相・林芳正はアルゼンチンのブエノスアイレスから「中国が新型コロナ対策とは別の理由で、査証発給の制限を行ったことは極めて遺憾であり、かかる措置の撤廃を求めた」と声明を発表した。

 ★林の言う「コロナ対策とは別の理由」がポイントだ。米バイデン大統領は否定するものの、韓国の尹錫悦大統領は米国の核戦力を含む米韓の共同計画や演習に言及。日本も中国を仮想敵国にした防衛力強化の予算増強や、沖縄など南西諸島の要塞(ようさい)化を進めている。いずれも名指しこそしないものの日米韓のトライアングルの中にある。中国はビザ停止の先には対日輸入のストップなどを意識しており、日韓がそのターゲットになったとみるべきだろう。軍事力強化を13日の日米首脳会談の手土産にする首相・岸田文雄に中国の措置は予想外だったか。(K)※敬称略

 ◆政界地獄耳

 政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【コラム・政界地獄耳】  2023年01月12日  07:56:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【政界地獄耳・01.11】:立民執行部、中途半端の始末いつつけるのか 一丸で1つの目標を見据えているのか

2023-01-19 07:40:00 | 【政党・自民・立憲・維新の会・公明・国民民主・共産・社民・れいわ・地域政党他】

【政界地獄耳・01.11】:立民執行部、中途半端の始末いつつけるのか 一丸で1つの目標を見据えているのか

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政界地獄耳・01.11】:立民執行部、中途半端の始末いつつけるのか 一丸で1つの目標を見据えているのか 

 ★前回、21年の衆院選岐阜5区に立憲民主党が擁立したのは全国最年少の25歳の今井瑠々。自民党の元国家公安委員長・古屋圭司に次点で負けたものの、初出馬で6万8000票余りを獲得。ベテランを焦らせたといっていい。その今井が7日、立憲民主党本部に離党届を提出したとツイッターで明かし「私、今井るるは、岐阜県議会選挙に立候補を予定しております。所属につきましては、立憲民主党を離党し、無所属の自民党推薦にて出馬予定です」とした。

 ★立憲の選対委員長・大串博志は同日、「突然かつ一方的な離党の意思表明は極めて遺憾である」とし、自民党からの出馬に対しても「多くの支援者・支援団体の皆さんの期待を二重に裏切る背信行為であり、有権者の理解が得られるものではない。厳しく非難する」と強い不快感を示した。本来ならば政党の党員として、その理念や目的に自らを重ねたことで党の公認や推薦を受けることになるのだから、また選挙では党名を書かせ、その党勢によって税金から政党助成金も得ている。政党の重みは大きいはず。大串の方が筋が通っているのは当然だ。

 ★だがそれだけの覚悟なく党を変えることに違和感をなくさせたのはこの30年間、党を幾つも変え、渡り歩いてきた立憲の人たちではないのか。今、党は一丸となって1つの目標を見据えているのだろうか。憲法観、原発の考え方、安全保障、農政、ありとあらゆる分野で多様な意見を集約していくプロセスを立憲はお持ちか。参院選敗北後も執行部はほとんど責任も取らず、提案型と称して戦わず、与党に寄り添う政治を続けていては、若いこれからの候補者が疑問を持つのも当然ではないのか。少しでもいい政治をしようと模索するために立憲から逃げ出した若い候補を糾弾するのも結構だが、中途半端な自分たちの始末は一体いつつけるのか伺いたいものだ。(K)※敬称略

 ◆政界地獄耳

 政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【コラム・政界地獄耳】  2023年01月11日  07:40:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:安倍氏銃撃起訴 真相の解明欠かせない

2023-01-19 07:10:50 | 【事件・犯罪・疑惑・詐欺・旧統一教会を巡る事件・ネット上の誹謗中傷他】

【社説】:安倍氏銃撃起訴 真相の解明欠かせない

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:安倍氏銃撃起訴 真相の解明欠かせない 

 安倍晋三元首相に対する銃撃事件で、奈良地検が殺人と銃刀法違反(発射、加重所持)の罪で山上徹也容疑者を起訴した。

 参院選の演説中に、政界に大きな影響力を有する衆院議員が撃たれ、死亡したことは社会に大きな衝撃を与えた。どんな理由があろうと、許されない凶行である。

 背景には、母親が世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に多額の献金をし続けたことで、自分や家族の人生を狂わされたことへの強い恨みがあるとされる。

 今後開かれる裁判員裁判では、安倍氏殺害に至る経緯や動機をはじめ、教団を巡る問題にも踏み込み、事件の全容を十分に解明してもらいたい。

 被告の母親は1991年ごろ入信し、総額約1億円を献金した。一家は自宅を追われ、被告は大学進学をあきらめた。「家庭が崩壊した。(韓国から教団を)招き入れたのが岸信介元首相。だから(孫の)安倍氏を殺した」と被告は供述している。

 安倍氏は、教団の友好団体が2021年に開いた国際イベントにビデオメッセージを寄せた。教団総裁に賛辞を贈る姿を、被告は視聴したことがあるという。当初は教団総裁を狙っていたという被告が、安倍氏に切り替えた理由や意図などを公開の法廷でしっかり聴かねばならない。

 教団を巡っては以前から、「寄付しなければ地獄に落ちる」などといって信者に過剰な献金を迫る反社会性が問題視されていた。教団の姿勢が事件にどんな影響をもたらしたのか。被告の家族や教団関係者も含めて証言を集め、検証することが必要だろう。

 公判で被告の刑事責任能力が争点となる可能性を見据え、検察は半年近く精神状態を調べる鑑定留置を行った。責任能力を確認したとする根拠の説明は欠かせない。

 事件直後から、教団と自民党議員との深い関係が次々と明らかになった。安倍氏が選挙で教団票を振り分けていたとの証言や、教団の名称変更に政治が関与した疑いも残ったままである。

 信者を親に持つ「宗教2世」の告発が相次ぎ、深刻な人権侵害も浮かび上がった。

 こうした問題の解決は、政治に問われている。岸田文雄首相は教団と「関係を絶つ」と宣言しながら、党内や安倍氏関係者への調査は消極的なままだ。裁判にとどまらず、国会や与党も事件に向き合い、二度と悲劇が繰り返されないよう策を講じるべきである。

 元稿:京都新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2023年01月18日  16:05:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【安倍元首相銃撃事件】:現金は数百万円に上る…山上徹也被告のもとに全国の「ファン」から差し入れが殺到

2023-01-19 07:10:20 | 【事件・犯罪・疑惑・詐欺・旧統一教会を巡る事件・ネット上の誹謗中傷他】

【安倍元首相銃撃事件】:現金は数百万円に上る…山上徹也被告のもとに全国の「ファン」から差し入れが殺到

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【安倍元首相銃撃事件】:現金は数百万円に上る…山上徹也被告のもとに全国の「ファン」から差し入れが殺到

 ◆安倍元首相銃撃犯の今

◆初公判は遠い先の話

 ■週刊現代(講談社)

 元稿:現代ビジネス 主要ニュース メディアと教養 【事件・担当:週刊現代編集部】  2023年01月18日  07:03:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【安倍元首相銃撃事件】:拘置所へ支援金殺到も反応薄く…山上徹也被告の「心の闇」は初公判で明かされるのか

2023-01-19 07:10:10 | 【事件・犯罪・疑惑・詐欺・旧統一教会を巡る事件・ネット上の誹謗中傷他】

【安倍元首相銃撃事件】:拘置所へ支援金殺到も反応薄く…山上徹也被告の「心の闇」は初公判で明かされるのか

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【安倍元首相銃撃事件】:拘置所へ支援金殺到も反応薄く…山上徹也被告の「心の闇」は初公判で明かされるのか

 ◆謎だらけの事件

 「韓鶴子(世界平和統一家庭連合=統一教会)総裁の殺害計画を諦め、安倍(晋三)元首相にターゲットを替えて実行するまでに3年近くの歳月を要している。その間、誰にも相談せず単独で準備を重ねたとは思えず、共犯もしくは支援者がいるのではないかと思って調べたのですが、見つかっていません」

 安倍晋三殺害事件を追い続ける在阪の社会部記者がこう漏らす。

 約半年という異例の長期鑑定留置を経て、山上徹也容疑者(42歳)が殺人罪などで起訴される。「騒動の鎮静化を待つ」という検察の思惑は当たり、統一教会がすべての元凶であるかのような報道は、昨年末に被害者救済新法が成立したことでひと段落した。今後、検察側と弁護側が論点整理をし、争点を絞ったうえで年内にも行われる裁判員裁判での初公判に臨む。 

山上容疑者

 この間、大阪拘置所での山上の様子は、接見を許された妹が元弁護士の伯父に語り、対外窓口となった伯父の口からメディアに伝えられるだけだった。山上は、「塀の外」の喧噪をさほど気にする様子もなく、全国から100万円を超える支援金が集ったことを聞いても反応が薄いという。

 2022年7月8日午前11時31分、筒状の銃身を粘着テープで巻いた手製の銃で安倍元首相に向けて2発の銃弾を発射した山上は、直後、警察官に仰向けで押さえつけられ、抵抗することなく空虚に目を見開いていた。

 2019年10月6日、愛知県常滑市で開催された統一教会のフェスティバルに火焔瓶を持って乗り込もうとして果たせず、韓総裁から安倍元首相へと切り替えたという“飛躍”を含め、この事件には謎が多い。

 ネット上では「山上の発射角度と安倍入射角度の違い」から第三者による発砲説が流れているし、冒頭のように誰にも頼らず相談せず、冷静に事を運べるだろうかという疑問から、支援者の存在を疑う向きもある。 

 半年を経て新たな事実が出てこない以上、いずれも「想像の範囲」でしかないが、そうなれば統一教会に全財産をぶち込み自己破産した母親に人生を狂わされて以降、20数年間も怒りを内包し、それが日本で最も著名な政治家を銃撃するという単独犯としての“狂気”につながったというしかない。

 この計算外、常識外の行動は、「統一教会という特異なカルト集団が引き起こした2世信者問題」という一般論に閉じ込めてはなるまい。すでに一般論は、野党、被害者弁護団、脱会・2世信者、マスメディアなどの共闘でさまざまに論じられ、救済新法として不十分ながら政治決着した。

 今後は、公判などを通じて山上が抱える「心の闇」に迫ることで、山上の個別事情を社会が抱える構造問題の解明へと“昇華”させるべきだろう。

 ◆無縁社会とロスジェネ世代

 山上は、バブル崩壊後の就職氷河期に直面したロストジェネレーション(失われた)世代である。その頃世界は、ソ連崩壊で自由な民主主義社会の勝利を確信し、それは株主価値が全てに優先する新自由主義につながった。効率的な経営形態として非正規雇用が推奨されて環境が整備され、落ちこぼれは自己責任原則のもと無視された。

 父の自殺と母の統一教会への入信による家庭崩壊で、奈良県有数の進学校に通いながら大学への進学を断たれた山上は、自衛隊での自立を選択したものの自殺未遂を犯し、軌道修正は果たせなかった。測量士補、宅地建物取引主任者、ファイナンシャルプランナーなど、“地頭”の良さを生かして免許や資格を取得するのだが、正社員への道は遠く8回も転職を繰り返している。

 ロスジェネ世代という共通項に加えて統一教会2世という個別事情。さらに時代は、昭和から平成へと移るうちに無縁社会化していった。孤独と孤立が進行する社会である。

 天皇制のもと思想宗教教育などがすべて統制されていた太平洋戦争の終結後、国民は与えられた民主主義を謳歌、戦後復興で企業は勢いを取り戻し、そこでは権利擁護の労働組合が強い力を持った。伝統宗教に飽き足らない人たちが新興宗教に走り、部落解放同盟のような人権団体も運動を強化した。

(c) 現代ビジネス

 一方で戦前から続く地域コミュニティーは祭や町内会活動として継続し、家父長制や男女格差は女性に参政権が与えられても残っていた。つまり国民は、家庭や地域、会社や組合、方向性を同じくする運動団体や宗教団体の構成員として、いずれかに所属していた。それはしがらみを生じさせ自由を阻害したが、「血縁」「地縁」「社(会社)縁」という“絆”に守られるものでもあった。

 農村から都市への人口移動が終わり、経済成長も止まって核家族化が進行すると、家庭や地域や会社の縁も薄まっていった。それは自由をもたらしたが、代償として能力的にも性格的にもうまく立ち回れない一群の人たちを孤独と孤立に追いやった。それはロスジェネ世代を生んだ新自由主義の流れと時期を同じくしている。

 山上は無縁社会を生きるロスジェネ世代だった。しかも無縁といっても、「地縁」「社縁」が薄くなっても「血縁」だけは切れないなか、父の自殺、母の入信、兄の自殺と家庭が崩壊していった山上にとって、今も信仰を止めない母との「血縁」は、疎ましいものでしかなかっただろう。

 「縁」を持たない山上の心情を知るには、19年10月に開設され、事件直前の22年6月末に閉じられた山上のものとされるツイッターを辿るしかない。

 1363のつぶやきは統一教会への批判を繰り返しているのは当然として、対象範囲は国際情勢、国内政治、経済情勢、安全保障、皇室、社会事件と幅広く、知的レベルの高さを感じさせるものだった。

 一方で、保守的でネット右翼的な発言は多いが、安倍元首相への評価と批判が交錯する部分があり、殺害動機が見えてこない。集団的自衛権を容認、憲法改正に賛成する山上は安倍路線に共感するはずだが、統一教会を政治に呼び込んだ祖父・岸信介以降の安倍家三代を許すことができない。その“揺らぎ”が、自民支持だが非主流派の石破茂を評価するなど一貫性を欠いたものとなっている。

 端的に心情を知る手がかりは映画『ジョーカー』に対する共感だろう。

 ピエロを職業とする白人男性・アーサーが、社会から孤立して困窮、母親のウソに気付いて母への信頼を失い、ふと手に入れた拳銃で殺害を繰り返し群衆の暴動を扇動していく。アーサーの孤独を知る山上は、「ジョーカーという真摯な絶望を汚す奴は許せない」と綴った。アーサーの暴力肯定は、堕ちていった者の再生を阻む社会への怒りと重なり、襲撃に正当性を与えたのかも知れない。

 ◆「誰もわかってくれない」

 SNSはコミニュケーションツールだが、山上のツイッターにフォロワーは数人しかおらず、言葉をやり取りする場ではなく、孤独な意見表明の場だった。その長く蓄積された孤独は深い孤立を生み、容易には解消しない。山上は拘置所生活を淡々と受け入れていたようで、殺害をやり切った達成感も今後を憂慮しての絶望感も伝わってこない。

 孤独・孤立の研究に取り組み、『孤立の社会学』『孤立不安社会』などの著作がある早稲田大学文学学術院文化構想学部の石田光規教授は、山上の状況をこう推し測る。

 「(襲撃事件に)世間は騒ぎ、統一教会にも2世問題にも注目は集った。しかしそれが彼の満足につながったかどうかはわからない。そもそも自分の内面を外に出すことを遮断してしまっている。それは『誰もわかってくれない』という諦めの境地からです。むしろ『自分に構ってくれるな』と思っているのではないでしょうか」

 それだけ絶望は深い。鑑定の専門医の質問に「うんざりしている」と漏らしているのも、「何を話してもわかってもらえない」という“投げやり”の裏返しでもあろう。

 新自由主義経済によって分断が進み、「縁」が薄れて索漠とした時代になることの危険性は、20年以上前からヨーロッパで認識され、ソーシャルインクルージョン(社会的包摂)という形で対策が取られてきた。貧困を始めさまざまな理由で社会から落ちこぼれる層を抱え込むことにより、社会を安定化させようという取り組みだ。

(c) 現代ビジネス

 イギリスでは2018年1月、孤独担当相を設置し、孤独・孤立に放置される層をなくそうとしている。日本も危機は認識しており、21年2月に世界で2番目の孤独・孤立担当相を置いた。 

 21年12月、「死ぬときぐらい注目されたい」という検索履歴を残していた谷本盛雄は、自身が通っていた大阪・北新地の診療クリニックに火をつけて、見知らぬ26人を道連れに「拡大自殺」を実行した。

 縁なく職なくカネもなく、失うもののない「無敵の人」は怖い。山上もまた統一教会という特殊性を除けば、谷本と同じ「無敵の人」であり、その予備軍は少なくない。

 小倉将信・孤独・孤立担当相のもと内閣官房に置かれた孤独・孤立対策担当室の有識者会議メンバーでもある石田教授は、具体策について次のように述べる。

 「簡単に解決できる問題ではありません。ただ問題の認識と解決は早いほどいい。山上容疑者がそうであるように、諦めの時間、沈黙の時間が長いほど、解きほぐすのは容易ではない。必要なのは、孤立を抱えた人が24時間いつでもどこでもつながる場所や相談相手を確保することです」

 分断を生む社会体制の修復と人を孤立に追い込まないための体制の確立。公判を通じた事件の解明と、再発防止のための方策の双方が求められている。

 元稿:現代ビジネス 主要ニュース 社会 【事件・担当:伊藤博敏 ジャーナリスト】  2023年01月12日  07:03:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【2022年のテロリズム・後編】:社会的弱者の男性が抱える〝上級国民〟への憤りの向かう先は…「ひとりで死ね」という言葉の持つ多面性

2023-01-19 07:08:20 | 【社説・解説・論説・コラム・連載】

【2022年のテロリズム・後編】:社会的弱者の男性が抱える〝上級国民〟への憤りの向かう先は…「ひとりで死ね」という言葉の持つ多面性

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【2022年のテロリズム・後編】:社会的弱者の男性が抱える〝上級国民〟への憤りの向かう先は…「ひとりで死ね」という言葉の持つ多面性

 ◆2022年のテロリズム#2

 2022年7月8日、通算3188日間にわたって総理大臣を務めた安倍晋三元首相が銃撃された。白昼、公然と事件を起きたこの事件について『令和元年のテロリズム』(新潮社)の著者、磯部涼氏に話を訊いた。(後編) <button class="sc-kAPOMq lmaRvl" data-cl-params="_cl_vmodule:detail;_cl_link:zoom;" data-cl_cl_index="38"></button><button class="sc-kAPOMq lmaRvl" data-cl-params="_cl_vmodule:detail;_cl_link:zoom;" data-cl_cl_index="38">集英社オンライン</button>

集英社オンライン

 ◆〝社会的弱者の男性〟が抱える憤りの火

 ◆時代のダークヒーロー

 ◆「ひとりで死ね」という言葉の多面性

 元稿:集英社 主要出版物 【集英社オンライン・2022年のテロリズム】 2022年12月26日 19:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【2022年のテロリズム・前編】:山上徹也が本当に殺したかったものは何だったのか…令和のテロ事件から考える《安倍晋三銃撃事件、京アニ放火殺傷事件、川崎殺傷事件》

2023-01-19 07:08:10 | 【社説・解説・論説・コラム・連載】

【2022年のテロリズム・前編】:山上徹也が本当に殺したかったものは何だったのか…令和のテロ事件から考える《安倍晋三銃撃事件、京アニ放火殺傷事件、川崎殺傷事件》

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【2022年のテロリズム・前編】:山上徹也が本当に殺したかったものは何だったのか…令和のテロ事件から考える《安倍晋三銃撃事件、京アニ放火殺傷事件、川崎殺傷事件》

 ◆2022年のテロリズム#1

<picture>奈良市で街頭演説中に山上徹也容疑者に銃撃され、路上に倒れた自民党の安倍元首相(C)共同通信社</picture>

  奈良市で街頭演説中に山上徹也容疑者に銃撃され、路上に倒れた自民党の安倍元首相(C)共同通信社

 ◆テロとして見立てることから始める
 
 ――今年起こった多くの事件の中でも、7月8日の安倍晋三元首相銃撃事件は歴史の転換点になったとも言っていい出来事だったと思います。

 同事件を巡る論点は数多くあります。そのうち、重要だったと思うものの、現在では忘れられつつあるのが、発生当初に「これはテロなのか?」という議論が交わされたことです。

 ――磯部さんは『新潮』9月号に掲載された論考「安倍元首相射殺事件――令和四年のテロリズム」で、「衝撃を受けたのは、この時代、この国で正真正銘の〝テロ〟が起きてしまったということだ」と書いていましたよね。

 もちろん、「これはテロなのか?」という議論自体は、近年、凶悪事件が発生する度に行われてきました。

 〝テロ〟の定義に明確なものはありません。ただ、最大公約数的に「犯罪行為が引き起こすテロル(恐怖)を通して、社会に対して政治的なメッセージを発信すること」とは言えます。
つまり、「これはテロなのか?」という問いは、「これは政治的な事件なのか?」と言い換えることができるでしょう。
 
 安倍元首相銃撃事件の場合は、まず、選挙期間中だったこともあって、政治家の側から「これはテロだ」「民主主義を脅かす行為だ」という主張がなされました。その一方で、早い段階で山上徹也容疑者は「犯行動機は安倍元首相の政治信条に対する恨みではない」と供述しているとの報道もありました。

 そこで、事件がむしろ政治的に利用されるのではないか――つまり、弔い合戦的に与党の追い風になってしまうのではないかと危惧した側から、「これはテロではない」「あくまでも個人的な問題だ」という反論が出た印象です。

 ただ、その後、メディアと世論は、事件によって注目された政治と宗教の癒着を糾弾する方に向かい、実際、政治が揺るがされました。
山上容疑者の動機が明らかになるのはまだまだ先でしょうが、事件がテロとして機能してしまったことは間違いないわけです。

 しかし『新潮』9月号の論考を書いた時点では、多くの人が「犯行は決して許されないが、この機会に政治と宗教の癒着の問題は徹底的に追及されるべき」というように、事件と問題とを切り離して語っていました。
 
 それは正論のようでいて、以前から政治と宗教の癒着について地道に取材を進め、問題を指摘してきた人たちがいるにも関わらず、あのようなショッキングな事件が起こらないと本腰を入れなかった自分たちを棚に上げているのではないかとも思えるのです。私もそのひとりですが。

 だったら、非常に語弊がある言い方ですが、自分が山上容疑者の犯行に影響を受けたこと、すなわち彼が〝優秀〟なテロリストだったことを認めざるを得ないというところから議論を始めるしかないのではないかと考えたのです。

 ◆令和の3つのテロ事件

 ――そもそも、論考「安倍元首相射殺事件――令和四年のテロリズム」のもととなる2021年の著作『令和元年のテロリズム』は、凶悪事件を「テロである」と見立てるところから始めようというノンフィクションでした。


 『令和元年のテロリズム』は、川崎市登戸新町でスクールバスを待つ児童と保護者の列に包丁を持った男が襲いかかった、いわゆる〈川崎殺傷事件〉を起点として、当初、その事件に影響を受けて起こったと報道された〈元農林水産省事務次官長男殺害事件〉、そして、いまだに裁判が始まっていない〈京都アニメーション放火殺傷事件〉という、平成から令和への改元(2019年5月)直後に立て続けに発生した、それぞれ別の性格を持った3つの事件をあえて〝テロ〟と分析した作品です。

 〈川崎殺傷事件〉に関しては、現場で容疑者が自死したため動機はわからないままです。ただ、51歳(当時)の容疑者がそれまでの約20年間、引きこもり状態にあったこと、面倒を見ていた伯父夫婦が高齢のため介護施設への入所を検討、後ろ楯を失ったタイミングで犯行に及んだことなどから、事件をきっかけに、日本社会において顕在化しつつあった引きこもり当事者とその介助者の高齢化問題=「8050問題」が盛んに議論されるようになりました。

 『令和元年のテロリズム』を書く上で指針となったのが、小熊英二さんが、編著者を務めた『平成史』で、平成というタームを象徴する言葉として〝先延ばし〟を挙げていたことでした。平成は様々な問題を根本的に解決しようとせず、先延ばしにしてきた時代だったと。

 8050問題もその中で生まれたものです。ならば、川崎殺傷事件は、改元というタイミングでそういった先延ばしが限界に達しつつあることを無意識的に告発した〝テロ〟とも捉えられるのではないか。それが『令和元年のテロリズム』の執筆の発端でした。

 ◆〝幼稚なテロリスト〟を不可避的に生み出す社会

 ――『令和元年のテロリズム』で書かれている事件は、従来の〝テロ〟とは質が異なりますよね。


 もちろんそうです。とはいえ、いわゆるテロではない事件をあえてテロと解釈する手法は何も私が適当に考え出したわけではなく、そこには系譜があります。

 『令和元年のテロリズム』を書く上で指針となったのが、小熊英二さんの『平成史』ともうひとつ、東浩紀さんが2008年6月の秋葉原無差別殺傷事件直後に「朝日新聞」で発表した「この事件をあえてテロととらえたいと思う」という記事です。

 東さんの論旨は次のようにまとめられます。

 加藤智大は犯行にあたって「通常の意味での政治的主張」を述べたわけではない。むしろ、彼がインターネットに残した大量の書き込みには「身勝手な劣等感ばかりが綴(つづ)られ」、「社会性のかけらもないように見える」。

 一方で、彼は親から虐待に近い扱いを受けて育ち、事件当時は非正規雇用労働者として不安定な環境にあった。逮捕後の取調べに関する報道から見えてきたのは、彼に「社会全体に対する空恐ろしいまでの絶望と怒りがある」ことだと。

 しかし、加藤は自身の絶望と怒りがどこからやってくるのかわからなかった。故に、その暴力は「首相官邸や経団連本部」のような具体的な権力の象徴ではなく、彼にとって繁華街のイメージがあった秋葉原の「無辜(むこ)の通行人」に向けられた。

 《彼はその点でいかにも幼稚だった。無辜(むこ)の通行人を殺してもなにも変わるわけがない。しかしその幼稚さは、怒りの本質にはかかわらない。だから、筆者はこの事件をあえてテロととらえたいと思うのだ》

 《私たちは彼のような〝幼稚なテロリスト〟を不可避的に生み出す社会に生きている。犠牲者の冥福のためにも、その意味をこそ真剣に考えねばならない》(『朝日新聞』2008年6月12日)

 加藤自身は、事件の背景に社会的な問題があるとする見立てを否定しました。しかし実際のところ、秋葉原殺傷事件は非正規雇用問題に注目が集まる一因となり、その年の暮れにはいわゆる〈年越し派遣村〉が開設されました。

 つまり、加藤の思惑とは別に、彼の犯罪もまた〝テロ〟として成立してしまったわけです。

 ◆「ひとりで死ね」という報道

 ――一連の事件に対するメディアの報道のあり方も、社会や市民に与える影響が大きいですよね。


 川崎殺傷事件が起こった際にニュースやワイドショーのコメンテーターが盛んに言ったのは、「ひとりで死ね」ということでした。この事件はいわゆる拡大自殺だとも評されましたが、他人を巻き込むぐらいなら「ひとりで死ね」と。

 反射的な怒りの言葉としては理解できますが、それは事件と社会背景とを切断、犯人の自己責任とすることで、事件の要因から目を背けるロジックでもあります。
被害当事者やその関係者ではない人々は、むしろ、社会背景にこそ目を凝らすべきではないか――というのが、『令和元年のテロリズム』で一連の事件をテロと捉えた理由でした。

 犯罪心理学では、事件は個人的な資質や社会背景をはじめ、多様な事柄が複雑に絡み合って起こるのであって、どれかひとつだけに要因を見出すことは間違っているといわれています。一方で、日本では事件の社会背景に関する議論が欠けていると思うのです。

 ――かつて、まだ自己責任という言葉が流布していなかった時代に日本で起こったテロ、あるいは、それに準じる事件は、常に社会背景と密接に結びつけて語られていました。

 『令和元年のテロリズム』では、従来の定義ではテロではない事件をあえてテロとして捉えることで見えてくるものについて書こうとした……という話をしてきましたが、別の言い方をすると、それこそが現代的なテロだとも思うんです。

 日本におけるテロというと、第二次世界大戦前の二・二六事件(1936年)に至るまでの暗殺やクーデター、あるいは1970年代に新左翼が起こした一連の事件を思い浮かべる人が多いと思うのですが、そこでは反権力という形で敵が明確なわけですよね。
 
 特に、大正から昭和にかけてのテロを起こした首謀者たちの中には、困窮する市民を代弁する世直し的な思想を持って、政治家や財閥を標的にしたものも多くあったんです。

 あさま山荘事件以降は社会運動が沈静化し、いわゆる政治離れが進んでいきました。とはいえ、社会の諸問題が解決するわけではないので、「自分は苦しんでいるが、それが誰のせいなのか分からない」というふうに〝敵〟がわからず、市民の苦しみや怒りが宙吊りの状態になる。

 川崎殺傷事件のような無差別殺傷事件は、〝敵〟がわからない中で、その苦しみや怒りが一般人に向かっているようなところがあるのではないか。

 対して、安倍元首相銃撃事件は、現役の首相ではありませんが、現在の日本における権力者としてシンボリックな存在であることは間違いなかった安倍晋三氏に対して銃口が向けられるという、テロとして実にシンプルな構図に、まず、衝撃を受けました。

 果たしてこれをどう捉えればいいのかと。
 歴史の特異点なのか、転換点なのか。

 ■#2 「〝社会的弱者の男性〟が抱える〝上級国民〟に対する憤り」へ続く

 ■写真/共同通信・写真:ZUMA Press/アフロ

 元稿:集英社 主要出版物 教養・カルチャー【集英社オンライン・2022年のテロリズム】 2022年12月26日 19:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【岸田首相】:「増税路線」に内から外から“反対包囲網”ジワリ…野党は連携、自民内でも批判拡大

2023-01-19 06:25:50 | 【社説・解説・論説・コラム・連載】

【岸田首相】:「増税路線」に内から外から“反対包囲網”ジワリ…野党は連携、自民内でも批判拡大

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【岸田首相】:「増税路線」に内から外から“反対包囲網”ジワリ…野党は連携、自民内でも批判拡大

 国会論議をすっ飛ばしてバイデン米大統領に防衛費増額を報告し、意気揚々と帰国した岸田首相だが、果たして本当に「増税」できるのか。内と外から反増税の“包囲網”が狭まっている。

 17日は国会内で野党7党派の国対委員長が会談した。7党派は立憲民主党日本維新の会共産党国民民主党れいわ新選組社民党、無所属議員らでつくる衆院会派「有志の会」。23日に召集される通常国会に向け協議し、「防衛増税を含む、岸田政権の安易な増税路線に反対」で一致、連携を確認した。

<picture>野党7党派の国対委員長会談(C)日刊ゲンダイ</picture>

  野党7党派の国対委員長会談(C)日刊ゲンダイ

 立憲の安住国対委員長は「異次元の少子化対策も、増税路線に走ってくるのではないか。これは野党の共通認識」と発言。政府との対決路線を野党が組んでいく必要があると話した。

 最新の読売新聞の世論調査(13~15日実施)を見ても、岸田政権の増税路線への反発が広がっている。防衛費増額のための増税には63%が反対。防衛費の増額そのものにも49%が反対し、賛成の43%を上回った。少子化対策の財源として増税を含めた国民負担が生じることについても、反対が56%だった。

 ■菅前首相は「岸田おろし」の狼煙

 増税路線への批判拡大は、野党だけでなく、自民党内の「増税反対派」も勢いづかせる。

 防衛財源に増税以外の方策を検討する「特命委員会」が16日、自民党内に発足。萩生田政調会長を委員長として、19日に初会合を開く。防衛財源については、年1兆円分を増税とする方針は昨年決まったものの、その時期は未定。反増税派は増税そのものをひっくり返そうと虎視眈々だ。

 毎日新聞によれば、反増税派の一人は「血みどろの戦いになる」と今後を占ったという。「岸田おろし」の狼煙を上げたと騒ぎになっている菅前首相も反増税派だ。

 「コロナ禍に値上げラッシュと続き、世論の増税反対の声が大きくなるのは当然です。そんな時に税金を上げるという発想をするなんて、政治家の資格はありません。増税は簡単にはやれませんよ」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)

 岸田首相の見通しは甘いのではないか。通常国会での野党の真価も問われる。

 元稿:日刊ゲンダイ DIGITA 主要ニュース ライフ 【暮らしニュース・政局・岸田政権】  2023年01月18日  13:50:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【考察】:誘いを断ったら韓国語で脅迫メールが届く…統一教会の分裂で巻き起こる「不信感」 

2023-01-19 06:20:50 | 【事件・犯罪・疑惑・詐欺・旧統一教会を巡る事件・ネット上の誹謗中傷他】

【考察】:誘いを断ったら韓国語で脅迫メールが届く…統一教会の分裂で巻き起こる「不信感」 ■問題はまだまだ終わらない

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【考察】:誘いを断ったら韓国語で脅迫メールが届く…統一教会の分裂で巻き起こる「不信感」 ■問題はまだまだ終わらない

 ◆旧統一教会との関係を遮断する議会に反発

 世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の問題が全国に拡散中だ。各地域の議会などで、「教会との関係を根絶する」などの決議が続々と可決、これに対して教団側の関係者や信者が、議会に「特定の宗教団体との関係を遮断する内容の宣言をしないこと」や「特定の宗教団体との関係を調査・質問しない」などを求める陳情を相次いで提出している。

 ある地方自治体では、団体などから寄付を受ける際に、どのような団体かを調査する仕組みがあり、今後は教団側の寄付を受けないようにする動きをとったところ、直接、議員などに抗議の電話をしてきた信者もいたという。そうした反発を恐れてか、自治体によっては教団についての審議をしないままという例もある。教団側からの文書による抗議については、各地に出されている文面が酷似していることから、連合の組織的関与があると見られるが、連合は否定している。 

 そこで現役信者数名に話を聞いてみたところ、「議会などに抗議をしないかという誘いを受けた」という30代女性がいた。彼女は統一教会の問題が表面化して以降、連合の組織的な対応に疑問を持ち、定期的に通っていた礼拝にも行かなくなったが、信者であることは維持。「信頼できる信者仲間とはZOOMやLINEなどで会合を持っている」という、いまやオンライン信者だ。教団のやることすべて妄信的に支持するタイプではないため、議会への抗議についても「また逆効果なことをしている」と冷めた感想を持っているが、親しかった同世代の信者から「抗議を手伝ってほしい」と誘われたという。

 「具体的に何をするかは聞かなかったですが、『一本の矢では変える力がなくても三十本だったら影響を出せるから、みんなの力が必要』という話をされました。『ここで負けたら、いままで信じてきたことを全否定されちゃうよ』とか必死に説得をしてきて、私が『抗議は逆効果だと思う』と言うと、『それは邪念が入って。まず邪念を消さないと幸せになれないよ』と言われました」

 女性は、この「邪念」という言葉を聞いてガッカリしたという。

 「昔、邪念を祓うために祭壇が必要だといわれて、120万円も出して小さな祭壇を幹部から買ったんですけど、連合で扱っているものじゃなくて、幹部が店で3万円ぐらいで買ったものだと分かったんです。その幹部は辞めましたが、支部にそのことを抗議したら、『重要なのは原価ではなく邪念が消えること』と諭されて、邪念という言葉が苦手になったんです」

 彼女を誘ってきた信者は後日、市議や記者にまで直接、抗議の意を伝える電話をしていたことも分かったという。

 「そういうのを私にもしてほしかったんでしょう。文書だけでなく、大勢の声を届けるって感じで。純粋に教義を信じてきた者としては、どんどん連合がおかしな方向にいっている感じで悲しいです」

 ◆韓国語でスパムメール

 しかし、これで話は終わらなかった。抗議活動の誘いを断った女性のところに年明け2日、韓国語の奇妙なスパムメールが4通も届いたという。

 その内容は「コンピューターウイルスに感染し、あなたの持っているすべてのデバイスに接続できた」というハッカーを名乗るもので、要約すると「いつでもカメラやマイクを通してあなたを見たり、連絡先や他人とやり取りしたメッセージも見られる。あなたが自慰行為をしている映像もあり、いつでもそれをネット上に拡散できる。それがいやなら1650ドル相当のビットコインを48時間以内に送れ」という脅迫文だ。送金先のアカウントも記されており、これ自体は、日本語でもよくある悪質なスパムメールなのだが、問題は韓国語で届いたことだ。

Photo by iStock

 「実は、私が韓国語の読み書きができるのは、ほぼ連合の人たちしか知らない話なんです。それが気になって信者仲間に話をしたら、抗議活動をしなかった仲間のところにも同じ日、同じものが届いていることが分かりました。信者たちの連絡先を持っている人が犯人としか思えない」

 韓国発の教団とあって、連合の信者には韓国に行った者や、韓国語の勉強をした者が少なくない。若い頃に韓国に留学し、現地で夫となる男性と引き合わされたというケースも多々あり、レベルの差はあれど、韓国語に馴染んでいる信者がたくさんいる。

 女性が連合関係者もしくは信者の仕業だと疑う理由は他にもある。

 送られてきた韓国語のスパムメールの送信元は、無料で簡単に取得できる日本のYahooのメールアドレスであり、件名が「DEAR MOONIES」となっていたからだ。MOONIESというのは海外での統一教会の信者の通称で、「親愛なる信者へ」という意味に受け取れる。これをもって教団関係者の仕業と断定はできないが、少なくとも送られた人を信者だと判別しているところが、無差別のスパムと違う。別の元信者男性からはこんな話がある。 

 「本部レベルが組織的にやっているとは思えないですが、巷の信者の集まりレベルだと過去、派閥同士の分裂のときに嫌がらせのスパム大量送りつけがあったので、信者がやった可能性は高いと思います。最近は仮想通貨で寄付させてお金の動きを分かりにくくさせることも流行しているし、ほかの日本人に分かりにくいよう、韓国語で送ることもやましい連中のよくある手段」

 ◆連合が分裂しても問題は終わらない

 連合では過去、組織から派閥が多数、分裂して独立したことがあり、その際に信者同士の争いが多々あったことで知られる。その際にも似たようなメールの送り付けがあったというから、いま起きていることは信者間の分裂だともいえる。

 「こういう状況だと、既存の連合の中ではこれまでどおり活動しにくいので、新しく別団体を作る人が出てきてもおかしくはないでしょう。新団体を作れば寄付金とかも自分たちの自由になるんですから。独立した人たちが良心的な活動をすればいいですが、分派と呼ばれる多くの独立先でも、巨額の寄付とか信者の囲い込み、洗脳、人権侵害は起きているので、問題がどんどん広がっていく可能性もあります。家庭連合イコール統一教会という組織ひとつだけを見た問題じゃないと思いますよ」

 実際、すでに何年もの間、連合から分かれて活動を続ける別団体が存在していて、実質的に統一教会の信者でも、「家庭連合の信者」という分類に属さない人々がいる。信者の分断はカルト団体本体の弱体化には都合がいいかもしれないが、根本的な問題解決が遠のく恐れがある。


フリージャーナリスト
片岡 亮 RYO KATAOKA

 フリージャーナリスト。過去、K-1やプロレスにも出場した元格闘家で、アメリカで約7年間の商社マンを経験した後、帰国。ナイタイスポーツ社会部記者を経て2001年に独立。日刊紙、週刊誌、月刊誌、ネットニュースなどを中心に社会事件から芸能、スポーツ、国際情勢、オカルトに至るまでジャンルレスに取材活動を続ける。テレビやラジオ出演も多数、これまで約70カ国の海外取材もしており、2018にはマレーシアにもオフィスを設立。取材チーム「NEWSIDER Tokyo & KL」を主宰。

 元稿:現代ビジネス 主要ニュース 社会 【不正・事件・犯罪・裏社会・担当:片岡亮 フリージャーナリスト】  2023年01月18日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【私が合同結婚式に参加した理由・01.19】:1992年に合同結婚式に参加。そこで日本人女性とはじめて出会いました

2023-01-19 06:19:00 | 【事件・犯罪・疑惑・詐欺・旧統一教会を巡る事件・ネット上の誹謗中傷他】

【私が合同結婚式に参加した理由・01.19】:1992年に合同結婚式に参加。そこで日本人女性とはじめて出会いました

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【私が合同結婚式に参加した理由・01.19】:1992年に合同結婚式に参加。そこで日本人女性とはじめて出会いました

 ◆マインドコントロール(6)

 1992年8月25日に韓国のオリンピックスタジアムで行われた3万組にもおよぶ合同結婚式は、テレビなどのマスコミでも大きく取り上げられた。ここでは文鮮明教祖によって決められた男女が結婚式を挙げたが、多田さんも新郎の一人として、その場にいた。

<picture>統一教会の合同結婚式に参加した約3万6千組のカップルで埋まった会場のソウルのオリンピックスタジアム(1995年)/(C)共同通信社.jpg</picture>

  統一教会の合同結婚式に参加した約3万6千組のカップルで埋まった会場のソウルのオリンピックスタジアム(1995年)/(C)共同通信社.jpg
 
 「それまで一度も会ったことがない日本人女性と韓国ではじめて出会いました。そうしたカップルが3万組いるのですが、誰ひとりとして、結び付けられた相手を拒否することなく、合同結婚式に参加します。この合同結婚式には、何もせずに参加できるわけではありません。参加するためには信者としての活動条件が必要です。伝道における3人の信者獲得と、経済活動(月ごとに与えられたノルマの達成)は必須事項。しかし、それだけではなく、7日間断食も必要になります。ただ、一日中寝ているわけではなく、普段と変わりなく伝道、経済の活動をするのですが、水だけを飲んで何も食べずにフラフラな状況で街頭に立ち人々に声をかけ続けるのです」

 あまりのつらさに、「このまま路上に倒れて死んでしまうかもしれない」とさえ思うこともあったという。

 「女性の中には肉体的な限界が来て、終盤に寝込む人もいました。上の人からは『過去に断食中に亡くなった人がいる』と聞かされており、命がけの行為でしたね。さらに合同結婚式に参加するにあたっては140万円の感謝献金も必要でした」

 合同結婚式の前に写真撮影があり、この写真が教祖に送られ、相手の女性とマッチングされると聞いていた。多田さんは教団の用意したチケットで韓国に渡り、前日の聖酒式ではじめて相手の女性と会うことに。

 「炎天下で立っているだけでもつらい結婚式だったのですが、ようやくこれまでの活動が報われ、神の子としての道を歩めるという希望にあふれる思いを持たされていたんですね。ただし、結婚式を挙げたからといってすぐに結婚する(家庭を持つ)わけではありません。式の後は『聖別期間』なるものがあり、それぞれが所属する部署に戻ります。一定期間を経て、それぞれの部署から許可をもらった上で結婚生活を始めることになります。それまでは、これまで通り純潔を保たなければなりません。私がいた東京では、献金と信者育成ノルマが忙しく、祝福(合同結婚式)を受けた人たちが『家庭を持つ』許可は、ほとんど下りることはありませんでした」

 ■結局、一緒に暮らすことはなかった

 しばらくして、多田さんは所属する教会から許可を得て、東京から実家がある仙台へ戻る。

 「というのも、当時、文鮮明教祖から『生まれ故郷に戻って、氏族を伝道しなさい』という指示が出ていたからです。そして仙台の旧統一教会に通いながら、その活動に従事しました。一方で、結婚相手となった女性は、教祖の指示で中東地域へ海外宣教に赴きました」

 このあと、家族や親族の助けを得て脱会した多田さんは、その女性と一緒になることはなかったという。教団のマインドコントロールの手口は著書「信じる者は、ダマされる」で紹介されている。=おわり

(取材・文=中森勇人)

多田文明
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 ■多田文明詐欺・悪徳商法ジャーナリスト

 1965年、北海道旭川市生まれ。ルポライター、キャッチセールス評論家、悪質商法コラムニスト。旧統一教会問題でも評論を務める。近著に「信じる者は、ダマされる。」(清談社Publico)

 元稿:日刊ゲンダイ DIGITA 主要ニュース ライフ 【暮らしニュース・話題・旧統一教会を巡る問題・連載・「多田文明 私が合同結婚式に参加した理由」】  2023年01月19日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【私が合同結婚式に参加した理由・01.18】:勧誘施設で「宗教では?」と聞かれたら「違います」とはっきり答えるように言われる

2023-01-19 06:18:50 | 【事件・犯罪・疑惑・詐欺・旧統一教会を巡る事件・ネット上の誹謗中傷他】

【私が合同結婚式に参加した理由・01.18】:勧誘施設で「宗教では?」と聞かれたら「違います」とはっきり答えるように言われる

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【私が合同結婚式に参加した理由・01.18】:勧誘施設で「宗教では?」と聞かれたら「違います」とはっきり答えるように言われる

 ◆マインドコントロール(5)

 実践トレーニングに参加した信者は、リストアップと称して知人・友人の名前、電話番号などを用紙に記入させられる。それをアベルと呼ばれる上の人(信仰上の先輩)に見せ、「この人に電話をかけなさい」と指示を受けながら電話をかける。

<picture>身も心も文鮮明教祖のもとに捧げて奉仕をする(C)Yonhap News Agency/共同通信イメージズ</picture>

 身も心も文鮮明教祖のもとに捧げて奉仕をする(C)Yonhap News Agency/共同通信イメージズ

 「ビデオセンター(教団の勧誘施設)に誘った際、『宗教ではないか?』と聞かれたら、『違います』とはっきり答えるように言われます。これは教祖の言葉などを通じて『大善の前には、小善は悪である』『天法は地の法に勝る』と教えられているから。つまり、神さまのためにウソをつくことは問題ないとされているのです。このあたりは霊感商法を見てもわかる通り。霊など見えていないのに、先祖の悪霊がついているとか、水子の霊がいるなどと言うのです」

 この先の献身トレーニングはもっと過酷だ。献身とは、身も心も文鮮明教祖のもとに捧げて奉仕をするという意味。いわゆる出家だ。

 「教団に身も心も捧げた行動は、本当に厳しいものです。信者だったころの睡眠時間は3、4時間。食住の面倒は見てもらえるものの月に渡されるお金(お小遣い)は1万5000円ほど。個人の思いからの行動は厳禁。すべては上(アベル)の許可を受けなくてはなりません。アイスクリームを買いに行くにも、『行っていいですか?』と聞かなくてはならない。しかし、たいがいは『ダメ』と言われます。それは『自分が食べたい』という動機がもとになっているから。もし、みんなに食べさせてあげたいというのであればOKが出るでしょうが、そんなお金は手元にはありません」

 ■ほぼ毎日、終電近くまで声がけ

 こんなこともあったという。

 「ほぼ毎日、終電近くまで繁華街での声がけを行うのですが、ある朝、39度以上の熱が出てしまいました。起き上がるのもやっとで、『体調が悪い』と上の人に告げると、『サタンが心に入ったから風邪をひいた』と。そして、『サタンを追い出すために外に出て活動をしろ!』と言われました」

 昨年の7月8日に安倍晋三元総理が手製の銃で撃たれて亡くなった事件は記憶に新しい。容疑者の動機が、旧統一教会に自分の母親が1億円にのぼる献金をして家庭が崩壊したことへの恨みだったとされ、世間の関心が集まった。

 「教団では、聖書にあるアブラハムが愛する息子イサクを供え物(いけにえ)として捧げるように言われる『イサク献祭』という教義があります。そして、『愛するものを捧げる』ことが要求されます。人によって愛するものは違います。それがお金なら献金をします。もしかすると、容疑者の母親にとって、愛すべきものは子供たちだったのかもしれません。だとすれば、それを犠牲にして教団の活動に没頭したとも考えられます。神さまが願う行動をとることこそが『善』とされます。『イサク献祭』の教えをもとに旧統一教会の信者は、文鮮明教祖のもとに、神の願いである伝道と、すべての人が持つお金を捧げるため、その活動を死ぬ気で行うのです」 =つづく

(取材・文=中森勇人)

多田文明
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 ■多田文明詐欺・悪徳商法ジャーナリスト

 1965年、北海道旭川市生まれ。ルポライター、キャッチセールス評論家、悪質商法コラムニスト。旧統一教会問題でも評論を務める。近著に「信じる者は、ダマされる。」(清談社Publico)

 元稿:日刊ゲンダイ DIGITA 主要ニュース ライフ 【暮らしニュース・話題・旧統一教会を巡る問題・連載・「多田文明 私が合同結婚式に参加した理由」】  2023年01月18日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

            

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【私が合同結婚式に参加した理由・01.17】:“霊能者”の簡単なトリックは「報連相」…悩みや行動を言い当てられた信者は青ざめて懺悔

2023-01-19 06:18:40 | 【事件・犯罪・疑惑・詐欺・旧統一教会を巡る事件・ネット上の誹謗中傷他】

【私が合同結婚式に参加した理由・01.17】:“霊能者”の簡単なトリックは「報連相」…悩みや行動を言い当てられた信者は青ざめて懺悔

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【私が合同結婚式に参加した理由・01.17】:“霊能者”の簡単なトリックは「報連相」…悩みや行動を言い当てられた信者は青ざめて懺悔

 ◆マインドコントロール(4)

 多田さんが「4Day's」の次に受けたのが、「新生トレーニング」という1カ月の泊まり込みの講義。ここでは、神に近い人物(アベル)にすべてのことを報告、連絡、相談をして、その指示や許可を受けた行動を忠実に行うことで、罪のない“神の子”となる道が開かれると説かれる。

<picture>旧統一教会の合同結婚式(C)ロイター</picture>

    旧統一教会の合同結婚式(C)ロイター

 「たとえば、その日の夜にトレーニング参加者が勤めている会社の打ち上げがあるとします。もちろん、それも教団に報告をするのですが、アベルである上の人間は、その時の教団内の行事に合わせて参加の可否を判断します。特に重要なことがなければ、『参加してもいいけど、21時までにはホーム(教団施設)に帰ってくるように』『お酒は教団では禁止だから絶対飲まないように』と言い渡す。ただし、教団の献金や伝道ノルマの達成が難しい時には、会社の飲み会への参加は許可されず、『仕事が終わったらすぐに帰ってきて、伝道のための電話かけを行いなさい』と言われることもあります」

 後に多田さんが信者を統括する部署の責任者を任された時は、会員の行動すべてが把握できていたという。それは報連相で一人一人の悩みや行動がわかっていたからだ。

 「あるとき、仕事を終えてホームに帰ってきた人物に、いきなり『君は悩んでいるよね』と言います。すると、その信者は『なんでわかるんですか!』と驚く。また、ある男性には『最近、ホームに戻るのが遅いけど、教団の活動をサボって寄り道をしているだろう』と言います。ズバリ言い当てられて青ざめ、神さまの前で隠し事はできないと、男性は懺悔(ざんげ)します。彼らの行動を言い当てるので、内部では霊能者とまで言われたこともあった。なぜ、わかるのかといえば、『〇〇さんは悩んでいる』『〇〇さんが帰りに、あるお店に立ち寄っているのを見た』と別の信者から聞いていたからです」

 冷静に見れば告げ口なのだが、信者たちは神さまへの告白と思い、真剣に報告してくるようになるという。

 次に信者を待ち受けているのが「実践トレーニング」だ。伝道活動では繁華街に出て「生活調査アンケートを行っています」と声をかけ、教団内の施設であるビデオセンターに連れ込む。これは基本的に土日を中心に行い、平日の夜は知人や友人に電話をかけ、ビデオセンターに来る約束を取り付けたり、教団の関連会社が販売する着物や宝石、絵画などの展示即売会に誘ったりする。霊感商法が社会問題になっていくと、壺以外の商品販売にシフトしていった。

 ■声かけはマニュアル化

 街頭での声かけはマニュアル化されており、「こんにちは。いま生活意識アンケートをしています」とまずは足を止める。「関心のあることは何か?」と聞くと、相手も宗教の勧誘だと思っていないから簡単に答える。そして「私たちは自己啓発サークルです」と告げ、「興味ありませんか?」と尋ねる。もし、あまり興味がなさそうなら、「お時間があれば、2、3時間だけでも」と言って背中を押すのだ。その際、「自己啓発で人生が変わった」といった自らの体験を話すのもマニュアル通りだ。 =つづく

(取材・文=中森勇人)

多田文明
著者のコラム一覧
 ■多田文明詐欺・悪徳商法ジャーナリスト

 1965年、北海道旭川市生まれ。ルポライター、キャッチセールス評論家、悪質商法コラムニスト。旧統一教会問題でも評論を務める。近著に「信じる者は、ダマされる。」(清談社Publico)

 元稿:日刊ゲンダイ DIGITA 主要ニュース ライフ 【暮らしニュース・話題・旧統一教会を巡る問題・連載・「多田文明 私が合同結婚式に参加した理由」】  2023年01月17日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

            

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【私が合同結婚式に参加した理由・01.13】:「宣誓! 私は真の御父母さまの前に一生を捧げます」ろうそくの明かりに文鮮明夫妻の写真

2023-01-19 06:18:30 | 【事件・犯罪・疑惑・詐欺・旧統一教会を巡る事件・ネット上の誹謗中傷他】

【私が合同結婚式に参加した理由・01.13】:「宣誓! 私は真の御父母さまの前に一生を捧げます」ろうそくの明かりに文鮮明夫妻の写真

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【私が合同結婚式に参加した理由・01.13】:「宣誓! 私は真の御父母さまの前に一生を捧げます」ろうそくの明かりに文鮮明夫妻の写真

 ◆マインドコントロール(3)

 旧統一教会の教義を徹底的に叩き込まれるセミナーである「4Day's」に参加を申し込んだ多田さんは、80人以上の参加者とともに朝6時半から夜11時ごろまでびっしりと入った講義スケジュールをこなしていく。

<picture>教義上、神様(文鮮明教祖)が決めた人と結婚しなければならない…(C)ロイター</picture>

 教義上、神様(文鮮明教祖)が決めた人と結婚しなければならない…(C)ロイター

 ここで多くの女性が心に刺さる「堕落論」という教義がある。

 「聖書の中に、蛇(天使長ルーシェル)にそそのかされたエバが、神様からとって食べるなと言われた木の実を食べてしまい、その実をアダムにも与え、彼も食べてしまったという一節があります。教団では、ここにある『木の実』は比喩であって、実際には『木の実をとって食べた』とは、『男女間で性的関係を結んだことだ』と教えられます。つまり、神様から夫婦になってもいいという許しも出ていないうちに、蛇にそそのかされてアダムとエバが男女の関係を持ってしまい、堕落してしまったという教えです。恋愛関係が多く、男女関係に悩んできた女性ほど、この部分にハマって共感してしまいます」

 以上の理由から、教団では自分勝手な恋愛は禁止され、異性に手を触れることすら許されない。

「もし異性に恋心を抱けば、『心で姦淫した』と言われ、断食をしたり、水垢離(みずごり)をしたりすることもあります。教義上、神様(文鮮明教祖)が決めた人と結婚しなければならない。これこそが合同結婚式(祝福)ということになります。そして、今、恋人がいる人は、その後のトレーニングで、付き合っている異性と別れるように説得されることになります」

 3日目には、文鮮明教祖が再臨のメシアとして歩んできた道について教えられる。多くの人に迫害されながら自分を鞭打つ人を愛して乗り越えてきた……といった内容。教祖が日本の憲兵に拷問されたことがあるとかで、再臨のメシアに対し日本人がいかに大罪を犯してきたかという話を聞き、おえつする人もいたという。また、講義の中にはウォーターゲート事件で窮地に立たされたニクソン大統領宛てに、教祖が「愛せ、許せ、団結せよ」という新聞の意見広告を出し、これがきっかけでニクソンとの会談が実現されたという話や、さらにロナルド・レーガンを大統領に当選させたのは統一教会の関連組織だという話も出てくる。

 そして、今話題になっている日韓トンネル事業による「国際ハイウェイ構想」に日本の政治家や著名人も数多く賛同していることなども教え込まれる。

 「まさに今、世界の政治が文鮮明教祖を中心にひとつになろうとしているという状況が力強く語られます。すべての講義が終わるクライマックスでは、部屋の電気が消され、ろうそくの火だけに。黒板の前には文鮮明夫妻の写真が飾られ、4、5人のセミナー修練生が大声で決意表明を行います。『宣誓! 私は真の御父母さま(文鮮明夫妻)の前に一生を捧げ、この道を歩み続けることを誓います』と。高揚した雰囲気の中、ほとんど全員が次に待っている新生トレーニングのコースに申し込むのです」

 セミナーを受講した人は「文鮮明教祖の願い」と言えば容易にお金を出してしまう。 =つづく

(取材・文=中森勇人)

多田文明
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 ■多田文明詐欺・悪徳商法ジャーナリスト

 1965年、北海道旭川市生まれ。ルポライター、キャッチセールス評論家、悪質商法コラムニスト。旧統一教会問題でも評論を務める。近著に「信じる者は、ダマされる。」(清談社Publico)

 元稿:日刊ゲンダイ DIGITA 主要ニュース ライフ 【暮らしニュース・話題・旧統一教会を巡る問題・連載・「多田文明 私が合同結婚式に参加した理由」】  2023年01月13日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

            

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