【社説①】:公立高入試延期 混乱のないよう実施を
『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:公立高入試延期 混乱のないよう実施を
道内の公立高校の一般入試が大雪の影響で延期され、きょう、あすの2日間となった。道教委は交通機関の乱れによって試験時間に間に合わなくなるようなケースを避けるためと説明している。
試験直前の日程変更である。1970年に荒天で2日目を延期して以来、ほぼ半世紀ぶりの異例の事態だ。
受験生は2万7千人を超える。試験を強行すれば、大きな混乱を招く可能性があった。
予定を直前に変えるのは本来避けるべきだが、天候悪化の影響を受ける受験生が多くなれば、入試の公平性を保てなくなる。今回はやむを得ない判断だっただろう。
道教委や各高校は新型コロナ対策を含め万全の態勢を整え、円滑な実施を心がけてほしい。丁寧な情報提供に努め、受験生が安心して力を発揮できる環境を整える必要がある。
入試を実施するのは全道の全日制211校、定時制39校で、当初の予定ではきのう、きょうの2日間の日程だった。
だがJRやバスなどの運休や乱れが広範囲で予想されたため、道教委は試験前日の2日午前に急きょ延期を決め、全道の中学校や試験会場の高校に連絡した。受験生には各中学から伝えたという。
道教委は、多くの受験生が会場に移動できない事態を想定したと説明する。極めて難しい判断だが、JRなどがきのう、広範囲で運休したことを踏まえれば、合理的な対応だったのではないか。
ただきょうもJRの運休が続く地域もある。試験当日の体調不良や交通障害などに備え、17日には追試験が予定されているが、試験会場となる各高校は受験生が惑わないよう注意してほしい。
予定の急変への対処が難しい受験生も少なからずいるだろう。きめ細かな心配りが大切だ。
事後的な検証も欠かせない。情報の伝え方や試験当日の態勢が十分だったのかなどのノウハウの蓄積は、自然災害など不測の事態への備えにつながろう。
今年の受験生は新型コロナに翻弄(ほんろう)されてきた。昨春は一斉休校を経験し、その後もさまざまな制約を受けながら学校生活や受験勉強に励んできた。
休校に伴う学習遅れを考慮し入試の出題範囲は狭まったが、例年にない苦労があったに違いない。
加えて、入試の日程も変更され、不安を抱く人は多いだろう。
これまでの努力を信じて、試験に臨んでほしい。
元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2021年03月04日 05:05:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。