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路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【社説①・04.03】:ミャンマー地震/国際社会は支援に総力を

2025-04-03 06:00:50 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

【社説①・04.03】:ミャンマー地震/国際社会は支援に総力を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・04.03】:ミャンマー地震/国際社会は支援に総力を 

 軍事政権下のミャンマー中部で先週、マグニチュード(M)7・7の大地震が発生した。これまでに3千人近い死者が確認され、負傷者も多数出ている。被害の全容はつかめておらず、犠牲者はさらに増え続ける恐れがある。一人でも多くの人が救助されるよう、国際社会は支援に総力を挙げねばならない。

 地震は日本時間の3月28日午後3時20分ごろに起き、行方不明者の生存率が著しく下がるとされる「発生後72時間」は過ぎた。激しい揺れに見舞われた首都ネピドーや震源に近い同国第2の都市マンダレー周辺で特に大きな被害が出ている。

 被災は広範囲に及び、ビルや住宅、仏教寺院などが倒壊した。がれきの下には今なお多くの人々が取り残されているとみられる。日本人も負傷し、マンダレーでは1人と連絡が取れなくなった。電気や通信の環境が劣悪で、重機などの機材が不足し救助活動は難航している。

 今回の地震は、ミャンマーの国土を縦断する約1千キロの「ザガイン断層」のうち400キロ以上が水平方向にずれて起きた。同断層は過去にもM6~7級の地震を繰り返してきた。今後も大地震が起こる恐れがあり、警戒を強める必要がある。

 ミャンマーでは2021年に国軍がクーデターで権力を握って以降、民主派組織や少数民族武装勢力との内戦による混乱が続いている。国連によると、約350万人が避難生活を強いられ、人道支援が必要な人が約2千万人いるとされる。今回の地震で、人道状況の悪化は必至だ。

 軍政は閉鎖的で、23年にサイクロンによる被害が出た際にも援助を拒んだ。だが今回、国軍のミンアウンフライン最高司令官は外国からの支援を受け入れる意向を示した。

 友好関係にある中国やロシアに加え、隣国のインドやタイが救助隊を派遣した。軍政に制裁を科す米国も支援を表明した。国際協力機構(JICA)や医療関係者らで構成する日本政府の援助隊も現地に入った。

 支援活動が安全に実施されるには内戦の停止が不可欠だ。民主派組織や少数民族武装勢力は被災者の救助を優先し、一定期間の停戦を発表した。一方、国軍は地震後も少数民族の支配地域などへの空爆を続けているとの報道もある。全ての被災者に確実に援助が行き渡るように、国軍も直ちに戦闘を止めるべきだ。

 今回の地震では震源から約1千キロ離れたタイの首都バンコクで建設中の高層ビルが倒壊し、多数の死傷者が出た。長周期の地震波が軟弱な地盤で増幅した影響とみられる。日本でも南海トラフ地震などで長周期地震動による被害が懸念されており、教訓を対策に生かしたい。

 元稿:神戸新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年04月03日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説②・03.29》:トルコ政治混乱 一線越す強権化を危ぶ

2025-04-02 09:31:20 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

《社説②・03.29》:トルコ政治混乱 一線越す強権化を危ぶ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②・03.29》:トルコ政治混乱 一線越す強権化を危ぶ

 トルコで最大都市イスタンブールの市長が逮捕され、政治の混乱が続いている。

 国政最大野党共和人民党(CHP)の次期大統領選候補で2期目のイマモール氏だ。与党公正発展党(AKP)を率いるエルドアン大統領の最大の政敵とされる。

 2028年大統領選の候補を選ぶ党内手続きの直前に汚職容疑で拘束、逮捕された。全面的に否認している。

 野党は「政治的クーデター」だとして反発を強め、各地に大規模な抗議デモが拡大している。地域大国トルコの政情不安は国際情勢にも影響を与えかねない。

 政敵を追い落とす思惑があるなら、エルドアン氏の強権的な政治手法は一線を越えている。民主主義を損ない、専制主義へ一段と傾斜する危うさがある。

 CHPは国是である政教分離の世俗主義を掲げ、都市部で支持が厚い。野党や市民は司法当局が政権の影響下にあるとみて、不当逮捕だとしてデモを続ける。

 エルドアン政権は20年以上の長期に及び、イスラム色の濃い政策を進めてきた。憲法改正を繰り返して自身に権限を集中させ、強権体制を確立した。

 トルコを地域大国に押し上げた強い指導者像が評価される半面、野党やメディアを弾圧する独裁的な政治手法や物価高騰への不満は根強い。支持するか否かでトルコ社会は二分されてきた。

 政権側は抗議デモの制圧を図り、1400人以上を拘束。エルドアン氏は「街頭テロ」と非難して態度を硬化させており、強権化が一段と進む恐れがある。通貨リラや株価も急落している。政治や経済の混迷は深刻だ。

 トルコは欧州と中東を結ぶ要衝に位置する。戦火を交えるロシア、ウクライナ両国とは良好な関係を維持し、ロシアが封鎖した黒海からのウクライナ産穀物輸出の再開に向けて両国を仲介したことがある。この先の和平交渉への関与にも意欲を示しており、欧州側はウクライナ支援でトルコとの連携を模索している。

 だが、足元が揺らぐ中でトルコが役割を果たすことは期待できるだろうか。

 加盟を目指している欧州連合(EU)はかねて強権的な姿勢に懸念を示し、今回も「長い民主主義の伝統を守っているか疑問を生じさせる」との声明を出した。

 エルドアン氏は、このままでは社会の分断を深めるばかりか、国際的な信用も失いかねないことを理解すべきだ。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】 2025年03月29日  09:30:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【中山知子の取材備忘録・02.02】:石破首相に3日遅れのお誕生日プレゼント? トランプ大統領との会談、キーマンはやはりあの人か

2025-04-02 07:45:10 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

【中山知子の取材備忘録・02.02】:石破首相に3日遅れのお誕生日プレゼント? トランプ大統領との会談、キーマンはやはりあの人か

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【中山知子の取材備忘録・02.02】:石破首相に3日遅れのお誕生日プレゼント? トランプ大統領との会談、キーマンはやはりあの人か 

 昨年来の懸案だった石破茂首相とトランプ米大統領の首脳会談が、石破首相が訪米して、2月7日(現地時間)に行われることになった。本来は昨年11月、南米での国際会議の後、米国に移動して就任前のトランプ氏との面会も模索されたが、最終的に、トランプ氏が正式に大統領に就任した後のタイミングが選ばれた。日本では通常国会が開会中。衆院予算委員会での与野党論戦をいったん終えた後のタイミングで、石破首相は訪米することになる。

 首相は、2月4日が68歳の誕生日。約2カ月あまり続いた「石破首相がトランプ氏に会えない問題」は、ようやく解消され、3日遅れとはいえ、何よりのお誕生日プレゼントとなるのでは?と話す自民党関係者の声を聞いた。

 首脳会談といえば、相手国に持参する「手みやげ」が、よく話題になる。対トランプ氏でいえば、最初の政権が発足する前の2016年11月に当時の安倍晋三首相が、共通の趣味でもあるゴルフのドライバーを1本持参し、どの国の首脳よりも早くNYのトランプタワーに乗り込んだ。ドライバーは「本間ゴルフ」のシニア層向け最高級ラインで、価格は54万円(当時)。ヘッドもトランプが好きな金色。このお土産が与えたインパクトは少なくなかったようで、その後の盟友関係にもつながったといわれている。

 関係者によると、石破首相のトランプ氏との首脳会談に備えて、昨年来、政府内でさまざまな準備は行われてきたという。そこには「首脳のセンスと調査能力が表れる」(関係者)といわれるおみやげの準備も含まれ、目利きのセンスも問われるそうだ。トランプ氏にドライバーを贈った安倍氏は、前任のオバマ元大統領には、ゴルフパターを贈っている。オバマ氏もゴルフ好きで知られ、首脳同士の「共通の話題」が、おみやげ選びのテーマになった側面もありそうだ。

通常国会召集日、本会議場の自席で中谷元防衛相(左)と談笑する石破茂首相(2025年1月24日撮影)
通常国会召集日、本会議場の自席で中谷元防衛相(左)と談笑する石破茂首相(2025年1月24日撮影)

 一方、「テーマ」を考えたはすが、物議を醸したおみやげもある。岸田文雄前首相が2023年3月、ウクライナを電撃訪問してゼレンスキー大統領と会談した際には、自身の地元、広島の工芸品「必勝しゃもじ」をプレゼントの1つとして贈った。しゃもじは宮島の伝統工芸品だが、かつての日清戦争や日露戦争の際に「飯取る」「敵を召し捕る」の語呂合わせから、しゃもじを厳島神社に奉納するようになった言い伝えがあるそうだ。地元では、勝負の際の「縁起もの」で知られ、日露戦争で日本がロシアに勝利したことを踏まえ、ロシアの侵攻を受けるゼレンスキー氏を励まそうとしたようだが、逆にロシアを刺激する恐れもあるとして、賛否を呼んだ。

 一方、岸田氏は昨年、バイデン前米大統領と会談した際には、同年元日に発生した石川・能登半島地震の地元を代表する、輪島塗のコーヒーカップやペンを贈っている。こうした日本の災害被災地の名産品だけでなく、首相とゆかりのある地域の品を持参する場合もあるという。石破首相の地元鳥取にも「因州和紙」「弓浜がすり」をはじめ、陶磁器や織物など多くの名産品があり、そうした品も候補になるのかもしれない。

 一方、トランプ氏といえばやはりゴルフ。ゴルフ部出身ながら、国会議員になってからは事実上「封印」している石破首相が、ゴルフに関連した話題を持ち出す可能性は「低い」といわれるが、予測不能、何を仕掛けてくるか分からないトランプ氏に、強いファーストインプレッションを与えることが大事なのはいうまでもない。そこで鍵を握る人物がいるという。

 ある政界関係者を取材すると、「総理とトランプ大統領の話題が一致するのは、結局、安倍さん」と話してくれた。「トランプさんは今も安倍さんを『良き友人だった』と述べている。石破首相は安倍さんとの関係は良くなかったが、トランプ大統領が2人の関係性を詳細に把握しているとは思えず、石破さんは『シンゾーの後任』という位置づけだろう。となれば、最初は安倍氏をフックにしていくことも、1つのやり方かもしれない」そうだ。

安倍晋三氏(2020年撮影)

安倍晋三氏(2020年撮影)
 トランプ氏は、第1次政権時よりも言動がさらに過激化し、やりたい放題ぶりが増しているように見える。そんな「猛獣」(関係者)に対峙(たいじ)するため、初対面時の印象はかなり大事になってくる。安全保障の論客として鳴らしてきた石破首相だが、トランプ氏を「おっ」と思わせるファーストインプレッションを演出できるだろうか。【中山知子】(ニッカンスポーツ・コム/社会コラム「取材備忘録」)

中山知子の取材備忘録

 ■中山知子の取材備忘録

 ◆中山知子(なかやま・ともこ) 日本新党が結成され、自民党政権→非自民の細川連立政権へ最初の政権交代が起きたころから、永田町を中心に取材を始める。1人で各党や政治家を回り「ひとり政治部」とも。現在、日刊スポーツNEWSデジタル編集部デスク。福岡県出身。青学大卒。 

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・コラム・「中山知子の取材備忘録」】  2025年02月02日  11:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【HUNTER・03.31】:「ならずもの国家」が跋扈する時代

2025-04-02 07:03:40 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

【HUNTER・03.31】:「ならずもの国家」が跋扈する時代

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【HUNTER・03.31】:「ならずもの国家」が跋扈する時代 

 パレスチナのガザ地区で朝日新聞の通信員として報道し続けてきたムハンマド・マンスール氏(29)が24日、イスラエル軍のミサイル攻撃を受けて死亡した。ガザ地区南部のハンユニスで家族と暮らしながら取材を続けていたが、避難していたテントが攻撃されたようだ。妻と子どもたちの安否は不明という。

 イスラエルはイスラム組織ハマスとの停戦合意を破って、18日に攻撃を再開した。マンスール氏は死の直前、攻撃再開による惨状を伝えてきた。記事の中で、彼は「私の一日は攻撃を受けるのを避けながら、家族とともに飲料水や食料を集めることでほとんど終わってしまう」と綴っていた。

 現役の記者だったころ、私もアフガニスタン戦争の取材に携わった。砲弾が飛び交う中で走り回ったこともある。取材中に死亡した顔見知りの記者もいた。だが、ガザ地区での取材は「普通の戦争取材」とはまるで異なる。自分の家族を守りながら戦争の実情を伝える――なんと過酷な取材であることか。壮絶な死、である。

 国際NPO「ジャーナリスト保護委員会」(CPJ、本部・ニューヨーク)は、イスラエル軍による24日の攻撃でマンスール氏と衛星放送局アルジャジーラのホサム・シャバト記者(23)が死亡したことを非難し、国際的な調査をするよう要求した。CPJによれば、2024年に殉職したジャーナリストは124人に上り、この30年で最多だった。その7割はイスラエルによる殺害と断じている。

 イスラエルにも言い分はあるだろう。今回の戦争の発端は、2023年10月のハマスによる奇襲攻撃である。ハマスはイスラエルの市民を無差別で殺害し、しかも女性や子ども、高齢者を含む240人もの人質を取った。「ハマスを壊滅させるまで戦う」と宣言して、イスラエルは戦争を始めた。ハマスは住民に支えられて戦うゲリラであり、戦闘員と住民を区別するのは難しい。壮絶な戦争になることは当初から予想されていた。

 とはいえ、どのような戦争であろうと、守るべき「ルール」はある。戦闘と無関係な市民を攻撃してはいけない。投降した捕虜を殺してはならない。病院や学校などの施設を攻撃することは避けなければならない。各国は数多くの戦争を経て、そうしたことを「ジュネーブ諸条約及び追加議定書」としてまとめ、これを守ろうとしてきた。イスラエルも「ジュネーブ諸条約」を締結、批准している。

 「ハマスはテロ組織である。条約など気にしていない。ならば、我々も気にしない」と言うなら、イスラエルはもはや「まともな国家」とは言えない。国際的な取り決めを歯牙にもかけない国家を「ならずもの国家」と呼ぶなら、イスラエルももはや「ならずもの国家」の一つと言うしかない。

 「ならずもの国家 Rogue state 」という言葉を初めて使ったのは1994年、アメリカのクリントン大統領である。イラクやイラン、北朝鮮、リビアなどを指して使ったものだが、ガザ地区で市民への無差別攻撃を続けるイスラエルを「全面的に支持、支援するアメリカ」は、今や「ならずもの国家」のお友達と言うべきだろう。

 ウクライナに侵攻し、住民を虐殺したロシアは「ならずもの国家の典型」である。そのロシアとアメリカは、国連安保理の常任理事国として「拒否権」を持ち、特別な地位にある。プーチン大統領とトランプ大統領の振る舞いは「われわれは国際社会の顔役なのだ」と言わんばかりである。2人でウクライナ戦争の始末を付けるのだという。

 「ならずもの国家」とその友達がわが物顔で跋扈(ばっこ)する、恐ろしい世の中になった。そこから抜け出す道がまるで見えてこないことが一層恐ろしい。

 (長岡 昇:NPO「ブナの森」代表)

長岡 昇(ながおか のぼる)
山形県の地域おこしNPO「ブナの森」代表。市民オンブズマン山形県会議会員。朝日新聞記者として30年余り、主にアジアを取材した。論説委員を務めた後、2009年に早期退職して山形に帰郷、民間人校長として働く。2013年から3年間、山形大学プロジェクト教授。1953年生まれ、山形県朝日町在住。

≪写真≫
◎ムハンマド・マンスール氏(テレビ朝日のサイト)
https://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/900021301.html

≪参考記事&サイト≫
◎ムハンマド・マンスール氏の記事と彼の死を伝える朝日新聞の記事(2025年3月25日付、3月26日付)
◎NPO「ジャーナリスト保護委員会」のイスラエル非難声明(英語)
https://cpj.org
◎ジュネーブ諸条約及び追加議定書について(日本外務省の公式サイト)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/k_jindo/giteisho.html
◎ジュネーブ諸条約の主な内容(同)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/k_jindo/naiyo.html

 元稿:HUNTER 主要ニュース 政治・行政【政治ニュース・国際情勢・地政学】  2025年03月31日  07:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説②・04.01》:ミャンマーで大地震 国軍は人道優先の対応を

2025-04-01 02:05:40 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

《社説②・04.01》:ミャンマーで大地震 国軍は人道優先の対応を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②・04.01》:ミャンマーで大地震 国軍は人道優先の対応を

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【社説①・03.31】:日中韓外相会談/地域の安定へ対話深めよ

2025-03-31 06:00:50 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

【社説①・03.31】:日中韓外相会談/地域の安定へ対話深めよ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・03.31】:日中韓外相会談/地域の安定へ対話深めよ 

 日中韓の外相が東京都内で会談し、「未来志向」で協力することを確認し合った。首脳会談の早期開催に向け、調整を加速させる。

 法の支配に基づく国際秩序が大きく揺らぐ中、アジアの主要国である3カ国が対話を継続し、地域の安定を図るために交流と協力を推進することは極めて重要だ。関係改善の機運を、懸案事項の解決につなげる必要がある。

 岩屋毅外相は日中韓の首脳会談について「年内にはやらなければいけない」と述べた。具体的な成果を得られるよう、相互理解の促進、暮らしを守るための協力、少子高齢化など全世代共通の課題解決-の三つを柱に調整するという。

 3カ国を「接近」させている大きな要因は、自国第一主義を主張し、高関税を繰り出すトランプ米政権に対する警戒感である。

 不動産不況が続く中国は、米国との貿易戦争激化による経済への打撃に危機感を募らせる。日韓は関税に加え、同盟国との安全保障体制をコストとみなすトランプ氏の言動に不安を抱く。経済的な結びつきの強い日中韓が、自由貿易を堅持する立場で協調路線を採ろうとするのは現実的と言える。

 一方、中国には日米と米韓の関係にくさびを打つ思惑も見え隠れする。ウクライナ戦争を巡り、米国とロシアが接近している状況への焦りもあるだろう。

 日中の2国間では、閣僚級の「ハイレベル経済対話」が約6年ぶりに開かれた。両国外相は戦略的互恵関係を深めることで一致したが、具体的な成果に乏しかった。

 東京電力福島第1原発の処理水海洋放出に伴う中国による日本産水産物の全面禁輸措置については、昨年9月に段階的に緩和することで両国が合意した。しかし、半年が経過しながら、輸入再開時期はいまだ見通せない。中国は一刻も早く合意を行動に移すべきだ。

 日本側は中国にスパイ容疑などで拘束された邦人の早期解放を求めたが、こちらも進展はなかった。すでに起訴された邦人の初公判が非公開で行われるなど司法プロセスは透明性に欠ける。日本企業が安心して事業を展開できる環境と言いがたい。

 日中韓の外相は、核・ミサイル開発を進める北朝鮮問題も協議した。温度差はあるものの、非核化を求める点では一致する。中国が北朝鮮への影響力を発揮するよう、日韓は働きかけを強めたい。

 分断が進む国際社会で多国間連携の重要性は一層増している。日中韓は粘り強く対話を重ね、協調を軸とする外交への転換をけん引することが求められる。

 元稿:神戸新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年03月31日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。
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【社説②・03.31】:ミャンマー地震 戦闘停止と救援が最優先だ

2025-03-31 05:00:40 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

【社説②・03.31】:ミャンマー地震 戦闘停止と救援が最優先だ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・03.31】:ミャンマー地震 戦闘停止と救援が最優先だ

 ミャンマーの中部を震源とするマグニチュード(M)7・7の大地震が起きた。長引く内戦の影響もあり、正確な被害状況すら把握できない極めて深刻な事態である。 

 ミャンマー軍は国際社会の支援を受け入れ、救援活動に全力を挙げるべきだ。

 震源に近い都市マンダレーでは、多くの人が生き埋めになっている。重機が不足し、人々が素手でがれきをかき分けて生存者を捜しているという。痛ましい限りだ。在留邦人も複数が負傷した。

 軍は、建物の倒壊などで少なくとも1600人以上が死亡したと発表した。しかし、国内には軍の支配が及んでいない地域も多く、犠牲者はさらに膨らみ、1万人を超すとの見方もある。

 震源から約1000キロ・メートル離れたタイの首都バンコクでも、建設中の高層ビルが崩壊するなどして、多数の死傷者が出ている。

 ミャンマーでは2021年に軍がクーデターを起こし、アウン・サン・スー・チー氏率いる民主派政権を倒した。その後、軍と、民主派や少数民族武装勢力による内戦が続いている。

 戦闘によって350万人以上が住む場所を追われ、劣悪な生活を強いられている。こうした悲惨な人道状況が今回の地震で一層悪化する恐れが強い。

 民主派は、被災地での救援活動を優先するため、軍事活動を2週間停止すると発表した。軍や、少数民族武装勢力も一時停戦を表明し、被害状況の確認や捜索・救出に専念すべきだ。

 ミャンマーはクーデター以降、米欧に制裁を科され、国際的に孤立している。

 今回の地震を受け、軍トップのミン・アウン・フライン最高司令官は国際社会に支援を要請した。内戦や制裁で統治機能が低下した状態のままでは対応できないと判断したのだろう。

 国連は被災地支援のため500万ドル(約7億5000万円)を拠出すると発表した。

 各国からの支援の申し出も相次いでいる。中国は救援・医療隊をミャンマーに派遣し、1億元(約21億円)の緊急支援を行うと表明した。ロシアも120人規模の救助隊を送った。

 日本はまずは救援物資を送る方針だという。日本は軍の統治を承認していないとはいえ、支援をためらうべきではない。多くの震災を経験してきた知見を生かし、災害救助隊派遣や医療支援など民生面の貢献を急がねばならない。

 元稿:読売新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年03月31日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②・03.30】:日本とブラジル 国際協調の回復へ連携強めよ

2025-03-30 05:00:40 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

【社説②・03.30】:日本とブラジル 国際協調の回復へ連携強めよ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②・03.30】:日本とブラジル 国際協調の回復へ連携強めよ

 ブラジルは約270万人の日系人社会を抱え、近年は新興・途上国「グローバル・サウス」の筆頭格として国際社会で存在感を増している。 

 日本はブラジルと連携し、国際協調を主導すべきだ。

 南米ブラジルのルラ大統領が国賓として来日し、石破首相と会談した。外国首脳の国賓来日は2019年のトランプ米大統領以来、約6年ぶりだ。

 首相は「国際社会を協調へと導くパートナーとして、ブラジルとの協力は不可欠だ」と語った。会談では、両国首脳が2年に1回相互訪問することや、外務・防衛当局間による事務レベル対話の枠組みを新設することで合意した。

 両首脳は、2国間関係の強化にとどまらず、ウクライナや中東、東アジア情勢についても意見交換した。世界貿易機関(WTO)を中核とする国際貿易体制を維持していくことでも一致した。

 米国のトランプ政権は多国間協調に背を向け、高関税政策で自由貿易を脅かしている。こうした中で、日本とブラジルが公正なルールに基づく外交や貿易を推進し、国際秩序の回復に貢献する方針を確認した意義は大きい。

 両国とドイツ、インドは4か国で「G4」を結成し、国連安全保障理事会改革を目指している。安保理が常任理事国のロシア、中国、米国などの国連軽視で機能不全に陥っているのは明白である。

 ルラ氏は記者会見で、「日本やブラジルなどは常任理事国に入る権利がある」と主張した。停滞している国連改革の議論を前進させるには、中南米やアフリカなどのグローバル・サウスの国々の支持を得ることが欠かせない。

 ブラジルは今年、国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)の議長国を務める。トランプ政権の発足で温暖化対策を巡る多国間協調が後退しないよう、日本は脱炭素化に向けた途上国支援を強化していくべきだ。

 一方でブラジルは、特定の大国に偏らない独自の「バランス外交」を展開しており、中露が主導する新興国グループ「BRICS」にも加盟している。

 中国はブラジルとの貿易面での結びつきを足がかりに中南米各国への影響力拡大を図る。ロシアのプーチン大統領は5月9日の対独戦勝記念日の式典にルラ氏を招待し、ルラ氏は訪露する意向だ。

 ロシアのウクライナ侵略などの国際法違反を容認したと受け取られ、ブラジル自身の評価を落とすことがないようにしてほしい。

 元稿:読売新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年03月30日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説①・03.25》:トランプ時代の日中韓 協力を地域安定の土台に

2025-03-25 02:05:50 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

《社説①・03.25》:トランプ時代の日中韓 協力を地域安定の土台に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①・03.25》:トランプ時代の日中韓 協力を地域安定の土台に

 世界が混迷を深める時代にあって、日中韓は協力の強化をアジアの安定につなげていくべきだ。

 3カ国の外相が東京で会談し、「未来志向」の協力推進などを確認した。首脳会談を早期に開催する方針でも一致した。議長を務めた岩屋毅外相は「3カ国が交流と協力を推進することは、国際社会を分断から協調に導く上で極めて重要だ」と述べた。

<picture><source srcset="https://cdn.mainichi.jp/vol1/2025/03/25/20250325ddm005070133000p/9.webp?1" type="image/webp" />日本で開催された日中韓外相会談=東京都港区の外務省飯倉公館で2025年3月22日午前9時22分(代表撮影)</picture>
日本で開催された日中韓外相会談=東京都港区の外務省飯倉公館で2025年3月22日午前9時22分(代表撮影)

 日中韓が協力強化で足並みをそろえた背景には、自国第一主義を掲げて高関税政策を発動するトランプ米政権とどう向き合うかという共通の課題がある。 

 貿易戦争の最大の標的である中国は国内で不動産不況に苦しんでおり、隣国である日韓との関係を安定化させようとしている。反保護主義を前面に打ち出すことで、米国との同盟関係に揺さぶりをかけようとの思惑もにじむ。

 日本も最大の貿易相手国である中国との関係改善を望んでいる。ただ、対中強硬派が並ぶトランプ政権の出方をうかがっており、間合いの取り方を模索している。

 立場の違いがはっきりと出たのが北朝鮮情勢だ。日韓の外相が北朝鮮の核・ミサイル開発などに警戒感を示したのに対し、中国の王毅外相は北朝鮮の置かれた状況に一定の理解を示した。

 ウクライナへの侵攻を続けるロシアと北朝鮮の軍事協力は、中国にとっても懸念材料とみられている。日韓は中国に影響力行使を粘り強く働きかける必要がある。

 日中の外相会談と6年ぶりのハイレベル経済対話も開かれた。少子高齢化など共通の課題に対応するための協力を確認した。

 しかし、懸案も多い。中国側は台湾や歴史を巡る問題で日本をけん制した。日本側は邦人拘束や東・南シナ海情勢への懸念を伝えた。中国は大国として責任ある行動を示すべきだ。

 対立点があるからこそ対話を続けなければならない。安保協力を目的とした日米韓と違い、日中韓の枠組みは経済対話や実務協力を想定している。国際情勢が揺らぐ中、果たすべき役割の重要性が高まっている。

 アジアの緊張回避に向けた信頼醸成の場としても生かせるはずだ。日中韓の枠組みを機能させる外交戦略が求められている。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年03月25日  02:01:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①・03.24】:ガザ攻撃再開/米国は仲介の責務果たせ

2025-03-24 06:00:50 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

【社説①・03.24】:ガザ攻撃再開/米国は仲介の責務果たせ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・03.24】:ガザ攻撃再開/米国は仲介の責務果たせ 

 イスラエルがパレスチナ自治区ガザへの本格的な攻撃を再開した。全域で大規模な空爆を行い、南部ラファなどで地上侵攻を展開した。1月にイスラム組織ハマスと合意した停戦枠組みは事実上崩壊した。

 イスラエル側はハマスの拠点に限った攻撃と主張するが、ガザの保健当局によると、600人を超える犠牲者には女性や子どもも多く含まれる。停戦を歓迎していた市民を再び戦闘に巻き込むのは許し難い。イスラエルはただちに攻撃をやめ、停戦交渉に戻らねばならない。

 イスラエル首相府は、ハマスが人質の解放を拒んだことを攻撃の根拠とする。一方、ハマスは声明で「ネタニヤフ首相と過激派が合意破棄を決めた」と強く反発している。

 1月19日に発効した停戦合意は、第1段階でハマスの人質解放とイスラエルのパレスチナ人収監者の釈放を進め、今月1日以降の第2段階で恒久停戦やイスラエル軍撤退を協議する方針だった。しかし、イスラエルが撤退に難色を示し、米国がハマスと直接交渉していた。

 イスラエルは暫定的な停戦延長とさらなる人質解放を要求したが、撤退の見通しがなければハマスはのみにくいだろう。ガザの人道危機は一層の悪化が懸念される。

 攻撃の再開前にイスラエルはトランプ米大統領の了承を得たとする。仲介役が攻撃を容認したのであれば関係各国の信義に反し、言語道断だ。直ちに制止すべきである。

 トランプ氏は先月、ガザを米国が所有した上で住民を域外へ移住させ、再建や経済開発を進める構想を示した。ネタニヤフ氏も賛同したというが、住民を意に反して移住させる行為は国際法に違反し「民族浄化」にもつながる。全く容認できない。ガザ市民や国際社会が強い懸念を示すのは当然である。

 トランプ氏は、ハマス側が人質を解放しなければ「地獄が訪れる」などとの脅しを繰り返す。本来果たすべき役割は、イスラエルに軍撤退や恒久停戦の協議に入るよう強く促し、その上でハマスに早期の人質解放を求めることだ。イスラエル寄りの主張を押し付けるだけでは仲介役として不適任と言わざるを得ない。

 政権基盤が脆弱(ぜいじゃく)なネタニヤフ首相は、今月末までに予算の承認を国会で得られなければ解散・総選挙に追い込まれるため、停戦をほごにすることで極右勢力を取り込んだとの見方が広がっている。民間人の命と引き換えに政権を維持しようとする姿勢は最大限の非難に値する。

 国際社会は米国に仲介役としての責務を果たすよう働きかけ、団結してイスラエルへの圧力を強め恒久的な停戦を実現させねばならない。

 元稿:神戸新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年03月24日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①・03.16】:防衛力強化急ぐ欧州 米が果たす責任なお重い

2025-03-16 02:05:50 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

【社説①・03.16】:防衛力強化急ぐ欧州 米が果たす責任なお重い

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・03.16】:防衛力強化急ぐ欧州 米が果たす責任なお重い 

 同盟国に対して防衛費の負担増を求めるトランプ米政権の姿勢を受け、欧州諸国が安全保障の強化に乗り出している。

 欧州連合(EU)は、総額8000億ユーロ(約125兆円)を投じて加盟国の防衛力を増強する「再軍備計画」に大筋で合意した。

マクロン仏大統領はテレビ演説で、フランスの核抑止力を欧州に広げる議論を開始すると表明した=2025年3月5日、ロイター

 マクロン仏大統領は、自国が保持する核兵器の抑止力を欧州に広げることについて、検討を始めると表明した。フランスは290発の核弾頭を保有するとみられる。

 注目されるのは、フランスの「核の傘」拡大に慎重だったドイツが容認に転じたことだ。ポーランドなど東欧諸国も歓迎している。

 背景には、ロシアの軍事的脅威に直面する中、米国だけに頼っていては欧州の安全を維持できないという危機感がある。

 ウクライナ戦争の終結を急ぐトランプ政権の停戦交渉が、侵略したロシアに有利な形で決着することへの懸念もくすぶっている。

 トランプ大統領は1期目から、北大西洋条約機構(NATO)の加盟国に防衛費の増額を要求してきた。欧州諸国の動きには、地域の安全保障への米国の関与をつなぎ留めたいとの思惑もある。

 ただ、ロシアは反発を強めており、地域の緊張がかえって高まりかねない。

 憂慮すべきは、自由と民主主義という価値観を共有してきた米欧の間に亀裂が入り、戦後国際秩序が揺らぐことだ。

<picture><source srcset="https://cdn.mainichi.jp/vol1/2025/03/16/20250316ddm005070146000p/9.webp?1" type="image/webp" />ミュンヘン安全保障会議で演説するバンス米副大統領=ドイツ南部ミュンヘンで2025年2月14日、ロイター</picture>
ミュンヘン安全保障会議で演説するバンス米副大統領=ドイツ南部ミュンヘンで2025年2月14日、ロイター

 バンス米副大統領は2月のミュンヘン安全保障会議で、欧州が直面する問題は「ロシアでも中国でもなく、『内なる脅威』だ」と断じた。EUのSNS(ネット交流サービス)規制は「民主主義の破壊」だと批判した。

 欧州の政治家が制御不能な不法移民の流入を招いたとも指摘し、移民排斥を訴える極右勢力に肩入れする姿勢を示している。

 米欧の分裂は、「法の支配」を弱体化させ、権威主義国家を利することにつながりかねない。東アジアの安全保障環境も厳しく、中国、ロシア、北朝鮮に囲まれた日本にとってもひとごとではない。

 トランプ政権が内向きな姿勢を強めても、米国が国際秩序の維持に果たす責任はなお重い。日欧が緊密に意思疎通し、米国への働きかけを強めることが求められる。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年03月16日  02:01:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【政界地獄耳・03.04】:「新たなる戦前」駒を進めかねない時期に、物足りない首相発言

2025-03-09 07:40:10 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

【政界地獄耳・03.04】:「新たなる戦前」駒を進めかねない時期に、物足りない首相発言

 『漂流する日本の羅針盤を目指:【政界地獄耳・03.04】:「新たなる戦前」駒を進めかねない時期に、物足りない首相発言 

 ★25年2月6日(現地時間)首相・石破茂は米・ホワイトハウスを訪れ、翌7日にドナルド・トランプ米大統領と初の日米首脳会談を行った。トランプは就任以来、バイデン前大統領の功績の多くを覆すために大統領令を次々と発令。カナダ、メキシコにも外交とは言えない挑発を繰り返した。日米変人同士の会談としては注目されたものの、石破は外務省の振り付けと一夜漬けの勉強が功を奏し、日本メディアのワシントン電はいずれももろ手を挙げての成功としていたが、各社の社説はもう少し冷めていた。

 ★その体質からほかの選択肢はないのだろうが、外務省が演出すれば、日米同盟の強化を繰り返し、対米投資が大きいことで機嫌は取れたかもしれないが、石破だからこその成功とは言えまい。ただアメリカに寄り添うのか、トランプとともに歩むのかではだいぶ違う。ウクライナ支援に前のめりだったバイデン政権とトランプ政権の違いを日本外交はどう消化していくのか。そこが全く分からない。日本の報道だけ見ていたら、ゼレンスキー支持者とトランプ支持者が生まれ、対立するのは必然だろう。外交は利害の交渉だけではない。地政学と信頼関係も重要な要素になる。だが商取引だけが議題になる外交をテレビカメラの前でやるまでアメリカの外交は価値が下がったといえる。

 ★外交に値段をつけるために米露が組むなどという構図はどんな国際政治の世界にも想定されず、多分そんな小説ができても売れないだろう。ただ現実に起こっていることをみれば、外交のカードは交渉に使える資源か領土かカネということになる。首相は3月1日、この会談について「かなり感情的なやりとりだったようだが、平和を実現するためには忍耐も思いやりもいる。外交は感情をぶつけ合えばいいというものではない」「G7の結束が乱れないよう努力したい」と中途半端な感想を述べた。世界が新たなる戦前に駒を進めかねない時期に極めて物足りない。(K)※敬称略

 ◆政界地獄耳

 政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【コラム・政界地獄耳】  2025年03月04日  07:39:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②・02.09】:日米首脳会談/安心できない「日本重視」

2025-02-12 06:00:30 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

【社説②・02.09】:日米首脳会談/安心できない「日本重視」

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社②・02.09】:日米首脳会談/安心できない「日本重視」 

 石破茂首相とトランプ米大統領が初めて会談した。日米同盟をインド太平洋地域の平和、安全、繁栄の礎であり続けると強調し、同盟の抑止力と対処力を高めることで一致した。

 「米国第一」を掲げ、同盟関係ですらディール(取引)の材料とみなすトランプ氏の出方が読めなかっただけに、日本政府関係者はひとまず胸をなで下ろしたに違いない。

 ただ、こうした「日本重視」は、中国を最大の脅威と位置づけるトランプ政権の対中抑止策の一環でもある。

 会談後の共同記者会見で、トランプ氏は日本の防衛費について「(今後)さらに増える」と述べた。米中の覇権争いは一層の激化が予想される。米国による防衛費の増額要求が高まるのは確実で、日本は難しい対応を迫られよう。

 会談はなごやかな雰囲気だったという。日本が用意した「土産」が奏功した面もありそうだ。石破首相は対米投資を1兆ドル(約151兆円)規模に増やすと表明したほか、日本の自動車メーカーによる米国での新工場建設計画を紹介した。

 一方、トランプ氏は対日貿易赤字の解消を求め、貿易不均衡が続けば、関税が選択肢になるとの見解を示した。同盟国でも貿易赤字を問題視するトランプ氏が、高関税を課す可能性のある相手国リストから日本を除外するとは考えにくい。

 既に中国との間では関税合戦の様相だ。世界経済を縮小させ、インフレなどで自国民にも影響が及びかねない高関税の連鎖を防ぐために、日本は欧州連合(EU)などとも連携して米国に働きかける必要がある。

 驚いたのは、日本製鉄による米鉄鋼大手USスチールの買収計画を巡り、両首脳が「買収ではなく、多額の投資で合意した」と述べた点である。買収に反対していたトランプ氏自ら日本製鉄の幹部と協議するという。真意は不明だが、民間企業の経営に政治が介入することへの違和感は拭えない。

 会談では、日米豪印や日米韓といった多国間連携を重視する方針も打ち出した。国際協調の枠組みの実効性を高め、平和に資するためにも、日本は主体的な外交に努めるべきだ。

 元稿:神戸新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年02月09日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①・02.09】:日米首脳会談 「言うべきは言う」関係築け

2025-02-11 16:00:40 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

【社説①・02.09】:日米首脳会談 「言うべきは言う」関係築け

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・02.09】:日米首脳会談 「言うべきは言う」関係築け 

 表面的には無難な滑り出しにみえる一方、今後に向けた危うさも見え隠れする。

 石破茂首相は、返り咲いたトランプ米大統領と首都ワシントンで初めて会談した。

 両首脳は日米関係の「新たな黄金時代を追求する」とした共同声明を発表した。基軸となる日米安全保障体制の抑止力向上などを確認した。

 一方、経済面でトランプ氏は対日貿易赤字の解消を求めた。各国への「脅しの道具」として用いる関税を持ち出し、日本でも貿易不均衡が続けば、引き上げによる赤字削減が選択肢になるとの考えを示した。

 石破氏は8千億ドル弱で世界一の対米投資を、1兆ドル(約151兆円)規模に増やすとした。

 すでにトランプ氏は中国からの輸入品に対する10%の追加関税を発動した。中国は報復措置として、米製品に最大15%の追加関税を課すと発表し、「貿易戦争」の様相を帯びている。

 1カ月延期したものの、メキシコやカナダへの25%関税も発動の構えを崩さない。来週は、各国が米製品に課しているのと同水準の関税をかける措置の計画も公表するという。

 日本にも高関税をちらつかせることで、「米国第一」の利益追求へさらなる圧力をかけてくる可能性が明確になったといえよう。石破氏は対米投資の実績や計画を挙げて理解を求めたようだが、予断は許されまい。

 日本製鉄による米鉄鋼大手USスチールの買収計画を巡り、両首脳は「買収でなく、多額の投資で合意した」と述べた。トランプ氏は日鉄の首脳と会うともいい、禁止命令を出したバイデン前政権の方針を実質的に覆すことになるのか。日本は注意深く見極める必要があろう。

 気になるのは、防衛費を国内総生産(GDP)比2%に増やす日本方針を、トランプ氏が評価しつつ「さらに増える」と強調したことだ。そうした点を含め、国会は会談の内実を検証してもらいたい。

 トランプ氏は先月20日の就任以来、前政権の方針を反転させる大統領令を連発。気候変動対策の国際枠組み「パリ協定」からの再離脱を指示し、世界保健機関(WHO)の脱退手続きを進める。先日は唐突に、米国がパレスチナ自治区ガザを長期的に「所有する」と表明し、200万人超の住民をガザ域外に移住させるべきだと主張した。

 国際協調に背を向けた身勝手なふるまいや、苦難の歴史を無視した暴論に対し、会談で石破氏はひと言も触れなかった。

 初対面で時間的な制約があったにせよ、かねて「対等な日米関係」を唱えてきた首相が、持論とする日米地位協定の改定を含め、国内外の対米懸案を素通りしたのは残念である。

 多層的な意思疎通を築き、「言うべきことは言う」日米関係の深化を求めたい。

 元稿:京都新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年02月09日  16:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①・02.07】:米の「ガザ所有」 国際法に反する暴論だ

2025-02-11 16:00:25 | 【外交・外務省・国際情勢・地政学・国連・安保理・ICC・サミット(G20、】

【社説①・02.07】:米の「ガザ所有」 国際法に反する暴論だ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①・02.07】:米の「ガザ所有」 国際法に反する暴論だ 

 また突拍子もない脅し文句だと聞き捨てにできない。不見識で危うい暴論である。

 トランプ米大統領は、パレスチナ自治区ガザを米国が長期的に「所有する」と主張し、住民をガザ域外に恒久的に移住させるべきと提案した。再建に米国が取り組むとし、米軍派遣も否定しなかった。

 いかなる権限でどう進めるか具体策は語らず、どこまで本気か、実現性も疑わざるを得ない。

 国連加盟国の多数が国家として承認するパレスチナの土地を一方的に切り離し、住民を追うことは明らかに国際法に反する。

 ガザのイスラム組織ハマスは「パレスチナ人の権利否定だ」と反発。エジプトやサウジアラビアはじめ中東、欧州など各国が批判の声を上げたのは当然だろう。

 こぎつけたガザ停戦を恒久化する交渉を阻害し、混乱に陥れる妄言だ。断じて認められない。

 唐突な提案は、イスラエルのネタニヤフ首相との会談後の記者会見で表明された。トランプ氏は、15カ月以上の攻撃で破壊されつくしたガザを米国が引き継ぎ、倒壊した建物や不発弾を撤去、経済開発や雇用創出を進めるとした。

 歴代政権以上のイスラエルへの後押しで自らの保守支持層に応えつつ、「不動産王」の発想で事態を動かす思惑も透ける。

 だが、トランプ氏のいう「ガザは地獄」は、過剰に自衛権を振りかざした無差別攻撃で死者4万7千人超、避難者の人道危機を深めるイスラエルと、軍事支援する米国が引き起こした惨状である。

 1948年のイスラエル建国で土地を追われたパレスチナ人の苦難の歴史的経緯も顧みないのか。またも200万人超のガザ住民を強制移住させることは、自決権を踏みにじる国際人道法違反である。国連のグテレス事務局長は「民族浄化だ」と指弾する。

 ドイツやフランス、英国の首脳らも提案を「容認できない」とし、国際合意であるイスラエルとパレスチナの「2国家共存」を改めて支持した。

 法の支配や基本的人権に基づく国際秩序をないがしろにするトランプ流は、ロシア、中国の覇権主義や排外・極右勢力の台頭に口実を与え、世界的な信頼低下を招くばかりである。

 戦後、中東に軍事関与をせず、独自の交流も重ねた日本の役割は重要だ。週末、トランプ氏と初の首脳会談に臨む石破茂首相は、自決権と2国家共存論を擁護し、事態を憂慮する国々とも連携していさめねばならない。

 元稿:京都新聞社 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2025年02月07日  16:05:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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