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路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【自民党】:年金生活者5000円給付案を白紙に バラマキを主張してきた公明が繰り出す“次の一手”

2022-03-29 17:40:30 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

【自民党】:年金生活者5000円給付案を白紙に バラマキを主張してきた公明が繰り出す“次の一手”

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【自民党】:年金生活者5000円給付案を白紙に バラマキを主張してきた公明が繰り出す“次の一手”

 政府・与党が新型コロナウィルス対策として、年金受給者に1人あたり5000円支給する方向で調整していた臨時給付金について、自民党が「白紙」ベースで見直すことが29日、明らかになった。今月に入って突然浮上した今回の5000円給付案には夏の参院選を前にした「バラマキ」との批判が根強く、19日・20日両日にFNN・産経新聞が行った合同世論調査でも54.5%が「支給すべきでない」と反対していた。

<picture>今夏の選挙までに何を繰り出してくるのか(昨年の衆院選での公明党・山口代表)/(C)日刊ゲンダイ</picture>

 今夏の選挙までに何を繰り出してくるのか(昨年の衆院選での公明党・山口代表)/(C)日刊ゲンダイ

 こうした批判を受け、公明党の竹内譲政調会長は23日の記者会見で、「(公明党の)石井啓一幹事長に自民党の茂木敏充幹事長から話があった。公明党としてそもそも考えていたわけでもない」と述べ、自民党側からの提案だったと責任をなすりつけた。しかし、公明党広報部は19日時点で日刊ゲンダイの取材にこう回答していた。

 「コロナ禍が長期化する中で、昨年来、子育て世帯に対する臨時特別給付金や、住民税非課税世帯等に対する臨時特別給付金を支給してきたが、年金生活者等を主な対象とする給付は行なってこなかった経緯があります。公的年金は2022年度の支給額が21年度から引き下げられることが発表されている一方で、コロナ禍の長期化や、戦後最悪とも言える国際情勢のもとで原油価格・食料品価格が高騰している状況を総合的に勘案し、特例的な支援策として、賃金低下が基礎年金部分に与える影響を払拭する水準の金額を支給することを、与党として政府に求めた次第です」

 ■総合的な支援策の実施を政府に求めていく

 公明党として年金世帯への5000円給付に積極的に関わってきたこと様子がうかがえる内容だった。一方、バラマキ批判を敏感に察知し、別の方向にシフトしようとしていた様子も伺える。公明党広報部はこうも説明していた。

 「公明党としても追加経済対策が必要であることは先日来、強く主張しておりますが、今回の年金生活者支援はその総合的な対策の一部という位置付けです。ご指摘のように、物価高騰の影響は広く国民全体に広がっており、働く現役世代、青年世代の方々への支援を含め、生活者・事業者とも、希望ある展望を抱き、安心感を持って頂ける内容の総合的な支援策の実施を政府に求めていく考えです」

 「党としても幅広い支援策の検討に向け、1月から2月にかけて全国の党所属議員が生活者・事業者を対象にアンケート調査を実施しました。また新たに『国民生活総点検・緊急対策本部』を設置し、今後ヒアリングなどを通じて生活・事業の現場の実情を捉え、政策立案につなげていきます」

 今回の年金世帯の5000円給付は少額すぎて、高齢者からも不人気だったうえ、働く若い世帯には不公平な対策としか映らなかったようだ。公明党が夏の参院選前までに、次にどんな対策を打ち出してくるのか注目が集まる。

 元稿:日刊ゲンダイ 主要ニュース ライフ 【暮らしニュース】  2022年03月29日  17:40:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:5千円支給案/選挙目的の疑念拭えない

2022-03-28 06:00:45 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

【社説】:5千円支給案/選挙目的の疑念拭えない

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:5千円支給案/選挙目的の疑念拭えない

 

政府、与党が年金生活者の支援を目的に、1人当たり5千円の「臨時特別給付金」を支給する案を検討している。

 年金支給額は物価や賃金変動に伴い毎年改定され、今年は4月分から0・4%引き下げられる。給付金は年数千円の減額への措置とされるが、突然浮上してきた感が強い。1回限りの支給による効果や対象を高齢者に絞る点など疑問も尽きない。

 支給案は、年金に頼る高齢世代の不安に対応するためとして自民、公明両党幹部が岸田文雄首相に申し入れた。既に10万円の給付を受けた住民税非課税世帯などを除く高齢者ら約2600万人が対象になる。困窮度にかかわらず一律に5千円を支給する内容であり、低所得者対策に当たるとは言い難い。

 賃金を重視して年金額を変動させる新ルールを2021年度に導入したのは、現役世代の負担能力を考慮し、財源を確保するためだ。新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言などで営業休止を強いられたり、職を失ったりした現役世代は多い。年金生活者だけが給付金の対象では公平さを欠く。

 見過ごせないのは4、5月分の年金支給日が6月になることだ。参院選の直前であり、年金減額への反発を避けるために給付金を検討しているとの疑念は拭えない。野党も「参院選目当てのばらまき」と批判を強めている。当然だろう。

 共同通信社が今月実施した世論調査では、支給案を「適切だと思わない」とする回答が66%を占めた。自民、公明の各支持層でも同じ回答が過半数に達しており、国民の厳しい目が向けられているのは明らかだ。 

 与党内でも「恥ずかしい政策」とする声がある一方、一昨年の10万円給付に比べて少額である点を問題視し、増額を求める意見も出ている。1人5千円でも事業規模は事務経費を含めて2千億円程度になるという。しかも財源には、国会のチェックを受けない予備費を充てる可能性もある。将来世代に回すツケを安易に増やすべきではない。

 コロナ禍や物価上昇の影響を受けているのは高齢者に限らない。本当に困窮している国民のための支援策を、小手先ではなく一から考え直す必要がある。

 元稿:神戸新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2022年03月27日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【与党】:年金生活者に“5000円バラマキ”は逆効果!セコイ裏側ミエミエの参院選対策

2022-03-18 06:05:50 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

【与党】:年金生活者に“5000円バラマキ”は逆効果!セコイ裏側ミエミエの参院選対策

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【与党】:年金生活者に“5000円バラマキ”は逆効果!セコイ裏側ミエミエの参院選対策

 突如、浮上した年金生活者向けの「臨時特別給付金」。自公の幹事長と政調会長の4人が15日、揃って官邸で岸田首相に面会し、新型コロナ対策として要望。岸田は「しっかり受け止め検討したい」と応じ、実現の方向だ。1人当たり5000円、1回限り。既に10万円の給付が決まっている住民税非課税世帯を除く年金生活者約2600万人が対象で、単純計算で事業費は1300億円、事務経費を含めると2000億円近くになる可能性がある。2021年度予算の予備費から充てる方向で国会審議が不要となりスピード支給が可能だ。

自公幹部が揃って官邸詣で(C)共同通信社

   自公幹部が揃って官邸詣で(C)共同通信社

 ■ネット上では批判一色

 夏の参院選対策の高齢者向けバラマキなのはミエミエで、ネット上ではほぼ批判一色。「なぜ5000円? それで生活が楽になるの?」「経費の方がかかるんじゃないか」「選挙対策なんだろうけども、マイナス効果にならない?」「高齢者に媚を売って、税金で票を獲得しようとするのはやめて」など散々だ。

 そのうえ、支給のタイミングと金額にはセコイ計算が働いている。

 年金支給額は毎年4月に改定され、22年度は21年度と比べ0.4%の引き下げが決まっている。その4月分が支給されるのが、参院選公示直前にあたる6月なのだ。

 「年金支給は、偶数月の15日に2カ月分を後払いとなっているので、4.5月分が振り込まれるのは6月15日。その直前に届く通知書や、入金された通帳を見て、『あれ、なんでいつもより金額が少ないの?』と減額の事実に初めて気づく人も少なくないでしょう」(70代の年金生活者)

 参院選は6月22日公示、7月10日投開票の見通し。高齢者の不満を爆発させないためには、何としても6月15日までに「特別給付金」で減額分を“補填”しなければならない、と自公は考えているわけだ。

 0.4%の減額は、厚生年金を受け取る夫婦2人のモデル世帯で月額903円。つまり年間約1万円で、1人当たり5000円となる。どうせ財務省がソロバンをはじいたのだろうが、やることがセコイ。

 「非常に分かりやすい選挙のための税金を使った買収行為で、公金横領みたいなものです。私も年金生活者ですが、5000円とは安く見られたもの。自公にとっては、選挙直前のバラマキが勝利の方程式。成功体験があるからですが、有権者はナメられています。予備費を余らせているのは、きちんとしたコロナ対策ができていなかった証左。こんなものにだまされてはいけません」(法大名誉教授・五十嵐仁氏=政治学)

 コロナ対策というなら、非正規の若年層や後遺症で仕事を休まざるを得ないなど、他にも支援が必要な人たちがいる。批判一色で、選挙に逆効果だろう。

 元稿:日刊ゲンダイ 主要ニュース ライフ 【暮らしニュース】  2022年03月18日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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《社説①》:年金受給者に5000円案 選挙対策にしか見えない

2022-03-17 02:10:50 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

《社説①》:年金受給者に5000円案 選挙対策にしか見えない

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①》:年金受給者に5000円案 選挙対策にしか見えない 

 今夏の参院選を前にした露骨な「バラマキ」と言われても仕方あるまい。

 新型コロナウイルス対策の生活支援として、政府・与党が年金受給者を対象に「臨時特別給付金」の支給の検討を始めた。一律5000円程度を1回限りとし、約2600万人が対象となる。参院選前の支給を目指しているという。

 公的年金の支給額は現役世代の賃金動向と連動しており、新型コロナの影響で今春から0・4%下がる。この分を給付金で穴埋めする狙いだ。財源は今年度予算の予備費を想定している。

 原油高による物価の上昇も加わり、国民の生活が苦しくなっているのは確かだ。だが、唐突に浮上した施策には多くの問題がある。

 まず疑問なのは、なぜ対象を年金受給者に絞ったのかだ。政府は既に子育て世帯などへの給付はしているが、子どもがいない現役世代などには、支援が行き届かない困窮世帯もある。 

 さらに、年金受給者といっても経済状況はさまざまだ。既に10万円の支給を受けた低所得の世帯は、今回は対象から外れる。余裕がある高齢者も含め一律で5000円を配ることに、どれだけの効果があるのか。

 しかも、予備費から支出するため国会のチェックも受けずに政府が決めることができる。

 近年、コロナ対策を名目に、予備費がなし崩しで膨れ上がっている。国内外の情勢を踏まえどのような対策が必要か、本来なら国会で議論を尽くさねばならない。 

 今回の給付案は、自民、公明両党幹部がそろって岸田文雄首相に提言したことがきっかけだった。参院選の選挙協力を巡り両党がギクシャクする中、関係改善の足がかりとしたい思惑も透ける。

 首相は分配重視の「新しい資本主義」を掲げている。これが目指すべき分配政策とでも言うのだろうか。選挙目当てで年金世代へのアピールの道具にしようとしているならば、有権者を侮る振る舞いだ。仕切り直しが必要だ。

 新年度予算が成立し次第、政府・与党は新たな経済対策を打ち出す構えだが、これでは先が思いやられる。選挙対策ではなく、国民の暮らしの安心につながる対策を正面から吟味すべきだ。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2022年03月17日  02:10:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【余禄】:夏目漱石の「坊っちゃん」が…

2022-03-17 02:10:30 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

【余禄】:夏目漱石の「坊っちゃん」が…

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【余禄】:夏目漱石の「坊っちゃん」が…

 夏目漱石(なつめそうせき)の「坊っちゃん」が、同僚の山嵐(やまあらし)に1銭5厘(りん)の氷水をおごられたのを悔やんで憤る場面がある。山嵐への中傷を真に受けて、そんなやつにたとえ1銭5厘でも恩を着せられたことに腹を立てたのだ

 ▲人類学者のベネディクトの著書「菊と刀」が、日本人の「恩」についての考察で引用したくだりである。恩と義理が人間関係を律した日本に限らず、何かを贈られれば返礼をする負い目が生ずるのは人類のほとんどの文化に共通する

 ▲だから贈り物のギフトという言葉が、ドイツでは「毒」を意味するのも贈与に人を束縛する魔力があるからではないか。かつての贈答文化はだいぶすたれた今の日本だが、人を操る毒をはらむギフトはむしろ増えているように見える

 ▲では、これはどうなのか。自民・公明の与党の間で突然浮上した年金生活者約2600万人への臨時給付金案である。コロナの影響で年金給付が0・4%減るのを穴埋めするとのことで、その額一律5000円というから微妙である

 ▲年金受給者には助かる方もいようが、誰しも頭に浮かぶのは夏の参院選である。政策目標もあいまいなバラマキに選挙対策の狙いを読み取るのは政界通でなくともたやすい。財源は予備費だから、この先国会での検討も期待できない

 ▲「明らかに、日本の政治は贈与によって機能している」は丸谷才一(まるや・さいいち)さんが小説の登場人物に語らせた言葉だった。しかし世の中には、勝手に恩を着せられるのに腹を立てる有権者もいるのをお忘れなきように。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【余録】  2022年03月17日  02:18:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【社説②】:年金額の改定 高齢期の安心支えたい

2022-02-01 07:47:12 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

【社説②】:年金額の改定 高齢期の安心支えたい

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:年金額の改定 高齢期の安心支えたい 

 二〇二二年度の公的年金支給額が決まった。0・4%の引き下げで、二年連続のマイナス改定。指標となる物価・賃金が下がったためだが、長引くコロナ禍で生活への不安は募るばかりだ。
 
 高齢期の暮らしの安心を底上げするためには、年金額の引き上げはもちろん、高齢者が働きやすい就労環境の整備や、安価な住宅供給なども合わせて考えたい。
 
 年金支給額の引き下げは受給者には痛手となる。コロナ禍で仕事が減り、収入減となった働く高齢者もいるだろう。政府はまず、改定に不満や疑問を抱く国民への説明を尽くさねばならない。
 
 物価や賃金の変動に合わせて厚生年金や国民年金の支給額を増減させる仕組みとは別に、高齢者に支給する年金額を目減りさせ、将来世代の年金財源に回す「マクロ経済スライド」は今回実施しない。
 
 マイナス改定の場合は適用しないのがルールのためで、マクロ経済スライドの実施は〇四年の導入以来、三回にとどまる。
 
 この仕組みを適用するか否かにかかわらず、将来世代の年金財源をどう確保するか課題は残る。
 
 厚生労働省は将来世代の年金確保のため、職場の厚生年金に加入できない非正規雇用者が加入できるよう適用拡大を進めている。厚生年金に加入できれば将来、無年金・低年金者を減らせるためだ。
 
 ただ対象者は増えてはいるが、その歩みは遅い。対象拡大には、保険料負担に難色を示す事業者の理解が不可欠だ。コロナ禍による経営環境の悪化で保険料負担が重荷になるのなら、納付を猶予する制度の拡充も考えたい。
 
 既に年金を受給しているものの低年金の高齢者への目配りも欠かせない。年金とは別に、消費税を財源に最大月五千円の給付制度があるが十分とはいえない。増額のために財源の検討を始めたい。
 
 年金財源を将来にわたって確保するため、年金支給額の目減りは今後も進む見通しだ。
 
 特に、国民年金は財政に余裕がなく、目減り幅が厚生年金よりも大きくなるため、厚労省は、厚生年金の資金を国民年金(厚生年金では基礎年金)に振り向ける打開策の検討を始めている。
 
 ただ、財源の振り替えには徹底的な議論が不可欠だ。確保しやすいところから財源を得ようという安直な姿勢なら、厚生年金加入者の理解はとても得られまい。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2022年01月24日  07:02:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【金口木舌】:命を危険にさらさない

2022-01-21 05:04:40 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

【金口木舌】:命を危険にさらさない

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【金口木舌】:命を危険にさらさない

  台湾に出張した際、台北駅の外壁にもたれ、座り込む人が大勢いた。路上生活者のようだった。ベルギーでは路地裏に座っていた若者につばを吐きかけられた

 ▼ホテルの部屋で汚れたズボンを洗いながら、フォーク歌手の高田渡さんの「生活の柄」を口ずさんだ。〈陸(おか)をひいては眠れない/夜空の下では眠れない〉。詩を書いた県出身の詩人・山之口貘は生活に困窮し路上生活も経験した
 ▼台北駅の外にいた人々やベルギーの若者は、コロナ禍をどう過ごしているのだろうか。1995年の阪神大震災後には寒さや衰弱で命を落とす路上生活者もいた
 ▼トンガ沖の海底火山噴火で津波警報・注意報が発表された16日未明も全国で多くの人が避難した。寒い中、住居や車を持たない人々はどうしていたのだろう
 ▼「県生活と健康を守る会連合会」によると、年間200件ほどの相談のうち約半数が住居に関連するものだという。非常時にこそ路上の弱者にも関心を持ち、身の回りでできることを探したい。誰一人、命の危険にさらされない社会をつくるために。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【金口木舌】 2022年01月21日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:孤独・孤立対策重点計画 公助や共助、今こそ必要

2022-01-09 06:35:35 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

【社説】:孤独・孤立対策重点計画 公助や共助、今こそ必要

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:孤独・孤立対策重点計画 公助や共助、今こそ必要 

 政府が昨年暮れに、孤独・孤立対策の重点計画を公表した。新型コロナ禍で深刻化し、菅義偉前首相が野党の国民民主党の提案を丸のみしてまで打ち出した看板政策である。岸田文雄首相が引き継いでいた。

 ただ、約1カ月間に3回重ねた有識者会議の議論を基にまとめた、急ごしらえの感が否めない。生命線とすべき実態把握の調査を踏まえておらず、問題の全体像が見えてこない。

 人々の不安や孤独に寄り添う取り組みは、地道な積み重ねが欠かせない。割り当ての金額だけ、本年度補正予算と新年度予算案で計63億円と先回りで決めることのできた根拠は、どこにあるのだろう。

 重点計画では、基本方針として4本柱を掲げた。(1)支援を求める声を上げやすい社会とする(2)切れ目のない相談支援につなげる(3)見守り・交流の場や居場所づくり、人と人との「つながり」を実感できる地域づくり(4)NPOなどの活動をきめ細かく支援し、官・民・NPOの連携強化―である。

 異論はないものの、「孤独」も「孤立」も一体どの問題を指すのか、よく分からない。生活困窮者の支援にしても自殺防止にしても、既に取り組んできた問題にほかならない。

 広く社会の関心を呼び起こすなら、もっと具体的に課題を示していくことが求められよう。このままでは、孤独・孤立に陥っていることに当事者本人も気付かないのではないか。

 その点、課題掘り起こしのアンテナ役となるNPOの活動支援と連携強化を基本方針に加えたのは評価できる。世界初の孤独担当相を置いた英国では国勢調査に、介護を担っている子ども「ヤングケアラー」の項目があるという。日本でも実態把握に力を入れる必要がある。

 ただ、自分が抱える課題に気付いたとしても、「公的扶助に頼りたくない」「知られたくない」といった負の感情から声を上げぬ当事者は少なくない。有識者会議でも「公助を求めることに対する風当たりが非常に強い」との指摘が複数あった。

 助けてほしいと言える「受援力」の育成が急がれる。

 とりわけ、成長途上の子どもは思いや願いを言い出せないケースがままある。英国には、子どもの権利条約に定める意見表明権を保障する「子どもアドボカシー(弁護)」制度もある。広島県議会の特別委員会でも研究中と聞く。導入に向け、検討を進めてほしい。

 当事者に寄り添い、力づける人材育成では、自殺対策で進む命の門番役「ゲートキーパー」養成研修も、参考になろう。

 声が上げにくい制度上の課題も洗い出さねばならない。窓口まで行かないと話が進まぬ「申請主義」を重点計画で挙げているが、それに限るまい。相談窓口の一本化にこだわるあまり取り残される人はいないか。

 何より急がれるのは、当事者に近い自治体や地域のレベルで支援する仕組みだろう。子ども食堂や社会福祉協議会など、既存の公的資源を居場所や地域づくりにどう生かすか。そんな視点も必要になってくる。

 多くの命を巻き添えにした大阪のビル放火殺人事件で、容疑者の孤立感が取り沙汰されている。社会として何ができるか。公助、共助の出番である。 

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2022年01月07日  06:47:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【卓上四季】:山の小僧

2022-01-07 05:05:35 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

【卓上四季】:山の小僧

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【卓上四季】:山の小僧

 「おほさむこさむ 山から小僧がとんでくる」。ある寒い冬の晩のこと。奥座敷のこたつにあたりながら、童謡「おおさむこさむ」を口ずさむおばあさんに三郎は尋ねる。「小僧がなぜ山からとんでくるの」。童話作家、土田耕平の「大寒小寒」の冒頭の場面である▼山にはこたつも家もない。木の股から生まれた山の小僧はひとりぼっち。人家の外で「火にあたらせて」と頼んでも、その声は人間の耳に届かない▼「もしかすれば、今じぶんお家の門へきて立つてゐるかも知れない」。おばあさんの説明に少し気味悪くなる三郎。だが、おばあさんが焼いてくれた餅を食べるうちにすっかり小僧のことも忘れてしまう。かすかな後ろめたさが残るお話だ▼コロナ禍などで困窮する人々を支援する動きが年末年始も各地であった。炊き出しには長い列に並ぶ姿があり、自治体やNPOが設けた生活や医療の相談の窓口にも多くのSOSが届いている▼昨年暮れから数年に一度の厳しさという寒波に見舞われた日本列島。その寒空の下、行く当てもなく、その日の糧(かて)にも苦労する人々がいる。先の見通しが立たないという訴えは切実だ▼三郎が山の小僧に思いをはせたのは、ときどき風で吹きたわむ庭の竹の音に耳をすませたからだった。寒の入りを迎えてますます寒さも強まる季節だ。気づいたことから目を背けず、声なき訴えにも耳をそばだてたい。2022・1・5

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【卓上四季】  2022年01月05日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:介護職らの賃上げ 持続的な財源の議論を/12.16

2021-12-21 06:00:16 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

【社説】:介護職らの賃上げ 持続的な財源の議論を/12.16

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:介護職らの賃上げ 持続的な財源の議論を/12.16 

 政府は、2021年度補正予算案に介護や保育、看護などの現場で働く人たちの賃金を引き上げる財源を盛り込んだ。

 いずれも暮らしの維持に欠かせない仕事を担う「エッセンシャルワーカー」と呼ばれる人たちだが、低賃金や過酷な労働環境に疲弊し、深刻な人手不足が続いている。賃上げによる処遇改善は待ったなしと言える。

 介護職員らの賃上げは、岸田文雄首相が看板に掲げる分配戦略の柱でもあり、「最優先課題」と位置づける。まずこれらの職種の賃金アップを呼び水に、広く民間企業の賃上げにつなげたいとの思惑も透ける。

 政府はこれまでも保育士や介護職員の処遇改善に取り組んできたが、目に見える成果は上げられていない。

 補正予算が成立すれば、来年2月から介護職員や保育士らは収入の3%程度に相当する月額9千円、看護師が収入の1%程度に当たる月額4千円、引き上げられる。とはいえ、とても十分な額とは言えない。

 20年の賃金水準をみると、介護職員が月平均29万3千円、保育士は30万3千円で、全産業平均の35万2千円を大きく下回った。看護師は39万4千円と上回ったが、医師の4割程度にとどまる。

 今回の賃上げが行われても、介護職員と保育士の月収はなお全産業平均には及ばない。3%や1%の引き上げ率の根拠も不明だ。本当に職務に見合った賃金かどうかを検討し、継続的に底上げしていく必要がある。

 共働き世帯が増え、高齢化が進む中、保育や介護に対する社会のニーズは今後も高まるのは確実だ。安定して働ける環境を整え、慢性的な人材難の解消につなげなければならない。

 そのためには持続的な財源の確保が欠かせない。補正予算案では、来年2~9月分の賃上げに必要な原資を確保している。問題はその先だ。政府は報酬改定などで対応する方針でいる。

 医療の診療報酬や介護報酬、保育所の公定価格は公的価格と呼ばれる。それぞれの事業者が提供するサービスの対価として支払われる利用料で、原則として政府が決めている。原資は公費や保険料、サービスを利用する人の負担だ。

 賃上げのために介護報酬など公的価格を引き上げれば、保険料や利用者負担などの増額も避けられない。政府は、必要な財源をどう分かち合って確保していくのかを明確に示し、国民の理解を得る必要がある。

 介護保険料の場合、制度が導入された00年当時は全国平均で月3千円程度だったが、今では6千円を超え倍以上となっている。75歳以上の医療費の窓口負担も来秋には1割から2割へ引き上げられる見通しだ。

 介護保険料を滞納し、資産の差し押さえを受けた高齢者は年2万人を超えている。負担増に耐えられない人がさらに増えるのではないか。利用控えなどが広まれば、介護事業者の経営も圧迫しかねない。

 厚生労働省の推計では、40年度には介護職員が69万人不足する。看護師や保育士も数万人規模で足りなくなる見通しだ。人手不足なのに、賃金が上がらないのはいびつだろう。政府が決める公的価格の在り方や問題点を検証し、制度の見直しも進めるべきだ。

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2021年12月16日  06:57:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:10万円給付策 混乱招いた責任は重い/12.15

2021-12-21 06:00:08 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

【社説】:10万円給付策 混乱招いた責任は重い/12.15

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:10万円給付策 混乱招いた責任は重い/12.15

 18歳以下の子どもに計10万円相当を給付する方法について、政府方針が二転三転している。結局、岸田文雄首相は、年内の現金一括給付を容認した。

 当初は2段階配布を原則としていた。年内に現金5万円の支給を始め、卒業・入学・進級の時季に当たる来年春に向けて子育て用品に使える5万円相当のクーポンを配る方式である。

 しかし実務を担う地方自治体や野党などから批判が相次ぎ、方針転換に踏み切った。希望する自治体は無条件で現金を一括給付できるようになる。

 ただ、今から現金での一括支給に切り替える自治体は少なかろう。限られた時間しかないからだ。政府の考え方を一両日中に示すと岸田首相はきのう述べた。決断の遅れを批判されても仕方あるまい。

 政府の設けた所得制限ではじかれた世帯にも、自治体が独自の財源で配ることも容認するという。これでは、自治体に丸投げしたのと同じだろう。最初から自治体の裁量任せにすべきだった。現場に要らぬ混乱を招いた政府の責任は重い。

 10万円給付を巡っては、先週から議論になっていた。ただこれまでは、岸田首相らが自治体の意向を踏まえて柔軟な姿勢を見せても、松野博一官房長官は「同時支給は想定していない」「クーポンでの配布が基本だ」などと原則を崩さなかった。

 今回、たとえ朝令暮改と批判されても、ダメージを小さくできるとの判断が政府にあったようだ。もしクーポンを押し通そうとすれば、批判に耳を貸さなかった安倍・菅政権と変わらなくなる。その愚は避けたい、との考えがあったに違いない。

 政府が方針を転換した背景には、制度設計の甘さがあった。先月閣議決定した「経済対策」では、現金とクーポンの組み合わせを基本としつつ「地方自治体の実情に応じて現金給付も可能とする」としていた。

 店が少ないなど、クーポンを使いづらい過疎地といった一部の自治体への配慮が狙いだったという。しかし、この規定を基に全額現金での給付を検討する自治体が出てきた。これは政府には誤算だったかもしれない。

 もちろん、クーポンにメリットがないわけではない。例えば使い道が限定されているため事務経費がかさんでも、地域経済に与える効果は現金配布より大きいことだ。貯蓄に回される可能性が低いことも利点だろう。

 一方で、印刷や利用できる店舗の選定など、自治体の事務負担は、ばかにならない。配る準備をする来年春は、予算案編成やそれを審議する議会定例会、職員異動、3回目のワクチン接種などと重なってしまう。

 コストもかさむ。全国で約970億円に上るという。事務負担を減らすため、全て現金で給付しようと考える自治体が現れるのも無理はなかろう。

 政府の方針が揺らいだ背景には、10万円給付の理念や目的が曖昧だったことも響いている。経済対策に主眼を置くなら、給付対象を困窮世帯などに絞る必要があった。子育て支援が狙いなら、恒久的なサポート体制の整備が求められる。1回だけの給付では効果は限られる。

 曖昧さを残したまま突き進んだため、自治体を混乱させてしまった。その教訓を政府は肝に銘じなければならない。

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2021年12月15日  06:38:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【岸田政権】:コロナ禍で困窮のさなか介護料を月6.8万円爆上げの鬼畜! ■安倍・菅政権の弱者切り捨て棄民政策を続行

2021-11-29 06:20:20 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

【岸田政権】:コロナ禍で困窮のさなか介護料を月6.8万円爆上げの鬼畜! ■安倍・菅政権の弱者切り捨て棄民政策を続行

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【岸田政権】:コロナ禍で困窮のさなか介護料を月6.8万円爆上げの鬼畜! ■安倍・菅政権の弱者切り捨て棄民政策を続行

 岸田文雄首相が打ち出した、過去最大の55兆7000億円にものぼる過去最大の経済対策。しかし、コロナで打撃を受けている生活に困窮する人をフォローできるような内容にはまったくなっていない上、あれだけ衆院選で訴えていた介護や看護、保育の現場で働く人たちへの賃金引き上げも、蓋を開けてみれば保育士や介護職員が月額9000円、看護師は月額4000円という“雀の涙”にすぎない結果に。これでは格差の是正どころか格差はどんどん広がるばかりだ。

コロナ禍で困窮のさなか介護料を月6.8万円爆上げの鬼畜! 安倍・菅政権の弱者切り捨て棄民政策を岸田政権も続行の画像1
首相官邸HPより

 しかも、ここにきて、安倍・菅政権の「自助」政策の実施によって大きな悲鳴があがっている。というのも、今年8月から介護保険制度が見直され、介護施設の利用者の負担額が目玉が飛び出すほど爆上がりをしているのだ。

 今月24日にも中国新聞デジタルが「特養の月額利用料2万2千円も上がった…「あまりに負担重い」なぜ今?」という記事を配信し、話題となったが、爆上がりしているのは特別養護老人ホームなどの介護保険施設での食費や居住費(部屋代)だ。

 今年7月までは、住民税非課税世帯で、預貯金などの資産が単身で1000万円以下、夫婦で2000万円以下ならば食費や居住費を補助する「補足給付」が受けられた。だが、8月からはこの「補足給付」の要件が厳しくなり、年金などの収入に応じて、資産が単身で500万円〜650万円、夫婦で1500万円〜1650万円に厳格化。対象から外れると食費・居住費は全額自己負担となるため、「補助額の大きかった低収入の人ほど負担増額が膨れ上がり、最大月6万9000円に上る」という(しんぶん赤旗9月15日付)。

 住民税非課税世帯に対し、預貯金が単身650万円をわずかにも超えただけで補助の対象外にし、年間にして約83万円もの負担増を強いる──。これだけでも衝撃的だが、さらに問題となっているのは、「補足給付」の対象者でも負担が増している、ということだ。

 たとえば、収入が年120万円超〜155万円以下の場合、特養などの施設での食費は1日650円だったが、8月からは1360円に。7月までは月約2万円だったのが月4万1000円と倍以上に跳ね上がったのだ。これは年間にして約24万円も負担が増す計算になる。さらに、こうした食費の負担増はショートステイを利用した場合でも同様だ。

 ◆安倍政権がコロナ前に決めた弱者切り捨て政策をコロナ下に強行する岸田政権

 厚労省によると、今回の見直しによって約27万人もの人たちの負担が増えたというが、当然ながら、これほど負担が大きくなると、施設を退所せざるを得ない人や入所できないという人が出てくるのは必至だ。

 低所得かつ預貯金も心もとない高齢者やその家族に対し、さらに鞭をふるう政府──。しかも問題にすべきは、このような生活が苦しい人たちに負担を強いる制度の見直しを、なぜ消費増税コロナによって困窮する人が増加している状況のなかで実行したのか、という点だ。

  この「補足給付」の要件見直しは、コロナ前の2019年の年末、つまり安倍政権時代に厚労省の社会保障審議会介護保険部会で了承され、菅政権時の今年3月31日に政令として公布されたものだ。つまり、法改正ではないため国会審議はおこなわれていないのだが、国会では野党議員がこの「補足給付」の見直しを問題視し、たびたび追及をおこなっていた。

 たとえば、昨年1月23日に参院本会議でおこなわれた安倍首相施政方針演説に対する代表質問では、立憲民主党の福山哲郎・参院議員が「消費税率が引き上げられ、生活がさらに苦しくなるなか、一層の支援が必要な低所得者にとっては負担増になります。これでは何のための消費増税だったのかという声が上がっても仕方がありません」と言及したが、対する安倍首相は「在宅で介護を受ける方との公平性の観点から御自身で負担していただく」「年金収入の水準いかんによっては助成額に大きな差異が生ずる場合もある」などと正当化。実態は生活困窮世帯をさらに苦しめる施策であるにもかかわらず、あたかも公平性を担保するためであるかのように語っていた。

 さらに、「補足給付」の問題を繰り返し取り上げてきた日本共産党の倉林明子・参院議員は、今年6月1日の参院厚労委員会で「コロナの影響による収入減で支える家族の援助も限界」「本人の年金だけでは払えない」「退所に追い込まれる人が出てくる」「いまだ見直しがあるということを知らない利用者・家族も少なくない」と指摘。だが、当時の田村憲久厚労相は「制度を持続していかなきゃならぬわけでございまして、負担能力に応じて御負担をいただきたいというのが今回の決定」と押し通した。

 ◆安倍・菅政権による弱者切り捨て棄民政策を岸田政権も続行!

 消費増税コロナによる生活への打撃はまったく無視。ようするに、安倍政権菅政権も、この「補足給付」見直しによって窮地に立たされる人が続出することをさんざん指摘されても、コロナで生活困窮者が増加して事態が深刻化しても、まったく意に介そうともしなかったのだ。

 だが、それも当然なのかもしれない。そもそも介護施設での食費や居住費は、2000年の介護保険制度スタート時には保険給付の対象だった。それを小泉純一郎政権の2005年に保険給付から外して全額自己負担にし、その際、低所得者の負担軽減のために「補足給付」という制度が導入された。ところが、2014年に安倍首相が「補足給付」に手を付けて、資産要件を追加。また、配偶者が課税世帯だと補助を打ち切るとしたのだ。

 安倍政権は2017年の介護保険法改正をはじめとして利用者に負担増を強いてきたが、この「補足給付」も2度にわたって改悪し、低所得者を狙い撃ちにしたのである。つづく「自助」を掲げた菅政権がこれを踏襲したのは、言うまでもない。

 しかも、こうした介護保険制度の見直しによる負担増の流れは、岸田首相に代わったからといって止まることはない。実際、岸田首相が設置した「新しい資本主義実現会議」では、さっそく経団連の十倉雅和会長が「社会保障制度の見直し」を提言。そして、その経団連は、今年10月11日に公表した提言において、「介護保険の2割負担の対象者拡大」「介護のケアプラン作成に利用者負担を導入」などを政府に求めているのだ。

 それでなくても、つい最近も介護保険料の滞納によって預貯金などが差し押さえられた65歳以上の人が過去最多の2万1578人(2019年度)となったと発表されたばかりだが、安倍政権継承する岸田首相や、同じく社会保障の縮減を訴える維新党勢拡大をはかるなか、どんどん弱者は切り捨てられていくことになるだろう。(編集部

 元稿:LITERA・リテラ(本と雑誌の知を再発見) 主要ニュース 社会 【社会問題・】  2021年11月26日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説②》:新政権と社会保障 次世代の不安拭う改革を

2021-11-03 02:05:40 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

《社説②》:新政権と社会保障 次世代の不安拭う改革を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②》:新政権と社会保障 次世代の不安拭う改革を

 岸田文雄政権が近く本格的に始動する。最重要課題の一つが、少子高齢化に対応できるように社会保障制度を改革することだ。

 来年には「団塊の世代」が75歳以上になり始め、2025年には国民の5人に1人が後期高齢者となる見通しだ。医療・介護費用が一層かさむ。 

 一方で、保険料を負担する支え手の現役世代は減り続け、制度の持続可能性が揺らいでいる。

 こうした状況に、政治が十分に備えてきたとは言いがたい。

 安倍晋三政権は、若い世代にも配慮した「全世代型社会保障」を掲げた。だが、財源対策は75歳以上の医療費自己負担の一部引き上げなどにとどまる。

 岸田首相も「全世代型」を引き継ぐ。兼業している人やフリーランスの人を含む「勤労者皆保険」の実現を目指しているが、支え手を多少増やしただけでは抜本的な改革にはならない。 

 将来を見据えた医療・介護サービスの全体像を示す必要がある。

 新型コロナウイルスの感染拡大によって、医療や介護を支える仕事の大切さが再認識され、人材不足が浮き彫りとなった。厚生労働省によると、25年度に看護職員は最大27万人、介護職員は約22万人不足するという。

 背景には仕事の忙しさや賃金の低さがある。首相は、医療や介護の現場で働く人の所得引き上げを打ち出した。底上げを図るのは当然だが、ここでも財源の確保が課題となる。 

 若い世代は「将来、十分な年金がもらえないのではないか」と不安を感じている。老後の生活を下支えする基礎年金の給付水準が大幅に下がることは見過ごせない。

 社会保障はかつて、10人の現役世代で1人の高齢者を支えていたが、今は高齢者1人に対して現役2人と状況は大きく変わった。 

 給付と負担のあり方の見直しに向けた議論は避けて通れない。保険料収入の減少を踏まえ、税金を投入して財源の安定化を図ることも検討課題の一つだろう。

 社会保障改革の問題を与野党の政争の具にしてはならない。医療・介護の現場や専門家の意見を聞きながら、給付と負担について国民的な議論を進めることが政治の責任だ。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2021年11月03日  02:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:マイナカード 保険証利用をどう増やすか

2021-10-24 05:02:20 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

【社説②】:マイナカード 保険証利用をどう増やすか

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:マイナカード 保険証利用をどう増やすか

 マイナンバーカードを健康保険証として使える新システムの本格運用が始まった。ただ、準備を整えた医療機関は一部にとどまっている。これでは利用促進は期待できまい。 

 マイナンバーカードには、本人確認ができる電子情報が入っている。政府はカードを行政のデジタル化の鍵と位置づけ、2022年度末までに大半の国民が持つことを目指している。

 所定の登録をすれば、カードが保険証代わりになる。一体化は普及策の柱だ。生活に密着した場でカード活用の機会を増やし、取得を促す方向性は理解できる。

 既存の保険証も引き続き使えるが、カードを利用すれば、就職や結婚の際に保険証を作り直す必要がなくなる。ネット上での医療費の確認や、確定申告の手続きの簡便化といった利点もある。

 患者が同意すれば、医師や薬剤師は過去に処方された薬の情報を確認し、診療に生かせるという。患者と医療機関双方が無駄な手間を省くことが期待できる。

 問題は、現場の準備が追いついていないことだ。

 カードを保険証として利用できる医療機関は1割に満たない。利用に必要なカード読み取り機を政府は無償で提供しているが、申し込んだ医療施設は6割弱にとどまり、配布も遅れているという。

 導入に消極的な施設からは「多くの人の利用はまだ見込めない」という声が出ている。確かにカード交付率は人口の約4割と伸び悩んでいる。取得者の中で保険証利用を登録した人は1割程度だ。

 医療機関が未整備では患者はカードを使えず、医療機関側は利用者が少ないとみて整備を先送りする。双方が様子見をしている負の循環を断ち切るため、政府は医療現場に対応を促すとともに、カード普及を急がねばならない。

 政府は今後、カードと運転免許証の一体化も進める方針だ。カードを持ち歩かずにすむよう、本人確認機能のスマートフォンへの搭載も検討している。

 カード取得が任意である以上、普及の目的を国民が理解しなければ事態は改善されまい。

 人口減が進む中、国や自治体が行政機能を維持するには、紙を基にした煩雑な手続きをカードの活用でデジタル化し、作業量を減らすことが不可欠である。

 コロナ禍の特別定額給付金申請に伴う混乱は、その重要性を示したはずだ。政府は個人情報の保護策も含めてカードの意義を丁寧に説明する必要がある。

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2021年10月21日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【政治プレミアム】:必ず国民が負担する社会保障費「給付と負担」は固定を ■鴨下一郎・元環境相

2021-10-16 07:00:20 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

【政治プレミアム】:必ず国民が負担する社会保障費「給付と負担」は固定を ■鴨下一郎・元環境相

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政治プレミアム】:必ず国民が負担する社会保障費「給付と負担」は固定を ■鴨下一郎・元環境相 

 政治はどうしても耳あたりのいいことを言いがちだ。しかし、社会保障については負担が限られていればサービス(給付)が限定的になるのは必然だ。今期かぎりで衆院議員を引退した。力を注いできたことの一つが社会保障だ。

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鴨下一郎氏=宮本明登撮影
 
鴨下一郎氏=宮本明登撮影

 ◆給付と負担どこかで固定しなければ

 社会保障は給付と負担のバランスの上に成り立っている。サービスを増やせばその分だけ、誰かが負担しなければならない。だから、どこかでこのバランスを「ピン留め」し、固定する必要がある。

 「消費税は10%、高齢者の医療費窓口負担は1割、政府管掌健康保険と全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)の保険料率は10%」。この三つの「10」のなかで給付と負担を考えるべきだというのが私の考えだ。

 消費税率、あるいは保険料率を上げればもっとサービスを増やせるという考え方もあるだろう。しかしそれは安易だ。「消費税率10%」のような負担の上限を決めたうえで、サービスを効率化する。過剰な医薬品や多剤併用、多すぎる検査など改善すべき問題は多い。

 本当に必要な基本的なサービスは保障したうえで、それ以上に求めるものがあれば自己負担で選択してもらう。これからの社会保障は「多様なメニューと選択」になる。グリーン車はあるけれども、普通車もある。普通車は自由席だけれども、自己負担は限定的で、みながそれなりに安定したサービスを受けられる。

 ◆気候変動 政治家は甘く見ている

 もう一つ取り組んだのは気候変動の問題だ。環境相として出席した2008年の北海道洞爺湖サミット(主要国首脳会議)は気候変動に対する世界の関心が急速に高まる中で開かれた。それまでは関心がある人に限られたテーマだったが、サミットを機会に国際社会のなかでもっとも重要な、普遍的なテーマの一つになった。

 サミットでは福田康夫首相(当時)のもとで、中国の胡錦濤国家主席(当時)と交渉するなどした。ただ、当時は総論が中心で、再生エネルギーや原発の問題をどうするのかといった各論は深まっていなかったと思う。

 当時は気候変動の影響といってもあまり具体的には感じていなかった。しかし、その後巨大なハリケーンや水害などが世界中で起きるようになり、被害が目に見えるようになってきている。特に若者は気候変動について、非常に深刻に考えているし、悲観的にもなっている。若者の危機感に比べればまだまだ政治家はこの問題を甘く見ている。

 ◆ワクチンPTの座長として

 コロナ禍では自民党新型コロナウイルスに関するワクチン対策プロジェクトチーム(PT)の座長を務めた。…

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 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 政治 【コラム・政治プレミアム】  2021年10月16日  07:00:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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