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路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

《社説②》:公的年金制度の見直し 安心支える具体像が必要

2022-11-23 02:05:40 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

《社説②》:公的年金制度の見直し 安心支える具体像が必要

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②》:公的年金制度の見直し 安心支える具体像が必要

 国民が安心できる年金制度に見直していかなければならない。2025年の改革に向けた議論が、厚生労働省の審議会で始まった。

 25年には団塊の世代が75歳以上となる。来年公表される将来推計人口を踏まえ、年金水準を見直す財政検証が行われ、改革案がまとめられる。

 年金を受給する高齢者が増える一方、支える現役世代が減る中で、制度の維持にとどまらない抜本的な改革が求められる。

 20~59歳の全員が加入する国民年金(基礎年金)と、会社員らが加入し、上乗せ給付のある厚生年金の2階建て構造になっている。

 焦点となっているのが国民年金だ。支給は満額で月約6万5000円だが、財政基盤が弱いため、給付水準が40年代半ばに現状より約3割減るという試算がある。

 加入期間を64歳まで延ばし、給付の目減りを抑える案が浮上している。

 受給開始年齢は65歳まで引き上げられる。60代前半で男性の8割以上、女性の約6割が働いており、期間延長には合理性がある。

 延長されると5年間の保険料の支払いは計約100万円に上る。退職して無職の人や自営業者など、国民年金だけに加入している人にとっては新たな負担となる。

 厚生年金の財源の一部を国民年金にあてる考え方もある。給付水準の低下を抑える狙いがあるが、会社員など厚生年金の加入者からは反発も予想される。 

 国民年金は保険料だけでなく、2分の1は税で賄われている。給付が増えればその分、手当てしなければならない。

 厚生年金の加入者を増やし給付を厚くする案も出ている。働く時間や勤め先の規模、業種によって国民年金にしか加入できないケースがある。こうした条件の見直しには、保険料の半額を負担する事業者の理解が欠かせない。

 より多くの人に支え手となってもらうには、女性や高齢者などの就労環境をさらに充実させる必要がある。

 年金は多くの人にとって老後の生活を支える柱だ。制度を維持するだけの数字のつじつま合わせでは意味がない。国民的議論に資するよう、公的年金のあるべき姿を示してほしい。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2022年11月23日  02:01:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説①》:介護保険見直し 社会で支える原点に戻れ

2022-11-02 09:31:55 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

《社説①》:介護保険見直し 社会で支える原点に戻れ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①》:介護保険見直し 社会で支える原点に戻れ 

 この20年余、政府が介護費用の抑制に腐心するあまり、介護保険は分かりづらく、使いにくい制度となってしまった。利用者本位に立て直す必要がある。

 厚生労働省の社会保障審議会で介護保険の2024年度改定に向けた議論が本格化している。

 主な論点は、所得の高い65歳以上の人の保険料の引き上げ、サービス利用時の自己負担の引き上げ、要介護1、2の人の生活援助を市町村事業へ移す―などだ。

 介護保険は00年度に始まった。市町村が運営し、原則65歳以上で要介護認定を受けた人が在宅や施設のサービスを1~3割負担で利用する。費用は40歳以上の保険料、国と自治体の公費、利用者の自己負担で賄う。

 高齢化に伴いサービス利用者は増え、介護費用も膨らみ続けている。3年に1度の制度の見直しでは、サービスの抑制と財源の確保が課題となってきた。

 当初は要介護1以上の人が入所できた特別養護老人ホームは、途中から原則要介護3以上に絞られた。保険料を納めていても利用できない状況が生まれている。

 要支援1、2の人向けの通所介護と訪問介護は、介護保険から市町村事業に移された。内容にばらつきが出ている。

 今回の見直しも、こうした延長線上にある。保険料の引き上げは年間320万円以上の所得層のうち一定水準の人を対象とする。

 少子高齢化が進む中、高齢者にも応分の負担を求めるのはやむを得ない。ただし所得水準などの線引きは、多様な生活実態を踏まえ慎重な見極めが求められる。

 制度発足以来、自己負担は1割を原則としている。財務省は2割の対象者の拡大とともに、原則2割とすることも求めている。

 自己負担の引き上げは厳に慎むべきだ。「利用控え」に直結する。

 1人暮らしや老老介護の世帯が増える中、介護サービスは文字通り命綱である。生活援助も介護保険の事業として展開すべきだ。

 この10月から、一部の75歳以上の人は医療費の窓口負担が引き上げられた。医療、介護と負担増が重なって大丈夫なのか。

 大事な論点が抜け落ちている。介護人材をどう育成し、確保するか。現場は慢性的な人手不足に苦しんでいる。ケアを担う専門職として社会的に正当に評価し、待遇を整えなくてはならない。

 「介護を社会で支える」を理念として、介護保険は創設された。原点に立ち戻り、よりよい制度にするため議論を深めたい。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 ニュースセレクト 社説・解説・コラム 【社説】  2022年11月02日  09:31:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説①》:年金制度の改革 広く深い視野で議論して

2022-11-02 09:31:25 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

《社説①》:年金制度の改革 広く深い視野で議論して

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説①》:年金制度の改革 広く深い視野で議論して 

 急速な少子高齢化が年金制度を土台から切り崩している。立て直しは待ったなしだ。

 年金制度改革に向け厚生労働省の社会保障審議会で議論が始まった。2025年の法改正を目指す。

 働き方や暮らし方の全般に影響が及ぶ。世代や生活状況によって意見が対立することもあるだろう。国民を巻き込んでの議論が必要になる。政府は丁寧な合意形成を肝に銘じてもらいたい。

 公的年金は、20歳から60歳になるまで全員が入る国民年金(基礎年金)と、上乗せで会社員や公務員が入る厚生年金の2階建てになっている。

 高齢世代の年金は、現役世代の保険料で支えられている。この「仕送り方式」が、少子化による支え手の減少で崖っぷちにある。

 1階部分に当たる国民年金は現在、満額でも月約6万5千円。老後の安心には遠い水準だが、これが40年代半ばには約3割下がる見込みだ。落ち込みにどう歯止めをかけるかが焦点になる。

 検討の柱は三つ。国民年金の保険料を納める期間を65歳になるまで延ばす。厚生年金の財源の一部を国民年金に振り分ける。厚生年金を巡り適用や加入の対象となる事業所と労働者の範囲を広げる。

 いずれも将来の受給の底上げにつながる。一方で、課題も多い。

 納付期間を5年延ばした場合の保険料は計約100万円。60歳で退職する予定の人は人生設計の変更を迫られるかもしれない。

 国民年金の加入者は自営業者のほか、非正規雇用や無職の人も少なくない。失業や低所得で保険料納付の全額免除・猶予を受けた人は昨年度、612万人に上る。

 自ら保険料を負担していない、会社員らの妻(夫)である専業主婦(夫)の扱いも課題になる。

 厚生年金は保険料が会社員らの給与から天引きされるのに対し、国民年金は保険料の未納が問題となってきた。厚生年金の財源を安易に投入する前に、未納対策の練り直しが必要ではないか。

 もう一つ、大事な論点がある。

 厚労省は昨年度分の国民年金の保険料納付率を73・85%としている。だがこれは全額免除・猶予の人を除いた数値だ。加入者全体でみた実質納付率は約4割。6割の加入者は、将来さらなる低年金や無年金に陥る可能性がある。

 公的年金制度の維持はもちろんだが、この網からこぼれ落ちる人たちの問題はいっそう深刻だ。高齢期の生活をどう保障していくのか。厳しい実態を直視し、広く深い視野の議論が求められる。

 元稿:信濃毎日新聞社 朝刊 ニュースセレクト 社説・解説・コラム 【社説】  2022年10月31日  09:31:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:年金制度改革 給付増へ知恵絞りたい

2022-11-01 08:01:50 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

【社説②】:年金制度改革 給付増へ知恵絞りたい

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:年金制度改革 給付増へ知恵絞りたい 

 公的年金制度に対する国民の不安と向き合うには、少子高齢化社会の進展に応じて制度を不断に見直す必要がある。負担とのバランスを図りながら給付をどう底上げするのか、知恵を絞りたい。
 
 年金制度改革を議論する厚生労働省の審議会が再開された。
 
 議論の基礎データとなる将来推計人口が来年公表される。それを受ける形で今後百年間の年金財政状況と見通しを点検する五年に一度の「財政検証」が実施され、二〇二五年の制度改正を目指し、本格的な検討作業に入る。
 
 前回の財政検証より少子化の進行が早く、制度維持に厳しい現実を突きつけられる可能性がある。政府は、現行制度のままでは給付水準の低下が避けられない現状を直視し、給付を底上げするための改革案を考えねばなるまい。
 
 その一つが、自営業者や職場の厚生年金に加入できない非正規雇用者が入る国民年金(基礎年金)の在り方だ。
 
 国民年金の加入期間は現在、二十歳以上六十歳未満の四十年だが五年延長する案がある。四十五年になることで保険料負担は増すものの、前回の財政検証では給付増につながる試算も示された。六十歳以降も働く人は増え、厚生年金は七十歳まで加入できる。五年延長の可否を検討してはどうか。
 
 厚生年金加入を、パートなど短時間で働く非正規雇用者に拡大することも引き続き課題だ。加入すれば保険料負担は生じるが、将来の低年金防止につながる。
 
 これまでも厚生年金の対象労働者を段階的に広げ、加入者を増やしてきたが、勤務先の企業規模で加入の扱いに差がある現状は解消されていない。低年金を防ぐためにも加入者を増やしたい。
 
 審議会では、国民年金(基礎年金)に厚生年金の財源を使う案も検討される。基礎年金全体の底上げを図るというのが理由だが、厚生年金に加入する会社員らの保険料を、国民年金に回すことへの反発も予想される。国民の理解が得られなければ、年金制度への不信は高まるばかりではないか。
 
 人口が減り賃金も上がらない経済状況では、高齢者の生活を公的年金制度だけで支えることには限界がある。高齢者が働きやすい就労環境を整える一方、安価な公的住宅や空き家の活用といった住宅政策も進めるなど複眼的な政策により高齢期の生活を支えたい。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2022年11月01日  08:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【厚労省】:年金保険料「納付5年延長」の衝撃! 1人100万円の“大増税”を国民に押し付け、給付はケチる

2022-10-26 13:20:20 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

【厚労省】:年金保険料「納付5年延長」の衝撃! 1人100万円の“大増税”を国民に押し付け、給付はケチる

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【厚労省】:年金保険料「納付5年延長」の衝撃! 1人100万円の“大増税”を国民に押し付け、給付はケチる

 年間20万円の負担増──。厚労省は25日、社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の年金部会を開き、国民年金の保険料の納付期間を延長する議論をスタートさせた。現行の20歳から59歳までの40年間から、64歳までの45年間に延長する。

<picture>粛々と国民生活を破壊(加藤勝信厚労相)/(C)共同通信社</picture>

 粛々と国民生活を破壊(加藤勝信厚労相)/(C)共同通信社

 自営業者や60歳までに退職した人の負担はかなり大きくなる。現在の国民年金の保険料は月1万6590円だから、年間約20万円、5年間で約100万円も負担が増える。支払総額は796万円(40年間)から896万円(45年間)へと12.5%も増額する。

 国民年金は40年間満額支払っても、65歳から受け取れる受給額は月額わずか6万5000円。保険料を100万円多く払えば、受給額も引き上げられるのか──。厚労省に聞くと「仮定の話なのでコメントできません」(年金課)と答えた。

 「今後、さらに少子高齢化が進行するので、年金を受給する高齢者は増え、社会保障を支える現役世代は減っていく。そのため、保険料の納付期間を延長して、受給水準を維持する狙いがある。あくまで維持です。延長により、保険料を多く納付しても、受給額は横ばいか、多少色を付ける程度とみられています」(厚労省担当記者)

 ◆「岸田政権が続けば、国民生活は破壊される」

  負担が増えてもリターンは期待できそうにない。これでは年間20万円、総額100万円の大増税を押し付けられるに等しい。立正大法制研究所特別研究員の浦野広明氏(税法)が言う。

 「物価が高騰する中、岸田政権は現役世代の賃金が下がったことを理由に、今年6月支給分から年金を減額しました。保険料の納付期間5年延長も強行するつもりでしょう。これからも、年金の負担は増やし、給付はケチる姿勢を続けていくはずです。一方で、防衛費は2023年度から5年間の総額を43兆~45兆円程度にしようとしています。岸田政権はこれまでの自公政権以上に、社会保障を切り捨て、軍拡に邁進する政権であることがハッキリしました。岸田政権が続けば、国民生活は破壊されてしまいます」

 納付期間の延長は24年までに結論を出し、25年の通常国会での法改正を目指すという。粛々と進めさせてはならない。 

 元稿:日刊ゲンダイ DIGITA 主要ニュース ライフ 【暮らしニュース・年間20万円の負担増──。厚労省は25日、社会保障審議会(厚労相の諮問機関)の年金部会を開き、国民年金の保険料の納付期間を延長する議論をスタート】  2022年10月26日  13:20:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【岸田首相】:「マイナ保険証ない人に新制度」表明に批判殺到! 制度グジャグジャで新たな火種?

2022-10-26 06:25:00 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

【岸田首相】:「マイナ保険証ない人に新制度」表明に批判殺到! 制度グジャグジャで新たな火種?

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【岸田首相】:「マイナ保険証ない人に新制度」表明に批判殺到! 制度グジャグジャで新たな火種?

 現行の健康保険証を2024年秋に廃止し、原則としてマイナンバーカードに一本化する政府の方針に対し、全国労働組合総連合(全労連)が13日から反対署名を募ったところ、わずか10日間(24日時点)で11万筆を超えたことが分かった。

<picture>衆議院予算委員会で答弁する岸田文雄首相(C)日刊ゲンダイ</picture>

  衆議院予算委員会で答弁する岸田文雄首相(C)日刊ゲンダイ

 昨年10月から始まったマイナンバーカードと保険証を一体化する「マイナ保険証」は、カード所有者が専用ホームページなどで登録すれば使用できる。全労連は、個人情報流出に対する懸念や紛失リスクなどを理由に、カード取得の事実上の義務化は違法──などと訴えている。

 こうした声があることをめぐり、岸田文雄首相は24日の衆院予算委員会で、「保険料を納めている人が保険診療を受けられる制度を用意する」とし、カードを持たない人も保険診療を受けられるよう配慮する考えを表明。

 現行制度でも、保険証を紛失した際などに「資格証明書」を発行する仕組みがあるが、岸田首相は「資格証明ではない制度を用意する」と答弁したことから、新たな制度が作られる可能性が高い。

 岸田首相の答弁通りだと、とりあえず、反対意見の強い「マイナ保険証」の事実上の義務化は避けられる方向だが、メデタシ、メデタシとはいかない。制度が多様化、複雑化するほど無駄な費用がかかるからだ。

 《マイナ保険証の取得を義務化しなければいいだけでは。無駄な費用がかかるよ》

 《資格証明書でいいよ。新制度なんていらない。一から制度設計すれば多額のカネがかかる》

 《だから、マイナ保険証の義務化をやめればいいのよ。制度もすっきり、お金もかからない》

 SNSなどでは新たな批判が出始めた「マイナ保険証」の取得問題。さらなる「新たな火種」が出てこないことを祈るばかりだ。

 元稿:日刊ゲンダイ 主要ニュース ライフ 【暮らしニュース・話題・岸田政権・現行の健康保険証を2024年秋に廃止し、原則としてマイナンバーカードに一本化する政府の方針】  2022年10月25日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【岸田政権】:「国民年金の厚生年金による穴埋め」の正しい理解

2022-10-23 10:36:34 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

【岸田政権】:「国民年金の厚生年金による穴埋め」の正しい理解

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【岸田政権】:「国民年金の厚生年金による穴埋め」の正しい理解

 八代尚宏・昭和女子大特命教授は毎日新聞政治プレミアに寄稿した。

 国民年金の未納分を、「厚生年金などの被用者に押し付ける仕組みがある」と指摘した。

【写真】官邸での岸田首相 秘書官になった長男の写真も  

             ◇ ◇

 9月末に報道された「基礎年金(国民年金)の給付を5万円台に維持するために厚生年金給付の抑制で穴埋め」の記事は大きな反響を呼んだ。これは年金財政の維持のために、毎年、物価上昇率の範囲内で、年金給付の実質価値を抑制する仕組み(マクロ経済スライド)を、国民年金についてだけ早期に止め、その分を厚生年金の減額で穴埋めするものである。<button class="sc-fZXIOb ikbkOs" data-cl-params="_cl_vmodule:detail;_cl_link:zoom;" data-cl_cl_index="38"></button><button class="sc-fZXIOb ikbkOs" data-cl-params="_cl_vmodule:detail;_cl_link:zoom;" data-cl_cl_index="38">衆院厚生労働委員会で質問に答える加藤勝信厚労相=国会内で2022年8月19日、竹内幹撮影</button>

 衆院厚生労働委員会で質問に答える加藤勝信厚労相=国会内で2022年8月19日、竹内幹撮影(毎日新聞)

 もっとも、これは厚生年金受給者の基礎年金部分にも適用されるため、その影響を受けるのは一部の高年金受給者と、基礎年金給付の半分を負担する財務省だけという説明で、批判は沈静化したようである。  

 ◇基礎年金というブラックボックス  

 しかし、この基礎年金を通じた厚生年金加入者の見えざる負担増の仕組みは、今回に始まったわけではない。1985年に、被用者(サラリーマン)のための厚生年金・共済組合を用いて、自営業のための国民年金制度を救済するために、基礎年金というブラックボックスを作った知恵者がいた。これは別々の年金制度のままでは生じる給付と負担が不均衡の是正という名目であったが、現実には「取れるところから取る」ことが真の目的であった。

 被用者保険の保険料は、所得税と同様に給与から天引きされるが、自営業の場合には自ら支払う仕組みで強制力が乏しいため、両者の間には保険料の徴収率に大きな格差がある。公的年金制度には、老後に安易に生活保護制度に依存しないために、勤労時に貯蓄を強制するという重要な機能があるが、これは自営業等の国民年金には十分に働いていない。  

 ◇未納付者分を厚生年金納付者でカバー  

 国民年金保険料の未納付者が増えれば、すでに3000万人を超える国民年金受給者への給付をどう賄うか。それを厚生年金等の被用者に押し付ける仕組みが基礎年金にある。

 基礎年金は、本来は、国民年金と厚生年金等の受給者に、おのおのの被保険者から集めた保険料をプールして案分する仕組みである。ここでおのおのの年金制度からの拠出額が、(未納付者を除く)実際に保険料を納付した者の比率で案分されていることが重要なポイントである。

 このため、国民年金保険料の未納付者がいくら増えても、その分は厚生年金等の納付者の保険料負担増で知らないうちに補っていることになる。これは年金の専門家の間では周知の事実であるが、一般にはほとんど知られていない。

 ◇免除者を増やし納付率引き上げ

 これに加えて日本年金機構(旧社会保険庁)の保険料徴収の仕組みは、国税庁の所得税徴収と比べても、著しく実効性を欠いている。これは「年金保険料を払わなければ、老後に年金が受け取れないだけで年金財政に影響はない」という論理による。

 しかし、年金未納者を放置すれば、老後に無年金者になるため、生活保護受給者の増加に結びつきやすい。ところが「局あって省なし」の厚生労働省では、年金局は自分の都合しか考えていない。

 それだけでなく、国民年金の保険料未納者の増加を、免除者を増やすことで覆い隠し、見かけ上の納付率の引き上げを誇っている。年金局の発表では、2021年度の保険料納付率は73.9%と前年度から2.4ポイント上昇した。しかし、納付を全額免除・猶予されている人数は前年度より3万人多い612万人で、全体の4割にも達している。こうした免除者等も含めた、実際の納付率は41.4%に過ぎない(日本経済新聞6月23日)。

 産業構造の変化で被保険者数が傾向的に減少する年金制度の受給者救済は必要である。しかし、保険料未納付者の増加を放置するだけでなく、それを意図的に過小評価するような年金行政のあり方については、厳しい監視が必要だ。

 元稿:毎日新聞社 主要ニュース 政治 【政策・社会保障制度・年金問題】  2022年10月23日  10:30:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【岸田政権】:「国民年金の厚生年金による穴埋め」の正しい理解

2022-10-23 10:30:30 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

【岸田政権】:「国民年金の厚生年金による穴埋め」の正しい理解

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【岸田政権】:「国民年金の厚生年金による穴埋め」の正しい理解

 八代尚宏・昭和女子大特命教授は毎日新聞政治プレミアに寄稿した。

 国民年金の未納分を、「厚生年金などの被用者に押し付ける仕組みがある」と指摘した。

【写真】官邸での岸田首相 秘書官になった長男の写真も  

             ◇ ◇

 9月末に報道された「基礎年金(国民年金)の給付を5万円台に維持するために厚生年金給付の抑制で穴埋め」の記事は大きな反響を呼んだ。これは年金財政の維持のために、毎年、物価上昇率の範囲内で、年金給付の実質価値を抑制する仕組み(マクロ経済スライド)を、国民年金についてだけ早期に止め、その分を厚生年金の減額で穴埋めするものである。<button class="sc-fZXIOb ikbkOs" data-cl-params="_cl_vmodule:detail;_cl_link:zoom;" data-cl_cl_index="38"></button><button class="sc-fZXIOb ikbkOs" data-cl-params="_cl_vmodule:detail;_cl_link:zoom;" data-cl_cl_index="38">衆院厚生労働委員会で質問に答える加藤勝信厚労相=国会内で2022年8月19日、竹内幹撮影</button>

 衆院厚生労働委員会で質問に答える加藤勝信厚労相=国会内で2022年8月19日、竹内幹撮影(毎日新聞)

 もっとも、これは厚生年金受給者の基礎年金部分にも適用されるため、その影響を受けるのは一部の高年金受給者と、基礎年金給付の半分を負担する財務省だけという説明で、批判は沈静化したようである。  

 ◇基礎年金というブラックボックス  

 しかし、この基礎年金を通じた厚生年金加入者の見えざる負担増の仕組みは、今回に始まったわけではない。1985年に、被用者(サラリーマン)のための厚生年金・共済組合を用いて、自営業のための国民年金制度を救済するために、基礎年金というブラックボックスを作った知恵者がいた。これは別々の年金制度のままでは生じる給付と負担が不均衡の是正という名目であったが、現実には「取れるところから取る」ことが真の目的であった。

 被用者保険の保険料は、所得税と同様に給与から天引きされるが、自営業の場合には自ら支払う仕組みで強制力が乏しいため、両者の間には保険料の徴収率に大きな格差がある。公的年金制度には、老後に安易に生活保護制度に依存しないために、勤労時に貯蓄を強制するという重要な機能があるが、これは自営業等の国民年金には十分に働いていない。  

 ◇未納付者分を厚生年金納付者でカバー  

 国民年金保険料の未納付者が増えれば、すでに3000万人を超える国民年金受給者への給付をどう賄うか。それを厚生年金等の被用者に押し付ける仕組みが基礎年金にある。

 基礎年金は、本来は、国民年金と厚生年金等の受給者に、おのおのの被保険者から集めた保険料をプールして案分する仕組みである。ここでおのおのの年金制度からの拠出額が、(未納付者を除く)実際に保険料を納付した者の比率で案分されていることが重要なポイントである。

 このため、国民年金保険料の未納付者がいくら増えても、その分は厚生年金等の納付者の保険料負担増で知らないうちに補っていることになる。これは年金の専門家の間では周知の事実であるが、一般にはほとんど知られていない。

 ◇免除者を増やし納付率引き上げ

 これに加えて日本年金機構(旧社会保険庁)の保険料徴収の仕組みは、国税庁の所得税徴収と比べても、著しく実効性を欠いている。これは「年金保険料を払わなければ、老後に年金が受け取れないだけで年金財政に影響はない」という論理による。

 しかし、年金未納者を放置すれば、老後に無年金者になるため、生活保護受給者の増加に結びつきやすい。ところが「局あって省なし」の厚生労働省では、年金局は自分の都合しか考えていない。

 それだけでなく、国民年金の保険料未納者の増加を、免除者を増やすことで覆い隠し、見かけ上の納付率の引き上げを誇っている。年金局の発表では、2021年度の保険料納付率は73.9%と前年度から2.4ポイント上昇した。しかし、納付を全額免除・猶予されている人数は前年度より3万人多い612万人で、全体の4割にも達している。こうした免除者等も含めた、実際の納付率は41.4%に過ぎない(日本経済新聞6月23日)。

 産業構造の変化で被保険者数が傾向的に減少する年金制度の受給者救済は必要である。しかし、保険料未納付者の増加を放置するだけでなく、それを意図的に過小評価するような年金行政のあり方については、厳しい監視が必要だ。

 元稿:毎日新聞社 主要ニュース 政治 【政策・社会保障制度・年金問題】  2022年10月23日  10:30:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【政界地獄耳・10.15】:デジタル相・河野太郎の功名心が首をもたげた「マイナ保険証」

2022-10-23 07:45:00 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

【政界地獄耳・10.15】:デジタル相・河野太郎の功名心が首をもたげた「マイナ保険証」

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【政界地獄耳・10.15】:デジタル相・河野太郎の功名心が首をもたげた「マイナ保険証」 

 ★13日、デジタル相・河野太郎は24年秋に現行の健康保険証を廃止し、マイナンバーカードと一体化した「マイナ保険証」に切り替えるとし、24年度末としているマイナンバーカードと運転免許証の一体化時期の前倒しを検討すると会見でぶち上げた。マイナンバーカードは住民基本台帳のカード化失敗から始まり、任意ということもあって取得者は増えず、カードを作ったら2万円をくれるという怪しげな予算措置で49%台まで取得率を上げてきた。つまりいまだ半数に満たない。任意だからだ。

記者会見する河野太郎デジタル相=東京都千代田区で2022年10月13日、山口敦雄撮影

 ★ところがこれでマイナンバーは義務化されるということになるが、法律がありながら国会にも諮らず、7月の参院選挙でもおくびにも出さなかった。似たようなことが今、既に始まっている。旅行割だ。利用条件はワクチン3回接種証明書、またはPCR検査・抗原定量検査(検体採取日+3日)・抗原定性検査(検体再採取日+1日)の陰性の検査結果通知書が必要となる。確か接種も任意だったようだが、恩恵を受ける公平性で言えば税金の運用に議論があるはずだ。厚労省の極めて内務省的発想で言えば、従順な国民にご褒美を出すという考えなのだろうか。

 ★任意のものを義務化にすり替えることに国民の反発も大きくなるだろうが、そのマイナ保険証が出来ても、全国の病院のシステムが対応しておらず、使えないことは誰も説明してくれない。普通はその整備を終えてから言い出すものではなかろうか。河野の功名心が首をもたげたか。ついでに言えばNHKが来年10月から地上契約・衛星契約ともに受信料を1割値下げする。来年4月から、受信料の不正な未払いに対し2倍の割増金を請求することを検討している。大英断のように言うがこの時代、スクランブル放送で有料視聴者とそれ以外を分ければいい。国民保護法適用時にスクランブルを外せばいい。いずれも自らの都合だけ発表することにいささか疑問を感じる。(K)※敬称略

 ◆政界地獄耳

 政治の世界では日々どんなことが起きているのでしょう。表面だけではわからない政界の裏の裏まで情報を集めて、問題点に切り込む文字通り「地獄耳」のコラム。けして一般紙では読むことができません。きょうも話題騒然です。(文中は敬称略)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【コラム・政界地獄耳】  2022年10月15日  07:39:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【岸田政権】:マイナ保険証の“ゴリ押し&恫喝”義務化に「廃業に追い込まれる!」医療現場の悲鳴上がる

2022-10-14 06:24:30 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

【岸田政権】:マイナ保険証の“ゴリ押し&恫喝”義務化に「廃業に追い込まれる!」医療現場の悲鳴上がる

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【岸田政権】:マイナ保険証の“ゴリ押し&恫喝”義務化に「廃業に追い込まれる!」医療現場の悲鳴上がる

  河野太郎デジタル相は13日、2024年秋にも紙の健康保険証を原則廃止し、マイナンバーカードを保険証代わりに使う「マイナ保険証」に一本化する方針を発表した。マイナンバーカードが普及しないため、保険証を“人質”にして、マイナンバーカードの取得を事実上、強制する暴挙に出た格好だ。マイナ保険証の一本化には医療現場からも悲鳴が上がっている。

<picture>ゴリ押し強制するのか(河野太郎デジタル相)/(C)日刊ゲンダイ</picture>

 ゴリ押し強制するのか(河野太郎デジタル相)/(C)日刊ゲンダイ

 医療機関に対しては、23年4月からマイナ保険証に対応するシステムの導入を義務化する方針だ。半年後には義務化がスタートすることになる。

 開業医などでつくる埼玉県保険医協会が実施した調査(8月24日~9月9日=医師297人、歯科医師214人)によると、9割が4月からの義務化に反対だった。

 「かかった費用をすべて国が負担してくれるわけではありません。IT環境が整っていない開業医も少なくなく、機器や回線を整備するのに一定の費用がかかります。また、患者への説明など窓口負担も大きくなります」(保険医協会事務局の担当者)

 個人情報の塊と言えるマイナ保険証を扱う医療機関にとって、院内でのセキュリティー面の不安は計り知れない。医療スタッフが不満を持つ患者に対しマイナ保険を使うように説得するのも大変だ。

 ◆「保険医取り消しも」と恫喝

 厚労省は強硬姿勢だ。8月24日の厚労省の説明会で、水谷忠由医療介護連携政策課長は、義務化に応えられない医療機関について「保険医療機関・薬局の指定の取り消し事由となり得る」と“恫喝”している。保険が使えなくなれば、ほとんど患者は来なくなり、いずれ病院はやっていけなくなるはずだ。

 調査では義務化を機に廃業を検討する声も寄せられた。

 〈高齢のため新しいシステムへの適応が難しく廃業に向かうしか道はありません〉(内科)

 〈当院のような小規模診療所ではシステムの維持、管理費の負担があまりにも大きく、廃業に追い込まれるのではないかと懸念しています〉(精神神経科)

 〈義務化されたら閉院します。患者さんにもアナウンス済みです。かなり、怒っている方がおられる現状です〉(60代歯科)

 「医療行為と全然関係ないことで廃業するのは、医者にとっても、患者さんにとっても不本意なことです。オンライン資格確認は、義務化ではなく任意にとどめるべきです」(前出の担当者)

 河野大臣は医者も患者も歓迎しない義務化をゴリ押しするつもりなのか。

 元稿:日刊ゲンダイ DIGITA 主要ニュース ライフ 【暮らしニュース・政策・河野太郎デジタル相・2024年秋にも紙の健康保険証を原則廃止し、マイナンバーカードを保険証代わりに使う「マイナ保険証」に一本化する方針を発表】  2022年10月13日  14:10:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【共産党】:志位委員長「消費税下げずに年金下げる岸田政権に経済のかじ取りの資格ない」痛烈批判

2022-06-16 02:19:30 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

【共産党】:志位委員長「消費税下げずに年金下げる岸田政権に経済のかじ取りの資格ない」痛烈批判

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【共産党】:志位委員長「消費税下げずに年金下げる岸田政権に経済のかじ取りの資格ない」痛烈批判

 日本共産党は国会閉会後の国会議員団総会で、参院選への決意を新たに団結した。

 冒頭、志位和夫委員長(67)は、「平和を壊す翼賛勢力に日本のかじ取りを任すわけにはいきません。消費税を下げずに年金を下げる岸田政権に経済のかじ取りの資格はない」と、現政権を痛烈に批判した。

取材に応じた共産党の志位和夫委員長(撮影・沢田直人)取材に応じた共産党の志位和夫委員長(撮影・沢田直人)

 24年6期勤め上げ、引退する市田忠義副委員長(79)も、「戦いはむしろこれから。参院選に全力を尽くして頑張って、勝利を手にした時に初めて私の任期は満了する」と、戦い抜く決意を述べた。

 午後3時からは東京・有楽町で小池晃書記局長(62)、田村智子政策委員長(56)と参院選立候補予定者が閉会後の第一声を上げた。最初にマイクを握った小池書記局長は、「平和がかかった選挙、暮らしがかかった選挙」と位置付け、支持を訴えていた。

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・政局・日本共産党・岸田政権・参院選2022】  2022年06月15日  17:46:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:マイナ保険証 強引な普及慎むべきだ

2022-06-03 07:03:50 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

【社説①】:マイナ保険証 強引な普及慎むべきだ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:マイナ保険証 強引な普及慎むべきだ 

 政府がマイナンバーカードと健康保険証を一体化した「マイナ保険証」の利用を促し、従来の保険証は原則廃止する方針を示した。
 
 しかし、マイナ保険証を導入する必然性はあるのか。低迷するカードの普及率を上げることが狙いなら、仕切り直すべきだ。
 
 マイナ保険証は昨年十月に本格稼働したが、利用者は少なく、読み取り機器の設置は病院などの約二割にとどまる。政府は導入促進策として、マイナ保険証に対応した医療機関に診療報酬を加算したが、患者の負担増につながり、利用者の不評を買った。
 
 政府が今回、社会保障審議会(厚生労働相の諮問機関)の部会に提案したのは、病院や薬局にマイナ保険証を読み取る機器の整備を義務付け、従来の保険証は将来、原則廃止する案だ。
 
 厚労省側はマイナ保険証の導入の利点として、薬の処方歴や特定健診の記録が一目で分かり、就職などの際にも保険証を作り直す必要性がなく、保険資格喪失の見落としも防げることなどを挙げる。
 
 しかし、薬の処方歴には「お薬手帳」があり、保険証の再作成も頻繁にはない。むしろ、医療機関を多用するお年寄りには、デジタルに不慣れで認証操作に戸惑う人が少なくない。個人情報の詰まったカードを紛失しないかという不安も付きまとう。資格喪失の見落としというミスもごくまれだ。
 
 患者側に導入を必要とする切迫した事情はなく、政府の狙いが必要不可欠な保険証を利用し、マイナンバーカードの普及を図ることにあるとしか考えられない。
 
 政府は二〇二二年度中にほぼ全ての国民が取得する目標に向け、カード取得者にポイント還元するマイナポイント事業などさまざま手を打っているが、現時点でカード普及率は四割強にすぎない。
 
 医療情報は究極のプライバシーだ。カード情報の漏えいや目的外使用がないのか、政府の情報管理に対する根強い不信がカード取得をためらわせている。実際、国からマイナンバーを含む個人情報の入力を委託された業者が無断で別の業者に再委託し、情報流出が懸念される事案も起きている。
 
 従来の保険証を「原則廃止」する方針はカード取得への圧力となるだろうが、あくまで任意という原則を忘れてはならない。政府にとって国民の不信解消が先決だ。強引な普及は慎むべきである。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2022年06月02日  07:03:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【岸田首相】:民生委員と車座対話 「子育て支援を充実」

2022-05-12 11:20:30 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

【岸田首相】:民生委員と車座対話 「子育て支援を充実」

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【岸田首相】:民生委員と車座対話 「子育て支援を充実」

 岸田文雄首相は12日午前、東京都内で全国民生委員児童委員連合会会長らと車座で対話し、子育て交流サロンを視察した。終了後、国会審議中の「こども家庭庁」設置関連法案に関し「ぜひ成立させてほしい。子どもたちや子育て世代への支援を充実していきたい」と記者団に述べた。

 子育て交流サロンを視察する岸田首相(右から2人目)。右端は後藤厚労相=12日午前、東京都中央区(代表撮影)

 子育て交流サロンを視察する岸田首相(右から2人目)。右端は後藤厚労相=12日午前、東京都中央区(代表撮影)

 首相は、こども家庭庁の発足後に全国の市町村に「こども家庭センター」を設け、子育て世帯への訪問事業を実施する考えを示した。
 
 車座対話では、民生委員や児童委員から、子育て支援拡充のため、学校との連携の必要性を訴える意見などが出た。首相は、安全安心な生活に向けた政策づくりに反映させたい考えだ。(共同通信)

 元稿:東京新聞社 主要ニュース 政治 【政策・東京都内で全国民生委員児童委員連合会会長らと車座で対話】  2022年05月12日  11:20:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【自民党】:河野太郎氏、年金改革で新たな議員連盟発足へ 次期総裁選へ足がかり?菅前首相らに参加呼びかけ

2022-04-21 07:27:30 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

【自民党】:河野太郎氏、年金改革で新たな議員連盟発足へ 次期総裁選へ足がかり?菅前首相らに参加呼びかけ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【自民党】:河野太郎氏、年金改革で新たな議員連盟発足へ 次期総裁選へ足がかり?菅前首相らに参加呼びかけ 

 自民党の河野太郎広報本部長は、党内有志と共に社会保障制度改革を目指す議員連盟を月内に発足させる方針を固めた。昨年の総裁選で問題提起した年金制度の在り方などを議論する。所属する麻生派会長の麻生太郎副総裁や菅義偉前首相ら80人超に参加を呼びかけており「次期総裁選へ向けた足掛かり」(党中堅)との見方もある。関係者が20日、明らかにした。

河野太郎氏(2021年9月撮影)河野太郎氏(2021年9月撮影)

 議連の名称は「令和版社会保障制度改革国民会議」。年金生活者の暮らしに焦点を当て、必要な対策や財源を巡り意見交換を重ねる。社会保障の他、経済政策や成長戦略も取り上げる方向だ。

 会長は河野氏が務め、幹部には総裁選で河野氏を支えた井上信治前万博相(麻生派)や柴山昌彦元文部科学相(安倍派)らが就く。周辺は人選の狙いについて「腹心を据えつつ、派閥横断で人脈を広げたい」と語った。

 河野氏は昨年の総裁選で、最低限の年金を保障するため国民年金(基礎年金)の財源を全額税負担とする改革案を提唱。「維持すべきは年金制度ではなく、次の世代の年金生活だ」と訴えたが、候補者として争った岸田文雄首相らに実現性を疑問視された経緯がある。(共同)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・政局・自民党・党内有志と共に社会保障制度改革を目指す議員連盟を月内に発足させる方針】  2022年04月21日  07:27:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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《社説②》:5000円給付が「白紙」に もう、バラマキはご免だ

2022-04-01 02:04:40 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

《社説②》:5000円給付が「白紙」に もう、バラマキはご免だ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:《社説②》:5000円給付が「白紙」に もう、バラマキはご免だ 

 あまりにお粗末な展開である。

 年金受給者約2600万人に一律5000円を給付する与党案について、自民党の高市早苗政調会長が「白紙にする」と表明した。参院選目当てとの批判が強まり、見直しに追い込まれた。

 新型コロナウイルス禍に加えて物価も上昇し、国民生活は苦しくなっている。低所得者などへの支援は必要だ。だが、この案は政策の目的も効果も疑問が多い。単なるバラマキに過ぎなかった。 

 与党案が浮上してから白紙化に至る経緯も見苦しかった。

 自民、公明両党内で突っ込んだ議論がないまま、幹部だけで政府に提言した。参院選での協力体制を固める足がかりに使いたかったのだろうが、批判的な世論が広がると、今度は与党同士で責任を押し付け合う始末だった。

 迷走したのは、指導力を発揮すべき岸田文雄首相に明確な理念がなかったからではないか。

 提案された直後は「政府としてしっかり対応したい」と前向きな姿勢を示していたが、一転して慎重になった。

 当初から問題は明白だった。生活支援なら、困窮している全ての人を対象にしなければおかしい。一方、年金を受け取っていても余裕がある人はおり、一律給付に合理性はなかった。

 4月から年金が減る分の穴埋めも狙いとされた。だが減額は、将来世代の年金を守るために与党が推進した制度である。 

 首相は昨年、子育て世帯への10万円給付を経済対策の目玉に据えた。衆院選で公明が公約したものだ。高所得の家庭も対象となり、生活保障か子育て支援か、政策の目的が分からなくなった。今回と構図が似ている。

 政権が掲げる「分配重視」は、選挙のたびに給付金を配ることなのだろうか。

 今後の対応も気がかりだ。

 首相は物価対策の策定を指示した。参院選が近づくにつれ、与党から財政出動を求める声が強まりかねない。5000円給付案も額を増やしたり、対象を広げたりして再浮上する可能性がある。

 形を変えたバラマキになれば、将来世代につけを回すだけだ。深刻な借金財政の中、無責任にも程がある。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2022年03月31日  02:16:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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