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路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

 路地裏のバーのカウンターから見える「偽政者」たちに荒廃させられた空疎で虚飾の社会。漂流する日本。大丈夫かこの国は? 

【日本年金機構】:年金振込通知書の誤送付 和歌山、奈良で新たに3042件確認

2021-10-12 11:27:30 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

【日本年金機構】:年金振込通知書の誤送付 和歌山、奈良で新たに3042件確認

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【日本年金機構】:年金振込通知書の誤送付 和歌山、奈良で新たに3042件確認 

 後藤茂之厚生労働相は12日の記者会見で、日本年金機構による年金振込通知書の誤送付問題について、新たに計3042件の送付ミスを確認したと発表した。厚労省によると、和歌山が3041件、奈良が1件。既に件数が判明していた愛知など3県分と合わせ、誤送付は計約97万5000件となった。

 宛名面と基礎年金番号や年金受給額などが記載されている通知面を誤って貼り合わせるミスがあった。

 機構は当初、愛知、三重、福岡の計約97万2000件で誤送付があったと発表。その後、和歌山でも誤送付が見つかり、件数は「調査中」としていた。奈良は、印刷ミスをした委託業者「サンメッセ」(岐阜県)の担当地域として説明していなかったが、実際は一部を担当していたという。(共同)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・日本年金機構による年金振込通知書の誤送付問題】  2021年10月12日  11:27:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説②】:介護職員の不足 待遇改善を抜本的に

2021-08-04 07:36:40 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

【社説②】:介護職員の不足 待遇改善を抜本的に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説②】:介護職員の不足 待遇改善を抜本的に 

 高齢者を介護する職員が二〇四〇年度には約七十万人不足する。そんな見通しが厚生労働省の推計で明らかになった。コロナ禍で労働環境がさらに厳しくなる中、人材を確保するには、待遇の抜本的改善などの対策が必要だ。
 
 厚労省の推計によると、全国の六十五歳以上の高齢者数は四〇年度に約三千九百万人に達し、全人口の三分の一超を占める。
 
 これらの高齢者を支える介護職員は約二百八十万人が必要となるが、一九年度の職員数は約二百十一万人にとどまる。この差を埋めるには毎年三万三千人程度ずつ職員を増やさなければならない計算だ。容易ならざる数字である。
 
 全職業平均の有効求人倍率はことし三月現在一・〇二倍だが、介護サービスは三・四四倍。なり手不足が顕著なことを示している。
 
 介護職は、人命を預かる精神的負担が大きい上に勤務時間が不規則で力仕事も多い。さらに、そうした重責や、重労働に見合う賃金水準に達していないことも、敬遠される大きな原因だろう。
 
 介護職の労組「UAゼンセン日本介護クラフトユニオン」の調査では、月給で勤める職員の一九年の平均年収は約三百六十万円で全職業平均より百万円程度低い。
 
 国は介護報酬の処遇改善加算などで向上を図ってきたが、なお十分ではない。コロナの感染拡大で職員の心身の負担が増える中、離職者も増える傾向にある。
 
 処遇改善のために介護報酬を引き上げれば、四十歳以上が納める介護保険料や利用者の自己負担増につながる。ある程度の負担増はやむを得ないとしても、介護報酬とは別に、公費投入の仕組みも検討の必要があるのではないか。
 
 賃金が上がれば、介護福祉士などの資格を持ちながら離職している人や、働く意欲のある高齢世代の人材確保にもつながる。
 
 処遇改善は、東南アジアなどから介護職員として働きに来る若者らにとっても、働きやすい環境を整えることになるだろう。
 
 情報通信技術(ICT)やロボットを導入して見守りや身体介助の負担を軽減することも、介護職の人材確保に資するに違いない。
 
 少子化に伴って家族だけによる介護はますます難しくなり、介護職員はより必要な存在となる。介護職が日本を支える尊い仕事であるとの認識をまず、社会全体で共有しなければならない。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2021年08月04日  07:36:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:週のはじめに考える 力を与える灯守りたい

2021-07-12 07:09:55 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

【社説①】:週のはじめに考える 力を与える灯守りたい

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:週のはじめに考える 力を与える灯守りたい 

 昨年、一人十万円の特別定額給付金が支給されました。その申請書類が送られてきた時の話です。
 
 「キューツキって何ですか」
 
 札幌にある自主夜間中学のスタッフは、生徒の一人からそう聞かれました。聞き直すと「キューツキ」とは給付のこと。役所の文面には仮名がありませんでした。
 
 生徒はスタッフの助けで無事申請できました。ただ、スタッフは過去に「字が書けず、投票に行けない」と話していた何人かの生徒の顔を思い出したと言います。
 
 多くの人には日常の所作でも、ハンディのある人には大きな壁になることがあります。それは社会参加を妨げ、人を孤立させます。
 
 壁となるのは身体上の困難に限りません。読み書きの力や学習体験がなることもあります。そうした学びの不足を補う場の一つとして、夜間中学があります。
 

 ◆夜間中学という居場所

 得るものは知識や学歴だけではありません。栃木県で夜間中学の設置運動に取り組む宇都宮大の田巻松雄教授(社会学)は「夜間中学は生徒が互いの苦労を共有し、語り合うことにより、生きる力を獲得する居場所」と語ります。
 
 夜間中学には、公立校とボランティアが支える自主夜間中学=写真は那覇市内の自主夜間中学で学ぶ人たち、2018年撮影=があります。前者は週五日で教科数も多く、無償で中学卒業の資格が得られます。後者は授業時間が限られ、卒業資格は得られません。
 
 一九五四年には公立校だけで、全国に八十九校ありました。貧しく通学できなかった人、在日コリアンからの要望が高かった時代です。その後、中国残留孤児たちが通った時期もありましたが、学校数は次第に減っていきました。
 
 しかし、近年、書類上は中学を卒業していても不登校だった人や外国人労働者の増加で、その必要性が再認識されてきました。
 
 二〇一六年には地方自治体に公立夜間中学の設置を求める教育機会確保法が成立し、翌年には文部科学省が全都道府県に一校は設けるという基本指針を示しました。
 
 二〇年一月の文科省調査では、全国で生徒数は千七百二十九人。八割が外国人です。年齢別では六十代以上が23%と最も多く、十六歳から十九歳が19%を占めます。
 
 しかし、公立校の設置はまだ十二都府県で三十六校です。自主夜間中学は全国で約四十校を数えますが、夜間中学のない県が多いのです。自治体の財政事情が許さないという声も聞こえます。
 
 それ以上に深刻な理由は入学希望者の不足です。全国には義務教育の未修了者が十二万八千人、不登校の児童や生徒が約十八万人、外国籍の人たちが約三百万人います。潜在的なニーズはあるのですが、学校の存在自体が必要な人にまだ知られていないのです。
 
 市民団体が周知に努めていますが、ここに来て心配の種がまた一つ増えました。コロナ禍です。

◆コロナ禍で生徒数減少

 コロナ禍で生徒数が減少しているのです。例えば、八校の公立夜間中学がある東京都の場合、総生徒数は一六年には四百二十四人でしたが、二〇年七月には二百十人とほぼ半減してしまいました。
 
 通学のための交通費などは生徒の自前です。コロナ禍による経済事情悪化で通学を断念する人が出てきました。特にコロナ解雇は外国人労働者らを直撃しています。
 懸念されるのは、現在の生徒数の減少がクラス数や教員の配置に影響を及ぼしかねないことです。田巻教授も「通常、クラス数などは簡単に減らされるが、回復は容易ではない」と気をもみます。
 
 感染症は人を選びません。貧富や肩書の違いにかかわらず、誰か一人でも感染している間は感染症の脅威は社会から去りません。
 
 だから「自己責任」をどれだけ強調しても意味をなしません。結局、困難を「お互いさま」と分かち合うことでしか克服の道はありません。コロナ禍で認識させられたことの一つですが、それは感染症に限った話ではないでしょう。
 
 「仲間を知ること。助けてと声を出せること。そうした力を夜間中学は与えています」。市民団体「夜間中学校と教育を語る会」の沢井留里さんはそう語ります。
 
 「新型コロナウイルスに打ち勝った証し」があるとすれば、それは世界規模のイベントの成功よりも、誰ひとり取り残されない社会の実現にこそあるはずです。
 
 そうした社会を目指す一つの場として、夜間中学はあります。コロナ禍の現在だからこそ、その小さな灯(ともしび)を守らねばなりません。

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2021年07月11日  07:09:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【天風録】:老老介護の末に…

2021-07-04 07:01:20 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

【天風録】:老老介護の末に…

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【天風録】:老老介護の末に…

 「今日死ぬか」と72歳の夫が問う。寝たきりの80歳の妻は「ええよ」。それが49年間連れ添った2人の最後の会話だったという。4月30日朝、広島市安佐北区の自宅で、夫は妻の首をマフラーで絞めた。自分も手首を切ったが、後追いは果たせなかった▲妻は6年ほど前の脳梗塞で左半身まひとなり、介護認定は受けたものの、施設への入居を拒み続けた。自宅で面倒を見てきた夫は、がんが再発し、心身ともにじわじわ追い詰められていく。2人に子どもはいなかった▲承諾殺人の罪に問われた夫は法廷で「一緒に逝けなくて、ごめん」と、あやめた妻にわびた。ほかに方法はなかったのかと問われ「あったのかな。でも、なかったなあとも思います」▲きのう広島地裁は懲役3年、執行猶予4年の判決を言い渡した。猶予付きは夫の事情を酌んだためだろう。同時に、夫妻のSOSが弱かったとしても、老老介護を支えきれない社会全体を断罪する判決にも思えてくる▲裁判官は夫にこう語り掛けた。「これからは自分を第一に、体を大事に、心穏やかに…」。コロナ禍だからなおさら、周囲の高齢者が孤立を深めていないか、地域社会の目配り、気配りが問われている。

 元稿:中國新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【天風録】  2021年07月03日  06:50:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【主張】:生活困窮者の増加 再起支える適切な施策を/06.21

2021-06-21 05:03:20 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

【主張】:生活困窮者の増加 再起支える適切な施策を/06.21

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【主張】:生活困窮者の増加 再起支える適切な施策を/06.21 

 令和2年度1年間の生活保護の申請件数が11年ぶりに上昇に転じた。

 リーマン・ショック後の平成21年度以来のことだ。新型コロナウイルスの流行が長引き、雇用情勢が悪化したことが原因とみられる。

 困窮している人は、生活保護を含めた公的支援の申請をためらってはいけない。必要な支援を受けて再起を確実にすることが重要である。行政は情報提供を含め、支援の手を工夫したい。

 厚生労働省によると、昨年度の生活保護の申請は、速報値で前年度より5039件増えて計22万8081件に上った。伸びが著しいのは、緊急事態宣言が最初に発令された昨年4月である。

 生活保護は、コロナ禍の直撃を受けた自営業者らも使いやすく弾力運用されている。受給時には通常、資産の処分などが必要だが、今は店舗や機材などを保持したまま受給できるケースもある。

 相談を受けた自治体が、親族による扶養の優先を前提のように対応するのは不適切だとの通知も出ている。個別事情に配慮し、機械的な対応にならぬよう、再起に資する支援をしてもらいたい。

 生活保護は最後のセーフティーネットである。困窮する人が手前で踏みとどまれるよう、政府が事前の支援策を十分に整えるべきなのは当然のことだ。

 7月以降、新たな支援策もスタートする。「新型コロナウイルス感染症生活困窮者自立支援金」で、最大3カ月で30万円が支給される。長引くコロナ禍で既存の貸付限度額を使い切ったり、利用できなかったりした困窮世帯が対象である。専用のコールセンターも開設された。

 既存の支援制度は、申請期限が8月末まで延長された。最大20万円の生活費を貸し出す「緊急小口資金」や、失業後の生活立て直しのための「総合支援資金」などである。

 さまざまな給付や貸付制度が設けられ、制度が複雑になっている。創設の意義を失わぬよう、分かりやすい情報提供をワンストップ(窓口一元化)で行うことが欠かせない。

 コロナ禍による困窮者には若年層も多く、行政の支援に思い至らぬ人もいる。

 丁寧できめ細かい目配りで、個々人に合うサービスを適切に届けてもらいたい。

 元稿:産経新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム  【主張】  2021年06月21日 05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【セーフティーネットの闇】:市民の生存権を軽んじた大阪府八尾市大松市長と生活福祉課の職員を糾弾すべきだ!!

2021-06-09 00:01:20 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

【セーフティーネットの闇】:市民の生存権を軽んじた大阪府八尾市大松市長と生活福祉課の職員を糾弾すべきだ!!

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【セーフティーネットの闇】:市民の生存権を軽んじた大阪府八尾市大松市長と生活福祉課の職員を糾弾すべきだ!!

 昨年2月23日の朝日新聞朝刊(大阪本社版)の社会面に、大阪のアパートで、母と息子が遺体で見つかったとの短い記事。母は長く生活保護を受給していた。

 国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。憲法は、25条で全ての国民の生存権を保障している。何が死を招いたのか。二人の足跡をたどりながら探る。

 この紙面で、八尾市生活福祉課の小森課長はいま、こう振り返る。「生活保護費は生活の糧の最たるもので、2カ月分を受け取りに来なかったことを重く受け止めて、素早く対応すべきだったと反省している」とのコメントを一読して、市民の生存権を奪った担当管理職の発言を、大松市長はどのように受け止めているのか、本来なら、市長自ら記者会見を開いて、市民に対して説明責任を果たすのが筋ではないか?

大松市長

       大松桂右 八尾市長

 大阪府八尾市で死亡した母子。二つの人生が暗転した背景に何があったのか。朝日新聞は生活面の紙面で5回連載で報告します。

写真・図版

 ◆破れたセーフティーネット

 今年2月、大阪のアパートで母と息子が遺体で見つかった。母は生活保護を受けていたが、連絡が取れなくなっていた。悲劇なのか、自己責任なのか、それとも--。二人の足取りを追った。

 ◆第1回 57歳と24歳、ある母子の死 かつお節と体温計残して 担当・諸永裕司 

 大阪のアパートで、母と息子が遺体で見つかった――。取材先でそう聞いたとき、また孤立死が起きてしまったのか。そう思った。今年の夏のことだ。

 ただ、母が生活保護を受けていたと知り、引っかかった。発見したのは市の担当職員(ケースワーカー)ではなかったと聞いた。最低限の暮らしを保障するはずのセーフティーネットが破れたということなのだろうか。

 探してみると、朝日新聞の2月23日付朝刊(大阪本社版)のテレビ欄をめくった右のページに、16行の短い記事が見つかった。活字を詰め込むように組まれた、いわゆるベタ記事に「八尾で母と長男の遺体」という見出しがついていた。

 〈22日午前11時50分ごろ、大阪府八尾市末広町3丁目のアパートで、住人の無職女性(57)と、住所・職業不詳の長男(24)が倒れているのを、訪れたケアマネジャーの男性が発見し、110番通報した。八尾署員が駆けつけたが、その場で死亡が確認された。署は、女性が介護を受けていたとみている。2人とも外傷はなく、室内に物色された様子などはないという。水道やガスが止まっており、署は2人の生活状況や死因について調べている〉(掲載当時は実名)

 読み終えて、疑問が膨らんだ。母57歳、息子24歳。いずれも働いて稼ぐことのできる年齢だ。それなのに、なぜ。どこからか「自己責任」という声が聞こえてくるような気がした。

拡大する写真・図版母子が遺体で見つかったアパートの周辺=大阪府八尾市末広町

 何が死を招いたのか。ふたりの足跡をたどりながら探ってみたいと思った。

 遺体が見つかったアパートは、近鉄大阪線久宝寺口駅から歩いて5分ほどの住宅地にあった。昼でも日が差し込まない1階の部屋。今年2月22日、ひざの悪い母の介護に訪れたケアマネジャーが、玄関の鍵が開いているのを不審に思って立ち入り、思いもかけない光景に遭遇した。母と息子は、部屋の中でL字に並んだ布団と介護ベッドの上でそれぞれ息絶えていた。

 ■2人の死の背景を追う全4回のルポです。番外編として識者インタビューがあります。

 水道とガスは止まり、冷蔵庫は…、※この記事は有料会員記事有料会員記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

  ◆第2回 放浪の日々、自殺考えた母 でも「飛び降りられへん」 聞き手・諸永裕司 

 スマートフォンが震えたのは2019年5月ごろ、夜の10時を過ぎていた。大阪府東部に住む女性(67)が手に取ると、画面に「公衆電話」と浮かび上がった。

 「おかあちゃん、一晩だけ泊めてぇな」

 電話をかけてきたのは、30年来の友人だった。

 お互いの子どもが同じ年で、保育園で知り合った。一緒にバーベキューをしたり、釣りやハイキングに行ったり。一時期、同じパート先のプラスチック関連会社で働いたこともある。

 だが、しばらくぶりに聞く電話の声は、切羽詰まっていた。借家の水道が止まり、家主から追い出され、駅近くの公園などで野宿をしているという。

拡大する写真・図版母子が野宿したという公園。水道とトイレがあった=大阪府八尾市

 断ることはできなかった。まもなく、友人は息子とともに自転車をこいでやってきた。その母(57)と息子(24)はこの訪問から約9カ月後、大阪府八尾市のアパートで、ともに遺体で見つかることになる。

 女性は、訪れた2人に風呂を貸し、食事も作った。息子はぜいたくを言わなかった。「お母ちゃん、のりがあったらええやんか。おなかいっぱいになったらええ」

 ■今年2月、大阪府八尾市のアパートで、住人の母と息子が遺体で見つかった。その2カ月ほど前、生活保護を受けていた母は市役所に保護費を受け取りに現れず、連絡が取れなくなっていた。そして、独立して働いていると思われていた息子とともに、ひとつ屋根の下で息絶えていた。悲劇なのか、自己責任なのか、それとも――。二人の足取りを追うルポの2回目。

 人心地がつくと、母はこう漏ら…、※この記事は有料会員記事有料会員記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。 

 ◆第3回 生活保護を抜けては戻った24歳 転職7回、最期は母と 聞き手・諸永裕司  

 旋盤のうねる音が響き、塗料のにおいがうっすらと漂う。雑多な町工場が集まる路地裏に、その木工製作所はあった。大阪府八尾市のアパートで今年2月、母(57)とともに遺体で見つかった息子(24)がかつて働いていた仕事場だ。

 息子の名前を伝えると、83歳になるという社長ははっきりと覚えていた。

 「ああ、まじめな子やったで、素直で。こっちが説明していると、じいっと聞いて。口数は少なかったけどな」。ハローワークを通じて申し込みがあり、日給8千円で見習いから始めてもらった、という。

拡大する写真・図版  息子が働いていた木工作業所。ソファの枠組みを製造していた=大阪市平野区

 八尾市などによると、息子は高校を卒業してから約5年間に、八つの仕事を渡り歩いた。すし店、電気工事、金属製品塗装、病院事務、パチンコ店……。一番長く続いた職場が9カ月。ほかは1~6カ月で辞めていた。わかっている限りで最後となるのが、ソファの枠組みをつくるこの木工製作所だった。

 「いやいや、最初は木なんか切らせられへん。まずは、ごっついホチキスみたいなもんで木材をくっつけるところからや」

 ■独立していたはずの息子は、母のアパートで、母の隣で見つかった。低体温症で、死後10日ほど。息子は母のもとを離れてから、どこでどう過ごしていたのか。そしてなぜ、母と同じ屋根の下で最期を迎えることになったのか。悲劇なのか、自己責任なのか、それとも――。二人の足取りを追うルポの3回目。

 仕事を始めたのは2018年11月6日。社長の手元にタイムカードが残されていた。

     入   …※この記事は有料会員記事有料会員記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。 

 ◆第4回 母が遺体で見つかるまでの58日 「公助」の砦は崩れた 聞き手・諸永裕司 

 大阪府八尾市のアパートの一室で、母親(57)とその息子(24)の遺体が見つかったのは、今年2月22日の昼前だった。大阪府警八尾署は息子について〈住所・職業不詳〉と発表した。

 単身で生活保護を受けていた母の隣で、自立していたはずの息子がなぜ息絶えていたのか。

 ■生活保護を受けていた母はその2カ月ほど前、保護費の受給日に市役所に姿を現さず、連絡が取れなくなっていた。そして、独立して働いていると思われていた息子と二人、同じ屋根の下で息絶えていた。悲劇なのか、自己責任なのか、それとも……。二人の足取りを追うルポの最終回。番外編として識者インタビューがあります。

 息子がみずから3度目となる生活保護の廃止を選び、母のもとを離れたとされるのは、その約1年3カ月前にさかのぼる。2018年11月、息子は「仕事が見つかったので、祖母のところへ移って自立を目指したい」と言って、保護を抜けた。八尾市によると、それまで生活保護を受けて同居していた母の世帯から抜けることから「世帯員削除」と呼ばれる。

 市のケースワーカーは「住民票を移した祖母の家にいると思っていた」と話し、祖母は「住民票を移させてほしいとは言われたけど、一緒に暮らしてはいなかった」と否定する。息子はどこで、どう過ごしていたのか。市はすでに生活保護受給者でなくなったため、その後の動向は把握していないという。

 じつは、市は一度だけ息子と接触していた。

 ◆「不正受給の恐れがある」

 家賃滞納で借家を追われ、ホー…、※この記事は有料会員記事有料会員記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

 ◆第5回 命守れない生活保護「業務放棄に等しい」 識者の驚き 聞き手・諸永裕司  

 大阪府八尾市で今年2月、生活保護を受けている母とその息子が死亡した。この事案から何を読みとればいいのか。自治体職員として10年間のケースワーク経験をもち、厚労省社会保障審議会生活保護基準部会委員などを務める岡部卓・明治大学公共政策大学院専任教授に聞いた。

 ――大阪・八尾市生活保護受給中の母と子が死亡した事案をどのように見ますか。

 これまで生活保護をめぐって社会問題となったのは、札幌の母子餓死(1987年)、池袋の母子餓死(96年)、そして北九州の52歳男性が「オニギリ食いたーい」と書き残して亡くなったケース(2007年)などが代表的です。いずれも、生活保護の申請を退けられたりした末の出来事で、自治体が対象者を追い返す「水際作戦」が問題視されました。

 一方、八尾のケースは、生活保護の受給中に起きたという点で重みが違います。生活保護法は1条で、最低限の生活を保障することと、自立を助長することを目的と定めています。ところが、生活を支えるどころか命を守れなかったという点で、これまでとは一線を画す「事件」だととらえています。

 ――どのような問題が見えるでしょうか。

 八尾市のケースワーカーが、国…、※この記事は有料会員記事有料会員記事です。有料会員になると続きをお読みいただけます。

 元稿:朝日新聞社 朝刊 主要ニュース 生活 【連載・「破れたセーフティーネット】  2021年01月11日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 ◆日本共産党八尾市議会議員 田中裕子

 現在議員団でもこの問題について、調査・検討中です。”失踪で保護廃止”という行政処分を行った経過を情報公開で請求中です。

 これは、孤独死でも孤立死でもありません。その場合、いかに公的機関に結ぶ必要あるかが問われているからです。

 今回の場合は、行政と結びついていたのです。生活保護を受給し、水道局は民間委託した株式会社に度重なる料金請求をしていました。

 最低生活を保障するための生活保護を利用してたのに、貧苦の中で衰弱死をしていったのか、まさにこの記事が問いかけている問題です。

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 この記事が本質をついて一番わかりやすいので紹介させていただきます。

 今回の事象で、現段階でも6点の問題点があります。

 ①12月26日という年末の保護費(1月分)の支給日に保護費を取りに来ませんでした。年末年始は市役所も休みになり、年末の保護費の支給を取りに来ないというケースは非常に危惧するケースです。現に生活保護行政のケースワーカーが訪問をし、水道料金の納付状況も確認をし、滞納状況を確認しています(議会への報告)。ライフラインの危うい状況で年が越せるのか。まず、ここで生活保護28条の立ち入り調査権の発動が必要だったのではないかと考えられます。組織的にこのことが協議されなぜ実行されなかったのか。

 ②次に訪問をしたのが、1月8日。この時も、生存確認を含めてなぜ立ち入り調査をしなかったのか。

 ③しかも、つぎに訪問するのが2月10日、一か月後です。しかも新聞報道によると、「玄関のかぎが開いており、のぞきこんだと」あります。生活福祉課に確認をしたところ事実でした。この時も立ち入り調査(中に入る事もなく)をせず、連絡票を投函だけで帰っています。その12日後にケアマネが”呼びかけに応じないので不審に思い部屋に立ち入り母子の遺体を見つけた”と新聞報道にあります。生活保護法28条の立ち入り調査権を持つ福祉事務所ではなく、生活保護行政の素人であるケアマネさんが発見をしました。この事実をどう受け取るのか。現段階の現課での聞き取り調査では、この時点で組織的に協議(ケース会議)なども持っていなかったということです。

 ④さらに、2月10日の8日後、2月18日には、”失踪ということ”で保護の廃止という行政処分を行います。しかも、1月1日に遡及をして。現課へ聞き取りを行いました。「何をもって失踪と判断したのか。」その答えは、「2か月間保護費を取りに来ず、連絡も取れなかったら。」でした。この行政処分も、組織的に”ケース会議”など開いて協議していなかったということです。(聞き取り)現在、”保護の失踪廃止”にいたった経過を情報公開請求中です。

 ⑤未だに、この保護の”失踪廃止”という行政処分は、訂正されていないということです。現課に「事実と異なる。失踪廃止ではなく、死亡による廃止だ。行政処分なので正確にすべきだ。」と指摘をしていますが、「訂正する気はない。」との一点張りです。ここに、今回の事象に対する行政の姿勢が表れています。事実に基づいた行政処分を行うことが、今回の事象に正面から向かい合うことです。

 ⑥追い打ちをかけたのが、水道局による給水停止です。(1月15日)八尾市の水道局は、水道料金関係業務を丸ごと株式会社に民間委託をしています。そして、給水停止を月50件ほど行っています。「水道を止めると、あわてて料金を持ってくるので」と。議会で日本共産党が一貫して指摘をし、反対をしてきたことでした。とうとう起きてしまった。悔やまれてなりません。しかも生活保護を受給している世帯への給水停止です。

 なぜ、12月26日時点で生活保護法28条の立ち入り調査権が発動されなかったのか。組織的に集団の討議も経てこの問題が考えられなかったのか。なぜ誤った行政処分(失踪で保護が廃止)がそのまま訂正されずに放置をされているのか。給水停止のあり方は‥‥。などなど検証が必要です。

 生活保護行政の根幹にかかわる疑問点があります。生活保護は憲法25条の生存権の砦です。その権利保障のエキスパートであり責任を有する福祉事務所がこの問題に正面から向き合わなければ、全ての市民の生存権は守れません。

 引き続き、この問題を追及します。同時に八尾市に対し第三者機関を設置し、この事象を正面から検証をすることを求めます。

 失踪廃止という保護の打ち切り(行政処分)を、事実に基づいて訂正をすべきです。今回の反省と検証はそこから生まれてきます。

2020年9月7日
 
八尾市の母子餓死事件及び生活保護行政に関する
公開質問状

 八尾市長 大松 桂右 殿
       
 八尾市母子餓死事件調査団
 共同代表 井上 英夫(金沢大学名誉教授)
 同    尾藤 廣喜(生活保護問題対策全国会議代表幹事)
 同    矢部あづさ(八尾社会保障推進協議会会長)
 
(連絡先)530‐0047大阪市北区西天満3-14-16 西天満パークビル3号館7階
あかり法律事務所 電話06(6363)3310 FAX06(6363)3320
事務局 弁護士 小久保 哲郎

 本年2月22日,貴市において,無職の母親(54)と長男(24)が餓死死体で発見されるという痛ましい事件が起きました。母親は(一時は長男も)生活保護を利用していたにもかかわらず,2019年12月26日と2020年2月5日の支給日に生活保護費を取りに来庁することなく,水道の給水が停止され,民間事業者であるケアマネージャーによって遺体が発見されるという経過は極めて異常です。
 そこで,私たちは,こうした悲劇を二度と起こさないためには,なぜこのような事件が起きたのか,その背景と原因を明らかにする必要があると考え,生活保護などの貧困問題に取り組む民間団体や個人で本調査団を結成しました。
 つきましては,今般,上記の母子餓死事件について以下のとおり,質問および資料提供の要請をいたします。御多忙中にお手数をおかけして恐縮ですが,2020年9月30日までに上記の連絡先宛に書面でご回答いただけますようお願い致します。(いただいた回答をふまえて意見交換の場をお持ちいただきたいと考えております。)
 なお,本公開質問状及び貴市のご回答ご対応内容はすべて公開いたしますので,予めご承知おき願います。
 
 第1 貴市で発生した母子餓死事件の事実経過について

 1 当調査団の調査によると,貴市で発生した母子餓死事件の事実経過は別紙時系列表のとおりです。
別紙時系列表記載の事実経緯に誤りがあれば,具体的にご指摘ください。

 2 新聞報道及び本年6月10日の貴市議会議事録によると,2019年7月5日以前にも母子が生活保護を利用していたこと,過去にも何回か長男を生活保護から外したことが推測されます。貴市における母子の生活保護の利用状況を明らかにして下さい。また,いつ,どのような理由で長男を生活保護から外しましたか。また,その間の長男の生活実態をどのように把握していましたか。

 3 2019年3月,5月の料金滞納による給水停止や,同月末の家賃滞納による退去の原因はどのように把握していましたか。母子2人が母親だけの生活保護費で生活していたことが原因となっていたのではありませんか。

 4 母親が,同年7月5日,最後の居住地へ転居した際,貴市は転居費用を支給したのですか。

 5 上記転居直前,母子が公園で寝泊まりしているところを警察に保護されたことが生活保護利用の契機であったのなら,なぜ母子2人ではなく母親だけの単身世帯として生活保護を再開し,転居費用を支給したのですか。長男の居所,収入についてはどのように聞き取り,把握しておられましたか。

 6 生活保護再開後,貴市では母親から毎月2万円の返還金の回収を始めたということですが,何の費用の返還金だったのですか。また,返還決定にあたっての生活保護法上の根拠条文は何条ですか。また,何を根拠に毎月2万円という返還金額を決めたのですか。厚労省が示す返還金の目安額(単身世帯5000円,複数世帯1万円)に照らしても高すぎるとは考えませんでしたか。

 7 生活保護再開後,母親一人の生活保護費で母子2人が生活していたと考えられますが,その事実は把握していましたか。把握していないとすれば,この間,長男はどこでどのように生活しているか,母親に質問しましたか。貴市ではどのように認識していましたか。

 8 保護再開後,母親は来庁して生活保護費を受領していたとのことですが,支給日に遅れて来庁することはありましたか。来庁した際に,最低生活費より月2万円低い生活費でどのように生活しているか,問題は起きていないか,聞き取りや話し合いをしましたか。

 9 同年12月26日,1月分の生活保護費の受け取りに来庁しなかったということですが,生活保護費以外に収入の当てがなく,年始年末を過ごすための預貯金があるはずもない(同年7月に保護再開されたばかりで月2万円の返還を行っていれば預貯金する余裕などないと考えます)母親がこれを受け取りに来ないというのは異常事態です。年末年始を挟むこともあり,不測の事態をも想定して,連絡票投函に留まらず家主・警察等とも調整するなどして住居に踏み込んで安否確認するのが,母親の生活と生存を守る立場である福祉事務所の通常の対応と考えられます。なぜ,そのような対応をとらなかったのですか。
 また,年内最終の開庁日である翌12月27日には何らかの対応をとられましたか。とらなかったとすれば,その理由も教えてください。
本年6月10日の貴市議会での議事録では,法28条の立入調査権について地域福祉部長は,「住居の中に立ち入る権限まであるものではないと認識しております」と答弁されていますがその根拠をお示し下さい。

 10 2020年2月5日,2月分の生活保護費の受取に来庁しなかった際にも,上記同様の安否確認の対応をとらず,2月10日になって自宅訪問して投函するにとどめたのは何故ですか。

 11 同年2月18日,1月1日に遡及して「失踪」を理由に保護廃止したということですが,生活保護法上「失踪」という廃止理由はありません。本年6月10日の貴市議会議事録では,地域福祉部長は,「保護をしている場合に,ケースワーカー等から必要な連絡をしても,連絡がとれない状況が続いて,保護費を受け取られない状況」と答弁していますが,その根拠をお示し下さい。保護廃止の法律上の根拠は生活保護法何条ですか。また「失踪」を理由とした保護廃止をするにあたって,失踪の事実をどのように確認しましたか。
 仮に「転出」による実施責任の消滅(法19条)ということであれば,「転出」の事実を具体的にどのようにして確認したのですか。
また,保護廃止日を「1月1日」とした根拠は何ですか。

 

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【生活困窮者】:ネットカフェ難民、路上生活者…ワクチン接種から取り残される弱者たちを救え

2021-06-08 06:10:40 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

【生活困窮者】:ネットカフェ難民、路上生活者…ワクチン接種から取り残される弱者たちを救え

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【生活困窮者】:ネットカフェ難民、路上生活者…ワクチン接種から取り残される弱者たちを救え

 高齢者への新型コロナウイルスワクチンの接種が進む中、路上やネットカフェで暮らす人たちの接種をどうするかが課題になっている。住民登録と違う場所で暮らしていたり、住民票自体が消除されていたりして、自治体からの接種券が届かないためだ。ワクチン接種から弱者が取り残される恐れが強まっており、実態把握に乗り出したNPO法人もある。 (中村真暁)

 
食品の無料配布の会場を訪れた男性(左)にアンケートをとる「世界の医療団」のボランティア=東京都豊島区で(中村真暁撮影)

 食品の無料配布の会場を訪れた男性(左)にアンケートをとる「世界の医療団」のボランティア=東京都豊島区で(中村真暁撮影)

 ◆住所不定の悲劇

 「接種券が手に入らない」。5月下旬、東京都新宿区で、支援団体が実施した食品の無料配布の会場を訪れた男性(83)は、あきらめ顔でこぼした。
 70代の男性も「昨年、特別定額給付金の10万円も住所不定で支給されなかったからワクチンも無理。できるなら、だれだって打ちたいですよ」と漏らす。2人とも路上生活者だ。

 ◆自治体は住民票頼り

 接種券は自治体が住民票の住所に発送するため、住まいがない人は手にしにくい。厚生労働省は4月末、各自治体に対し、路上生活者らに接種を周知し、窓口に来た場合、接種券を発行することなどを求める通知を出した。だが、自治体側の対応は進んでいない。
 路上生活者らが多い新宿区の吉住健一区長は2日の定例会見で「住民票が消除された方もいる中で、(接種の進め方を)研究しなければならない」と話した。
 豊島区は、住まいのない人が接種券をどのように受け取れるか、支援団体と協議している。担当者は「なるべく早く、実態に合った形で進めたい」と話す。

 ◆生活困窮者にアンケート

 医療支援に取り組む認定NPO法人「世界の医療団」は5月下旬、豊島区内の公園で生活困窮者約300人にアンケートを実施。「接種の開始を知っているか」「接種券を受け取れるか」などを聞いた。後日、結果を区に提供し、役立ててもらう。
 同法人の武石晶子さんは「スマホもテレビも持たないと、無料で接種できることや、2回打つといった基本的な情報にもたどり着けない。社会から排除されてきた経験から、公的支援に頼ろうとすら思えない人もいる」と指摘する。

 ◆「諦めている人たちの声を行政に」

 厚労省が2016年に行った路上生活者らの生活実態調査では、65歳以上が42.8%を占めた。70歳以上に絞ると19.7%だった。
 路上生活を送る高齢者の中には、新型コロナに感染すると重症化しやすい基礎疾患を抱えた人が多いとみられるが、自治体の対応が住民登録ベースのため、接種が行き届かない。今後、接種対象が拡大すれば、比較的若い年代も多い「ネットカフェ難民」にも問題が広がりかねない。
 武石さんは「ワクチン接種から取り残されれば、最後に感染が集中する可能性もある。全員の命を守るため、諦めている人たちの声を拾い上げ、行政に届けたい」と話している。
 
                ◇    ◇    ◇

 ◆国は積極的に対応を

 生活困窮者の支援活動に携わる木村正人・東洋大教授(社会学)の話 自治体の多くが住まいがない人の状況を普段から把握できておらず、ワクチン情報の周知活動も不十分になっている。いわゆる「アベノマスク」や特別定額給付金だけでなく、全ての人が受けられる支援からいまだに漏れている人たちがいることに愕然がくぜんとする。国や自治体はこうした問題を直視し、積極的に対応すべきだ。
 

 元稿:東京新聞社 朝刊 主要ニュース 社会 【話題・高齢者への新型コロナウイルスワクチンの接種が進む中、路上やネットカフェで暮らす人たちの接種をどうするかが課題】  2021年06月08日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

 

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【焦点】:75歳以上医療費、2割に引き上げ 現役世代の負担減遠く

2021-06-04 02:05:20 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

【焦点】:75歳以上医療費、2割に引き上げ 現役世代の負担減遠く

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【焦点】:75歳以上医療費、2割に引き上げ 現役世代の負担減遠く

 一定の所得がある75歳以上の医療費窓口負担を引き上げる医療制度改革関連法案が3日、参院厚生労働委員会で自民、公明両党などの賛成多数で可決され、4日の本会議で成立する見通しとなった。

 高齢者の医療費を賄う若い世代の負担を抑制するのが狙いだが、抑制による財政効果は限られる。審議では、さらなる制度の見直しを求める意見が相次いだ。【原田啓之】

 ※この記事は有料記事です。「ご登録日から1カ月間は99円」 いますぐ登録して、続きをお読み下さい。

 元稿:毎日新聞社 東京朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【焦点】  2021年06月04日  02:06:00 これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:増える生活保護 コロナ禍に耐える制度に

2021-05-30 06:00:16 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

【社説】:増える生活保護 コロナ禍に耐える制度に

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:増える生活保護 コロナ禍に耐える制度に

 感染症のパンデミック(世界的大流行)という非常時に、弱者の暮らしを「公的」にどう支えるのか。長期化する新型コロナ禍が日本社会に突き付けている深刻な課題の一つである。

 生活保護の申請数が増加を続け、この2月は1万7千余と前年同月から約8%増えた。前年同月比増は6カ月連続となる。コロナ禍による困窮者の増加を反映しているとみられる。

 生活保護法は、憲法25条が定める「健康で文化的な最低限度の生活」の保障を具体化するものだ。要件を満たす限り、保護を「無差別平等」に受けられる原則を掲げている。

 受給者数は景気にほぼ連動して増減し、近年では2015年の約214万人をピークにその後は減少傾向にあった。

 社会の安全網(セーフティーネット)として欠かせない制度だ。ただし法の根本は、年金など一定の収入を得てもなお国の生活扶助基準に達しない人の保護である。最終的な目的は「自立を助長すること」にある。

 現在のようにコロナ対応策として、働く意欲も能力もありながら行政の要請で営業自粛が強いられる事態は想定外だろう。

 国は昨年、1人一律10万円の特別定額給付金や自営業者などに向けた持続化給付金を急きょ打ち出した。行政のデジタル対応の遅れもあって申請時に混乱は生じたものの、臨機応変の安全網の構築だったとは評価できるだろう。一時的には生活保護の申請数も落ち着いた。

 現在の感染拡大の第4波は、昨年から暫定的に張られてきた安全網を破りつつあると考えるべきだろう。将来的にはさらに深刻な経済危機が到来しないとも限らない。そうした緊急時にいかに対応するのか。財源を含めた長期的な制度設計の検討を始めねばならない局面だ。

 注目の集団訴訟が29都道府県で起きている。13~15年の生活保護基準額の引き下げは憲法25条に違反するとして、受給者が国と自治体に引き下げ処分の取り消しなどを求めた訴訟だ。

 既に四つの判決が出され、原告の主張が認められたのは大阪地裁だけだ。12日の福岡地裁判決も請求を棄却した。国に裁量権の逸脱はなく、生活水準も違憲状態でないと判断した。

 憲法がうたう最低限度の生活とは何か。その議論は時々の社会状況にも影響される。今回の一連の訴訟はコロナ禍前の引き下げ処分を巡るものだが、テレビやパソコンの所有は認められるのかが争点の一つだった。

 法廷での論争とは別に、あるべき制度を目指す議論を深めたい。生活保護の在り方は国の社会保障の施策全般に影響する。社会の根本に関わる問題だ。

 元稿:西日本新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・コラム 【社説】  2021年05月26日  06:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説①】:介護保険料上昇 持続可能な制度へ見直し急げ

2021-05-29 05:03:45 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

【社説①】:介護保険料上昇 持続可能な制度へ見直し急げ

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説①】:介護保険料上昇 持続可能な制度へ見直し急げ

 介護保険料の上昇に歯止めがかからない。政府は、制度が無理なく持続できるように、見直しを急ぐべきである。 

 厚生労働省によると、高齢者が支払う介護保険料は、4月から全国平均で月6014円となった。制度が始まった2000年度の2倍以上で、初めて6000円を超えた。

 介護を要する人が増えたためだが、高齢者にとって重い負担である。大幅な引き上げを回避する努力が不可欠だ。

 介護にかかる費用は、サービス利用者が原則として1割を負担し、残りを40歳以上が納める保険料と公費で半分ずつ賄っている。65歳以上の保険料は、需要見通しなどを踏まえ、市町村が3年ごとに見直すことになっている。

 5割近くの市町村が保険料を引き上げた。新型コロナウイルス感染拡大の影響を考慮し、据え置きや引き下げとした市町村も多いものの、余剰金を積み立てた基金の取り崩しなどで財源を捻出しており、余裕は乏しい。

 保険料が今後、さらに上がっていくという見通しも示された。厚労省は、団塊の世代が75歳以上になる25年度には、月6856円に膨らむと試算している。

 保険料を払えず、市町村から年金などを差し押さえられる高齢者が増えている。深刻な事態だ。

 保険料の上昇を抑制して制度を維持していくには、サービスの範囲と、負担のあり方を見直す必要がある。政府は、23年に予定される次回制度改正に向け、自治体などと調整を進めてほしい。

 焦点の一つは、買い物や掃除など、軽度者向けの生活援助だ。「ヘルパーが家政婦代わりに使われている」との批判がある。

 こうしたサービスが高齢者の生活を支えている面はあるが、介護保険の給付対象としてふさわしいのか。限られた人材は、身体介護や重度者のケアに生かしたい。

 サービスの一部を自治体の事業に移し、NPOなどと協力して提供することが望ましい。支援の担い手も増やさねばなるまい。

 利用者にどこまで自己負担を求めるか、という論点もある。原則の1割負担に対し、一定の所得があれば2割または3割負担となっているが、その対象となる高所得者は全体の約9%にすぎない。

 基準を引き下げ、ある程度の所得がある人には相応の負担をしてもらう改革が課題となろう。

 政府と自治体は、高齢者が安心して暮らせるように、多角的な視点で政策を進めてもらいたい。

 元稿:讀賣新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2021年05月28日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【社説】:75歳以上2割負担 窓口負担増避ける議論を

2021-05-15 05:09:55 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

【社説】:75歳以上2割負担 窓口負担増避ける議論を

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【社説】:75歳以上2割負担 窓口負担増避ける議論を 

 一定の収入がある75歳以上の医療費窓口負担を1割から2割に引き上げる医療制度改革関連法案について衆院厚生労働委員会が賛成多数で可決した。自民、公明両党と日本維新の会、国民民主党が賛成し、立憲民主、共産両党は、高齢者が受診を控え体調を損ねるとの理由で反対した。

 医療制度改革は、収入のある高齢者に窓口負担を求めることで、医療費を保険料で支える現役世代の負担増を抑える狙いがある。団塊世代が2022年から75歳以上になり始め、医療費が膨張することが背景にある。
 法案は今週にも衆院を通過し参院に送られる見通しだ。今国会で成立する可能性が高まっているが、国会で審議入りしてまだわずか1カ月。議論は不十分だ。高齢者の経済的事情にどれだけ配慮しても、受診控えを招かないという保証はない。この点を十分に認識し、窓口負担増を避ける方策を探るべきである。
 75歳以上の高齢者の窓口負担は現在、原則1割で、現役並みの収入がある場合は3割だ。それ以外の財源は、5割が公費、4割が現役世代の保険料で賄われている。法案は、この現役世代の負担を抑えるため、単身だと年金を含む年収200万円以上、夫婦世帯では計年収320万円以上を対象に2割負担にする内容だ。22年度からの実施を目指す。
 厚生労働省によると、全国で後期高齢者医療制度に加入する75歳以上の人約1815万人のうち、2割負担の対象は約370万人に上る。
 自己負担の増加幅が月最大3千円とする上限額があるものの、窓口負担が2倍になる人もいる。このため立民、共産両党は「経済的な理由から受診を控え、病気が重症化する可能性がある」と懸念する。
立民は75歳以上の高所得者の保険料上限を引き上げて財源を捻出する対案を出した。共産は高齢者医療の国庫負担を35%から、少なくとも従来の45%に戻し国が公的役割を果たすことで若い世代の負担軽減を図るべきだと主張する。
 誰でも高齢になれば体が弱る。受診する機会が増えるのはやむを得ない。しかし受診を控えると、命や健康を損ねるリスクが高まる。
 政府の試算では、負担引き上げに伴い、75歳以上の外来受診回数は1人当たり年平均で33回から32・2回に減るとの見通しだ。さらに収束が見通せないコロナ禍にある。ただでさえ受診を控えている高齢者に拍車を掛けて受診をためらわせないか。そのリスクに配慮すべきだ。
 受診控えを招く窓口負担増以外に財源を捻出する方策を、あらゆる観点から探る必要がある。高齢者は長期にわたり社会に貢献した敬うべき存在である。なおかつ現在は社会的弱者だ。憲法25条が国に義務付けている生存権の保障にも関わる。これらの点を重視し、高齢者に負担を強いることは極力避ける方向で議論を進めるべきだ。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【社説】  2021年05月09日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【金口木舌】:生活保護は生存権

2021-05-15 05:09:40 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

【金口木舌】:生活保護は生存権

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【金口木舌】:生活保護は生存権

 貧困問題を取材していた頃、食料品が買えないほど困窮していても「生活保護だけは恥ずかしい」「周りに迷惑をかけたくない」という声を聞いた。助けを求められない背景に生活保護を「恥」と捉える文化があると感じた

 ▼新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて解雇や雇い止めが見込まれる県内労働者は3月26日時点で1864人に上った。雇用環境は深刻さを増している
 ▼県内の生活保護の利用者が5カ月連続で過去最多を更新している。しかし、各福祉事務所はコロナ禍にあって「想定したほどは増えていない」と見る。生活に窮する人々が必ずしも支援に結び付いていない
 ▼生活保護の利用をためらう要因に親族への「扶養照会」がある。当事者の親族にまで支払い能力があるかどうかを尋ねる仕組み。支援者によると「知られたくない」と申請を見送る人がいる
 ▼2012年、芸能人の母親をめぐる生活保護の受給問題を機に「生活保護バッシング」と言える現象が起きた。自民党はこの動きに乗じるかのように衆院選挙の公約に生活保護費の給付水準の引き下げを掲げその後、実行している
 ▼菅首相の唱える「自助、共助、公助」を聞くと「まず、自分で何とか」と言われているような気がする。生活保護は憲法25条で保障された生存権。今求められるのは生活に窮する人が気兼ねなく利用できるような後押しだろう。

 元稿:琉球新報社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【金口木舌】 2021年05月08日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【厚労省】:2月の生活保護申請、前年同月比8・1%増 厳しい雇用情勢の影響か

2021-05-12 11:34:30 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

【厚労省】:2月の生活保護申請、前年同月比8・1%増 厳しい雇用情勢の影響か

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【厚労省】:2月の生活保護申請、前年同月比8・1%増 厳しい雇用情勢の影響か

 厚生労働省は12日、2月の生活保護申請は1万7424件で、前年同月と比べて8・1%増えたと発表した。前年同月からの増加は6カ月連続。

 2月には新型コロナウイルス緊急事態宣言が最大11都府県に発令されており、感染拡大による厳しい雇用情勢の影響が出たとみられる。

 2月から生活保護を受け始めた世帯は1万6518世帯で、前年同月比で9・8%増えた。(共同)

 元稿:日刊スポーツ社 主要ニュース 社会 【話題・厚労省・2月の生活保護申請は1万7424件で、前年同月と比べて8・1%増えたと発表】  2021年05月12日  11:34:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【厚労省】:生活保護申請、8・1%増 2月、新型コロナ影響か

2021-05-12 10:39:30 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

【厚労省】:生活保護申請、8・1%増 2月、新型コロナ影響か

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【厚労省】:生活保護申請、8・1%増 2月、新型コロナ影響か

 厚生労働省は12日、2月の生活保護申請は1万7424件で、前年同月と比べて8・1%増えたと発表した。前年同月からの増加は6カ月連続。2月には新型コロナウイルス緊急事態宣言が最大11都府県に発令されており、感染拡大による厳しい雇用情勢の影響が出たとみられる。

 2月から生活保護を受け始めた世帯は1万6518世帯で、前年同月比で9・8%増えた。(共同通信)

 元稿:東京新聞社 主要ニュース 政治 【政策・厚労省・社会保障施策・2月の生活保護申請は1万7424件で、前年同月と比べて8・1%増えたと発表】  2021年05月12日  10:39:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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【卓上四季】:青っぱなの神さま

2021-05-09 05:05:00 | 【社会保障施策・年金(国民、老齢、共済、障害)・医療、介護保険・生活保護・

【卓上四季】:青っぱなの神さま

 『漂流する日本の羅針盤を目指して』:【卓上四季】:青っぱなの神さま

 貧しい開墾農民の子ノボルはものをねだることがない。背中に小さな妹を結(ゆわ)いつけているから他の子の遊びの輪にも入れない。玩具は器用な手先で作る竹とんぼだ。阿武隈山麓の開墾者として生きた吉野せいの「洟(はな)をたらした神」で、無情なしつけにも従う子に注ぐ母の視線には憐憫(れんびん)の情があふれる▼そんな6歳の子が初めて「ヨーヨーを買いたい」と二銭を欲しがる。応えてやれない母は「ヨーヨーなんてつまんねえぞう」と諭しながらも、貧乏と闘うだけの心の寒々しさを悔やむのだ▼家族の介護や世話をする子どもたち「ヤングケアラー」について、国が初めて行った調査の結果に驚いた。対象となった公立中学2年生の5・7%、全日制高校2年生の4・1%が家族の世話をしていた。20人前後に1人の割合となる▼気がかりなのは、その存在に目が届きにくいことだ。世話をする中高生の6割超が誰にも相談していなかった。同世代どころか社会からも孤立すれば、影響は学業や進路にとどまらない▼ノボルの母はヨーヨーを自作するわが子に救われるが、無理を強いる自責の念は拭い切れないのだろう。童謡「夕日」を口ずさむ子の姿に「重いカセを解き放される自由の日暮れを待ちわびているのかもしれない」と記す▼一人で背負う荷物は重かろう。きょうはこどもの日。声を上げることもかなわぬ子に手を貸すのは社会の役割である。2021・5・5

 元稿:北海道新聞社 朝刊 主要ニュース 社説・解説・コラム 【卓上四季】  2021年05月05日  05:00:00  これは参考資料です。 転載等は各自で判断下さい。

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