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肩の鸚鵡は何を語る ホームズ最後の解決

2010年01月31日 | ミステリ
日本では「ユダヤ警官同盟」で、
SFとミステリと純文学を横断するジャンルミックス作家として
一躍有名になったマイケル・シェイボンの新潮文庫2作目は、
なんとホームズパスティーシュ!

作中に「ホームズ」という名はいっさい登場しませんが、
もうあきらかに「その人」です。
装丁(背の色と書体)はブルーと太明朝になっていますので、
新潮文庫の正典といっしょにならべても違和感はありません。
むしろ新潮文庫公認のパスティーシュなのか?と勘ぐってしまいます。
(昔出ていた「ルパン」ものみたいに)

以下ネタバレです

しかし、内容はわりと現代的(作中の時代設定は1944年、ホームズは89歳)で、
文体も視点が自由に移動していて、うっかりすると主語がだれだったか勘違いするほど。
(それはわたしの注意力が足りないのですね)

ある章はオウムの視点で語っていたりするので、
まっとうなパスティーシュを期待するとちょっと筋違いかもしれません。
じつは「視点」が書かれていない人物が犯人なのですが、
ミステリ的トリックは皆無なので、その点でもいわゆる「ミステリ」ではないかもしれません。
短く簡潔な言葉で内面描写されているところに原著者の才能と翻訳者の腕を見ました。



シャーロック・ホームズ 最後の解決
マイケル・シェイボン著 新潮文庫
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