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チラシの裏

ビブリオバトラー危機一髪

2024年05月28日 | 雑日
■地元の図書館で「ビブリオバトル」なぞというものがあったので、速攻参加ボタンをポチッとな。
テーマは「ミステリー本、意外な犯人、あっと驚く展開~」
★似合わんですね~、他人の話なんて聞かないタチでしょうに。
■でも、他にどんな人や本が登場するのか興味があってさ。
もしかしたら、紋付袴で総髪のじいさんが「その程度で黒死館殺人事件を語るとは片腹いたいわ!」とかなんとか怒鳴ってくるかな~
(ちょっと期待していたんだけど)なんて。
★え、「黒死館殺人事件」を持っていったんですか!
■だって、どんな相手が来るかも分からないだろう。
できるだけ最強の武器を持っていかねば、と思ったんだ。
★で、どうだったのですか、バトルになったんです?
■たとえるならば、子どもたちやお母さんたちが集まったトランプのババぬきに、
鎧兜で太刀を握ったオヤジが参加したみたいな。
★あー、なるほど。過剰武装した空気を読めない変なオヤジだったんですね。
■「で、どんな話なんですか」とか質問されたし。
★どうせ、屁理屈ばかり言ってたんでしょ。
■だってさ、ミステリ好きが集まるんだから、みんな「黒死館殺人事件」ぐらいは既読だと思ったたんだよ。
50年ぶりに再読もしたし。おかげで「黒死館殺人事件」がちょっと分かった気がした。いい機会だったね。

以下、気づいたこと。
○「黒死館殺人事件」は視覚化できない、言葉による大伽藍≒サグラダファミリア。
「ビブリオミステリ」であり、地の文もキャラクターのセリフもすべて「中世の古典籍からの引用」で出来ている。
○小栗虫太郎の頭の中の世界なので、登場人物は全員たがいに理解済み、あえて言えば虫太郎がコスプレをして演じているとも。
小説作法としてみるならば、「小説以前」(乱歩の序説)の小説とは正鵠をえているが、
サグラダファミリアを見あげたときのような、(一人の)人間が作った言葉によるテーマパークと思えば驚嘆するし、腹も立たない。
○探偵法水麟太郎と、支倉検事と熊城警部との会話は漫才そっくり。
ボケがひたすらあり得ない話をしゃべり続け、「やめなさい」「なんでやねん」といったツッコミがセリフをはさむスタイルは、
さながらうなづきトリオ。
○ルビの多用は、80年代のサイバーパンクSF翻訳文(とくに黒丸尚)を連想させる、
と同時にプロットの支離滅裂さが国枝史郎をも連想させる。

★法水麟太郎と支倉検事のやりとりは、たしかにうなづきトリオですね。
■唯一、おかあさんたちに少し受けたのは、「この本(「黒死館殺人事件」)は母親の蔵書でした」と説明したところかな。
★いい歳して母親がかりかい、みたいな残念なセリフですよ、それ。
■マザコンじゃないからね!
★もう出ることはないんでしょう?
■テーマに「SF」があったら出るさ。
★やめたほうが。
■客層がわかったから、彼女たちに受けそうな女性作家でもっと明るいSFを物色中だよ。
★あ~
■でもそういうSFを読んでこなかったからなあ。ティプトリーじゃ暗いし、ル=グウィンじゃハードだし。
いい人いないかねえ。
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