光人社というと、雑誌「丸」やright wing系の書籍を出している出版社ですが、光人社文庫には意外な拾いもの(?)があったりします。これもその1つ。
第二次世界大戦時に計画された(&その無謀な設計のため計画倒れとなった)航空兵器について、執拗なスペック解説とともに3面図まで載せているマニアックな本です。ドイツのロケット兵器をはじめ、目的のためにはトンデモなデザイン&設計となった異形の飛行機たち . . . 本文を読む
わが青春のアル…、もうええちゅうんや。
サンリオSF文庫の亡霊シリーズ、いや失礼、国書刊行会の未来の文学シリーズ第2期の短編集のかたわれ「グラックの卵」をやっと読了。時間かかりましたなあ。それはたぶん真ん中に入っているスラディックの「マスターマンと社員たち」がしんどかったせい、です。
ボンド「見よ、かの巨鳥を!」、カットナー「ギャラハー・プラス」、コグスウェル「スーパーマンはつらい」、テン「モ . . . 本文を読む
創元推理文庫には。定番「怪奇小説全集全5巻と」いう傑作アンソロジーがあるんですが、これはその日本版。
1巻は小泉八雲からスタートして、漱石、犀星、佐藤春夫、谷崎、川端等の大文学者から岡本綺堂、江戸川乱歩、夢野の戦前怪奇派までの近代初期怪奇小説とでも言うパートの作品を掲載。
岡本綺堂はともかく、意外に恐かったのは大泉黒石の「黄夫人の手」。中篇ほどの長さがあり最初はとっかりにくく、投げようかと思ったの . . . 本文を読む
映画メトロポリス(もちろんフリッツ・ラング)のDVD日本版が出るそうです。
アマゾンで見ると、世界に散らばっているフィルムを探して修正を加えたものだそうです。、大幅に映像を修正、かつ修復されたカットもありそうです。
うむ、ちょっと心が動きます。
ただし映画を観ただけだと、マッドサイエンティストがなぜ最後にマリアを襲うのか、あるいは支配者との関係、がよく分からないですよね。
原作では、支配者とマッド . . . 本文を読む
少女たちのはかない現在/永遠、というテーマを持つもうひとつの作品、「スウイングガールズ(SG)」。
また~、と言わないで。女子高生がスウイングジャズを演奏するという映画ですが、登場するのは現役の女子高生、またはこのあいだまで女子高生だった子たち。ゆうなれば「シムーン」のキャラ設定と同じ年齢なのです。「SG」の子たちは映画の中でも、実際の生活でもミュージシャンになるわけではなく、たった1回の演奏会を . . . 本文を読む
シムーンを観ていて、まだ総作画監督西田さんのHPとブログをご存知ない方は、
これ必見です。オモテには出てこない裏設定がバシバシ出てきます。
けれど監督さんではないので、あくまで西田世界のシムーンキャラクターということで。
思いっきりディープな関西弁でしゃべるキャラは抱腹絶倒です。
http://yaplog.jp/aslog/ . . . 本文を読む
「シムーン」がとうとう次回で最終回を迎えます。実質的には25回がお話の大団円で、最終回である26回はエピローグみたいです。
主役の2人は自由な世界へ飛び立っていっちゃったわけですが…
タイムパラドックスとかタイムマシンとかいった面倒くさいガジエットや理屈は無視というか、それで正解だったですね。
お話の本質は「少女どうしの恋愛と自己の発見」だったのですから。
とはいえ伏線張りまくったおかげで解決 . . . 本文を読む
スミスという名前はありきたりな分、SFファンタジイ界にも同名作家が幾人かいます。E・E・スミス、コードウェイナー・スミス、ジョージ・O・スミス、ジョージ・H・スミスなど。
ところが、このクラーク・アシュトン・スミスはSFやファンタジイも書くけれど、あの世界とも深くつながっていたのです。あの世界とは、プロヴィデンスの深い闇の中、そうですクトゥルー神話のことです。ラブクラフトとも友人だったそうで、クト . . . 本文を読む
ネタバレあり
マイケル・ムアコック『白銀の聖域』が10月に創元推理文庫で復刊されます。初出は10年前でした。いまムアコックのエターナルチャンピオンシリーズが創元と早川で復刊されていますが、この「白銀の聖域」はノンシリーズです。ですが内容は似たような感じで、暗ーい主人公が運命だとかなんとか言って、登場人物全員を破滅へ道連れにしちゃいます。とくにヒロインの弟の死に様が異様です。男ならこんな死に方はした . . . 本文を読む
著者の本職はプリンストン大学の数学者。まったくの余技でこんな本を書くんだから一芸に秀でるものはなんとやら、です。プロパーではないので、先学のことなどものともせず、自分の好きな話だけを選んで載せているのはアマチュアはかくたるべし、といういい見本ですなあ。なので、日本未紹介の話も多い。
「青蛙房奇談」とか「捜神記」など好きなむきにはぜったいにおすすめです。後書きで日本の研究者の本をあげておきながら、一 . . . 本文を読む
最近は「7王国の玉座」とかなんとかというブロックバスターファンタジイを書いているジョージ・R・R・マーティンが発表したB級SFです。B級といってもけなしているのではなく、ウェルメイドなB級はわけのわからないAクラスよりずっと美味しい、という意味です。
いわゆるレイバーデイ・グループの残党がアナクロな設定でSFを書いたもので、既知宙域を支配していた地球帝国が崩壊した千年後でも、宇宙にはアメリカ人し . . . 本文を読む
シャーロック・ホームズのSF大冒険
ドイル家の承認のもとに編纂された、SFネタ書下ろし短編ホームズパスティーシュ集。タイムトラベル、クローン、宇宙人等、ネタがやや偏っていますし、アンソロジーの宿命として玉石混合。
「数の勝利」(ゲイリー・アラン・ルース)
コピーマシンで有名人を複製する悪人を捕らえるために、自分自身を複製して対抗するホームズ。13人のホームズが揃うところは、探偵戦隊ホームズ。おばか . . . 本文を読む
帯に「本格ミステリー」とありますが、創元推理文庫的カテゴリに従えば、「猫」でしょう。フレッド・カサックとかビル・S・バリンジャーといった作家の作品と仲間のようです。奇術師が罠をしかける話で、プロットが二転三転どころか、6転7転ぐらいします。こうなると伏線どころではなく、考えられる限りのドンデン返しが展開します。そういう意味では老練大家の技術拝見ということも。
マシスンというとわたしは映画「地球 . . . 本文を読む
イアン・マクドナルドは作品は2冊出ています。『火星夜想曲』『黎明の王 白昼の女王』です。
『火星夜想曲』はブラッドベリの「火星年代記」、マルケス「百年の孤独」を中心ネタに、SF作品のオマージュをちりばめた傑作です。著者本人に言わせると「リミックス」だそうです。音楽ネタでポール・マッカートニーも出てますけどね。手法的にはベスターの「虎よ!虎よ!」を思えば近いかもしれません。
『黎明の王 白昼の女王』 . . . 本文を読む
司馬遼太郎とか吉川英治といった大御所による真面目なものとは一線を画した、ウソ八百をホントらしく見せた時代小説の一群があります。柴田錬三郎の作品をそこに入れると黄泉にいる著者から怒られそうですが、おもしろいいモンはおもしろいんです。
たとえば『赤い影法師』は掛け値なしのノンストップ時代小説。読み始めたら、もうとまりません。徳川家光の御世、寛永御前試合に挑戦する謎の忍者、影。服部半蔵、柳生但馬守、影 . . . 本文を読む