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チラシの裏

禁じられた館

2023年03月18日 | ミステリ
前評判が「埋もれた傑作」あるいは「駄作」、
あまり期待せずに読んだのが良かったのか、
けっこう面白かったです。
物語の中心に犯行の謎をおいてきちんと書かれている点、
少なくともバウチャーやロースンよりずっと上。
翻訳文がという批判は、昔のポケミスに慣れていれば、これで上々ですよ。

単純な殺人事件を外堀から埋めていき、矢継ぎ早に展開を畳みかけてくる過程自体が目くらましですね。
落ちついて考えると舞台裏が透けて見えるので、読者にそうさせないようにしている。
※被害者も濡れていたのでは?

1932年発表作品。
ということはクイーン「ギリシャ」「エジプト」「X」「Y」のころ、
カーは「蝋人形館の殺人」(フェル博士ものを書く前)のころです。
クイーンの国名シリーズの後半諸作から蘊蓄を削ったら、いい勝負かも。
ただこのあとも(これが一作目)このレベルを維持できる(た)かどうか。
最後のドンデン返しが推理の結果ではなく、経験から出てきた身バレというのが惜しい。
それもさすがはモンテクリスト伯のお国柄といえば納得。

カーファンとしては「三つの棺」(1935年)がチラチラ見えるんですがね。
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