日本では「ユダヤ警官同盟」で、
SFとミステリと純文学を横断するジャンルミックス作家として
一躍有名になったマイケル・シェイボンの新潮文庫2作目は、
なんとホームズパスティーシュ!
作中に「ホームズ」という名はいっさい登場しませんが、
もうあきらかに「その人」です。
装丁(背の色と書体)はブルーと太明朝になっていますので、
新潮文庫の正典といっしょにならべても違和感はありません。
むしろ新潮文庫 . . . 本文を読む
日曜日の早朝に放映している「仮面ライダーW」は、
『探偵物語』と『デスノート』を足して3で割ったような設定が楽しいですね。
1エピソードが前編後編の2回に分かれていて、それぞれが問題編と解決編にあたるというわけです。
謎といったって子ども向け番組ですから、
「誰がドーパント(怪人)なのか」という、たわいのないものです。
でも、ときどき「意外な人物」な怪人だと分かり、ヒザをたたくことも。
怪人の . . . 本文を読む
カーの作品を読み直す作業が妙に面白いこのごろです。
昔ちゃんと読んでいなかったことのおかげですねえ。
この「死時計」、「つまらない」「わけがわからん」とかいろいろ評価(おもに負のほう)があるようですが、
分析してみると意外に面白い点がでてきます。
まずは「劇場型犯罪」であること。
カーには「衆人監視の中での不可能犯罪」をテーマにした作品が多くあります。
デビュー作の「夜歩く」がそうですし、
代表 . . . 本文を読む
ケロロ軍曹 1月23日放映の「モア さよならペコポン であります」
ケロロ軍曹がモアちゃんの悩みを解決したとき、自慢気にこのコスプレで登場。
誰の真似なのか?としばらく考えていたのですが、
もじゃもじゃの天パー頭に鼻の下のチョビひげ&人生相談
↓
漫画家の故加藤芳郎さん! ですね。
. . . 本文を読む
いまは無くなってしまった社会思想社から、
現代教養文庫というありあがたい名前の文庫が出ていました。
(社会思想社は2002年に事業を停止)
その中に「探偵小説の謎」(江戸川乱歩著)という両刃の剣のような本がありました。
たしかにミステリへの入り口にはぴったりなのですが、
あまり読みすぎると、
乱歩が紹介した本を読んだときに妙な既視感をおぼえるのが玉にキズ。
現行本では上の「江戸川乱歩全集 第23 . . . 本文を読む
「孔雀の羽根」 カーター・ディクスン
30年ぶりに読み返したんですがね、これはまた真っ向勝負のミステリですね。
オカルト、ドタバタ、活劇もなし、
ひたすら「WHO」と「HOW」を読者に挑んでいる、といった感じです。
それだけにカーとしては珍しく、オーソドックスなミステリフォーマットで書かれています。
視点はポラード巡査部長に固定されているので、殺人の起きた後の関係者への尋問が続き、
やや退屈な . . . 本文を読む
思いもよらずSFになっていることにびっくり。
ラストは「エヴァの真似」、などという意見が出てくるかもしれませんねえ。
旧い人間(わたし)は手塚治虫の作品「日本発狂」を連想しました。
「日本発狂」は霊魂の輪廻転生をSF的に解釈して、
死後の世界(前世)から霊魂がこの世界へ侵入してくる話で、
オカルトドラマに始まり途中でポリティカルコメディ(?)へシフトして、
リリカルなエピローグで終わる、ストーリー . . . 本文を読む
この作品でカーはなにをしたかったのでしょうか。
事件の世界を外界と隔絶させて、クローズドサークルの中での犯人探し、が一点。
それと、被害者の身元を曖昧にしておいて意外な犯人トリックをしかけることも一点。
被害者の身元を曖昧にするトリックは「盲目の理髪師」「九人と死で十人だ」で使われていますが、
この作品の被害者は「ドラモンド」として殺されたのか、「ガスケ」として殺されたのか、
最後まで判然としませ . . . 本文を読む
創元推理文庫から、カーター・ディクスン「一角獣の殺人」が出ました。
別冊宝石~国書刊行会世界探偵小説全集といちおう読んできていますが、
じつはあまりちゃんとストーリーを把握していないのです。
結局どんな話だったの? という感じです。
せっかくなので、創元文庫版でしっかり筋を追ってみたいと思います。
ところで、創元文庫版13ページにジャズソングの歌詞で
「イエス、ウィ ハヴ ノーバナナズ」と書かれ . . . 本文を読む