[※ 自公選挙公約「子育て…」小躍りするアベ様…日刊ゲンダイ(2017年12月19日)↑]
日刊ゲンダイの記事【怯むなANAホテル!ウソと詭弁を終わらせろ/青木理氏「無知」と「無恥」に蝕まれる憲政史上最愚の政権】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/269585)。
《成蹊大で現首相を教えた碩学が発した言葉は強烈だった。かつての教え子を評して「二つのムチ」に蝕まれていると。それは「ignorant」の「無知」と「shameless」の「無恥」だと》。
『●沖縄イジメ: アベ様…「大学時代の恩師は
二つのムチ(無知、無恥)を挙げ「彼は歴史を知らない」」』
『●《恥を知》らない《日本新悲劇の座長》(星田英利さん)な
裸のアベ様…予算委員会のための時間が無いらしい』
『●アベ様の無恥・無知・鞭…(リテラ)《とりわけ安倍首相
だけが何段も上のレベルでタブー視されている》現状…』
「アベ様の無恥・無知・鞭…を、テレビでは、ほとんど批判できない。
《とりわけ安倍首相だけが何段も上のレベルでタブー視されている》
現状は、あまりに悲惨過ぎる。マゾヒスティックな信者が心酔する、
こんなサディスティックな独裁政権の下、委縮した社会のままで
いいのですか?」
アベ様の無恥・無知・鞭…、さらに、《悪辣、卑怯、狡猾、下品、姑息》(松尾貴史さん)。
《そこまで政治家に期待するほどウブではない。ただ、子どもでもわかる嘘をこれほど連発して恥じない首相がかつていたか》? 答えは「Noだ」! 歴代自民党総裁・首相はろくでもないが、明確にアベ様は飛び抜けている。青木理さん《「憲政史上最悪」か「憲政史上最愚」》。青木理さんのこの記事、一言一句、完璧に的確な指摘だ。
『●アベ様らの数々の不正や無能っぷりは、自公お維支持者や眠り猫な
間接支持者も持つ共通認識…それを許容するかどうかが大問題』
「《たわ言を聞く余裕はない》はずなのに…内閣支持率未だ3~4割の
異常な国。下足番紙に至っては、5割近いらしい。《日本の三権分立や
秩序や道徳心も崩壊》しているというのに…。《大方の政権擁護派は
「他の人に首相が務まるのか」という愚問で対抗》している場合か?」
「それを許していたら、ニッポンは民主主義国家や法治主義国家では
ありませんよ、と宣言するようなもの。ニッポンはアベ様による
人治主義国家、独裁国家と世界に宣言するようなものなのですが、
「1/4」や「2/4」の皆さんは、それでいいのですか?」
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【https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/269585】
怯むなANAホテル!ウソと詭弁を終わらせろ
青木理氏「無知」と「無恥」に蝕まれる憲政史上最愚の政権
2020/02/27 06:00
(青木理氏(C)日刊ゲンダイ)
■青木理氏(ジャーナリスト)
現首相のルーツや生い立ちを取材して「安倍三代」(朝日文庫)を書いた際、成蹊大で現首相を教えた碩学が発した言葉は強烈だった。かつての教え子を評して「二つのムチ」に蝕まれていると。それは「ignorant」の「無知」と「shameless」の「無恥」だと。
改憲を訴えているのに憲法学の泰斗である故・芦部信喜すら知らないと国会答弁で公言し、それを恥じている様子もないことを嘆いての言葉だったが、あまりに強烈な教え子評に驚きつつ、なるほどそうだとうなずきもした。
その言葉を最近、あらためて反芻させられている。森友、加計、桜。政権の体質を如実に示す醜聞が噴き出すたび、口から吐き出されるのは嘘、嘘、嘘のオンパレード。多少なりとも廉恥の心があれば、とても耐えられないと思われる嘘や詭弁を弄し、責任は官僚や民間にすべて転嫁して平然としている。
これもかつて「政治家に正直や清潔という徳目を求めるのは、八百屋で魚をくれというのに等しい」と言い放った政治家がいた。そう、それもまた真理ではある。そこまで政治家に期待するほどウブではない。
ただ、子どもでもわかる嘘をこれほど連発して恥じない首相がかつていたか。少なくとも私はにわかに思い浮かばない。そんな男が政権の主に居座り、強権にひれ伏す官僚組織には忖度が蔓延し、甘い蜜にでもありつきたいのか、メディアにも提灯持ちが列をなす。
これはつまり、「無知」で「無恥」なバカ者が権力という妖刀を振り回せば、このような惨状を呈するのだという格好の歴史教材。ならばこの政権は「憲政史上最長」などというより、「憲政史上最悪」か「憲政史上最愚」の呼称こそふさわしい。
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[※ 「こんな人たち」 報道特集(2017年7月8日)↑]
リテラの記事【松尾貴史が語るテレビで芸人が権力批判できない理由…安倍首相のモノマネに「誰かが号令かけたように苦情の電話が」】(https://lite-ra.com/2019/07/post-4803.html)。
《そんな松尾貴史が、最近、スタジオ・ジブリが発行する小冊子「熱風」6月号で、ジャーナリスト・青木理氏との対談に登場。芸能界の内側から“お上にモノを言えない雰囲気”を分析し、日本のマスメディアの問題を深くえぐっているので紹介したい》。
『●「あれはまさに安倍政権のグロテスクさが濃縮され
露わになった瞬間」…「茹でガエル」ニッポン』
「『LITERA 本と雑誌の知を再発見』(http://lite-ra.com/)の
水井多賀子氏の記事【安倍「拍手・起立」を井筒監督と松尾貴史が
痛烈批判!「自衛隊員が死ぬたびに拍手送るつもりか」
「ユーゲントのよう」】」
《松尾は、安倍政権や報道が他国からの脅威、恐怖をことさら煽っている
のではと疑義を呈し、ナチス・ドイツの国家元帥だった
ヘルマン・ゲーリングの「国民を戦争に引きずり込むのは簡単である。
外国に攻撃されつつあると言えばいい。それでも戦争に反対する者に
対しては『愛国心がない』と批判するだけでいい」という証言を紹介。
そして、こんな言葉で文章を締めくくっている》
『●松尾貴史さん「政権を擁護する提灯持ちが解説者と称して出演…
批評性がないくせに評論家のふりをして…」』
《心根も作法も悪い安倍政権 議論を拒み、「中間報告」という禁じ手で
「共謀罪」法を成立させた安倍政権に対し、ツイッターで
〈悪辣、卑怯、狡猾、下品、姑息〉といった激しい言葉を羅列して批判した。
皮肉を効かせた風刺を身上とするタレントの松尾貴史氏(57)には珍しい
ストレートな物言いだ。ものを言わない芸能人が多い中、堂々と自らの
主張を発信するのはなぜか。その思いとは――》
『●松尾貴史さん×室井佑月さん対談、
「安倍首相は、嘘も権力の私物化も恥ずかしいとすら思っていない」』
『●成田三樹夫さん、《権力にへたへたする役者じゃ意味がない。
…バカがどんどん図にのるんだよ、ハハハ》』
アベ様による善政は何一つ無し。悪辣な独裁状態。そんなアベ様の「政」で唯一〝上手く行っている〟のが、メディアコントロール。《日本のメディアの閉塞状況》《閉塞するメディア、政権批判に対して圧力がかかる不健全な言論状況》…。
『●沖縄イジメ: アベ様…「大学時代の恩師は
二つのムチ(無知、無恥)を挙げ「彼は歴史を知らない」」』
アベ様の無恥・無知・鞭…を、テレビでは、ほとんど批判できない。《とりわけ安倍首相だけが何段も上のレベルでタブー視されている》現状は、あまりに悲惨過ぎる。マゾヒスティックな信者が心酔する、こんなサディスティックな独裁政権の下、委縮した社会のままでいいのですか?
『●アベ様の政で唯一〝上手く行っている〟
メディアコントロール…「一人でも権力に立ち向かう」とはいうものの…』
『●南彰記者『報道事変』…《皆さんと一緒に考え、
新しい時代のメディア、ジャーナリズムをつくっていきたい》』
『●《日本のメディアの閉塞状況》《閉塞するメディア、
政権批判に対して圧力がかかる不健全な言論状況》…』
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【https://lite-ra.com/2019/07/post-4803.html】
松尾貴史が語るテレビで芸人が権力批判できない理由…安倍首相のモノマネに「誰かが号令かけたように苦情の電話が」
2019.07.11 09:13
(小冊子「熱風」6月号(スタジオ・ジブリ発行))
「老後は年金に頼るな、2000万円自助で貯めろ」とする金融庁の年金問題で、結局、報告書の受け取りを拒否、国会でも集中審議に応じず争点を隠して参院選に臨もうとしている安倍首相。相変わらずの強権政治と言わざるを得ないが、テレビではそうした首相の国民軽視を批判するどころか、コメンテーターの芸人やタレントらがお茶を濁してばかりで問題を追及しようとしない。
そんななか、メディアやSNSで安倍政権へ果敢に苦言を呈しているのが、マルチタレントの松尾貴史だ。
松尾といえば、俳優としてドラマ『獣になれない私たち』(日本テレビ)での好演が記憶に新しいところだが、最近もTwitterで年金問題について〈都合の悪い報告は拒否するという愚行の方が逆に不安や不信を助長する。労働統計のイカサマといい、年金財政検証を参院選後に発表するという姑息といい、この政権のなりふり構わぬ足掻きは醜悪過ぎる〉(6月12日)と痛烈に批判した。
文筆活動でも、毎日新聞の連載コラムでは政治や社会問題を深い教養に裏付けされた言葉で紡ぎ、今年2月にそれをベースにした著書『違和感のススメ』(毎日新聞出版)を上梓。つねに“多数派”を疑いながら、メディアタブーや政権批判に踏み込んでいる。
そんな松尾貴史が、最近、スタジオ・ジブリが発行する小冊子「熱風」6月号で、ジャーナリスト・青木理氏との対談に登場。芸能界の内側から“お上にモノを言えない雰囲気”を分析し、日本のマスメディアの問題を深くえぐっているので紹介したい。
まず、青木氏が、芸能活動に関わっている人たちは、自らの政治的信念などの発言を避ける傾向が明らかに強いと言うと、松尾は「同調圧力」とは別に、「芸能分野のビジネススタイルの因習」が背景にあると指摘する。
「たとえば江戸時時代の、おそらくは芸者の置屋からきているような気もするんですが、「置屋はんに迷惑かけたらあきまへん」「旦那衆に迷惑かけたらあきまへん」という世界。置屋や旦那衆に迷惑をかけないよう、行く先々の水に合わせなければならず、だから当たり障りのないような振る舞いをする。日本の芸能界の場合、大きな芸能事務所が芸人を雇って派遣するという形が長く続いてきましたね。いわば芸人の元締めのような形で芸能プロダクションが存在する。そうすると、多くの人気者を抱える芸能プロダクションとしては、さまざまな企業や団体との利害なども考えるようになってくる」
芸能プロという元締めの存在は、まさにテレビで政権批判がタブーになっていく構造の特徴のひとつだが、他方、欧米の芸能界では俳優やミュージシャンたちが積極的に政治批判をし、それが世間でも大きな話題となっている。松尾は、それは「自分が自分のエージェントを選んで雇っているから」だとして、さらに、「社会風刺」に対する歴史的な文化の差異を理由にあげる。
「欧米では、宮廷道化師のような存在も歴史的にありました。その道化師だけは王様に失礼なことをしても許される。そういう存在が日本にはたぶんなかったんじゃないでしょうか。力の強い人に対してものが言えないという風潮がものすごく強い」
■松尾貴史が語る「叩きやすいものを叩く」風潮とその背後にある閉塞感
政権中枢など力の強い者へは過剰に忖度する一方で、ネット上では、少しでも安倍政権に批判的だととらえられた言論は、確実に安倍応援団やネット右翼から標的にされる。また、政権の重大不祥事や問題発言が大して批判されないまま、「バイトテロ」や「交通事故の加害者」などはその何百倍もネット上で批判にさらされ、過剰な社会的制裁を受ける。いわば批判の価値観の転倒だ。
「いわば、誰もが叩きやすいものを叩いて溜飲を下げるという風潮の背後にある閉塞感。ほかに鬱憤ばらしをする場がないから、誰かが少し道を踏み外したら寄ってたかって叩きのめすという気持ち悪いムード。もともとこの国にはそういう面があったのかもしれません。たとえば関東大震災の際の朝鮮人虐殺とか、誰もが善良な市民の顔をして普段生きているけれど、誰もがそういう負の側面も持っている。最近は匿名のネット上で誰かを叩いたり、デマを拡散して溜飲を下げてみたり……」(松尾)
松尾が言うように、「叩きやすい者だけを叩く」という性質はネットで広くみられるが、それはテレビにも同じことが言えるだろう。青木氏が、昔のテレビでは政治家のモノマネなどの政治風刺があったが、最近は見られなくなったと指摘すると、松尾は、自身がかつて安倍首相のモノマネをテレビで披露したときに受けた“圧力”についてこう語るのだ。
「まだ政権に復帰する前、自民党総裁選に出馬したころのことです。そうしたら、そのテレビ局に苦情の電話が、まるで誰かが号令をかけたように大挙して押し寄せたらしいんですね。で、「次回からは結構です」と言われてしまった。ひょっとしたら誰かに雇われたアルバイトなのか、あるいは義憤に駆られた人たちが同時多発的に電話をかけたのかは知りませんが、そんなふうにプレッシャーめいたことが起きるようになったのが一因かもしれません」
たしかに、テレビで安倍首相のモノマネをすれば、すぐさま親衛隊のネット右翼たちが局に“電凸”と呼ばれる抗議を殺到させ、Twitterなどでも炎上に追い込むのは火を見るより明らかだ。松尾や青木氏も指摘しているとおり、海外では、コメディアンがトランプ米大統領のモノマネなどで強い社会風刺を表現し、それが視聴者にも受け入れられているのに、日本ではそれが「けしからん」として逆にバッシングを受けてしまうのだ。
■安倍首相だけが何段も上のレベルでタブー視されている現状
しかもこの問題は、単に「政治家を笑う」ということ自体がタブー化しているということではない。現在の政治のなかで大きな力を持たない野党や若手の議員、あるいは地方議員の場合、ワイドショーは彼らの問題発言やトンデモ言行を盛んに取り上げ、普段、政治的話題に触れない芸人やタレントたちも口を揃えて批判に転じるケースがある。数年前、「号泣議員」としてあらゆるメディアから笑われた野々村竜太郎・元兵庫県議などはその最たる例だろう。
しかし、これが安倍首相となると話はまったく違う。たとえば第一次政権の際、任期途中で突然、総理をほっぽり出した無責任ぶりに触れれば、即座にネトウヨたちが「持病をバカにした!」などと言いがかりをつけてくる。また、芸人やタレントが野党の政治家を批判しても何も言わないが、たとえば、ウーマンラッシュアワーや爆笑問題などが安倍政権を揶揄するネタを披露すれば、狂ったようにいっせいに牙を剥く。
つまり、「権力・権威を笑う」ことが忌避されるテレビのなかでも、とりわけ安倍首相だけが何段も上のレベルでタブー視されているのである。当然、そうした“安倍揶揄”に対する炎上攻撃を目の当たりにしたテレビ局や他のタレントたちは萎縮し、「笑い」だけでなく、ちょっとでも政権に批判的なコメントをも封印してしまう。そうした負のサイクルがすでにでき上がってしまっているのだ。
もっともこうした現象については、青木氏も「広い意味で政治的な発言ということで言えば、情報番組の司会やコメンテーターをしている芸人やタレントはたくさんいるし、首相をゲストに招いたお笑い番組まであるというのに、そうしたケースでは大した批判が起こらない」と言及している。これに対して松尾は「要するに、強い者を味方する発言は許されるんです。逆に、強い者に歯向かうような発言は批判されてしまう(笑)」と述べているが、まさにそのとおりとしか言いようがない。
■松尾貴史が政権批判を続ける理由「収入は半分くらいになったけど、次の世代を考えれば」
その意味でも、松尾のようにウィットに富んだ政治批判を続けるメディア人は貴重だが、やはり、周囲からのプレッシャーは凄まじいものがあるようだ。前述した著書『違和感のススメ』では、一億総活躍社会などの政策、森友・加計学園問題をめぐる政府対応などを鋭く批判的に批評しているのだが、芸能の世界でこうした問題提起をする難しさは、松尾自身が身をもって知っている。それでも松尾を駆り立てているのは、日本を“戦争のできる国”につくりかえている安倍政権への危機感なのだろう。
「収入で言えば、たぶん半分くらいになっているかもしれませんが、子ども世代が戦争でひどい目に遭うかもしれないとか、そういう可能性を考えれば、いま受けているストレスなんてケタ違いに小さいんじゃないですか」(松尾)
もちろん、政権批判を理由に仕事を干されるということなどあってはならないが、それ以上に、松尾が対談の最後で強調したのは、「権力に対する風刺」を含む権力への批判をためらわないための、積極的な戦略と心構えだった。
「だから一番大切なのは、きちんと批評性のあるものを、時には面白おかしく作ること。そういう才能のある放送作家だとか、パロディに達者な人たちを集めて情報発信する拠点を作る必要があるかもしれません。ただ、そういう賢い人たちって、賢いから仲間割れをしやすいところもあって(笑)」
「政治の世界だって、政権とか与党っていうのは権力と金を持っているから、放っておいてもたくさんの人が自然に群がるわけでしょう。一方、批判する側はみんな正しい批判をしているんだけど、誰もが自分は正しいと思っているから、そのうちにだんだん仲間割れを起こして、力が分散してしまう。最近の選挙の結果ってそういうことでしょう」
たしかに、ある意味でネトウヨや応援団文化人は下品ではあるが、それゆえに“安倍サマ”の大号令で一致団結している。一方、メディアにいる気骨のある記者やディレクターは組織のなかで孤立しやすく、政界では野党同士の連携が不十分なのは間違いないだろう。
しかし、このまま安倍政権を放置していれば、明日が今日よりもまたひとつ悪くなっていくだけだ。社会風刺の本質は、自らが真剣に「おとなしさ」を捨てることで権力を笑い者にし、それによって立ち向かう流れをつくっていくことではないのか。政権とその応援団のあまりの傍若無人ぶりにへこたれている人は、是非、松尾貴史のやり方を目に焼き付けてほしい。
(編集部)
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[●『国民のしつけ方』(斎藤貴男著)読了…《それは調査報道…「番犬(ウォッチ・ドッグ)」としての役割》↑]
リテラの対談の前編【室井佑月の連載対談「アベを倒したい!」第11回ゲスト 松尾貴史(前編)/松尾貴史と室井佑月が本音で語る安倍政権の危険な本質!「安倍首相になってからメディアへの圧力が露骨に」】(http://lite-ra.com/2018/08/post-4165.html)と、
後編
【室井佑月の連載対談「アベを倒したい!」第11回ゲスト 松尾貴史(後編)/松尾貴史と室井佑月が体験した安倍政権からの圧力と「反日」バッシング!「日本をいちばん貶め壊しているのは安倍さん」】(http://lite-ra.com/2018/08/post-4167.html)。
《それから1年半以上経ったいまも安倍政権下の言論状況に改善の気配はない。それどころか気がつけば、テレビには政権に迎合する芸能人や論客ばかりがますます増えている。そんななか今回、果敢にもこの連載「アベを倒したい!」に登場してくれたのが、タレントの松尾貴史氏だ》
《ふたりの実体験をもとに、安倍応援団やネトウヨによる「反日バッシング」のメカニズム、安倍政治がもたらした社会の分断にも話が及ぶ。なかでも、松尾は国民やメディアをコントロールする安倍政権の巧妙な手法を冷静に分析》
『●「森友、加計、準強姦事件の3つ…
諸悪の根源である“主犯”は目の前にいるのだ」=アベ様御夫妻』
『●『学校が教えないほんとうの政治の話』(斎藤美奈子著)読了
…《あなたの政治的ポジションを見つけて…》』
《あのね、政治を考えるのに「中立」はないの。メディアの役目は
「中立公正、不偏不党な報道」ではなく「権力の監視」なんです。
それ、常識。》《党派性をもたずに政治参加は無理である。》
『●『国民のしつけ方』(斎藤貴男著)読了…
《それは調査報道…「番犬(ウォッチ・ドッグ)」としての役割》』
《ジャーナリズムの最大の存在意義は「権力のチェック機能」である。
…専門的には「番犬(ウォッチ・ドッグ)ジャーナリズム」理論という》
《「番犬ジャーナリズム」は、純粋培養の環境下にあるよりも、
一人ひとりのジャーナリストがもがき、苦悩しながら遂行していってこそ
成長し、民主主義社会に貢献できるのではないか》
『●『追及力 権力の暴走を食い止める』(望月衣塑子×森ゆうこ著)読了
…《今、ジャーナリズムと野党の…》』
《望月衣塑子さんと森ゆうこ(森裕子)さんの対談。お二人の共通した
問題意識は、森友問題・加計問題・準強姦事件の3つ》
アベ様や自公議員らのやっていることは全て、松尾貴史さんのツイートそのもの…〈悪辣、卑怯、狡猾、下品、姑息〉。
『●松尾貴史さん「政権を擁護する提灯持ちが解説者と称して出演…
批評性がないくせに評論家のふりをして…」』
《心根も作法も悪い安倍政権 議論を拒み、「中間報告」という禁じ手で
「共謀罪」法を成立させた安倍政権に対し、ツイッターで
〈悪辣、卑怯、狡猾、下品、姑息〉といった激しい言葉を羅列して批判した。
皮肉を効かせた風刺を身上とするタレントの松尾貴史氏(57)には珍しい
ストレートな物言いだ。ものを言わない芸能人が多い中、堂々と自らの
主張を発信するのはなぜか。その思いとは――》
醜悪なメディアコントロール。アベ様は《盲目的に服従しない者には弾圧で…》。
『●もはやニッポンに「民主主義の看板を掲げる資格はない」…
アベ様は「盲目的に服従しない者には弾圧で…」』
《自民党の石破茂氏が2013年にブログで公にした「デモもテロ」を
思い出す。特定秘密保護法案をめぐる国会周辺のデモが続いた
時期だった。そしてアベ首相は、盲目的に服従しない者には弾圧で
応える姿勢において、おそらくは彼の上を行く》
壊れた社会、アベ様の政…《死にそうな子どもたちを助けるための金と、人をたくさん殺す武器の値段が、どう考えても釣り合わないくらいの使われ方をしている》。
《安倍首相は、嘘も権力の私物化も恥ずかしいとすら思っていない》…、あぁ、絶望的な気分。さらに、それを支えるマスコミ。これまた絶望的か?
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【http://lite-ra.com/2018/08/post-4165.html】
室井佑月の連載対談「アベを倒したい!」第11回ゲスト 松尾貴史(前編)
松尾貴史と室井佑月が本音で語る安倍政権の危険な本質!「安倍首相になってからメディアへの圧力が露骨に」
2018.08.03
(松尾貴史氏と室井佑月対談)
「どんどん仲間がいなくなる」「右のやつらが羨ましい」……昨年1月の連載スタート時にそう嘆いていた室井佑月だが、それから1年半以上経ったいまも安倍政権下の言論状況に改善の気配はない。それどころか気がつけば、テレビには政権に迎合する芸能人や論客ばかりがますます増えている。
そんななか今回、果敢にもこの連載「アベを倒したい!」に登場してくれたのが、タレントの松尾貴史氏だ。
松尾は、政治的発言がタブーとされる日本の芸能界に身を置きながら、毎日新聞の連載コラムやSNSで、ときにストレートに、ときにユーモアを交えて、知的で鋭い政権批判を続けている貴重な存在だ。
対談は、直情型の室井がぶつける疑問と怒りに、知的で冷静な松尾氏が問題の本質を解き明かすかたちで進んだ。安倍政権の最大の問題点とは? 安倍政権になってから明らかに増えた圧力や嫌がらせの正体とは? それでも松尾氏が政権批判を続ける理由とは?
(編集部)
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●安倍首相の悪口を言うと圧力や嫌がらせが…しかも安倍応援団は陰湿で粘着質
室井 20代の頃「anan」(マガジンハウス)で対談させていただいていただいたじゃないですか。もう20年以上も前です。その頃から落ち着いていて、達観しているというか、なんか大人っぽいんですよね。イヤミとかも、すっごく深いの(笑)。
松尾 そんなことないと思いますよ(苦笑)。昔から進歩も退化もせずにキープしているだけだと自分では思ってます。
室井 でも、松尾さんは政治的発言も昔から一貫してる。それは安倍政権になって、芸能界において政治的発言がタブーのようになっても変わっていないじゃないですか。でも、安倍政権の悪口言って大丈夫なの?
松尾 本来、時の政権批判、権力チェックは誰でも大丈夫なはずなのにね。ただ、安倍政権はマスコミに圧力をかけることをすごく一生懸命やってきた人たちなので。僕は無邪気に自分が思ったことを書いたり話したりしているだけ。たとえば麻生太郎さんの記事をリツイートするときに、「阿呆丸出し」って書いたりしたけど、それが本心だから。でも、あの人たちが一生懸命だから、僕はここ数年、情報番組などにあまり出ていないでしょう? 逆に連載コラムやSNSなどでは自由に発言しているし、精神衛生上はいいんですよ。まあ、これまでも「出してください!」と頼んでテレビに出してもらっていたわけではなく、「呼ばれたら行く」「呼ばれなかったら行かない」というスタンスでしたから。
室井 でも、安倍政権になってからマスコミに対する圧力や、マスコミの忖度も露骨になったと思いませんか。小泉さんのときもたまげたことはいっぱいあったけど、こんなに怖くなかったです。小泉さんの悪口いっぱい書いても……。
松尾 変な圧力とか嫌がらせは来なかったもんね。いまは本当に……。そういう意味では、道筋をつけた小泉純一郎さんも罪深いと思いますけどね。
室井 安倍さんの場合は、応援団もひどいでしょ。
松尾 しかもあの方たちの応援団は、陰湿で粘着質です。ただ、思うんです。安倍政権やその応援団の人たちが、絡んでくるってことは、「自分が言ったことが正しかったんだ」ということの証明だと。僕の言葉が「効いているんだな」「痛いところ突かれたんだな」ということの現象なので。逆に、「我が意を得たり」と思うんです。
室井 そういうところが大人。わたしは気が弱くなってきちゃって。自分のほうが間違いなのかと思ってしまうこともあるんです。だって、安倍政権になってからわたしがおっかないと思ったのが、メディアへの嫌がらせって他の政権もしていたけど、ある程度抑制が効いていたし、メディアもここまで萎縮していなかった。でも、安倍政権ってメディアへの介入にすっごく熱心だし、真剣。しかも、ピンポイントで名前をあげたりするじゃないですか。朝日新聞に敵愾心をむき出しにしたりして。
松尾 それで自分の気に入ったところにはえこひいきして、首相インタビューを喜んで引き受ける。そこが面白いですよね。含羞がないというかね、全体的に。欲望に忠実というか。思ったらストレートに欲望を表現することに抵抗感を感じない、脳内に関所が設けられてない方たち、みたいなね。
■政治家のモノマネをしただけで、テレビ局に苦情の電話が
室井 芸能人も、あの人に対して腹が立ってる人いっぱいいると思うんです。でも、なぜ声を上げないんですか?
松尾 「俺は言うよ」って人はいるにはいるんですが、それが少数派になってしまって。たとえば海外では、マドンナやレディ・ガガ、ジョージ・クルーニー、ショーン・ペンとか、政治的・社会的な発言を能動的にする。あれはアメリカのアーティストがエージェントを雇うというかたちも関係しているんです。日本の場合、芸能人と所属事務所は対等ではなく自分が雇用してもらっている、つまり昔で言うところの「置屋さん」に所属している感覚なんです。「置屋さんと旦那衆とお茶屋さんには迷惑をかけられしまへん」というようなメンタリティをもっているんじゃないのかなと。たまに僕みたいな行儀の悪いのが好き勝手言っているだけで、もともとそういう発言をすることに抵抗があるという構造ではあったと思う。
室井 でも、事務所はマージン取ってるわけでしょ。いっぱい!
松尾 いや、そういう筋論じゃないの。たとえば、自分が発言することで大スポンサー降りるとか。そうすると、同じ所属している先輩たちも業界で肩身が狭くなるとかね。そういう感覚があるから、みんな物言えば唇寒しになっている。
室井 やだぁ。“村”みたい。長いものには巻かれろってこと? でも、空気感が変わったと思う。松尾さんはブレていないけど、でも周りは変わったんじゃないですか?
松尾 政治家のモノマネをすると、放送局に苦情の電話がかかってくるようなことにはなっています。おそらく安倍さんのファン筋から(笑)。昔はそんなことなかったんですけどね。
室井 政治家って風刺の対象になる人たちでしょ。権力者風刺はもともと庶民の楽しみだし、お笑いには欠かせないものだったはず。それなのに……。
松尾 政治家のモノマネなんて、もちろん本来はまったく問題ないもののはずです。だって相手は権力者だもん。それが許されないというのは、日本は先進国ではないってことですよね。
■政治も官僚も企業も、これから先より腐っていく予兆がいま出ている
室井 モノマネくらいで批判がくるなんて恐ろしい世の中になったもんです。わたしもテレビに出て政権を批判すると、メディア関係者からはたぶん心配してくれているんだと思うんだけど、「もっと大人になれよ」みたいなことを言われるんです。「まだマスコミとかが正義だと思ってるの?」って。
松尾 マスコミは正義でないと思うけど、マスコミのなかに正義感をもっている人はいる。それは芸能人でも作家でも飲食店の人でも、街で働いている人でもね、もちろん政治家のなかにも、正義感をもっている人もいるということじゃないですか。
室井 でも、すごく不思議です。金持ちや政治家、地位が高い人のほうは、一般の人よりもさらに倫理観をもって世の中に尽くすっていうのが当たり前だと思っていたから。でも、安倍政権になってから、どんどんそうした倫理観がなくなっていると思うんです。官僚や政治家の不祥事、なにより安倍さんのモリカケ問題を見ると嘘ばかり。
松尾 以前は政治家も少しは品がありましたよね。でも、いまは政治家もお金持ちもどんどん品がなくなっていって。これから先、政治にしても官僚や企業にしても、さらにゆるゆる腐っていくだろうなっていうムードになっていますよね。強い者だけが得をし、バレなかった者だけが得をする世の中になっている。そして現時点ではいい人でも悪い人でもない人が、この先悪いほうに転がるという予兆がいま、出てるんじゃないのかなって気がします。
室井 勝てばなんでもいい。そんな風潮はおかしいでしょ。でも、安倍さんを見ているとそれがまるで“正義”みたいになっちゃって。
松尾 たとえば選挙でも戦争でもそうだけど、勝ったほうが正義の“フリ”をできるだけなんですね。いまは選挙でも、与党自民党がバカ勝ちをして「自分たちがやっていることが国民から信任された」と胸張って、悪いことをやっても「国民が選んだんだ」と白紙委任されたようなムードです。思いついたことを思いついた人がトップダウンでやれてしまう。これって民主主義ではないですよ。しかも与党は「国民の付託を受けて俺たちはその数にのっとってやっているんだから、国民にも責任がある」という言い訳までたつ。みんな“良く生きよう”とは思っているでしょう。だって家族の前で恥ずかしくて言えないようなことをしたくない人が、大多数なんじゃないんですか?
室井 そうですよね。
■安倍首相は笑顔の裏で、お友だちや軍事産業が得する仕組みづくり
松尾 性善説か性悪説か、そんな両極端ではないと思うけど、世の中の人は平和で優しく生きていたいって思っているはずです。だから、安倍さんのファンも「安倍総理ってこんなに優しい」という証明として、広島の被爆者の人と抱き合っているような写真とか、子どもをあやしているような写真とかを、ありがたがって見ている。今年の「桜を見る会」での様子が首相官邸のHPにアップされていたけど、動画ではやたらと子どもたちとにこにこ笑っている安倍さんの姿が映っていた。でも、その笑顔の影で、ものごとを隠したりすり替えたり、証拠文書を廃棄したり、隠れたところで身内やお友だちだけが得をするよう仕組みをつくる。社会の仕組みの一番大事なところを司っている人たちが、です。そしてその先には、もっと大きな企業や軍事産業などに関わっている人たちが儲かるような世の中の仕組みにしていこう。そんな悪い野望があると思うんです。そこを見極めていかないとね。
室井 でも、安倍さんはじめ、いまの政府要人たちは尊敬できない。たとえば、このまえ強行成立させたカジノだって人の不幸で成り立つような仕事でしょう?
松尾 カジノというのは、必ず胴元が儲かるようにできているからね。だから参加した人は、おしなべて言うと、必ず損はするけど、それをエンターテインメントととるなら、それはテーマパークに遊びに行くときの入場料を払うのとどこが違うのかと言われる。けれど、一部の人がバカ負けするわけです。そのためか知らないけど、金貸しができる法律が盛り込まれているでしょう。借金しなきゃ博打できないような人に、金を貸すシステムをそこに盛り込むっていうのは、ちょっと江戸時代ですか? っていうかね。これはいいのかと。
室井 しかも、嘘だったじゃないですか。外貨をいっぱい呼び込むって言ってたけど、実際は客の7〜8割が日本人という予測だとわかった。あと、イスラエルと武器共同開発をするって言い出してもいる。武器は人を殺すためのものだから、それでちょっと儲けたからといって、まったく尊敬できないって思っちゃうんです。
松尾 死にそうな子どもたちを助けるための金と、人をたくさん殺す武器の値段が、どう考えても釣り合わないくらいの使われ方をしている。戦闘機一つ買うお金と、苦しい、ギリギリのところで生きている人たちに手を差し伸べるってことは、桁が違うんです。その辺りのことを視覚化してほしいなと思いますよね。
室井 その通り! 松尾さんって、ホント、アタシの言いたいことを全部わかりやすく解説してくれる。スッキリする!
(後編に続く)
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【http://lite-ra.com/2018/08/post-4167.html】
室井佑月の連載対談「アベを倒したい!」第11回ゲスト 松尾貴史(後編)
松尾貴史と室井佑月が体験した安倍政権からの圧力と「反日」バッシング!「日本をいちばん貶め壊しているのは安倍さん」
2018.08.04
(松尾貴史と室井佑月の真剣対談)
タレントの松尾貴史をゲストに迎えた室井佑月の連載対談「アベを倒したい!」第11回。
前編では、松尾、室井ともに「安倍政権になってから明らかに増えた」口をそろえ、安倍政権のメディア圧力、いまメディアで政権批判することの難しさが語られた。
後編ではさらに、ふたりの実体験をもとに、安倍応援団やネトウヨによる「反日バッシング」のメカニズム、安倍政治がもたらした社会の分断にも話が及ぶ。
なかでも、松尾は国民やメディアをコントロールする安倍政権の巧妙な手法を冷静に分析。
メディアで仕事をしているふたりだからこそ語れる、リアルで本質的な議論をぜひ最後まで読んでほしい。
(編集部)
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室井 前回、安倍政権のメディア圧力のことを語りましたけど、いま普通のことが普通に言えなくなってきていて、戦争に反対だというだけですぐに「反日だ」とバッシングされます。松尾さんはこの状況について、どう思ってます?
松尾 まず、「安倍政権」=「日本」って思っている人が妙に多いよね。安倍政権に異を唱えているだけなのに、「反日」と言われるのはおかしいはずなのに。さらに言えば、僕の中の評価だけど、一番の反日は安倍さんだと思っているほど。日本を一番貶めて壊しているのは安倍さんだし、安倍さんを応援する人たちは反日に手を貸していると。
室井 同感!
松尾 統治機構=国ではないはずです。国の要素は統治機構と、国土と国民であって、他にも様々な要素はあるでしょうけど、この3つは大きい。そもそも国民が幸せに暮らせるなら、統治機構なんてはいらないはずです。それだけでなく国土がなくても国として認識されている集団はあるけれど、でも国民がいないと国とは呼べない。ということは一番必要なもの、大事な要素は国民なんです。それなのに、国民の生活や未来より、国民が統治機構に忠誠を誓わされて我慢を強いられる。今、そんな状況が“よし”とされている。まるで戦前戦中です。だからそんな統治機構のトップの安倍さんが、“国”に対して反旗を翻している行為ではないかとさえ思うんです。
室井 日本国民って、「長いものに巻かれろ」みたいな国民性だから、より一層、強いものや権力になびいちゃうしね。それも周囲のムードや雰囲気で。一種の同調圧力なんだと思う。松尾さんやわたしが安倍ファンのネトウヨから攻撃されるものそういうことでしょ? 強い安倍ちゃんを応援したい。信じたい。それが正義だ!と。
松尾 そうなんです。人間って信ずべきものより、信じたいものを信じようとする。
室井 安倍親衛隊やネトウヨはその最たるものだけど、わたしもネットは自分の読みたいものしか読んでないかも(笑)。実生活でもハッと気づくと、思想が似たような友だちしか残ってない(笑)。
松尾 ツイッターもそう。自分の意見が合う人や、この人の意見をもっと読みたいって人をフォローして、自分のタイムラインに出るのは自分の気に入った人たちしか並ばないようにしているからまさに“快楽情報”です。快楽情報ばかりに浸って、自分の反対意見なんかフォローしない。反対意見やケチ、難癖をつけるため、絡むためにフォローしているアカウントはあるでしょうが。でもほとんどは自分の好きな意見ばかりで、でも室井さんの言うように、人間ってほとんどがそうなんです。ただ、僕の周りには安倍さんを好きな人、一人もいません(笑)。でも世の中には実際に4割くらいいるでしょう。
室井 松尾さんのツイッターもすごいことになってますよね。日の丸模様のアカウントの人たちからすごく絡まれてる。
松尾 僕はどんどんブロックしています。ブロックを恥だと思っていないので。読みたくないなら、読ませません。しかも彼らの手口は手が込んでいるんです。以前に、文科省前事務次官の前川喜平さんを「素晴らしい」と書いたんです。一方で、そのずっと前に、同じく文科省OBで天下り先の厚遇を国会で証言した嶋貫和男さんに対して、嶋貫さんの名前を書かずに「ゲス官僚」と書いたんです。でもその2つを貼り合わせて、まるで前川さんを以前に「ゲス官僚」と非難したということにされた。そして「(松尾は)こういう男だ」「こんなにダブルスタンダードだ」との批判がツイートされて。僕の人格を貶めることを目的に書いているんだけど、ただ僕は痛くも痒くもないんですよ。さきほども言いましたが、こんなことでわざわざコラージュ作ってやるってことは、よっぽど僕のさまざまな批判が安倍ファンの痛いところを突いたと思うから。そこまで僕に絡んで来る人たちは気の毒だとも思うし、そうやって反応があるってことは「相手に効いたんだな。僕は上手に言ったんだな」と、我が意を得たりですよ。
室井 やっぱり大人。わたしだったら死ねと思っちゃう。敵と味方どっちだ、という性格だし。
松尾 (爆笑)。
■松尾貴史と室井佑月が体験した安倍政権のメディア圧力、安倍応援団の実態
室井 苦しんで死ねとすら思ってるくらい。もちろんわたしは公の場で発言しているし、叩かれることも仕事、ギャラのうちと頭では思っているけど、心ではやっぱりね。でもわたしのことをネットで「バカ」「ブス」「売国奴」「日本人じゃない」って書いている人とばったり会って握手をしたとしたら、その瞬間からわたしのファンになるような人の気がするの。
松尾 さすが、前向きだね(笑)。確かにああいう人たちは、直接会うと何も言えない、目も合わせられないような人たち。だから顔を隠し名前を隠し、サブ垢、裏アカつくって勤しんでやっている。すごく弱い人だと思う。ただ、考え方だけで敵対するなんて今時ナンセンスだし、ナチスの時代じゃないから、「敵と味方」ではないと思う。ただ、世の中が“そっちのほう”に流れればいいなと思っているのが、今の政府や偉い人たちじゃないか。そう思うと、不安ですけどね。たとえばいじめに加担する子たちって、なんとなく「あの子悪者だよ」という大義名分をムードでつくってひとりの子をいじめたりするでしょう。その子が何も悪いことをしていなくてもそういうムードになっちゃう。それが今、日本全体に蔓延していて。マスコミもそれに手を貸してさらにムードを醸成しているところがあると思うんです。
室井 マスコミ、とくにテレビって視聴率しか考えてないもん。
松尾 そうなんだよね。視聴率ってすごく大きな問題だよね。でもテレビが商売である以上そこはしょうがないですよ。ただこれから、ネットメディアがどのように、本来に伝えるべきものを伝えていくか。たとえばアジアのどこかの国だと、視聴率とは別に質のいい番組だという評価を独立した組織がして、保証を与えているシステムがあるらしいです。そういう発想が日本はないよね。
室井 しかも権力に弱腰だから、余計圧力をかけられる。でもメディアって権力の監視役でしょ。そこに圧力をかける政権なんて“独裁”そのものなんだから、たとえば放送権のことで脅されたら、各局で団結して、抗議番組を作るとか。どうしてそういう発想にならないのか本当に不思議。
松尾 目先の利益がほしいですからねえ。
室井 今は国民がメディアの味方をしない。信用されていない。そのことも大きいと思う。
松尾 確かに。それで、室井さんの出演している『ひるおび!』(TBS)はどう? 個人的には八代英輝弁護士が面白いなと思っていて。安倍さんのお友だちなの?
■メディアをコントロールし、国民の無知・無関心をつくる安倍政権の愚民化作戦
室井 聞いたけど、お友だちってじゃないって。ワイドショーに出てる人で、安倍さんや菅義偉さんや麻生太郎さんと隠れて飲みに行ったりして、友だちだと思っている人はたくさん知っているけど、八代さんはただの自衛隊と自民党好きでしょ。でもわたしに「もっと大人になれ」と心配してくる人より、わたしとはまるで考え方が違うけど、八代さんのように「それが絶対の正義」ってはっきり言っている人のほうが、ある意味純粋だと思う。親切な人なだし。でも安倍さんとか国とか防衛の考え方とか、そういうところでいきなり目が三角になって怒り出したりする(笑)。
松尾 あはははは!
室井 八代さんはアメフトの日大の酷さとかは、舌鋒鋭く追及するのに、安倍さんのことは「証拠もないのに、まだ決まってないんだから断定するな」と言うんです。ほんと不思議でしょうがない(笑)。でも、情報番組の司会やコメンテーターも安倍政権になってから、“安倍支持か不支持か”の基軸が鮮明になってきた。
松尾 そうなんです。利害に忠実、欲望に忠実っていう人たちが、安倍政権の閣僚や、閣僚だった人や周辺の人たち、あるいは奥さん、そしてマスコミにこんなに多かったのかって。加計学園にしても関連人物が政権のまわりにいっぱいいる。こんなにあからさまなことがあるのかとびっくりするものね。でもあまりテレビではそれを言わない。それがどういうことなのか。イマジネーションを働かせれば、すぐにわかることです。
室井 じゃあ松尾さんは? こんなにズバズバ発言していて安倍政権からの直接的嫌がらせや圧力は感じたことはありますか?
松尾 直接はないです。間接的にはあるけどね。ものすごく巧みですよ。証拠が残らないようにやってきますので。でも具体的に言うと間に入っている人に迷惑がかかる。この辺が僕もマスコミで毒されているところなんですけどね。でも、マスコミだけでなく、国民も政権からバカにされてますよね。実際に、「民は愚かに保て」というムードが偉い人の中にあると感じます。だから大事なことは伝えないし、情報も隠す。そして考える機会を与えない。無力感・無関心の状況を作っておいて、気がついたらトンデモない事態が進んでいる。そんな取り返しのつかない法律もたくさんできています。その最終形が改憲だと思っています。そこに向かって巨大なPRがお得意な人たちでムードを作ったときに、どうなってしまうんだろう。成立してから「改憲は間違いだった」と国民が思っても取り返しがつかない。
■安倍首相は、嘘も権力の私物化も恥ずかしいとすら思っていない
室井 今の政権は嘘が平気だから、いくらでもフェイクや嘘の情報を繰り出し作り話して違うことを言いますし、官僚トップがセクハラもしちゃう。
松尾 エリート中のエリート、セクハラ財務官僚にしても、「手縛っていい?」なんて女性記者に言うセンスも問題でしょう。勉強を一生懸命してきたことは尊敬するけど、でもまっとうな甘酸っぱい恋とかしてこなかったんじゃないのかなと思うんです。思いやりとか、「女子にこう言ったら嫌がられるかも」「傷つくんじゃないか」ということを考えるより先に、地位とかランク、ステージばかり考えてきたから、バランス感覚さえなくなってしまった。
室井 思いやりや想像力の欠如ですよね。安倍さんや麻生さんにしても、何を考えてああなっちゃったの? 自分たちのせいで自殺者まで出ても何も思わない。そういえば昭恵夫人がインタビューで話していたことだけど、安倍さんって映画監督になりたかったって言うじゃない。わたし、びっくりしちゃって。いやいや、映画監督や物書きや役者、音楽家は才能がなければダメだから。想像力がないとダメだから。なりたいと言ってもお金で買えない。自己認識が足らなすぎるというか、恥かしくないのかなと思いますね。自分のことなにもわかってない人なんだな。だいたい権力の私物化ってすごく恥ずかしいことじゃないですか。それなのに安倍さんは平気でやってしまう。
松尾 それを恥と思っていないんでしょう。
室井 やっぱり、尊敬できない。1月の参院予算委員会でエンゲル係数の上昇が指摘されたとき、安倍さんってデタラメな言い訳をしてた。そんな人、総理って呼びたくない。
松尾 あの答弁から、ウィキペディアまで書き換えられたんですよね。なんでもかんでも閣議決定しちゃう政権だから当然かもしれないけど(笑)。
室井 「昭恵夫人は公人」だとか「『そもそも』には『基本的』にという意味もある」という閣議決定もあったしね。本当にバカバカしい。
松尾 でも室井さんは頑張りすぎじゃない? そんなに無理して頑張っちゃダメですよ。しんどいときはやめたらいい。自分でハードル高くしちゃうと、ハードルは高くなっても自分の能力は変わらないから、いい結果が出なかったら自己嫌悪が起こるでしょ。そうすると鬱入っちゃいますから。そんなことはやめたほうがいいですよ。ゆるーく、思ったことを言って、やだなあと思ったら距離を置くくらいの感じでやっていかないと。みんなできることをできる範囲内でやればいいだけで。使命感を持って「ここまでやらなきゃ」なんてしてると壊れちゃうから。
室井 使命感ではないんですけどね。ただ、ライフワークになっているって感じかな。だから安倍さんが辞めたら、寝込むと思います。燃え尽き症候群。
松尾 (爆笑)。安倍さん批判が、人生の張り合いになっちゃったんですね(笑)。
室井 ……。
〈了〉
松尾貴史(まつお・たかし) 1960年兵庫県神戸市出身。大阪芸術大学卒業後デビューし、テレビ、ラジオ、映画、舞台、執筆、イラストなど多彩に活躍。現在各地で巡回公演中の、権力にすり寄る記者クラブを題材にした舞台「ザ・空気 ver.2 誰も書いてはならぬ」(二兎社)に出演中。毎日新聞毎週日曜日の連載コラム「松尾貴史のちょっと違和感」での知的で鋭い政権批判やメディア批評は毎回大きな注目を集めている、著書に『東京くねくね』(東京新聞出版局)など。
室井佑月(むろい・ゆづき) 作家、1970年生まれ。レースクイーン、銀座クラブホステスなどを経て1997年作家デビューし、その後テレビコメンテーターとしても活躍。現在『ひるおび!』『中居正広の金曜日のスマたちへ』(TBS)、『あさイチ』(NHK)などに出演中。「週刊朝日」「女性自身」「琉球新報」などにコラム連載を持つ。
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[※ 報道特集(2017年7月8日)↑]
かなり前の日刊ゲンダイのインタビュー記事【注目の人 直撃インタビュー/もの言うタレント松尾貴史氏 政治をタブー視する風潮危惧】(https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/208426)。
《心根も作法も悪い安倍政権…そんな中で救いようがないのは、言葉も表現も下品で志も低い人》。
『●「あれはまさに安倍政権のグロテスクさが濃縮され
露わになった瞬間」…「茹でガエル」ニッポン』
「『LITERA 本と雑誌の知を再発見』(http://lite-ra.com/)の
水井多賀子氏の記事【安倍「拍手・起立」を井筒監督と松尾貴史が
痛烈批判!「自衛隊員が死ぬたびに拍手送るつもりか」
「ユーゲントのよう」】」
《松尾は、安倍政権や報道が他国からの脅威、恐怖をことさら煽っている
のではと疑義を呈し、ナチス・ドイツの国家元帥だった
ヘルマン・ゲーリングの「国民を戦争に引きずり込むのは簡単である。
外国に攻撃されつつあると言えばいい。それでも戦争に反対する者に
対しては『愛国心がない』と批判するだけでいい」という証言を紹介。
そして、こんな言葉で文章を締めくくっている。
〈今がそうではないと、誰か安心させてはもらえないだろうか。
「雰囲気がおかしい」と違和感を覚えた時に歯止めをかけないと、
悔やんでも悔やみきれないことになる〉
まさに茹でガエルのように、日々わたしたちは、勝手につくり出された
空気に馴らされつつある。拍手喝采パフォーマンスは気持ち悪いし、
憲法の改悪など必要ない。──そんな松尾や井筒のような真っ当で
当然の反応が社会のなかで薄れてしまっている、その現状ほど
怖いものはないのかもしれない》
『●自公お維キト支持者、「どうして、危険を
回避してくれるようなリーダーがほしいとならないのだろうか?」』
安倍政権はトップからして《言葉も表現も下品で志も低い人》。〈いやしいか〉、〈いやしくないか〉で言うと、どう見ても…後者。
『●永六輔さん『職人』…「〈出世したか〉〈しないか〉ではありません。
〈いやしいか〉〈いやしくないか〉」』
《▼歪(ゆが)んだ行政をただそうと、勇気を持って告発した名も知らぬ
あなたへ。もし、自身の正義感を悔やんでいるなら、永さんの著書から
次の言葉を贈る。「人間、〈出世したか〉〈しないか〉ではありません。
〈いやしいか〉〈いやしくないか〉ですね」》
《いつの間にかテレビでは政治や時事問題のパロディーをやらなくなりましたよね。政治はニュースやワイドショーでしか扱わなくなった。ところが、そのワイドショーには、政権を擁護する提灯持ちが解説者と称して出演している。批評性がないくせに評論家のふりをして……って僕は思いますけどね》。批評家に非ず、〈いやしき〉アベ様広報官。
彼らに乗せられて、《「他に支持するところがない」というのは自死に向かう思考停止だ。強力な悪人と微力な凡人を比べて前者を選ぶという愚か》…「森友捜査ツブシ」2017年10月衆院選で、またしても「愚か」な結果に。
『●自民党の長期「党勢の低迷」…それでも絶対得票率1/4で
3/4の議席を占める小選挙区制という欠陥制度』
「長期的な「自党の党勢の低迷」…にもかかわらず、それでも
絶体得票率2.5割=1/4で3/4の議席を占める小選挙区制
という欠陥制度。
それにしても、石川真澄さんは偉かった。あの当時から、
「『死票を大量に生む小選挙区制では民意を国会に反映できない』
などと、小選挙区制導入に反対の論陣を張った」新聞記者なんて
稀有だった。しかも、正鵠を得ていた訳だ」
『●全く民意を正しく反映していない「勝者総取り」…
絶対得票率1/4で3/4の議席を占める欠陥制度』
『●「自民党の補完勢力」「自民党の2軍」癒党が野党を破壊し、
与党自公の壊憲・緊急事態条項を推進…』
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【https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/208426】
注目の人 直撃インタビュー
もの言うタレント松尾貴史氏 政治をタブー視する風潮危惧
2017年7月3日
(「なぜ政治に対して意思表示してはならないのか」
と疑問を投げかける(C)日刊ゲンダイ)
心根も作法も悪い安倍政権
議論を拒み、「中間報告」という禁じ手で「共謀罪」法を成立させた安倍政権に対し、ツイッターで〈悪辣、卑怯、狡猾、下品、姑息〉といった激しい言葉を羅列して批判した。皮肉を効かせた風刺を身上とするタレントの松尾貴史氏(57)には珍しいストレートな物言いだ。ものを言わない芸能人が多い中、堂々と自らの主張を発信するのはなぜか。その思いとは――。
――共謀罪の法案審議中、頻繁にツイッターで発信していました。感情をむき出しに言葉を並べていましたね。
安倍政権は心根も作法も悪い。世の中には、発する言葉は上品だけれど志が低い人もいれば、表現は下品だけれど、志は高いという人もいる。そんな中で救いようがないのは、言葉も表現も下品で志も低い人。今の政権の国会運営がまさにそれだと感じました。怒りが強すぎたんでしょうね。抑えられませんでした。この怒りの矛先は自分自身にも向いていて、日本が暗黒の道に進む確率の高い法律を作ってしまうことを止められなかった自分にも腹が立ちます。
――下品で志が低い。どんな場面でそう感じましたか。
一番強くて偉い立場の人が、ヤジを飛ばしたり、関係のないことをだらだらと話して、答弁をしているふりをしたり。おまけに、「人を指ささない方がいいですよ」って言いながら、ご自身はしょっちゅう人を指さしている。なぜ、ご自身だけは特別扱いなのか。国会や委員会は神聖な場所であるという意識が少しでもあれば、そうした品のない振る舞いにはならないはずです。隣の国の3代目と似たところもあるかな、とすら思ってしまう。本当にめちゃくちゃですね。
――ツイッターでは、〈「他に支持するところがない」というのは自死に向かう思考停止だ。強力な悪人と微力な凡人を比べて前者を選ぶという愚か〉とも嘆いていました。
一度法律ができてしまうと、その廃止を公約に掲げた政権に交代しない限り、永久に残るんです。共謀罪法の成立で、僕らの子供や孫たちが生きる時代が、陰惨で残酷な世の中になる確率が格段に高まったと思います。もちろん僕自身に何かを変えられる力はありません。それでも、国民の多くが自分で判断することを避け、思考停止している現状はまずい。政治に興味を持ったり、政治的な発言をすることが、行儀の悪いことであるかのように思う風潮も違うと思います。
――刺激的な発言をしたことで、嫌がらせも多かったようですが。
攻撃してくる人は、ほとんどが匿名なので相手にしないようにしています。ただ、いい気持ちはしないので、すぐにブロックします。先日、確認したら、1100人ぐらいブロックしていました。もっとも、同一人物が別のアカウントを作って攻撃を繰り返してくるので、実際は十数人程度でしょう。ネットって、正確な数は隠れてしまうんです。炎上騒ぎといっても、ごく一部の人がお祭りにしているだけ。本当に炎上に関わったことのある人はネット人口の1%にも満たないと思います。テレビ局などが炎上や苦情を大騒ぎしたりしますが、そんなものを何かの判断基準にするのはバカバカしい。
――嫌な思いをして、発言をやめようとは思いませんか。
確かに、芸能人が思想信条を語るとネットサポーターやネトウヨが大挙して攻撃してきます。でも、芸人も俳優も歌手も、みんな税金を払って生活しているわけです。なぜ政治に対して意思表示してはならないのか。米国では、アーティストやアクターがエージェントを雇うスタイル。みな個人事業主なので自由に発言しています。一方、日本の芸能人は芸能事務所に雇用されているので、事務所に迷惑をかけないように穏便な表現を使う人が多い。社会性を重んじる文化もあり、周りに迷惑をかけたくないという美徳もあります。まあ、僕は行儀が悪いんですよ。
公正中立なんて存在しない
――それにしても日本の芸能人はおとなしい。
藤山寛美さんや勝新太郎さんのようなスケールの大きい本当の意味でのタレントがいなくなり、今は僕らのような小粒の芸能人ばかり。コンプライアンスを守り、行儀よくして、身の回りを固めていないと、活動しにくい雰囲気になっています。こうした現状に、今回の共謀罪のような悪法が拍車をかけ、ますます芸能界は萎縮していくでしょう。みなが抑制的になって面白くないものを作り、ダイナミックなビジネスモデルも生まれなくなる。
――なぜ、そう感じるのですか。
僕も含めてですが、いつの間にかテレビでは政治や時事問題のパロディーをやらなくなりましたよね。政治はニュースやワイドショーでしか扱わなくなった。ところが、そのワイドショーには、政権を擁護する提灯持ちが解説者と称して出演している。批評性がないくせに評論家のふりをして……って僕は思いますけどね。
――松尾さん自身、何かしら圧力を感じることはありますか。
それはありません。情報番組のコメンテーターは久しくやっていませんが、これは僕の論調の問題ではないと思います。もっと激しく発言している人も出演していますから。
――できるだけ議論しないで衝突を避ける空気が日本中に蔓延している気がします。
僕は公正中立なんていうものは存在しないと思っています。だから、マスコミもむしろスタンスをしっかり出していただきたい。その意味では、(政権批判をする)日刊ゲンダイはマスコミとして正しい姿勢であり、(政権に近い)読売新聞もまた正しいんです。テレビもそうあって欲しいですが、放送法のややこしい規定など縛りがある。それでも、当番組はこれに賛成とか反対とか、きちんと示せばいいんじゃないかなって思います。
――日本では政治や宗教の話は避けますよね。そういうことも関係しているのかもしれません。
政治や宗教をタブー視するのはおかしいですよ。宗教は生き方ですし、政治はすべての人の命や生活に関わること。僕には支持政党がありません。選挙はいつも政党ではなく人物で選びます。そもそも、政党政治があまり好きではないし、党議拘束が日本をダメにしていると思っているんです。政治家はさまざまな考えを持っているはずなのに、政党に入ったら全ての政策で同じ意見を言わなければならない、というのが気持ち悪い。長い目で見ると、日本にとってマイナスだと思います。
――人物で選ぶとすると、どなたか期待する政治家はいますか?
それがねえ、いないんです。今の僕は、安倍さんが推す人じゃない人を選びます。これは思考停止ではありません。考え抜いた末の結論。安倍政権に対抗できる少しでも当選しそうな人に投票する、という選択肢しかないかなと思っています。「反対」の意思表示は非常に大事です。
――白票も反対の意思表示だという人もいますが。
白票は何の役にも立ちません。(安倍政権は)「白票が増えたねえ。批判票が多いんだねえ。じゃあ、襟を正すか」なんて人たちではないでしょう? 日本人は優しいですよね。お友達を優遇したり、政治を私物化していても、大して怒らない。支持率が下がったとはいえ、一桁になるようなことはないでしょう。本当に人がいい。“美しい国”ですよね。
■日本の本当の美しさとは
――安倍首相の言う「美しい国」と松尾さんの考える日本の美しさは違う?
僕は、日本の本当の美しさって、伝統を大事にして、花鳥風月や春夏秋冬を大切に扱うことだけでなく、ものを無駄にしないとか、弱い立場の人も尊重して、コミュニティーを平穏に保つ知恵を絞るとかだと思うんです。本来は、こうした美しさを愛することこそが「愛国心」なのではないでしょうか。ところが、今の政権は、「美しい国」を標榜しながら、裏腹に、こうした美しさをどんどん壊しています。そして、時の政権に従うことが「愛国者」だと錯覚している人が多いなという気がしています。
(聞き手=本紙・小川泰加)
▽まつお・たかし 1960年、神戸市生まれ。大阪芸術大芸術学部卒業。北新地でDJやスプーン曲げのショーに出演しているところをスカウトされ、芸能界入り。テレビ、ラジオ、舞台、映画、作家、カレー店の主人など多彩な活動を続け、「キッチュ」の別芸名でも知られる。新著に街歩きエッセー「東京くねくね」(東京新聞)を上梓。
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