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●《こんな官僚接待がいまだに行われていたとは、驚きと怒りを禁じ得ない。しかも、接待した側に菅義偉首相の長男がいた。政官癒着の典型》

2021年02月25日 00時00分16秒 | Weblog

[※ ↑【「忖度」「虚偽答弁」が問題となった事案】(東京新聞2021年02月19日)]


(20210221[])
リテラの二つの記事【菅首相の長男が総務省幹部を「違法接待」 背景に長男所属の東北新社と首相の特別な関係! しかし菅は国会で「プライバシーの問題」と…】(https://lite-ra.com/2021/02/post-5784.html)と、
【“違法接待”菅首相の長男のCS放送を総務省が特別扱い! 当時の総務省責任者はNHKに圧力、有馬キャスターを降板させた山田内閣広報官】(https://lite-ra.com/2021/02/post-5794.html)。

 《支持率低下を受けて、最近では「低姿勢」アピールに余念のない菅義偉首相だが、そんななか…菅首相の決定的なスキャンダル菅首相の長男が、総務省の官僚幹部に「違法接待」をおこなっていた、というものだ》。
 《菅首相の長男が総務省の官僚幹部に「違法接待」をおこなっていた問題で、さらにとんでもない事実が明らかになった。国会での追及で、接待会食は12回にも及んでいた一方、菅首相の長男が勤める東北新社は2018年のCS 放送業務の認定において、総務省から不自然な特別扱いを受けていたことが判明したのだ。しかも、当時、その認定で職務権限があったのは、あの菅首相の子飼い官僚だった》。

   『●マトモなニッポン国リーダーは居ないのかねぇ? マトモな官僚は
     居ないのかねぇ? 「忖度」「虚偽答弁」が蔓延する哀れなニッポン国…


 上野実輝彦村上一樹両記者による、東京新聞の記事【忖度、虚偽答弁、再び?…菅首相長男接待問題に重なる「モリカケ」「桜」】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/86837)によると、《放送事業会社「東北新社」に勤務する菅義偉首相の長男と会食した総務省の秋本芳徳情報流通行政局長が18日、当日のやりとりとされる音声の一部を自分の声だと認めたことで、野党は「同社の事業が話題に上ったことはない」としてきた答弁は虚偽だとの見方を強めた。官僚や周囲が首相らに忖度そんたくした言動を重ね、事実と異なる国会答弁につながったとすれば、構図は安倍政権での「森友加計学園」「桜を見る会」の問題と重なる》。
 マトモなニッポン国リーダーは居ないのかねぇ? マトモな官僚は居ないのかねぇ? 「忖度」「虚偽答弁」が蔓延する哀れなニッポン国…。《「桜を見る会」前夜祭をめぐる問題》だけで、《国会で計118回の虚偽答弁》って、一体どんな哀しい国? 真の意味で《悪夢》のアベ様政権、そして、「地獄」な利権漁りカースーオジサン政権。数々のアベ様案件、見事に、カースーオジサン案件として《継承》。

 沖縄タイムスの【社説[首相長男の官僚接待] 無関係では済まされぬ】(https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/703879)によると、《放送行政などを所管する総務省の幹部4人が、放送事業会社に勤める菅義偉首相の長男らから、個別に接待されていたことが明らかになった。…総務審議官や情報流通行政局長ら幹部4人が昨年10~12月、東京都内の料亭などで長男らからそれぞれ接待を受けた。帰りにはタクシーチケットや手土産を受け取っていた。手厚いもてなしぶりだ。長男が勤める会社の子会社は、総務省から衛星基幹放送事業者の認定を受けている。国家公務員倫理法に基づく倫理規程が禁じる「利害関係者」からの接待に当たる可能性がある。倫理規程では、利害関係者との会食で自分の飲食費が1万円を超える場合は届け出が必要だとしている。にもかかわらず費用が1万円を超えた3人について届け出がされたのは、報道前日の今月2日だった。それまでの間、必要な手続きが取られなかったのは、相手が利害関係者だという意識が働かなかったということなのか。常識的に納得できるはずがない。政策がゆがめられるようなことがなかったか、など疑問は尽きない》。





[※ 赤木俊夫さんの「国家公務員倫理カード」は擦り切れている… (『報道特集』、2020年9月12日)↑]

 《私人》の元首相の婦人といい、ニッポンの首相の周辺は酷すぎやしないか?
 東京新聞の【社説/総務省接待問題 隠蔽、改竄しないよう】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/84396?rct=editorial)によると、《こんな官僚接待がいまだに行われていたとは、驚きと怒りを禁じ得ない。しかも、接待した側に菅義偉首相の長男がいた政官癒着の典型ではないか。徹底的に調査し、真相を明らかにすべきだ。総務省の谷脇康彦、吉田真人両総務審議官と秋本芳徳情報流通行政局長、湯本博信官房審議官の幹部四人が昨年十〜十二月、衛星放送事業や番組制作などを営む「東北新社」幹部の会食接待を受け、手土産やタクシー券も受け取っていた》。

 アクセスジャーナル山岡俊介さんの記事【「菅首相長男、総務省幹部接待問題の本丸」】(https://access-journal.jp/56773)によると、《「東北新社」(2329。JQ。東京都港区)の社員である菅首相の長男・菅正剛氏が、昨年10月~12月にかけ、ナンバー2の谷脇康彦氏ら総務省幹部4人を個々に高級料亭などで接待していた問題――東北新社の売上の4分の1ほどが衛星放送事業で、同事業の許認可権を持つのが総務省。菅首相は元総務大臣(06年9月~07年8月)で、正剛氏は父の下で総務大臣秘書官を務めた後、東北新社に“天下り”。しかも接待時、4人それぞれにタクシーチケットまで渡しており、国家公務員倫理法で禁止する供応接待に該当するとなれば、国会で追及されて当然だろう。だが、この供応接待の本丸は別のところにあるとの情報が本紙の元には入って来ている…》。

   『●違憲な壊憲、縁故主義・政権の私物化までも《継承》…《主権者である
         国民の一人一人が幸せを追求できる政治を実現》する気も無し

 「私人」のアベ様ご夫人と言い、縁故主義までも《継承》。
 東京新聞の記事【菅首相長男側と会食、2016年から12回 タクシーチケットと贈答品も受領 総務省幹部4人接待で】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/85548)によると、《衆院予算委員会は12日午前、2021年度予算案に関する一般質疑を実施した。総務省は、菅義偉首相の長男らによる接待が報じられた幹部4人が長男側と会食した回数について、現時点の調査で16年から延べ12回に及ぶと明らかにした。昨年12月に集中した直近の会食では、いずれもタクシーチケットと贈答品を受け取っていたと説明した。会食費用を負担していたかどうかや、贈答品などを含む金額はいずれも「精査中」として回答を避けた。会食は谷脇康彦総務審議官が3回、吉田真人総務審議官2回、放送行政を所管する情報流通行政局の秋本芳徳局長4回、湯本博信官房審議官3回だった。野党は谷脇、吉田両氏の予算委への出席を求めたが、与党は拒否している》。
 同紙の記事【総務省幹部処分の可能性を示唆 菅首相の長男も聴取】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/86285?rct=politics)によると、《武田氏は調査結果の公表に関し「処分につながる問題だ。一刻も早く結果を出したいが、間違った報告になってもいけない」と述べた。総務省によると、長男が勤務する放送事業会社「東北新社」から本人を含めて聴取し、情報流通行政局の局長、審議官の経験者らとの会食の有無を調べている》。

 カースーオジサンの御長男・菅正剛氏の官僚接待確定、首相の責任は? 「別人格」「民間人」「プライバシーの問題」や、かつての「私人」の閣議決定で片づけていいの? それに、高級官僚は《処分》という名の「異動」でしょ? それって、《処分》といえるのか?
 東京新聞の記事【菅首相の長男と会食の総務省幹部4人を処分へ 武田大臣が表明】(https://www.tokyo-np.co.jp/article/86298)によると、《武田良太総務相は16日の衆院本会議で、菅義偉首相の長男らと会食した総務省幹部4人を処分する考えを示した。「一日も早く調査を終え、処分を行い、関係法令に基づいて公表したい」と述べた…一方で調査は慎重に進める必要があると重ねて説明。調査結果や処分内容の公表は「証拠と確認を幾重にも積み重ね、人事院国家公務員倫理審査会と密に連絡を取る必要がある」とした。長男が勤務する「東北新社」の子会社は、総務省から衛星基幹放送事業者の認定を受けている。武田氏は「総務省は適切に業務を行っており、放送行政がゆがめられたということは全くない」と強調した》。

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https://lite-ra.com/2021/02/post-5784.html

菅首相の長男が総務省幹部を「違法接待」 背景に長男所属の東北新社と首相の特別な関係! しかし菅は国会で「プライバシーの問題」と…
2021.02.05 12:50

     (4日、国会で答弁する菅首相
      (衆議員インターネットTV審議中継より))

 支持率低下を受けて、最近では「低姿勢」アピールに余念のない菅義偉首相だが、そんななか、4日発売の「週刊文春」(文藝春秋)が菅首相の決定的なスキャンダルを飛ばした。菅首相の長男が、総務省の官僚幹部に「違法接待」をおこなっていた、というものだ。

 菅首相の長男は菅正剛氏といい、現在、東北新社でメディア事業部趣味・エンタメコミュニティ統括部長を務めている人物。東北新社は映画製作・配給やCM・テレビ番組制作など映像分野で幅広く事業を手掛ける企業だが、事業の中核をなしているのがBS・CS放送関連事業。「スターチャンネル」や「スーパー!ドラマTV」「ファミリー劇場」などグループでBS・CS8ブランド10チャンネルの運営をおこなっている。そして、正剛氏は「囲碁・将棋チャンネル」を運営する株式会社囲碁将棋チャンネルの取締役も兼任している。

 総務省が認定する衛星基幹放送事業者の取締役である正剛氏が、放送行政を管轄する総務省の官僚幹部を接待していた──。実際、「週刊文春」では、ロン毛が特徴的な正剛氏が官僚たちに手土産を持たせてタクシーチケットを渡す場面などがバッチリ抑えられているのだが、これは完全に利害関係者からの接待や金銭・物品等の贈与などを禁じた国家公務員倫理規定に違反する行為だ。

 しかも重要なのは、接待がおこなわれた官僚たちが菅首相に近く、放送行政にも大きな影響力を持つ幹部だったことだ。

 たとえば、昨年10月7日に正剛氏らからの接待を受けた谷脇康彦・総務審議官は「次期事務次官」と目される総務省ナンバー2で、菅首相が力を入れてきた「携帯料金4割値下げ」の旗振り役。また、昨年12月8日に接待を受けた吉田眞人・総務審議官は、菅首相が総務相時代にNHK改革に絡んで「いいから、代えるんだ」と押し切って更迭したことを『政治家の覚悟』(文春新書)で誇らしげに記述している南俊行氏の後任として放送政策課の課長に抜擢した人物だ。さらに、12月10日に接待を受けた秋本芳徳氏は〈衛星放送の許認可を一手に握る情報流通行政局のトップ〉であり、12月14日に接待を受けた湯本博信・情報流通行政局官房審議官は「衛星放送にも明るい」という。

 まさに錚々たる面子といえるが、このような総務省の高級官僚を呼び出して接待をおこなうことなど、普通の事業者には到底無理な話だ。つまり、正剛氏が「菅首相の息子」であるからこそ、官僚たちが接待に応じてきたことは明々白々だろう。

 安倍晋三・前首相の妻である昭恵氏がその立場を利用して政治を私物化し、官僚が忖度して行政を歪めてきたことは周知のとおりだが、ようするに、ここにきて菅首相にも、同じような「私物化」「官僚忖度」疑惑が持ち上がったというわけだ。

 しかも、4日におこなわれた衆院予算委員会では、この違法接待問題について追及を受けると、菅首相は安倍前首相を彷彿とさせるような答弁を連発したのである。


菅首相「長男は民間人」と説明を拒否 しかし総務大臣秘書官に長男を抜擢していた

 まず、追及をおこなった立憲民主党の黒岩宇洋衆院議員が「週刊誌を読んだか」「記事やグラビア等はご覧になられたのか」と尋ねると、菅首相は「全体像は掌握しています」「それは見てます」と答弁。しかし、掲載された写真のなかで官僚たちにタクシーチケットを渡している人物は誰かと尋ねられると「それはわかりません」と言い、「長男か」と訊かれても「正直言って、そうかどうかはわかりません」と答えたのだ。

 写真には黒い目線が入れられているとはいえ特徴的な長髪とヒゲで、自分の息子であるというのに、写真に写っている人物が長男かどうかは「わからない」と言い張る。その上、報道を受けて正剛氏と「電話で話した」と言うのに、報道の内容が事実かどうかについては「確認はしてません」と平然と口にしたのである。

 さらに「総務省が事実関係を確認した上でルールに則って対応してほしい」と述べた上で、菅首相はこんな主張を繰り広げたのだ。

「私の親族であるとはいえ、公的立場にはない一民間人にかんするものであります。本人やその家族などの名誉やプライバシーにもかかわることでありですね、本来このような場で、お答えすべきことではないと私は思います」

 なんと、菅首相は「息子は民間人、私人だ」と主張し、プライバシーを盾に答弁を事実上拒否したのである。

 今回の問題は総務官僚による国家公務員倫理規定違反が疑われるものであり、行政の長たる菅首相には事実をつまびらかにする責任があるのは当然だが、接待をおこなっていたのが自分の子息だったのだから、なおのこと菅首相には説明責任がある。それを「民間人」などと言って拒否するのは、昭恵氏を「私人」認定して追及から逃げた安倍前首相とまったく同じではないか。

 しかも、菅首相は正剛氏を「民間人」だと強調するが、当の菅首相自身が正剛氏を「公人」として重用していた過去がある。

 というのは、じつは正剛氏は、菅首相が2006年に第一次安倍政権で総務相に任命された際、総務大臣秘書官に正剛氏を抜擢していたのだ。

 大臣秘書官は、大臣の申し出によって総理大臣が任命する特別職の公務員であり、長男を大臣秘書官に抜擢したこの菅氏の問題を追ったジャーナリストの畠山理仁氏が執筆した「週刊プレイボーイ」(集英社)2009年6月8日号の記事によると、〈官庁内に席はあるが、特別職なので出勤簿やタイムカードという概念もな〉く、給与も「最低の一号奉(月額25万9100円)から最高の十二号奉(同60万500円)」まであり、「このほかボーナスや諸手当も支払われ」るという。


長男を秘書官にした理由を菅首相は「バンドをやめてブラブラしていたから」

 また、「週刊文春」では当時の正剛氏の働きぶりについて、菅事務所関係者が「国会事務所に顔を出すのは週二~三回。菅さんは彼を依怙贔屓しており、毎週土曜朝八時の定例ミーティングの出席も免除していた」と語っている。

 当時から世襲政治を批判し、「世襲制限」を訴えてきた菅氏が、事実上、大臣の権限で任命できる大臣秘書官に自分の息子をつけ、大甘の待遇をしていた──。息子を 大臣秘書官に抜擢したことについて、畠山氏は当時、菅氏に直接問いただしているのだが、そのとき菅氏は、正剛氏がバンドをやっていたものの「バンドの人が体を壊して辞めて」しまったことを理由に挙げ、「(長男は)またプラプラしていたからその間だけ」と語っている。

 大臣秘書官に息子を付けた理由が「バンドを辞めてプラプラしていたから」だったとは、まさしく縁故主義の職権濫用、政治の私物化と言うほかないが、じつは今回発覚した違法接待を受けた官僚のなかには正剛氏が大臣秘書官時代に知り合ったと語っている者も複数いる。つまり、菅首相の縁故採用で「公人」となったこととが今回の問題にもつながっているのである。これでよく菅首相は「息子は民間人だ」と強調できたものだ。

 しかも、大臣秘書官を辞めたあと、菅首相は自身と同じ秋田出身である東北新社の創業者である植村伴次郎氏(故人)に正剛氏を「鞄持ち」として預け、正剛氏は東北新社で衛星放送事業に関わる総務省の窓口を担当するようになった(「週刊文春」より)。ちなみに、正剛氏の入社後、菅氏が代表を務める政党支部「自民党神奈川県第二選挙区支部」は、植村氏とその息子から合計500万円の献金を受けているという。

 菅首相はきょうの国会答弁で正剛氏の東北新社入社を「自分の考え方で就職には就いている」と説明しコネ入社疑惑を否定したが、こうした関係を見れば、とても信じられるものではない。「バンドを辞めてプラプラしていた」息子を大臣秘書官に抜擢したあと、その後を案じて自分の人脈を駆使し入社させたとしか思えない。

 しかも、問題は、その息子が菅氏の影響力が絶大な総務省の担当となったことだ。東北新社=植村氏が献金でバックアップし、その一方、正剛氏を総務省の担当においたのは、どう考えても、衛星放送の許認可などで特別なはからいを期待してのものだろう。

 実際、接待が繰り返された昨年12月というのは、「週刊文春」によると〈〇五年末に認定された「スターチャンネル」の、放送法で定められた五年に一度の更新の時期〉だったというが、このような違法接待がおこなわれる下地をつくったのは、紛れもなく菅首相なのである。


菅首相には、破産宣告された実弟をJR東日本子会社重役に押し込んだという疑惑も

 しかし、昨日の衆院予算委員会では、正剛氏を総務大臣秘書官につけていた問題について「総務大臣秘書官というのは(大臣が)任命すればなれる。(選挙に通らなければならない)世襲よりはるかに甘いことをやっている」と批判されると、菅首相はキレ気味に、めずらしく原稿もほとんど見ず、長々とこう抗弁したのだ。

「まずですね、秘書官にすることにどうして……ルールのもとに秘書官にしてるんです。世襲制限というのは私は言い続けています。息子3人いますけど、政治家には誰もしません。これは了解をしています。それと、いまもう40(歳)ぐらいですよ、もう。私は普段、ほとんど会っていないですよ」

「いずれにしろ、私自身は、自分の政治信条として、世襲は制限するということを私ずっと言い続けてきましたから、そこはやり遂げますし、秘書官やったのも10年以上前のことですよ。東北新社の社長っちゅーのは私の秋田の同じ出身ですから、まあ先般お亡くなりになりましたけど、いろんなご縁があって応援してもらったことは事実ですけども、それといまの私の長男との、結びつけるっちゅーのは、それはいくらなんでもおかしいんじゃないでしょうか。私、完全に別人格ですからね

「私の長男にもやはり家族がいますし、プライバシーももちろんあると思いますよ? それと、長男が長男がと言いますが会社の一社員ですから。そういうなかで、いま言われているような不適切なことがあったかどうかについては、総務省の政治倫理ですか? 審査会でそこはしっかり対応してもらいたいというふうに思います」

 あきらかな職権濫用で息子を特別職の公務員に引き立て、自分の伝手でコネ入社させた結果、今回の違法接待問題が浮上したのだから、これらの問題を結びつけるのは当たり前なのに「おかしい」とまくし立て、「別人格」「長男にもプライバシーはある」「会社の一社員」と言い張る。しかし、「おかしい」のは明らかに菅首相のほうではないか。

 しかも、菅首相は息子だけではなく、実弟をめぐっても同種の疑惑が取り沙汰されている。菅首相の実弟が脱サラして起業した製菓店が東京駅構内のキオスクに出店し、2002年に破産宣告を受けたものの、今度はJR東日本の子会社である駅ビル運営会社の幹部となり、重役にまで昇りつめていたことをジャーナリストの森功氏が「文藝春秋」2020年12月号であきらかにしているのだ。この問題についても、運輸族だった小此木彦三郎元通産相の秘書時代から築かれたJRとの関係をもって菅氏が弟の面倒を見てきた結果なのではないかと見られている。 

 ようするに、菅首相は「息子は別人格」だと言うが、政治家としての権力を自身の親族のためにフル活用してきたのが実態なのだ。国民には「自助」を強いているのに、である。

 マスコミはこの問題について、ワイドショーなどは大きく取り上げていない。しかし、このまま放置すれば、安倍政権時代と同じく、政治の私物化、親族とお友だちへの利権分配が繰り返されていくことになるだろう。

(編集部)
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https://lite-ra.com/2021/02/post-5794.html

“違法接待”菅首相の長男のCS放送を総務省が特別扱い! 当時の総務省責任者はNHKに圧力、有馬キャスターを降板させた山田内閣広報官
2021.02.13 11:00

     (首相官邸HPより)

 菅首相の長男が総務省の官僚幹部に「違法接待」をおこなっていた問題で、さらにとんでもない事実が明らかになった。国会での追及で、接待会食は12回にも及んでいた一方、菅首相の長男が勤める東北新社は2018年のCS 放送業務の認定において、総務省から不自然な特別扱いを受けていたことが判明したのだ。しかも、当時、その認定で職務権限があったのは、あの菅首相の子飼い官僚だった

 改めて、経緯を説明しておこう。菅首相の長男は菅正剛氏といい、現在、東北新社でメディア事業部趣味・エンタメコミュニティ統括部長を務めている。東北新社は映画製作・配給やCM・テレビ番組制作など映像分野で幅広く事業を手掛ける企業だが、事業の中核をなしているのがBS・CS放送関連事業。「スターチャンネル」や「スーパー!ドラマTV」「ファミリー劇場」「囲碁・将棋チャンネル」などグループでBS・CS8ブランド10チャンネルの運営をおこなっている。そして、正剛氏は「囲碁・将棋チャンネル」を運営する株式会社囲碁将棋チャンネルの取締役も兼任している。

 ところが、その正剛氏が、放送行政を管轄する総務省の官僚幹部を接待していたことを「週刊文春」が写真付きでスクープしたのだ。文春の報道では、ロン毛とヒゲが特徴的な正剛氏が高級すし店や料亭の前で手土産を持たせてタクシーチケットを渡す場面などがバッチリおさえられており、これは完全に利害関係者からの接待や金銭・物品等の贈与などを禁じた国家公務員倫理規定に違反する行為だ、

 しかも、接待がおこなわれた官僚たちはみんな菅首相に近く、放送行政にも大きな影響力を持つ幹部だった。このような総務省の官僚幹部を呼び出して接待をおこなうことなど、普通の事業者には到底無理な話だ。つまり、正剛氏が「菅首相の息子」であるからこそ、官僚たちが接待に応じてきたことは明々白々だろう。

 ところが、菅首相は国会でこの問題を追及されると、「息子は民間人、私人だ」と主張し、プライバシーを盾に答弁を事実上拒否したのである。

「私の親族であるとはいえ、公的立場にはない一民間人にかんするものであります。本人やその家族などの名誉やプライバシーにもかかわることでありですね、本来このような場で、お答えすべきことではないと私は思います」

 こんな言い訳が通用するわけがないだろう。今回の問題は総務官僚による国家公務員倫理法違反が疑われるものであり、行政の長たる菅首相には事実をつまびらかにする責任があるのはもちろん、東北新社にいる長男が総務省幹部違法接待していた背景には明らかに、菅首相の存在がある。


菅首相の長男のCSチャンネルだけがハイビジョンでないのに総務省の基幹放送事業に認定

 正剛氏はもともと大学卒業後、バンド活動をしていたが、「バンドを辞めてプラプラしていたから」という理由で、菅首相が自身の大臣秘書官に採用。その後、自身と同じ秋田出身である東北新社の創業者・植村伴次郎氏(故人)に正剛氏を「鞄持ち」として預けた。正剛氏の入社後、菅氏が代表を務める政党支部「自民党神奈川県第二選挙区支部」には、植村氏とその息子から合計500万円の献金が行われている。

 菅首相は国会答弁で正剛氏の東北新社入社を「自分の意思」「コネ入社でない」と説明したが、こうした関係を見れば、とても信じられるものではない。「バンドを辞めてプラプラしていた」息子を大臣秘書官に抜擢したあと、その後を案じて自分の人脈を駆使し入社させたのである。

 しかも、問題は東北新社は正剛氏を衛星放送事業に関わる総務省の窓口に担当させたことだ。これは、東北新社=植村氏が献金でバックアップし、その一方、正剛氏を総務省の担当におくことで、菅首相の力を使って衛星放送の許認可などで特別なはからいを期待したとしか考えられない。

 実際、接待が繰り返された昨年12月というのは、「週刊文春」によると〈〇五年末に認定された「スターチャンネル」の、放送法で定められた五年に一度の更新の時期〉だった。

総務省の幹部が公務員倫理規程に違反する接待行為を受けたのは、明らかに菅首相の長男が担当だったから接待を断ったら菅首相に睨まれて飛ばされかねない。その恐怖で接待を受けたんでしょう。正剛氏も東北新社側もそれを見越して、違法接待を持ちかけ、共犯者に仕立てた。そうすれば、無理難題をもちかけても断れなくなりますからね」(全国紙総務省担当記者)

 実際、正剛氏が取締役を務める東北新社グループの子会社「株式会社囲碁将棋チャンネル」が、総務省からどうみても不自然な特別待遇を受けていた。

 同社は「囲碁将棋チャンネル」を放送するCS放送局で、2018年、総務省に「東経110度CS放送に係る衛星基幹放送の業務認定」を受けているのだが、当時、総務省はハイビジョン化を進めるために衛星基幹放送の大幅な組み替えを行なっており、この認定もハイビジョン放送であることが重視されていた。実際、このとき、認定を受けた12社16番組のうち11社15番組がハイビジョン放送だった。

 ところが、「囲碁将棋チャンネル」1番組だけが、ハイビジョンではない標準テレビジョンなのに、基幹放送の業務認定を受けているのだ。

「今回、改めて取材したところ、この認定は当時、総務省内でも話題になり、『菅さんの案件だから、特別待遇だったんだろう』という見方が流れていたようだ」(前出・全国紙総務省担当記者)


■当時、職務権限があった総務省情報流通行政局長はNHKに圧力かけた菅の子飼い官僚・山田真貴子内閣広報官

 しかも、この認定をめぐっては、正に菅首相の子飼い官僚が直接、圧力をかけたのではないかという疑惑も浮上している。

 というのも、「囲碁将棋チャンネル」が「東経110度CS放送に係る衛星基幹放送の業務認定」を受けた2018年4月、その認定を判断する最高責任者の総務省情報流通行政局長の職にあったのが、あの山田真貴子・現内閣広報官だったからだ。

 山田内閣広報官といえば、安倍政権下の2013年から2015年まで広報担当の首相秘書官を務めたあと総務省に戻っていたが、菅首相が新政権発足にともなって官邸に呼び戻した典型的な“菅の子飼い”官僚。しかも、NHKに圧力をかけ『ニュースウオッチ9』の有馬嘉男キャスターを降板に追い込んだ張本人とも目されている。

 先ごろ発表された有馬キャスターの降板だが、原因は昨年10月26日放送の『ニュースウオッチ9』に菅首相が生出演した際、日本学術会議の任命拒否問題について有馬キャスターが「総理自身、説明される必要があるんじゃないですか?」などと質問し、菅首相が「説明できることとできないことってあるんじゃないでしょうかと逆ギレしたことだった。その後、山田内閣広報官がNHKの原聖樹政治部長に電話をし「総理、怒っていますよ」「あんなに突っ込むなんて、事前の打ち合わせと違う。どうかと思います」と恫喝をかけたことで、つながったのである。

 このケースを考えれば、菅氏の長男が取締役を務める「囲碁将棋チャンネル」の「東経110度CS放送に係る衛星基幹放送の業務認定」においても、その判断の職務権限をもつ総務省情報流通行政局長にあった山田氏が、圧力をかけて、無理やり認定をさせた可能性は高い

 マスコミはこの問題について、『news23』や『報道ステーション』が報じたものの、ワイドショーなどは大きく取り上げていない。しかし、このまま放置すれば、安倍政権時代と同じく、政治の私物化、親族とおトモダチへの利権分配が繰り返されていくことになるだろう。

 この問題を国会で取り上げた立憲民主党の後藤祐一衆院議員は、山田内閣広報官と正剛氏の会食についても調査するよう総務省に求めていたが、その癒着は会食があるかどうか以前の問題だろう。

 放送行政を私物化する菅首相とその子飼い官僚を徹底追及する必要がある。

(編集部)
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●前川喜平さん《ふるさと納税制度の問題点…を説明するだけで左遷されたわけですから、この人事は霞が関全体に衝撃を与えました》

2020年12月02日 00時00分51秒 | Weblog

[※歴代自民党内閣は「国民のために働」いていなかった!? 縁故主義・政権の私物化もアベ様から《継承》 (日刊ゲンダイ 2020年10月14日)↑]



リテラの記事【菅首相に抵抗し飛ばされた元総務官僚・平嶋彰英がジブリの雑誌で青木理に語った恐怖支配の実態!「あそこまでひどい人はいない」】(https://lite-ra.com/2020/11/post-5696.html)。

 《そして、そのことを強く感じさせる証言がある。それは、スタジオ・ジブリが発行する小冊子「熱風」11月号に掲載されている、ジャーナリスト・青木理氏との対談に登場した元総務官僚・平嶋彰英氏の証言だ》。

 《いや、菅首相がこれまで見せてきた強権性を鑑みれば、「反政府」というよりも「俺に楯突くような奴は絶対に認めない」という独善的な考えから任命を拒否したのではないか。》…そして、左遷オジサンの恐怖支配な官僚人事への介入》《人事を盾にした脅迫》《あからさまな報復人事》《俺の言うことを聞かないという理由だけで、人事権を濫用し壊しつづけてきた》《人事で官僚を脅し、忖度を蔓延させた張本人前川喜平さん《ふるさと納税制度の問題点…を説明するだけで左遷されたわけですから、この人事は霞が関全体に衝撃を与えました》、その後も、《人事でも異常なことが続いています》。
 《いや、菅首相がこれまで見せてきた強権性を鑑みれば、「反政府」というよりも「俺に楯突くような奴は絶対に認めないという独善的な考え》をお持ちな違法・違憲オジサン。平嶋彰英氏「正直、私はいまも怖くて仕方ない」…言葉もないです…。

   『●あらゆる腐敗を《継承》する元・最低の官房長官スガ様…特に《メディア
         コントロール》は陰湿化し、悪質化し、強権の度合いが加速する
    《◆逆らえば「左遷」 第2次安倍政権で官房長官となった菅氏は、
     内閣人事局を最大限に利用し、官僚の人事を徹底的にコントロール
     してきた。一例を挙げると、菅氏が力を入れてきた「ふるさと納税」だ。
     総務省の平嶋彰英自治税務局長は、自治体に寄付する上限額の倍増を
     指示した菅氏に競争が過熱すると懸念を伝え、総務省の通知と法律で
     一定の歯止めをかけるよう提案すると、8カ月後に自治大学校長に
     「左遷」された。平嶋氏は、「自分だけでなく、菅氏の意向に逆らう
     官僚はあらゆるレベルで飛ばされた。ふるさと納税が引き起こす
     問題点を指摘しても、考慮して対処するどころか『逃げ切りは許さんぞ』
     との言葉が返ってきた。官僚の忠告や提案に耳を傾けられない
     ということは、国民にとってもマイナスだ」と指摘する》

   『●取巻きに堕さず《官邸と距離を置》くような官僚を左遷するアベ様や
       スガ様…《人事でも異常なことが続いています》(前川喜平さん)
    《前川ふるさと納税制度の問題点を菅さんに進言した元総務官僚の
     平嶋彰英さんは、省外に異動になりました。平嶋さんは事務次官候補
     だった人。問題点を説明するだけで左遷されたわけですから、この人事は
     霞が関全体に衝撃を与えました。官僚人事への介入は、菅政権でさらに
     強まるでしょう。安倍さんの政策は思いつきが多くて、うまく
     いかなかったことが山ほどある。最近ではアベノマスクです。こういった
     政策を主導したのは、安倍さんの側近で「官邸官僚」と呼ばれた
     経済産業省出身の今井尚哉首相補佐官、佐伯耕三首相秘書官、
     長谷川栄一内閣広報官でした。3人は菅内閣発足でそろって退任。これで
     経産省の影響力が弱まり、財務省や総務省が菅内閣で強くなります。》

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https://lite-ra.com/2020/11/post-5696.html

菅首相に抵抗し飛ばされた元総務官僚・平嶋彰英がジブリの雑誌で青木理に語った恐怖支配の実態!「あそこまでひどい人はいない」
2020.11.11 08:21

     (「熱風」11月号)

 日本学術会議の任命拒否問題をめぐり、菅義偉首相の説明が二転三転どころか四転五転している。当初は拒否した理由を「総合的、俯瞰的に判断」と言っていたのに突如「多様性」と言い出し、実際には「多様性」と矛盾していることを突かれると、5日の参院予算委員会では「推薦前の調整が働かなかった」などと「事前調整」がなかったからだと強弁。「事前調整」とは法的根拠も何もない、まさに政治介入にほかならないものであり、過去の学術会議会長からも「調整」を否定する証言が飛び出すと、菅首相は10日の衆院本会議で「事前調整」を「すり合わせ」に表現を修正したのだ。

 「調整」を「すり合わせ」に表現を変えたところで問題は変わらないし、何より任命を拒否した理由の説明にはまったくなっていない。菅首相は否定しつづけているが、「政府の法案に反対」したから任命拒否したことはもはや隠しようもないだろう。

 8日に共同通信は「官邸、反政府運動を懸念し6人の任命拒否」と報道し、その後、批判が集まるとタイトルにあった反政府運動を括弧つきの「反政府先導」と表現を改めたが、しかし、菅首相にとっては根拠を挙げて政府の法案に異論を唱えるといういたって当然の行動さえも反政府運動だと映っているのだろう。

 いや、菅首相がこれまで見せてきた強権性を鑑みれば、「反政府」というよりも「俺に楯突くような奴は絶対に認めないという独善的な考えから任命を拒否したのではないか。

 そして、そのことを強く感じさせる証言がある。それは、スタジオ・ジブリが発行する小冊子「熱風」11月号に掲載されている、ジャーナリスト・青木理氏との対談に登場した元総務官僚・平嶋彰英氏の証言だ。

 平嶋氏は2014年7月に総務省の自治税務局長に就任したが、菅首相が総務相時代に肝いりではじめた「ふるさと納税」制度の拡充に反対。すると、官房長官だった菅氏は2015年の人事で事務次官候補とも呼ばれた平嶋氏を、極めて異例の自治大学校長に“左遷”させた。つまり、平嶋氏は菅氏に楯突いたことで排除された官僚のひとりだ

 その平嶋氏は、「熱風」での対談で菅首相の実像を、こんな強烈な言葉で語っている。

「率直に言って菅さんほどひどい方はいませんでした」
「とにかく乱暴なことばかり言って、乱暴なことでも言い出したら聞かなくて、気に入らないと人事権を振るうという印象しかありません」
「とにかく極端な人です。あそこまでひどい人はほかにいません」
「正直、私はいまも怖くて仕方ない


●「ふるさと納税」制度をめぐる提案をすべてはねつけた菅首相の恐るべき主張

 もちろん、これは人事で飛ばされた「逆恨み」で語っているような言葉ではない。菅首相は、官僚にそう思わせるだけのことをやってきたということだ

 実際、2005年に小泉純一郎政権で総務副大臣となった際から、菅氏の“恐怖政治”ははじまっていた。

「最初に菅さんが総務副大臣に就いたとき、私は上司らと一緒に食事をしたことがあります。その際に菅さんがいきなりおっしゃった台詞は忘れられません。「役人を動かすのは人事だと思っているからな、俺は」と」(平嶋氏)

 食事の席で出し抜けに人事を盾にした脅迫を口にする──。これには対談相手の青木氏も「いきなりそんなことを」と驚くが、平嶋氏は「面と向かって平然とそうおっしゃいました。実際に菅さんが総務相になった際、南君がいきなり飛ばされましたからね」と語っている。

 この「南君」というのは、菅氏が総務相時代に推し進めようとしたNHK受信料支払いの義務化などの改正案をとりまとめていた情報通信政策局放送政策課長だった南俊行氏のこと。南氏が菅氏の方針に対して否定的なことを口にしていたことが菅氏に伝わり、菅氏が激怒して更迭したといわれているが、先日、改訂版として発売された菅首相の自著『政治家の覚悟』(文春新書)でも、菅首相はこの南氏の更迭劇を〈「いいから、代えるんだ」と押し切りました〉などと誇らしげに記述している。

 公文書管理の重要性を説いた箇所は改訂で削除したというのに、あからさまな報復人事のエピソードは削除することなく残した。このことからも菅首相は人事権という権力の濫用を悪いとも恥ずかしいこととも感じていないことがよくわかるが、菅首相の問題は、それ以前の“自分の意見は絶対だ”という頑迷さにある。

 それを象徴するのが、平嶋氏が左遷されるまでにいたった過程だ。前述したように平嶋氏は2014年に「ふるさと納税」制度の拡充に抵抗。それは「ふるさと納税」制度が高所得者層のほうが得をするという「極めて不平等で、不健全」な問題を孕んでいたからだ。それを拡充するなんてありえないというのは、平嶋氏個人の考えではなく、さんざん議論を繰り返してきた自治税務局の総意でもあった。「せめて返礼品問題だけでもなんとかしなくちゃいけない」と考えた平嶋氏は、旗振り役であり当時官房長官だった菅氏を説得しようとさまざまな案を持って何度も説明をおこなった。

 だが、菅氏はすべてを撥ねつけ、こんなひと言でシャットアウトした。

「純粋な気持ちでふるさと納税している人を俺は何人も知っている」

 税の公平性が保たれない問題点を無視し、客観性もへったくれもない独断で異論を退ける──。実際にこのときの平嶋氏らの危惧は的中して返礼品競争は加熱し、結果的に自治体との訴訟にまで発展、国が逆転敗訴するという事態にまで陥っているが、官僚から寄せられた予見に菅氏が耳を傾けていれば、こんなことにはなっていなかったのだ。


■「ふるさと納税」制度をめぐる提案をすべてはねつけた菅首相の恐るべき主張

 しかし、菅氏がおこなったのは、官僚を罵り、怒り散らすことだけだった。実際、平嶋氏は「何度も怒られました」「最後は面罵に近かったですね」と言い、「ふるさと納税制度をめぐってここまで問題点が浮き彫りになってくれば、多少なりとも普通の感覚を持っている政治家ならわかってくださいます」と無念さを滲ませている。

「こんな制度、最初はおそらく菅さんの思いつきの類だったんだと思うんです。(中略)税や寄付の原則論から言ってもおかしな制度であって、住民税の基本的なありようを壊すことになりかねませんから、私の5代前ぐらいの自治税務局長も制度の導入時、抵抗したわけです。でも、その人も結局は飛ばされてしまった」

 しかも、平嶋氏が菅氏とやりあったのは「ふるさと納税」の問題だけではなかったという。2014年、平嶋氏は都市部商業地に適用されていた固定資産税を軽減する特例廃止を高市早苗総務相(当時)を納得させた上で進めていたのだが、「国交省が菅さんのところに泣きついた」ことから官邸が動き出した。菅氏の最側近である和泉洋人首相補佐官が横やりを入れてきたというのだ。

「しばらくして和泉さんから電話がかかってきて、「こんなことをやろうとしているのか」と。ですから私は和泉さんのところに説明にうかがい、「これはやらないとマズいことになります」「場合によっては憲法違反で裁判に負けます」「民主党でもやったのに(編集部註:民主党は住宅地の特例を廃止)、自民党でやらないわけにはいかないでしょう」とお伝えしたら、「そうか」とおっしゃる。
 ただ、菅さんは一度言い出したら聞かないともいうんですね。そこは理屈も何もなくて、和泉さんがおっしゃるには「とにかく国交省の幹部と握ってこい」と。そうすればできるから、というんですが、国交省と握れるわけなんかありませんよ。後ろに業界団体が控えているんですから。
 そうこうしていたら、日経新聞に記事が出たんです。この問題の議論がいよいよ税調でスタートする、と。
 それを目ざとく見つけた菅さんは「俺がダメだと言っていることを新聞まで使ってやろうとするのか」と激怒しているという話が和泉さんから伝わってきて、実際に次官(総務事務次官)にも菅さんから直接電話があって猛烈に怒られたそうです」

 裁判に負ける可能性があるという問題点がはっきりしていることでも、自分の右腕である和泉首相補佐官が「そうか」と納得したことでも、理屈もなく一度言い出したら聞かない。そして、平嶋氏は2度も菅氏の逆鱗にふれたことで、前述したように左遷されてしまったのだ。

 もちろん、平嶋氏はこうしたことを覚悟の上で抵抗したのだ。平嶋氏は人事について聞かされたときのことも「「ああ、やっぱりか」と思うだけで驚きませんでした。そうなるだろうと予想していましたから」「何かされるだろうなと(思っていた)」と語っている。


■固定資産税軽減をめぐっても菅首相がゴリ押し「菅さんは一度言い出したら聞かない」

 公平性を保たなければならないという当たり前の意見でさえ、人事で報復されることを覚悟しなければ言えない──。平嶋氏の姿勢は「国民全体の奉仕者」たる官僚として極めて真っ当だが、そうした官僚の真摯なあり方を、菅氏は俺の言うことを聞かないという理由だけで、人事権を濫用し壊しつづけてきたのである。

「もちろん私は、政治主導を否定するつもりはありません。われわれ官僚は選挙で選ばれたわけではありませんから、最後はやはり政治家が政治責任を伴う形で決断すべきでしょう。
 ただし、それは別に政治家の思いつきをすべて実現しろということではないはずです」
「私は菅さんの指示に従い、最終的にはおっしゃる通りにしました。ただ、その途中段階で異議を唱えた。すぐには「うん」と言わなかった。要するに「お前は俺の前で鐘と太鼓を叩いて『これはいいですね!』と言わなかった」という理由で飛ばされたわけです」
「「俺の手柄に傷をつけようとした」と思われたのかもしれません。これを手柄と思うこと自体、現実を直視されていないのだと私は思いますが、私が最後に菅さんにお目にかかったとき、その顔に書いてありましたよ、“こいつだけは許さん”と(苦笑)。
 実際、私が菅さんから最後に言われた言葉が「逃げ切りは許さんぞ」でしたから」

 しかも、重要なのは、平嶋氏が抵抗したとき、菅氏は直接の上司である総務相ではなく官房長官だった、ということだ。平嶋氏も「官房長官たる菅さんに本来、私を直接指示する権限などないはずです。内閣官房長官は、内閣の中に異なる意見があった際に調整する権限などはあるかもしれませんが、行政各局に直接指揮命令する権限などありませんよ」と述べているが、まさに言うとおりだろう。

 では、なぜ官房長官が平然と現場に介入するという異常事態になったのか。その背景を、平嶋氏はこう推測している。

「ふるさと納税制度に関して言えば、おそらく安倍総理にも相談していないでしょう。そんな官房長官の指示が「菅案件」などと呼ばれ、役人が振り回される状況になってしまっている。要は人事権を持っている人間が一番強く、これでは「法治」ではなく「人治」です。なぜそうなってしまったかといえば、単に安倍さんが任せてしまっていたからでしょう」
「安倍さんは結局、ご自分で厳しいことができないから、そこを菅さんに全部任せてしまった霞ヶ関のコントロールはすべて菅さんでした

 そうして人事で官僚を脅し、忖度を蔓延させた張本人が総理大臣の座まで登り詰め、さっそく日本学術会議の推薦者任命拒否という問題を起こした。この問題についても、平嶋氏は「自身が権力を持っているというのを見せびらかしたいとしか思えません。権力は実際に行使し、見せつけた方が権力基盤が固まると考えてらっしゃるのではないか」と語っているのだが、一方でこうも述べている。

「ただ、そういう残酷なことができるというのもある意味では能力ではあるのでしょう。人を切ったり飛ばしたりっていうのは、普通の人はなかなかできるものではありません。誰だって情もあるし、罪の意識だってある。精神的によほど強くなければ、そういう冷酷なことをできないでしょう。
 また、これは私の考えなのですが、菅さんは自分がなさってきたことと同じことを他人にも求めているのかもしれません。ご自身が官房長官という地位に就いて権力を維持するため、いったいどれだけ安倍さんに尽くしてきたか。それと同じものを私たちに求める」

 自身の権力維持のためには手段を選ばない、人並み外れた冷酷さ。そして、利己的にすぎない安倍首相への献身と同じものを官僚にも要求する──。あまりにも歪みきっていると言わざるを得ないが、これこそが菅首相の本質・正体ではないのか。


■菅首相が平嶋氏に最後に言ったセリフは「逃げ切りは許さんぞ」

 しかし、問題はこうした“俺が絶対”である菅政権のもとで、官僚たちは平嶋氏のようにおかしなことにはしっかりとおかしいと抵抗できるのか、という点だろう。

 対談では、最後に青木氏が「後輩官僚へのメッセージというか、伝えておきたいことがあればお話いただけませんか」と言うと、平嶋氏は「日本という国がおかしくならないようにがんばってくれと申しあげたい」と語り、さらに「それからもうひとつ」と付け加えた上で、こう述べている。

「ふるさと納税制度の拡充などは典型的ですが、国民に迷惑をかけてしまうような結果になれば、自分が死ぬときにものすごく後悔する。それだけは嫌だと私は思いました。
 政治家はもちろんですが、責任ある立場にいた官僚もいずれは歴史の法廷で裁かれます。そして自分の心に嘘はつけない。いずれ歴史の法廷に立って裁かれることを常に考え、自分の心に従い、官僚の後輩たちはそれに恥じないような行動をとってほしい。自分の行動を律し、おかしなことには誠実に声をあげていってほしい。心からそう願っています」

 じつは、この対談記事のあとには、青木氏の「付記」が加えられている。そこでは〈後輩官僚へのメッセージを尋ねた際、(平嶋氏の)語りはじめた声がかすかに震え、うっすらと赤らんだ眼には涙が浮かんでいた〉ことが書かれており、青木氏はその理由をこのように推察している。

自らがおかしいと感じた政策に必死の抵抗を試み、しかし最終的には屈服させられてしまい、従わざるをえなかった無念。その上にクビを切られた無力感と憤り。一方で、できる限りの抵抗は試みたことへのひそやかな自負……。
 それらがないまぜとなり、後輩官僚へのメッセージとして伝えようとした高揚が、平嶋氏の感情を根っこから揺さぶったのだろうと私は感じた。〉

 「正直、私はいまも怖くて仕方ない」とさえ口にする平嶋氏だが、官僚としての矜持を失わなかったその勇気にあらためて拍手を送りたい。そして、その勇気を称えると同時に、いま進行中の日本学術会議問題をはじめとする菅首相の暴走を止めなければならない。そうでなければ、菅首相のこの危険な独善性と強権性がさらに増長することは、火を見るより明らかだからだ。

(編集部)
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