やっぱりすぐにアップはできませんでした。
そして、すでに現実へすっかり引き戻されてしまった感も
・・・気を取り直して、続・ポーランド記です
ご存じかもしれませんが、アウシュビッツはドイツ名で、
本当はオシフィエンチムといいます。
同じく第2収容所のビルケナウ(例の、長い引き込み線のあるところ)はブジェジンカです。
ワルシャワ中央駅を6時5分に発って、
8時55分にクラクフという前の首都に到着。
列車の旅っていいね。朝焼けがきれいでした。
クラクフ駅ではあやしげなおっちゃんたちが
「オシフィエンチム?アウシュビッツ?」なーんて声をかけてくる。
ワルシャワの空港でも思ったけど、
白タク系のおっちゃんの表情ってどんな国でも一緒だね。
長津田とか中央林間で見慣れてる顔だぜ
。
クラクフからオシフィエンチムへはちゃんとしたバスが出ている。
あたしが乗ったのはマイクロバスで、
途中地元のおばちゃんが手をあげて乗り込んでくる、なんともフレンドリーな乗り物。
たしか往復で14ズウォティ(約600円。安い!)、1時間半くらいで着きました。
なんだかのどかな場所だなあと思ったのが最初。
入場料はフリーです。タダなの。
2ズウォティ(90円弱)の日本語ガイドブックを買って、いざ収容所へ。
いやになるくらい、天気のいい日。
そしてたくさんの観光客。どこの国の子かわかんないけど、
焼却炉の前でVサインとかして写真を撮ってる。親は止めなさい!だよ。
内部の写真は、ほとんど撮りませんでした。
囚人からとりあげた靴・鞄・眼鏡・義手や義足がそれぞれ山積みにされて
展示されていて、あまりの悲惨さに言葉も出ないよ。
で、外に出ると。
空は輝くばかりです。なんだか悲しくなっちゃうよ。
棟ごとにポーランド館・チェコ館・ハンガリー館・フランス館、
って分けられていて、それぞれの国の犠牲者の写真や遺品がきれいに展示されている。
見やすく、わかりやすくてスタイリッシュ(ほんとに!)な展示方法で、
感心させられました。
子供や知識の少ない人の興味を引くためには、こういう工夫が必要なんだなと思ったよ。
しかも全部無料で見られる。なんだか、申し訳ないね。。
というわけで、募金箱みたいなのを設置しておいてほしいと思ったのでした。
このあたりで日本人の男の子に話しかけられ、
感じのいい子だったので一緒に回ることに。
「僕、白い巨塔が好きで、ちょっと見たかっただけなんですよねー」
「・・(白い巨塔・・)引き込み線だよね」
「そう! それなんです。どこですか?」
「あれは、第2のブジェジンカだよ」
「まじっすか!? まいったなー、・・そこ行きますか?」
「・・・行くよ、これから」
「連れて行ってください!」
「・・・つーか、あたしも初めてだし、英語も話せないんだけど」
「僕もです!」
なーんかへんな展開になったなと思いつつ、タクシーでブジェジェンカへと。
ほんとは無料の送迎バスがあります。でも時間を優先させました。
観光地
なだけに吹っかけられて、それでも900円くらい。
青年を連れてきてあげ(笑)、降り立ったのがここです。
「ほんとだ~! 白い巨塔と一緒だ!」
「・・・じゃあ別行動で、4時にここ集合にしよっか」
「はーい、後で!」
ここはアウシュビッツよりさらに広大で、空も広い。
そしてあたしはこの建物(入口)の反対側、
つまりは引き込み線の最終地点の方へと進みました。
ちらほらある収容施設を覗きながら、気がつけば最終地点も過ぎていました。
半分森のようなところにある国際慰霊碑にお祈りして、
またさらに奥へ。
人を焼いた骨を撒いた池のあるあたり。
でもそんな歴史を知らなければ、牧場みたいなところです。
牧場。。ある意味そうなのかも、と思い至ってちょっと身震いしました。
こういうシステマティックな殺人は、日本人には無理だなと思ったり。
ぶつぶつ考え、ぶらぶら上を見たりしながら時計を見ると。
あら
約束の4時まであと30分。
そろそろ帰らなくちゃ、と歩きはじめました。
でも、あたし、どこにいるんだろ・・・?
ぐるっと見回しても誰もいないし・・・。
これ、もしかして迷子ですか・・・
?
ちょっとちょっと、やだよー!
脇の下に冷たい汗が流れました(笑)。
空からはのんきな鳥のさえずりが聞こえ、
周りはぼうぼうに茂った雑草と木。
もしかしてあたし、ここで野垂れ死に・・?
まさかまさか
、と思いながら必死に歩きました。
で、はるか遠くに見えた建物。
ほっとして泣きそうになったのもつかの間、
あたしの行く手を阻むのは有刺鉄線。・・・ここは、元収容所なのです。
狭ーい隙間を何度も縫って、どうにかノー有刺鉄線空間に出たものの、
時間は迫る。
例の青年には列車の時間もあるから、遅れたらかわいそ過ぎる。
一生懸命走りました。
走ったはいいけど、はた、と立ち止まって地図を確認。
入口じゃないほうに進んでた
方向転換し、汗だくでまた走る。
何度も線路に躓きそうになりつつ、枕木を越えて走る。
そして見えた、例の青年が手を振る姿。
知らない人なのに、抱きついて泣きたくなったよ(笑)。
「ここ、すごい広いっすねー」
「うん。こわかったー
」
「マジ俺も焦ったっす」
・・のんきな人って癒されます。
おたがい、人類の罪に思いを馳せる間もなく、
無事に帰れたことを心から喜んでおりました。
戻ったクラクフで食べたジュレック(酸味のあるスープ)、
まるで母の味のように感じたのでした。
というわけで、長々書きましたが、
行かれる時には何語でもいいのでガイドツアーに参加することをお勧めします。
広すぎます。
・・しかし、まさかあの線路の上を半泣きで走る日が来るとは、夢にも思っていませんでした
。
おかげでぐっすり眠ったよ。