「九条自由広場」

「昭和区九条の会」(名古屋)のブログです。会と市民の皆さんとの交流の広場です。ぜひ「コメント」をください。

米諜報員だった岸首相の安保無効訴訟始まる 山崎康彦

2009-03-18 23:17:40 | Weblog
「今の日米安保条約を締結した岸首相は相手国・アメリカCIAのエージェントだった事実が当のCIA機密解除資料で暴露された。そんな条約は初めから無効として、確認を求める訴訟が東京地裁で始まりました。裁判長は初めから真面目に審理する気がなく、マスコミも報じようとしないこの訴訟、読者の皆さんはぜひ関心を持って下さい。」という書き出しの山崎氏の報告は面白い。 (ネット虫)

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 日本の安全保障政策の根幹で、自民党政権がしばしば強調する「日米同盟」の基礎とされる日米安保条約(日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約)は、実は最初から正当性のない「無効条約」だった事実を、皆さんはご存じでしょうか?

 私たちは「日米安保条約は無効であることを確認し損害賠償を支払え」とする民事訴訟を東京地裁に起こしています。最近開かれたその第1回口頭弁論は、わずか3分で閉廷されました。法廷での裁判官たちの言動からすると、次回弁論で結審し、請求棄却の判決が出されるのはみえみえです。

 マスコミはこのような裁判が行われている事実すら報道しようとはしません。JanJan読者の皆さんを通して広く国民の皆様にこの裁判を知っていただきたいと思います。

「すぐ結審、棄却を」と求める被告の国

 この口頭弁論は3月4日、東京地裁631号法廷で開かれました。「日米安保条約無効訴訟の会」代表の長岩均氏(九条改憲阻止の会)を原告とし、筆者も原告と同じ「選定当事者選定人」の一人として弁論に臨みました。傍聴席はほぼ満席でした。

 公判では、裁判長が長岩氏と被告の国が提出した準備書面をそれぞれ確認しました。さらに、裁判長が「何か付け加えることがあるか」原告と被告に質問すると、被告(国)側から「終結を求める」申し立てがされました。つまり、今回1回限りで結審してほしい、とのことです。これに対し、当然原告は異議を申し立てました。

 裁判長は左右の陪席裁判官と何やら協議した後、「原告は他に主張することがあるのか」と、さも迷惑そうな口調で原告に聞き返し、原告が「あります」と食い下がった結果、「では、1回続行します」と宣言。次回公判期日を4月22日と決めて閉廷が宣告されました。

 この間、約3分。傍聴のためにわざわざ仕事を休み、朝早く起きて遠路はるばる東京地裁まで来られた方は、事情が全くわからないまま終わってしまい、裁判官に小馬鹿にされたような印象を持った、と言われました。傍聴席からは裁判官席に向かって「しっかりやれよ!」と罵声が飛んだほどです。

 この裁判は、最初から結論が決まっている、紛れもない出来レースです。出される判決はおそらく「棄却」でしょう。

 被告(国)の指定代理人で出廷した法務省法務局の6名は、日米安保条約の無効確認が求められ国に賠償請求されている重大な裁判という緊張感がまるでありませんでした。裁判官のほうも、同じ時刻に消費者金融の債権取立てなど他の4件の民事訴訟と一緒に短時間に「片付ける」案件のような扱いをしました。

「エージェント・岸首相が結んだ安保条約は無効」が根拠

 今の日米安保条約は、旧条約を改定する形で1960年1月に当時の岸信介首相が署名締結し、同年6月に国会で強行採決して批准しました。この訴訟は、改定された(新)安保条約の無効を確認して締結前の状態に戻し、国は精神的苦痛を与えた国民に対し賠償金7万円を支払うよう求めています。訴状は2月2日に東京地裁民亊部で受理されました。

 この「日米安保条約無効確認訴訟」は以下の3点で大変ユニークな訴訟です。

 第1点は、当時の岸信介首相が米国CIAに買収されてエージェントとなっていた事実が証明され、彼が署名した日米安保条約の正当性が根本から崩れたことです。

 条約を起案し署名した総理大臣が条約相手国のエージェントだったとは、日本国史上前代未聞の国辱行為です。条約に正当性はなく無効であることは明白ではありませんか。それを正面から問い正す裁判が戦後初めて国民の側から提起されたのは、画期的なことだと思います。

 第2点は、今回の訴訟は弁護士に訴訟代理してもらうのではなく、原告個人が主人公である本人訴訟であることです。それも裁判所も初めてのような、「選定人」が「選定当事者」を選ぶという全く新しい「選定当事者方式」の裁判となっている点です。

 選定当事者方式のメリットは、裁判費用が格段に安く済むことと「選定人」と「選定当事者」を数多く集めて裁判を一緒に闘うことが出来る点です。

 デメリットは、強大な権力を持つ国を相手に、法律の専門家ではない素人が裁判の主役となるので、準備書面などの煩雑な訴訟書類を作成する知識や技術や時間やエネルギーが十分確保できるか否かの点です。この点はそのつど、支援してくれる弁護士さんに相談してサポートしていただいています。

 第3点は、新しく分かったことですが、この条約は10年後の1970年に佐藤栄作内閣によって多くの国民の反対を押し切って自動延長されました。それ以降は実は1年ごとに延長されていたのです。

 しかし、政府は国会に条約延長の是非を問うこともなく、野党も問題にせず、マスコミも一切報道せず、要するに国民は一切知らされない中で、政府によって勝手に「延長」されてきたのです。今日まで38年間、事実上の「無期限条約」化されてきた、その事実が暴露されたことです。

 1971年以降、毎年条約の有効期限が切れる前に一方の当事国から条約破棄通告がされなければ条約は自動的に延長され、一方の当事国から条約破棄通告があれば1年後に破棄されることになっているのです(条約第10条)。

 外務省日米安保条約課は、「毎年省内で検討し、アメリカ側と協議して」延長を繰り返してきたと言います。日本にとって最も重要な条約の延長問題を、政府の1窓口機関に過ぎない外務省が秘密裏に「自動延長」させていました。これだけでも、すでに憲法違反の条約です。

NYタイムズのピュリッツァー賞記者が調査報道

 私たちが日米安保は無効だと主張するのは、つい最近知った事実に基づいています。岸信介氏は、実はCIAのエージェントであり「米国の利益」のために働いて多額の報酬を得ていたことが、ニューヨークタイムズのティム・ワイナー記者の著作「Legacy of Ashes(灰の遺産),The History of the CIA」で暴露されたのです。邦訳版も『CIA秘録(上・下)』として08年11月に文藝春秋社から出版されました。

 ワイナー記者は30年以上にわたりCIAや国防総省などの情報を専門に調査報道してきた記者で、国防総省、CIAの秘密予算を暴露報道した業績で1988年のピュリッツァー賞を受けています。

 同記者は2007年に公開された日本占領中のマッカーサーの諜報活動を詳述しているCIA文書を含む5万点に上る機密解除文書を解読しました。10人の元長官を含む300人以上のインタビューをベースに、すべて実名証言で昨年出版したのが、「Legacy of Ashes」です。

 同書ではまた、岸氏の実弟である佐藤栄作元首相も、米国に対し「共産主義と戦うため、アメリカの財政援助を願い出ていた」事実も、同様に暴露されています。

 岸・佐藤兄弟に見るような、日本の対米従属を決定的にした「日米安保」の無効を確認し、条約締結以前の状態に戻すことが出来れば、日本は真の独立国として、平和憲法を武器に「戦争や貧困がない平和で平等な世界」を作リ出せる国になるのです。

 第2回公判は4月22日午前10時15分に同じ631号法廷で開かれます。非常に重要な裁判となりますので、多くの方の傍聴をお願いいたします。戦後日本の歴史を書き換えるほどの重要性と衝撃性を持つ「日米安保条約無効訴訟」に最大限の注意を払っていただきたいと思います。