「九条自由広場」

「昭和区九条の会」(名古屋)のブログです。会と市民の皆さんとの交流の広場です。ぜひ「コメント」をください。

是非見たい「非戦を選ぶ演劇人」の「九条は守りたいのに口ベタなあなたへ・・・・」

2008-09-30 13:14:56 | 書評・番組・映画・演劇など
★風仲間の井垣さんより平和演劇紹介のメールがありました転載します。 
                           (ネット虫)
*****************************         「非戦を選ぶ演劇人の会」の「9条は守りたいのに口ベタなあなたへ…」非戦を選ぶ演劇人の会 ピースリーディングvol.11というのを観ました。
 400という観客席は満席でムンムンしていました。

 登場する俳優さんも”超”一流、台本手に立ち稽古スタイルです。

 そのおもしろいことったらありませんでした。
憲法論争の理論武装のためのテキストを劇にした、という喜劇です。

まぁ、下記のあらすじを読んでみて下さい。

「あ、そうそう、そう言って反撃してくる改憲派っているいる」
「その論には、なかなか反論しにくいなぁ」と思うことばかり。

 最後のドタバタは、改憲論ってやっぱり国を滅ぼす悪魔の
仕掛けなのかも?と思わせるみごとな筋書きです。

改憲論の切り口を次々展開。
登場人物も多彩で、街の人々総動員という感じです。

 この劇はホームページで台本が公開されています。
 全国各地でどんどん活用したら、旋風を起こすかもしれない。
 原子力航空母艦のことなど、次々と創作して付け加えていったらインパクトも大きいんじゃないか、と思います。
                  (ホームページの注意書き参照)

 重苦しい原子力潜水艦を吹き飛ばす力は、実に弱いように見えますが、大笑いさせながら、心をぐいぐい一つに引き込むこんなおもしろい事から力が生まれるかもしれない、と思います。
 我々は何しろお金も権力もないんですが、知恵がある、
無欲だから強い、という月並みながらそんなことを感じさせてくれる
公演でした。
 せりふの中に「アメリカ」、「アメリカ」 ってたくさん出てきます。
「中止!」と声がかからない今の時代が「中止」にならないようにと思わず願ってしまいました。DVD出来れば良いのですが。


<あらすじ>
 舞台は現代の日本。ある町内に、不思議な一団が潜入した。
彼ら・彼女らは未来の世界からタイムマシンでやって来たテレビクルーと「世間話研究家」。ある主婦の行動を未来に向けて実況中継することが目的らしい。その主婦が選ばれた理由は、「憲法を世間話で語りまくった」大変貴重な例として歴史に残っているからだ。彼女は「憲法九条を守りたい」と当然のように考えていた。

 ところがある日、通っているパッチワーク教室で、改憲派の生徒に詰め寄られてタジタジとなる。
「北朝鮮が攻めてきたらどうするのか」「自衛隊がいらないということは、自分の家に鍵をかけないのと同じことだ」……等々。

 こんな時にどう反論したらいいのだろう? 悩んだ彼女は、自分の家族や「横丁のマダム」に相談したり、行きつけの美容院、風変わりな「改憲バー」などで、立場も考えも異なる様々な人たちとこの問題についての「お喋り」を重ねながら、次第に自分なりの考えを深めていく。その様子が、未来のテレビで生中継されているとは夢にも思わずに……。

憲法九条をめぐる問題を、日常会話の中でとらえた「目からウロコ」のディベート劇、待望の再演!!

作・構成:永井愛
演出:永井愛、西川信廣

出演予定者(五十音順):明樹由佳、麻丘めぐみ、石川武、板倉光隆、大沢健、大塚道子、小杉美香、坂口良子、沢田亜矢子、鈴木弘秋、関根信一、長山藍子、根岸季衣、平幹二朗、毬谷友子(25日のみ)、丸尾聡、みやなおこ、宮沢亜古、深山洋貴、山川恵里佳、山口馬木也、蓉祟、ラサール石井(26日のみ)、流山児 祥(25日のみ)、渡辺えり(26日のみ) 他

                    「非戦を選ぶ演劇人の会」


小泉達は、本当のナショリストか?       中央日報書評から

2008-09-29 15:04:44 | 書評・番組・映画・演劇など
オーストラリア国立大アジア-太平洋学研究所名誉教授である
ケビン・マコーマック氏の著書の紹介。

テーマは、
「彼らは本当のナショナリストなのか--。」

彼らとはコイズミさんたちのこと。

『 靖国神社参拝、過去の歴史に関する妄言と教科書歪曲。
日本保守派の実体は、対米従属主義者にすぎない、
という主張が書かれている。

戦後日本は占領軍の米国によって憲法的に‘武装解除’させられた後、
安保・軍事問題に対する負担を減らし、経済発展に力を注いだ。
「従属国家・日本論」は、米国の軍事力のもとで可能だった
日本経済の高度成長期についての説明だけでも十分だ。

しかし著者は軍事的には再武装、経済的には新自由主義を積極的に追求した
小泉以降の日本が、決定的に対米従属の道に入ったと評価している。
そして日本保守派が追求した対米従属主義の結果は、
対内的に経済的な不平等と思想的な統制の強化、
地域的には隣国との不和として表れたということだ。

すなわち国益のための‘親米政策’とは距離が遠い、
国益に反する‘対米従属’であるため、
日本保守派が前面に出すナショナリズムは偽物だという主張だ。

「先進国のうち日本ほど深刻な貧困問題を抱えている国はいまや米国しかない。
国民健康保険の保険料を支払えず、実質的に無保険状態である人が
1000万人にのぼる」
「先進産業国のうち日本ほどすべての隣国と
不和を経験している国はないなどの主張がそうだ。』


また、天皇制についても、興味深い指摘がある。


『日本は‘天皇’中心の独特の文化構造を持つ国だと自ら考えている。
この天皇中心的な思考構造には、日本人が他のアジア人とは違うと
いう優越感が含まれている。
自分たちはアジアに属さないため、西洋の強大国と手を結ぶほかない、
という論理だ。
著者は、このような考えは日本固有の特質でなく、
1930年代の軍国主義イデオロギーにすぎず、
戦後、米国の巧妙な心理戦によって強化された、と考えている。

60年代に駐日大使を務めたエドウィン・ライシャワーは
1942年、米国務省に助言し、こう発言をした。
「満州国で中国の最後の皇帝・溥儀が日本のためにそうだったように、
戦争が終われば日本天皇は途方もない権威を維持しながらも
完全に米国側に立って協力し、任務を遂行する操り人形の役割を
果たすようになるはずだ」』


 歴史は繰り返す、二度目は喜劇というコトバを思い出しました。
今の日本人は笑われているわけです。
笑われないようにしないと。

真の愛国者は誰なのか?
右翼の鈴木邦男さんが、それなりの影響力を持っているのは
こうした背景があったんだ、とも感じさせる記事でした。

現在、愛国という人々の考えは、この指摘にあるように
1930年代、特に日中戦争のはじまった1937年以降に
急速に勢力を得た軍国主義の考えに源があるようです。

アメリカが9・11で変わったように、
日本は数十年前、1937年にこの転換点に遭遇したんでしょう。

(名古屋市の昭和区が誕生したのも、1937年です。)




沢田研二・・「我が窮状」の歌、今夜です。   ネット虫

2008-09-17 16:15:23 | 書評・番組・映画・演劇など
 麗しの国 日本に生まれ 誇りも感じているが
 忌まわしい時代に 遡るのは賢明じゃない
 英霊の涙に変えて 授かった宝だ
 この窮状 救うために 声なき声よ集え
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 この窮状 救えるのは静かに通る言葉
 我が窮状 守りきりたい 許しあい 信じよう

★還暦を迎えても変わらぬ艶のある歌声の沢田研二が
 平和への想いを自身作詞のバラードに込めて歌いあげる。

 NHK総合 11時 SONGSで

 まぎれもない、憲法九条賛歌だという。

「グランドナイン」観劇記        落石

2008-08-25 22:22:02 | 書評・番組・映画・演劇など
今日、東文化小劇場で、平演会の「グランドナイン」を観ました。

ナゴヤドームのある場所は、戦前には三菱の軍需工場のあったところ。
劇は、ドームのある地域の大幸9条の会が、8月のイベントに何をしようか?と、
ドラファンの集まる居酒屋で話し合うところから始まります。

9条の会の3人のおじさんは、居酒屋で、様々な人たちに出合っていきます。
そして、戦争で死んでいった名古屋軍の村松投手のことを知ったり、
三菱軍需工場爆撃で生き残った老婦人と出会ったり・・・

そして、婦人の講演がイベントの柱となり、9条の会の輪も
若者にもひろがっていく、というハッピー・エンド。

ちょっと、劇としての密度には物足らなさを感じましたが、
地元の素材であること、楽天的な筋の運びなど・・・
(途中でセリフを忘れるハプニングもありましたが)、
結構、楽しめました。

ご苦労様でした。

皆知りたがっている・・・あの戦争を。    知らされない国民

2008-08-17 14:54:28 | 書評・番組・映画・演劇など
昨日夜、NHKが、なでしこジャパン奮戦中に突然、「太平洋戦争・兵士の証言・・レイテ果て無き消耗戦」を放映し始めました。
 始めは腹を立ててきろうかと思いましたが、見ているうちに「これは凄い・・余りに酷い。」と最後まで見ました。
 なでしこジャパンとは質の違った感動でした。見てよかっと思いました。妻は耐えられずテレビを離れました。
 その中で数々のドラマが語られていました。
 部下との犬死を拒否して隊の移動を決意した隊長が命令違反でただ一人ジャングルに突撃して言った話。
 餓死を予感し現地人の少女に家族への手紙を託した兵士の話。
 飢えの行軍に死んだら自分の肉を食ってくれと頼んで逝った兵士の話。
 極限の酷い話の連続でしたが、ドラマに出来るものも多く語られていました。
 是非シリーズでドラマに仕立てて欲しいものです。
  
 国民は老いも若きもきっと感動してくれると思います。
 左翼も右翼もこの事について余りに臆病なのではないでしょうか。

 日曜の夜にもNHKスペシャルで戦争証言の番組があるようです。確かめてみて、見てください。

日本には「戦争TVドラマ・シリーズ」はなぜ無い。      まもる

2008-08-16 14:26:45 | 書評・番組・映画・演劇など
アメリカやヨーロッパのTVドラマを見ていると、二次大戦ゃベトナムの戦いをドラマにした優れた戦争ドラマのシリーズものが作られている。
 それらのドラマのテーマは軍隊組織の不条理、上官や部下との生死線上での葛藤・友情、家族へ愛、戦争目的への懐疑、死の恐れ、生の喜びなどがシリアスに描かれていて、感動や共感を呼ぶ。
 今、日本では戦争体験の伝承が問題になっているが、戦後六十年、日本にも大戦をテーマにしたTVドラマ・シリーズに挑戦する人間や放送局が現れてもいいのではないか。

 放映されてこなかった理由は
 人々にそれを望む声が少ない。視聴率が取れない?
 政治的・社会的にまだ許されない? 聖域・タブー?
 マスコミにそれだけの勇気と見識がない?

 戦争記録証言企画では頑張っているNHKよ頑張って。
 死ぬまでに、そんなTVが放映される時代が来ることを期待したい。


庶民ジャーナリズムの孤軍奮闘       川西玲子さんのメールから

2008-08-14 11:17:45 | 書評・番組・映画・演劇など
★風仲間の川西さんからのメール、おすすめ本の紹介です。私も是非読んで見たいものです。(ネット虫)

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 横目でオリンピックを観ながら、読書に次ぐ読書の毎日。
 お陰で、読もうと思って積んであった本の山が崩れてきました。

 中でも面白かったのが、「民衆ジャーナリズムの歴史」。講談社学術文庫です。
 度重なる弾圧と生活苦に苦しめられながら、帝国主義と侵略戦争に反対しつづけた、地方の弱小メディアの奮闘ぶり。

 中でも昭和8(1933)年に京都で創刊された「現代新聞批判」は、発刊部数500余り、月二回発行のタブロイド版ながら、約10年間、軍部におもねる中央の大新聞を批判しつづけました。
 この業績が埋もれたのは、戦後言論界の大物が批判されているからです。

 編集発行人は、「大阪朝日」を依願退職させられた太田梶太。
 大新聞の特権意識や権力闘争を鋭く批判、新聞社の幹部たちを恐れさせ たとか。
 この「現代新聞批判」の秀逸な点は、大新聞の経営や人事面に踏み込み、新聞産業が持つ構造的欠陥を突いていたことです。

 筆者の門奈直樹氏はこう指摘しています。
「権力への迎合を、個人の良心との関連だけで批判しても仕方がない」。
そして山本明の「イデオロギーとしてのジャーナリズム」(論 文)から、こういう言葉を引用しています。
「商業ジャーナリズムはいったん成立すると、その活動はマスコミ機関として、資本主義的発展過程をたどる」。
 マスメディアの「中立化」は、商業ジャーナリズムの帰結なんですね。

 さて、ではどうするか。
 新聞は今、部数が落ちる一方で危機的局面にあります。
 全国紙でもそうですから、地方紙は推して知るべし。
 今まで以上に広告主との関係を重視しなければなりません。
 TVもやがて同じ道をたどるでしょう。

 ネットには、従来のマスコミとは違う力と影響力がありますが、
 商業ジャーナリズムが完全に無くなるとは思いません。
 ケータイ小説が人気を呼んでもプロの作家は必要なのと同じで、商業ジャーナリズムにも役割があります。

 志の高い言論人が商業ジャーナリズムの世界で排除されないために、私たちにできることは何なのでしょうか。
 すぐには思いつきませんが・・・。
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 昭和を生きた全ての人へ、そして昭和を知らないあなたへ
「映画が語る昭和史」もお薦めです。
http://www.randomhouse-kodansha.co.jp/books/details.php?id=608

必見NHK・・・証言記録 兵士たちの戦争      まもる

2008-08-05 18:31:32 | 書評・番組・映画・演劇など
★★戦争の酷さをこれほどリアルに教えてくれた番組は知りません。
  今次大戦に参加した元老兵士が血涙の思いで語っています。

  ご覧になっていない方には必見です。

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「証言記録 兵士たちの戦争 (再放送)」BShiです。

8月26日(火)~8月29日(金)
これまでに放送した「証言記録 兵士たちの戦争」を8月にまとめて再放送します。

★8月26日(火)午後8:00~8:43
インパール作戦・補給なきコヒマの苦闘~新潟県高田・陸軍歩兵第58連隊~(2008年7月28日放送)

★8月26日(火)午後9:00~9:43
フィリピン・レイテ島 誤報が生んだ決戦~陸軍第1師団(2008年2月28日放送)

★8月27日(水)午後8:00~8:43
ガダルカナル 繰り返された白兵突撃(2008年3月26日放送)

★8月27日(水)午後9:00~9:43
沖縄戦 住民を巻き込んだ悲劇の戦場~山形県・歩兵第32連隊(2008年4月30日放送)

★8月28日(木)午後8:00~8:43
ペリリュー島 終わりなき持久戦~茨城県・水戸歩兵第2連隊(2008年5月26日放送)

★8月28日(木)午後9:00~9:43
ニューギニア ビアク島 幻の絶対国防圏~陸軍歩兵第222連隊(2008年6月30日放送)

★8月29日(金)午後8:00~8:43
フィリピン 絶望の市街戦~マニラ海軍防衛隊(2008年1月24日放送)


敵の本を読むべし        落石

2008-07-18 22:03:37 | 書評・番組・映画・演劇など
鈴木邦男をぶっ飛ばせというブログを読んでいたら、
ちくま新書の「ウェブ炎上」を引用して
次のような文章がありました。
とても気に入ったので一部、我田引水します。

ソーシャル・ネットワーク分析の成果によれば、
米アマゾンにおける政治関連書のリコメンド
(「この商品を買った人はこんな商品も買っています」)
のリンク構造を分析すると、
右派と左派の本が見事に分化しているという。

保守派の人の本を買ったら、同じような保守派の本ばかりが紹介されている。
左翼的な人の本を買ったら、左翼的な人の本ばかり紹介されている。
ついつい買う。知らず知らずのうちに、
「一つの立場」の本しか読まない自分になっている。

僕らが学生の時は、右も左も、いろんな本があって読んだ。
今は、それがない。本も雑誌も、「一つの立場」だけだ。
それも圧倒的に「保守派」が多い。
だから、若者はどんどん「保守的」になる。

戦前戦中、「思想善導」という言葉があった。
国家が個人に対し、「いい考え」を持てと指導する。
「いい考え」とは「愛国心を持ち、共産党を憎む思想」だ。
でも、この時は、「国家が権力でやっている」とはっきり分かったから、その怖さも見えた。
しかし、今の(保守的にだが)「思想善導」は、国家や権力は出ていない。
私たちが自由に、自分の意志でやっている…ように見える。
そして保守的な考えだけを持つようにされる。
少しでも「異端」な考えは読む必要もない!
と初めから排除されている。

政治的にリベラルな思想の持ち主はリベラルな本ばかり読み、
政治的に保守的な思想の持ち主は保守的な本ばかり読む。
両者は互いに論難しあうことが多いにもかかわらず、
論敵の本をきちんと読み比べている人はごくわずかで、
自分の思想にあった本ばかり読むだけの人が、基本的には多いという。

人間は本来、易(やす)きに流れ、低きに流れるものだ。
〈ある考え〉を持つと、同じ考えの人々と仲良くなり、
「うん、そうだ」「そうだ」と思い、同調し、気分が良くなる。
そこで安心する。精神衛生上はいい。
 これは私らも陥りがちなことだ。まあ、「同じ考え」の人を発見し、
喜んでいるだけならいい。
そのうち、「違う考え」の人は許せなくなる。
「なんでこんな馬鹿なことを考えてるんだろう」
それで、批判を書き込む。その人を「正しい道」に立ち戻らせようと思う。
「思想善導」をしてやろうと思う。
自分の力じゃ足りなかったら、同好の士に呼びかける。
それで書き込み、批判が集中する。これが「ウェブ炎上」だ。

 それで私は反省した。「敵」の話もキチンと全部聞こう。
それで論破されるのなら、それでいい。自分が間違っていたんだ。
自分が未熟だったのだ。謝ればいい。出直せばいい。
そう思うと、フッと肩の力が抜け、楽になった。
 
このブログが目的としている点を明確にしてくれる
良い考えだと思います。
もっと「敵」の本を読まないと。



だます心  だまされる心 (著書紹介) ネット虫

2008-06-24 11:17:21 | 書評・番組・映画・演劇など
『だます心 だまされる心』
安斎育郎著
岩波書店

◇もくじから

1章 トリック-人為的な不思議現象にはタネがある
2章 文学・芸術の中の「だま」-ユーモアあふれるウソ
3章 霊とカリスマの世界
4章 科学者もだまされる
5章 実生活にひそむだまし-思い込みと欲得の落とし穴
6章 だましの社会現象-政策誘導のための「だまし」
7章 どうすればだまされないか?

 ■著者からのメッセージ

 最近、大学時代の手品仲間から、私が担当したNHK人間講座「だます心 だまされる心」についての感想文が届きました。「現在の不安定な社会を、今までにない切り口で一つの体系にまとめられたことに感服しております。あれだけの多岐にわたる話題、情報などを整理した上で、それに奇術をからめて、あのような形で集大成されるには、大変なご苦労があったのだろうなと拝察いたします」とありました。

 私は、元来、「だまし」の専門家ではありません。手品を趣味とする科学者が、人生折々に経験したことをやぶにらみしているうちに、諸事実に通底している漠然とした「だましの論理」とでもいうべきものに気づきはじめたということでしょうか。そう気づいてから意識的にもろもろの自然現象・社会現象を見直してみると、「だまし」という負のイメージとは裏腹に、じつに豊かな生きる知恵や悪巧みが渦巻いていて興味津々なのです。どうぞ「だまし」の世界をたっぷりとご堪能ください。