★参加しているグループの野田教授よりThe Asia-Pacific Journalに掲載された
ガバン・マコーミックの標題の論説をが届きました。紹介します。
********************************
「韓国の京郷新聞に掲載した記事に加筆。長文ですが一読に値します。
これを読むと日本が如何に異常かがよくわかります。
韓国でさえこんな記事を載せているのに・・」とのコメントが付いていましたがまったく面白く示唆に富んだ論説でした。下の文章はその抜粋です。全文を是非お読みください。 (ネット虫)
********************************
朝鮮の危機を深める 北朝鮮の“UFO”についての安保理の非難
ガバン・マコーマック
日刊ベリタ,2009年04月22日00時23分掲載 無料記事
http://www.nikkanberita.com/read.cgi?id=200904220023433
※このアドレスを青地にし、さらに右クリックするとこの記事の検索窓が出ます
<抜粋>
日本にとって北朝鮮は、少なくともテポドン1号が1998年に予告なしに上空をあっという間に通り過ぎて以来、最大の関心事であった(12)。それでも、日本の立場は北京の他の参加国とは非常に違っている。日本だけが、ブッシュ政府の交渉への転換とそれが米朝関係にもたらした融和に猛烈に反対した。長年にわたり成功しなかったが、30年前の日本人拉致を北京での議題に含められるべきであるとする意見に米国が同調するよう説得しようとした。一方で、自国民には、拉致問題は核兵器やミサイルよりも重要であると主張した。2006年2月以来、北朝鮮との会談で日本は拉致問題以外を討議しようとしてこなかった。北京での2007年の合意後、その実施を阻止するか、遅らせようと大きな外交努力をした。最初に、ブッシュ政権に北朝鮮をテロ支援国家のリストから外さないように圧力をかけ、北朝鮮に重油を提供するという自国の義務を果たすことを拒否した。発射にいたるまで、メディアと政治家は、北朝鮮が東京をミサイル攻撃することを計画しているかのように恐怖を広げることに加わった。
日本だけがロケットを撃ち落とそうとするかもしれないとほのめかした。北朝鮮がそれを戦争行為とみなすと言うと、態度を和らげ、日本の領土に落ちてくる破片を撃ち落とすと言った(技術専門家は、それは不可能であると主張した)。発射直後、「飛翔体」という言葉が政府とメディアによって採用されたが、5日後に政府とメディアはいっせいに「ミサイル」という言葉を採用した。北京での協議の参加国のうちで、日本だけがこの見方をした。政府は、衛星という北朝鮮の主張は証明されていないという以外の説明はしていない。他の国では広く受け入れられている説明、つまり、北朝鮮は衛星を打ち上げようとしたが、失敗したという論理的な別の可能性を拒否し、日本政府は北朝鮮に関係する事柄で顕著なパターンを繰り返した。「科学的事柄に口を挟み・・・、外交的失敗になったことを埋め合わそうと躍起になる」(13)。
4月5日、多くの一般市民がさくらの花見を楽しんでいる中、発射は日本の支配層を激高させ、恥をかかせた。平壌を降伏させようと締め付けた長年の努力は徒労であった。拉致に関しては進展せず、米国を説得して強硬路線や拉致を北朝鮮の主要な犯罪として見るように同調させることに失敗し、発射をやめさせることに失敗し、発射は民用ではなく決定的に軍事的なものであると世界を納得させることができず、発射の後にあらゆる努力をしたのにかかわらず、安保理から目指した非難決議を引き出すこと失敗した。さらに、日本の厳しい制裁政策にかかわらず、北朝鮮の発射は、その科学的・軍事的行動計画はほとんど影響を受けていないことを示しているようだ。今回、軌道に乗ったという証拠はないが、北朝鮮は明らかにそれを成し遂げることに近づいた。
一方、日本の大いに自慢されているミサイル防衛計画は2回、誤った警報を出し、すぐに撤回された。2003年以来、日本は北朝鮮の上空を定期的に偵察しているが、北朝鮮が日本の上空にスパイ衛星を打ち上げる能力を持つようになる可能性ほど日本の官僚にとって苦々しいものは恐らく、ないであろう。
ソウルの京郷新聞は、4月5日のこの漫画を掲載して発射に応じた。北朝鮮の惨めな金正日が、ひどくカリカチュアされた日本の戦時中の人物と一緒に描かれている。「打ち上げるのではないではないかと心配していた」とこぼす人物のロケットには「自衛隊」「憲法改正」と書かれている。米国のロケットは「ミサイル防衛拡大」と書かれ、スーツケースには「軍事産業」と書かれている。
ばか騒ぎと計算された狂乱という日本の対応にもかかわらず、発射が日本の上空を越えたという事実は、たとえはるか上空だとしても、無視することができるものではなかった。けれども、その反応は、2003年以来、北朝鮮上空を定期的に飛んでいる自国の「スパイ」衛星についての内省、あるいは、不安定な状態を増大させている日本の敵対的行為(それが北朝鮮をそれに挑ませている)の役割についての内省がないことは注目に値した。