よみびとしらず。

あいどんのう。

スリープ

2021-04-22 10:48:57 | 散文
眠れや眠れ
身体に熱の戻るまで
あなたのうちにあるその熱量を
求めてさまよった顔のないひと

眠れや眠れ
どうかわたしに会いに来ておくれと
子守唄のかそけく鳴り響く
不眠だらけのひとの町

眠れない夜を引き連れて
明るく澄んだ真昼の空に
夜の恐怖を敷き詰めた
天日干しされた恐怖はさらさらと
乾いてそんなことはまるで存じ上げずに
大変申し訳ございませんでした
頭を下げた頭のなかから
何事もなかったふりをした

どうかお休みなさいませ
全てを忘れて赴くままに

どうかお体大切に
顔のないあなたからのメッセージ

眠れや眠れとひとの問うまで
安らかな眠りに幸い満つれと
繰り返されたのは愛の言の葉
なんの欠片もなく
砕けた夢のなかにだけ残された
お前なんかが愛を語るなと
それは本当におっしゃる通り
なんにも知らない身体から
愛しているの思いは溢れて
わたしたちはいとも容易く嘘を吐く

夢のなかでも外のうちでも
言葉は溺れて
ただ眠ることだけを欲しがった
だからまた昇る日の明るさに目は眩(くら)み
わたしの声はかすれてなんの言葉も出なかった

おやすみなさい
また、あした 

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